あらすじ
“今”の京都の声でよみがえる、源氏物語!
「紫式部が隣でおしゃべりしているかのように綴られる、
若き日の「光君」の物語に、ぐっと引き込まれました」
―本上まなみ(俳優・エッセイスト)
「桐壺」帖から「葵」帖までの9帖を原文に忠実に訳した、
作家・いしいしんじによる平安京の大ベストセラー恋愛物語。
光源氏が誕生する「桐壺」帖から、のちに最愛の女性となる紫の上が登場する「若紫」帖を経て、
正妻・葵の上のもののけによる死が描かれる「葵」帖(源氏23歳頃)まで、
9帖を抄訳して収録。光(ひかる)君(くん)の若き日の成長譚と、さまざまな姫君たちとの華麗な恋愛絵巻が描かれます。
源氏物語に詳しい人はもちろん、読むことを敬遠してきた人へ。
令和に蘇る平安の宮中恋愛劇を、ゆるりとお楽しみください。
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Posted by ブクログ
源氏物語のいしいしんじさん訳。
ネイティブ京都弁で語られるやり取りはすごくリアルで、でも関西弁スピーカーじゃない方にとっては少し読みにくいかもしれないなと思ったり、でも光源氏のチャラいけど憎めない茶目っ気というか魅力が引き出されていたと思う。
高校時代、高尚な風に授業とかで教えられてた和歌が、実はこんなにエロティックな内容やったとは!とある意味痛快。
当時、この物語はすごい娯楽やったんやろうなぁと大河ドラマを観おわった後、なおさら思う。
Posted by ブクログ
私は面白かったよ、もちろん。
主要どころまとめていただき、相関図がやっと頭に入りました!
けど京都人でもあまり使わない言い回しは、京都弁慣れてない人だと相当読みにくかったんではないかと思う。
Posted by ブクログ
大河ドラマ「光る君へ」をきっかけにこの本を手に取った。大学受験のために漫画あさきゆめみしで概ねの内容を覚えて、もちろん勉強の中で古文でも触れたけど、それ以来の源氏物語。
現代語訳で改めて見ると、光君のキモさが際立つ。あさきゆめみしではもう少し格好良く描かれてた気がする。
現代価値観だからキモさを感じるのかと思いきや紫の上にも「キモい」連呼させていて笑った。金持ちイケメンでも許されない(後に許されるが…この本は途中で終わるので許されないまま)。
でも結局面白い。紫式部の描く姫たちの魅力だと思う。他の現代語訳もまた読みたい。
Posted by ブクログ
◼️ いしいしんじ「げんじものがたり」
京ことばで、くだけた語りの源氏物語。
関西弁というか、やはり京言葉、そして今ふうの言葉で訳してある源氏物語。大谷崎をはじめ多くの方が現代語訳している源氏物語。専門的なことは知らないが、私的に紫式部は素晴らしい物語作家で、一文が長すぎる人だと思う。特に日本人が訳すと古語の知識にどうしても引きずられてしまう傾向があるかなと。私が通読した与謝野晶子も苦戦している跡が見えた気がした。
まあともかく今作はある意味思い切った、パロディ的な訳。目的が違うかもと思う。
まずは「桐壺」に、「雨夜の品定め」の「箒木」。プレイボーイ光源氏が唯一?逃げられてしまう「空蝉」、そして儚い運命で、怨霊に取り殺される「夕顔」、なんといっても犬君がスズメを逃した「若紫」。光源氏、はっきり言って誘拐犯。ただ、架空の物語ということで、私は若紫をマジっと描いた絵が見たい気もする。そもそも桐壺の更衣〜藤壺〜若紫と続く系譜もなんか絵画化がいいような・・。美人画の大家と呼ばれた鏑木清方が樋口一葉「たけくらべ」のヒロイン美登利を描いたような感じで。
超絶引っ込み思案の「末摘花」、光源氏と藤壺、不義の子が産まれる「紅葉賀」、光源氏が楽器を弾きちょっと舞う「花宴」ではのちに重大な結果を招く朧月夜との出逢いがあり、先へと続く。そして、初めての子が産まれた矢先、光源氏は正妻葵の上に先立たれる。嫉妬した者たち、ことに六条御息所の強力な怨霊が取り憑いたためで、光源氏、娘を失った左大臣家は深い悲しみに包まれる。
特になにも注釈はないが、続く・・んだよね。確かにこの9つの帖はそれぞれアクティブで有名ではあるが、原作に忠実に進んでるし。帖のタイトルはひらがなになってたりしますちなみに。
やはり源氏物語はおもしろい。しかしこう、いわばデフォルメしてあっても、どうも主語や動き、心理が少し分からないところが残るような。それが源氏なのかな。私の理解が悪いんだろうか。
いつもながら、空蝉と繋げないということは君の働きが悪いからちゃうのん?と光にいじめられる空蝉の幼い弟、小君のチーくんが、原作を読んだ時と同じく、ちょっとかわいそう。
古語を現代語に訳すと、やはりマイルドな表現になるし、読み手もそれに慣れちゃっている。おそらく込められた意味を率直に表す言葉遣いのこの訳は、違和感もあるが、痛快なところも多々ある。やっぱこれくらいのものもないとね。こちらの方が言動がよく分かるし。
まだまだ続く。先々を期待します。