あらすじ
コポリ、コポリ……「みずうみ」の水は月に一度溢れ、そして語りだす、遠く離れた風景や出来事を。『麦ふみクーツェ』『プラネタリウムのふたご』『ポーの話』の三部作を超えて著者が辿り着いた傑作長篇。
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Posted by ブクログ
最高!いしいしんじのやりかた大好き
あまりにも露骨に世界観が出すぎてるとも思うけどそんなのがあったっていい
いしいしんじの長編は好きだったけど、これ読んでやっとしっくりいった
全ての物語に通底してる思想のようなもの 私が感じてたのは間違ってなかった と
いしいしんじがあんまり好きじゃないという人にも読んでほしい
好きだっていう人にもぜったい読んでほしい
Posted by ブクログ
この衝撃的に素晴らしい物語をウー
ごくごく飲みほして体を満たしたいのにアエー
私の創造力ではこの世界観をちゃんと咀嚼できず
読んでいて苛々したレーイレーイ
いしいしんじすごいな
Posted by ブクログ
いしいしんじ氏の作品は『ポーの話』と『四とそれ以上の国』しか読んでないのだけど、冒頭からしばらく読んで、その2冊が繋がるような気がしました。第1章。しずかに淡々として、すこし不穏で、これは何かが起こる前なのだとわかるけど、起こったことさえも淡々と描かれる。
それこそひたひた水が満ちて、穏やかにまた引いていくような。
3章のラストシーン。 これまで読み手の感情はそっと抑えられていたけど、ここでやっと解放される気がします。
このシーンが最初だったのかな。今までの物語は全部、このラストに繋がるために生まれたのかなと思いました。
水が満ちて溢れる。人はいろいろなものを失くしていくけれど、どこか遠くの水底にきっと眠っている。また生まれてくる。
何か大事なものをなくしたときにこの本を読んだら、たぶん私は泣きそうです。それから、もっといろんなことを感じられそう。
ところで一番好きなのは、タクシーの運転手です。面白くて一番ぐんぐん読めたのも、2章かも。
Posted by ブクログ
いしいしんじ作品についてのおぼえがき
”みずうみ”をよんだあとは、水音が印象に残った。
水くみたちのみずうみから、タクシー運転手、分娩台まで全章にわたる水の気配。羊水ってどんな匂いなんだろ?としりたくなる。
ものごとはおこるだけ。みずのなかを漂っていくような。
”死産”というほんとのできごとをゆったりふくんで流れている物語がよかった。
実体験が入った小説はすきじゃないというひともいるけど、ただ受け入れるにはできすぎてて切なすぎる世界観だからこそ、人間臭さがあって安心できた。
いしいしんじ作品をよむと「湿度」や「気温」や「匂い」を感じる。
とくにみずの匂い。そしていつも羊水ってどんな匂いなのかなって知りたくなる。
ぬくい水の底から、水面にはいってくる日のひかりを眺めてるような。
大きな「ながれ」があって「ものごと」はおこるもの、という世界観が安心するような、でもこわいような。良いことも悪いこともなくて、ただ「ながれ」の中にいるだけ。
だからなにかうまくいかないとき、そんな雰囲気が親しくて、でも漂うにはこわくて、ちょっと反抗してみたくなる人間臭さが恋しくて、いしいしんじの本をよむ気がする。
麦ふみクーツェ、プラネタリウムのふたご、ポーの話、それから、みずうみ、ある一日、四とそれ以上の国と順々にもういちどたどりよみしたくなった。
Posted by ブクログ
どう受け取るべきか悩む作品。今までの物語とはかなり違う印象です。
3章仕立てで構成されていますが、それぞれがそれぞれに影響し合っているというか、同じことを全く違うアプローチで表したというか。また作者のエッセイを読めば3章は実体験を元にしていることは読み取れ、より一層どう受け取るべきか悩みます。
正直、途中で一度読み続けるのを挫けそうになりました。しかし少し中断してまた読み直してみると、判らないままに染み込んでくるんです。そう、まるで水のように。コポコポと。
Posted by ブクログ
京都の老舗パン屋、進々堂の創業100周年を記念して店頭で無料配布されていたブックレット『毎日のパン』を手に取り、感銘を受け、著者のいしいしんじに興味を持って購入した一冊がこれなんだけど。。。
難解と言うのはあまりに雑な感想だが、著者自身の極めて私的な世界観に、一歩たりとも入り込めなかった。
それでも、この感性を理解したいと思わせる、何ていうか、玄妙な読後感がある。
初期作品から読み込んで行きたいと思った。
Posted by ブクログ
アルプスと猫を読んでからだと余計に三章が苦しかった
作者はのたうつような悲しみの中でこれを書いたんだろうなと思ったから
好きかと言われれば素直に頷けないけれど では嫌いかと言われたら そんなことはない と言いたい それにしても最近のいしいしんじは粘性というか生々しさを感じるようになった ポーのあたりから特に
Posted by ブクログ
今回のいしいしんじ作品は3章からなる小説。
1章はかわいらしくて生々しいファンタジーの世界。
みずうみとともに暮らす村を描く。
2章の舞台はどこの世界かも分からない、いつかも分からない、どこか、異国。
そこでタクシー運転手をする男性を描く。
3章の舞台は松本市、ニューヨーク、キューバ、メキシコなどである。
日本人と外国人カップルを描く。
この3つの章に共通して流れているのが水。
1章はごりごりのファンタジー、2章は現実かどこかおぼつかない世界、3章は現実世界。
相互をつなぐのは節目にでてくるキーワードだけで直結した連続性はない。
しかも物語はある時間を切り取ったようで完結してもいない。
なんだか彼らの生きたままを読んでいるようで大きなうねりもなくて途中で挫折しかけました。
けど、3章まできてみて
この人はもしかして自分とおんなじようなものを見て、おんなじような空気を食べてるのかと感じるとき、
それは昔をたどれば同じような水のなかにいたからかもしれない、と思ってしまった。
つまり羊水のことね。
水は、地球ができた昔から循環を続けていて今日わたしが飲んだ水は昔誰かが使った水ってこともありえる訳で。
そんなことを思ったらもう、水というものに圧倒されて押し流されるんじゃないかと思った。
一応解説によると、この物語の作り方はとても新しくこれからのいしいしんじの可能性を感じずにはいられないと書いてありました。
けど、わたしはやっぱり今までのかわいらしいのに生々しく毒のあるファンタジーの方が好きだ。
だから、いしいしんじをおすすめするならこれじゃないなあ。
これが持つのはわくわくじゃなければ感動でもない。
地下を流れる水脈に乗ってぐるぐる回り続けているものがあるっていう事実。
ちょっとつきはなした感じの小説です。
いしいしんじが何を思い描いたのかはなぞですが、たしかに重いものを残していきました。とさ。
エントロピー
エン、で流れ、トロで、少し跳ね、ピーの余韻に消えてしまう。
Posted by ブクログ
いしいしんじの今まで読んだ小説とくらべると、好きかどうかではあんまり上位に入らないと思うのだけど、何か重たいものを受け取った、という気持ちのする小説だった。
ここを通らなければ次に行けない何かがあったのかなあ、なんて勝手に思ってしまうような。
最後に園子さんが笑ってくれて、よかった。
Posted by ブクログ
トリツカレ男、ぶらんこ乗り、プラネタリウムのふたご。
いしいしんじの作品の中でもお気に入りのものたち。
ファンタジーと哲学のまじりあったような印象を受ける彼の作品は、少しとっぴで、少し頭をひねりながらじっくり読むことが多かったけど、今回、この「みずうみ」を読み始めて
はじめて、挫折しそうになった。笑
それくらい、難しかった。
彼の言いたいこと、書きたいこと、彼の世界を
理解するのに(いや、正確には理解しきれなかったと思うが)
それに近づこうとすればするほど、わからなかった。
ただ、あの解説があったおかげで、なんとなく
救われた気持ちにはなったけど。
いしいしんじの、まだ読んだことない本だー!
と軽い気持ちでてにしたけれど、うーん、衝撃作でした。
Posted by ブクログ
久しぶりに、いしいしんじ。今までとずいぶん違う感じでした。
物語に重きを置かれておらず、情景が連なって作品が出来ている感じです。その情景はもちろんいしいさんらしく幻想的なのですが。
3章からなる作品です。一章目は、何処とも何時とも判らないみずうみのそばの村が舞台。村では家族のうちの一人が「眠り続ける人」で、みずうみは月に一度静かに溢れ出し、多くの遺物を残し、村を豊かにしてくれる。二章目は、理由不明の確率の偏り(同じ行先の客を次々乗せるなど)の中で生きるタクシー運転手の物語。彼は月に一度、体に溢れてくる水を裏町の娼婦のもとで排出する。第三章は松本に暮らす著者自身の物語(主人公は慎二と妻の園子)。
「溢れる水」の幻想は3つの章に共通に表れる。また、いくつかの事物も共通に出てくる。しかし、物語としての繋がりはほとんど無く、独立した3つの短編としてもおかしくない。
どこに重きを置くかで今日かが別れる作品だと思う。幻想を受け入れ、それそのものを楽しむ、そんな読み方が出来る人には面白い作品だと思う。でも私のように物語を楽しみたい人には、難解というか理解不能の作品であり、不向きでした。