いしいしんじのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
今回のいしいしんじ作品は3章からなる小説。
1章はかわいらしくて生々しいファンタジーの世界。
みずうみとともに暮らす村を描く。
2章の舞台はどこの世界かも分からない、いつかも分からない、どこか、異国。
そこでタクシー運転手をする男性を描く。
3章の舞台は松本市、ニューヨーク、キューバ、メキシコなどである。
日本人と外国人カップルを描く。
この3つの章に共通して流れているのが水。
1章はごりごりのファンタジー、2章は現実かどこかおぼつかない世界、3章は現実世界。
相互をつなぐのは節目にでてくるキーワードだけで直結した連続性はない。
しかも物語はある時間を切り取ったようで完結してもいない。
なんだか彼らの生きたままを読んでいるようで大きなうねりもなくて途中で挫折しかけました。
けど、3章まできてみて
この人はもしかして自分とおんなじようなものを見て、おんなじような空気を食べてるのかと感じるとき、
それは昔をたどれば同じような水のなかにいたからかもしれない、と思ってしまった。
つまり羊水のことね。
水は、地球ができた昔から循環を続けていて今日わたしが飲んだ水は昔誰かが使った水ってこともありえる訳で。
そんなことを思ったらもう、水というものに圧倒されて押し流されるんじゃないかと思った。
一応解説によると、この物語の作り方はとても新しくこれからのいしいしんじの可能性を感じずにはいられないと書いてありました。
けど、わたしはやっぱり今までのかわいらしいのに生々しく毒のあるファンタジーの方が好きだ。
だから、いしいしんじをおすすめするならこれじゃないなあ。
これが持つのはわくわくじゃなければ感動でもない。
地下を流れる水脈に乗ってぐるぐる回り続けているものがあるっていう事実。
ちょっとつきはなした感じの小説です。
いしいしんじが何を思い描いたのかはなぞですが、たしかに重いものを残していきました。とさ。
エントロピー
エン、で流れ、トロで、少し跳ね、ピーの余韻に消えてしまう。 -
Posted by ブクログ
トリツカレ男、ぶらんこ乗り、プラネタリウムのふたご。
いしいしんじの作品の中でもお気に入りのものたち。
ファンタジーと哲学のまじりあったような印象を受ける彼の作品は、少しとっぴで、少し頭をひねりながらじっくり読むことが多かったけど、今回、この「みずうみ」を読み始めて
はじめて、挫折しそうになった。笑
それくらい、難しかった。
彼の言いたいこと、書きたいこと、彼の世界を
理解するのに(いや、正確には理解しきれなかったと思うが)
それに近づこうとすればするほど、わからなかった。
ただ、あの解説があったおかげで、なんとなく
救われた気持ちにはなったけど。
いしいしんじの、まだ読んだことない本だー!
と軽い気持ちでてにしたけれど、うーん、衝撃作でした。 -
Posted by ブクログ
久しぶりに、いしいしんじ。今までとずいぶん違う感じでした。
物語に重きを置かれておらず、情景が連なって作品が出来ている感じです。その情景はもちろんいしいさんらしく幻想的なのですが。
3章からなる作品です。一章目は、何処とも何時とも判らないみずうみのそばの村が舞台。村では家族のうちの一人が「眠り続ける人」で、みずうみは月に一度静かに溢れ出し、多くの遺物を残し、村を豊かにしてくれる。二章目は、理由不明の確率の偏り(同じ行先の客を次々乗せるなど)の中で生きるタクシー運転手の物語。彼は月に一度、体に溢れてくる水を裏町の娼婦のもとで排出する。第三章は松本に暮らす著者自身の物語(主人公は慎二と妻の園子)。
「溢れる水」の幻想は3つの章に共通に表れる。また、いくつかの事物も共通に出てくる。しかし、物語としての繋がりはほとんど無く、独立した3つの短編としてもおかしくない。
どこに重きを置くかで今日かが別れる作品だと思う。幻想を受け入れ、それそのものを楽しむ、そんな読み方が出来る人には面白い作品だと思う。でも私のように物語を楽しみたい人には、難解というか理解不能の作品であり、不向きでした。 -
Posted by ブクログ
買いました。いしいしんじハマってます。
今まで「雪屋のロッスさん」、「プラネタリウムのふたご」、「絵描きの植田さん」を読みましたが、どれもが雰囲気が違って面白いです。
何だかいしいさんは不思議な人ですね。
この本で好きなお話は「カラタチとブルーベル」です。
このお話とか「プラネタリウムのふたご」とかは舞台が日本というよりはヨーロッパというイメージがあります。
私はいしいさんのお話はそういったヨーロッパイメージのお話が好きみたいです。
あんまり関係ない話ですが、この本を読んでしばらくして友人から貰った手紙の柄が女の子の人形が2体プリントされたもので、「カラタチとブルーベル」と連想してしまいました。木できた素朴な人形だったので余計に。