いしいしんじのレビュー一覧

  • ぶらんこ乗り(新潮文庫)

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    声を失った(正確には失ったわけではない)弟と、仲良しの姉の物語。動物の考えていることがわかり、それをもとに空想の物語を作る弟。姉が笑ってくれることが最大の幸せで自分を差し置いていろいろな行動に出る。なんということもない平坦な文章なのだが、なぜか不安と期待(のようなもの)を同時に感じる。タイトルのブランコというのはうまくつけたなあと思う。前に行ったり後ろに戻ったりしながら、最後は必ず元の場所に戻る。この不安定さと固定的な性質の両面が同居するのが、人間関係ということか。

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    2020年06月09日
  • 麦ふみクーツェ(新潮文庫)

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    子供用の物語のようで、大人に分かる本。星四つに近い。
    現実に見たような聞いたような錯覚を覚える。ものの見方を変えるだけで、世界がこんなに彩られるのかと思う。いや、これは誰もが経験する子供目線を、大人が描いたからかもしれない。空想好きな作家が書いたファンタジーにしては、人間性や現実をよく捉えて描かれ、両側面を持つ。それが不思議と感じる原因なのかもしれない。

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    2020年03月18日
  • 海と山のピアノ(新潮文庫)

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    ルルや船長、オヤジさんやちなさ。そして、キキさんやアヤメさんは、きっとこの星の、このくにのどこかにいるのです。そして、わたしのこころの中にも。

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    2019年10月13日
  • プラネタリウムのふたご

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    20190828
    星の見えない村のプラネタリウムで拾われた双子。大きく別れた道の先で、二人がついた優しい嘘。
    世の中のいろいろなことに、裏やら種やらがあったりするものだし、ほとんどの人がそれを知っているから「騙される」のも才能。善意に気持ちよく騙されることが、人生を豊かにするということか。

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    2019年09月01日
  • 海と山のピアノ(新潮文庫)

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    不思議な短編集。
    生と死、善意と悪意、色んなものが同居する世界が
    とても独特な雰囲気を醸し出しています。
    暖かいのだけれど怖い、そんな世界観が大好きです。

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    2019年01月08日
  • ある一日

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    園子さんの出産を私小説として描いている。
    ごはん日記のファンなので、やはり事実は日記として読むのに敵わないのだが、
    出産の描写は未経験者にはとても恐ろしく、かつ、尊い。
    園子さんのバースプランが巻末に載っているのもよかった。
    高齢出産ということもあり、いろんなひとに希望を与えるとおもう。

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    2017年12月23日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    なんだー、この話!
    びびったぁー。
    これ、何の前置きも予備知識もなしに、のほほんと優しい話をイメージしながらタイトル/ジャケ買いしたから(笑)、もう、GAPがすごい。

    最初は、謎&怖い(少し気持ち悪い)。
    でも、途中辺りから、段々安定してくる。
    とは言っても、結局テーマは重いんだけどね。
    貧困、貧富の差(の固定)、差別、罪と贖罪、障害、死、奴隷制度、能力主義、片方を立てればもう一方が立たない歯がゆさ、老い、地方の衰退、過剰開発、環境問題、輪廻転生、慈悲の精神、などなど。。

    あと、面白かったのは、一番始めの、本当の読み始めは、日本昔話のような、古い日本の話かと思うんだけど(うなぎがい

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    2017年11月03日
  • 四とそれ以上の国

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    一言で感想を述べるなら『むずかしいほうのいしいしんじ』でした。
    いしいしんじ大好きなのですが、これはスルメイカ系だなと思いました。サクッと読んで物語を味わうという感じじゃないです。
    よく噛まないと、よくわからない。
    正直、読むのに時間がかなりかかってしまいました。読み終わって、なんともいえない感情になった。この独特の世界が、普通とは違って魅力的というか、ついつい手を伸ばしちゃう要因なんだろうなって。
    ただ、だいすきなほうのいしいしんじではなかったので星は3。

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    2017年01月09日
  • プラネタリウムのふたご

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    ネタバレ

    こころから信じられる、そんな相手が、
    "この夜"からいなくなってしまうお話。

    本当は"この世"だが、
    今作品には夜のほうがぴったりくる。

    そばにいると確信するラストだが、
    そうではないと私と感じた。


    過去に読んだいしいしんじ作品と比較すると
    主人公の二人が運命に翻弄されるばかりで、
    本当は何がしたいのか動機がよく読み取れない。

    残酷さと幸福が入り交じるが、
    全体を通すと非常に哀しい。

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    2017年01月06日
  • 能・狂言/説経節/曾根崎心中/女殺油地獄/菅原伝授手習鑑/義経千本桜/仮名手本忠臣蔵

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    我が家から五十メートルばかし行ったところに「口の芝居跡」という碑が立っている。その昔、京・大阪の芝居小屋にかける前、全国から伊勢参りに来る旅人目当てに、ここで演じて評判が良ければ大受けまちがいなしとして、試演される芝居小屋だったと聞く。有名な歌舞伎役者もこの芝居小屋の舞台に立ったこともあって、古市は歌舞伎とは縁が深い。『伊勢音頭恋寝刃』の舞台となった油屋跡では町の若い衆によって小屋掛けの地芝居も演じられた。父は坂東庄雀という名を持つ立女形で、「伊勢音頭」ならお紺、七段目ならお軽というのが役どころだった。

    芸事の好きな人も多かったのだろう、歌舞伎衣装や大道具小道具を扱う道具方や浄瑠璃、義太夫を

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    2016年11月21日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    ネタバレ

    いやー、長い話だった。。
    なぜよりによって「ポーの話」を借りたのだろう。
    いしいさんの本で他に読みたい本やもっと読みやすい本あったはずなのに。

    最初は、読み切れるかなぁ。。と不安なりに、少しずつ読み進めていた。でも、一章でぐっと途中から入り込み出してから面白くなったかな。二章、三章あたりは中だるみあったけど。

    それぞれのキャラ設定とか好きだったかも。
    みんな人間くさい。
    いちばん好きだったのは誰かと聞かれたら、うーん、「天気売り」かな。。最初はあんま好きじゃなかったんだけど。二章の鳩育てるのを手伝ってるとこらへんから好きになった。
    メリーゴーランドもわりと好き。
    女ったらしで盗人って。めち

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    2016年09月30日
  • プラネタリウムのふたご

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    雰囲気は良い。
    良作感はあるが、話自体にメリハリがなく、読ませる感がない。
    返却期限が来たため挫折。

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    2016年06月10日
  • 毎日が一日だ

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    いしいしんじとは相性がよくないのかも……。惹かれるから手に取るのだが、たいてい読み切るのに難渋する。

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    2016年05月26日
  • 且坐喫茶

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    ー且(しば)らく坐し医て茶を喫せよ
    という意味であるらしいです

    「喫茶」そのものが
    お茶を飲む 以上の意味をたっぷり含んでいますよね

    「茶事を重ねる」

    「陽炎を割って炎が立ち上る」

    形而上の比喩言葉がどっさり
    立ち現れます

    邪魔くさい文体といってしまえば
    その通りなのですが
    それでも
    なんでしょうね
    妙に心惹かれてしまって
    とうとう 最後まで読んでしまいました

    面白かった?
    と言われれば 
    はい
    ではあるのですが…

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    2016年02月15日
  • 麦ふみクーツェ(新潮文庫)

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    変わった男の子が、変わった町に住んでいて、子供の頃に幻覚?みたいな麦をふむクーツェにであるんだけど、それは本筋じゃなくて、
    その男の子がいろんな人にであって、変わった人ともであって成長していく話

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    2016年02月13日
  • 且坐喫茶

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    良き師に恵まれ茶の道に目覚めた著者が色々なお茶事に参加した様子、感想を綴ったエッセー集。描写や心の動きの描き方が抽象的すぎて、ちょっとわかりにくかった。

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    2016年02月05日
  • 麦ふみクーツェ(新潮文庫)

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    表紙とタイトルに惹かれて読んでみましたが、最初でくじけ
    ました・・・意味がよく分からなかったです。
    いしいさんの本は「プラネタリウムのふたご」もそうでしたが正直私の頭では理解できないです。
    高評価ですが、ごめんなさい。
    表紙だけの評価として★3つで。

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    2015年10月15日
  • ある一日

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    もうすぐ出産を迎えるわたしに友人が贈ってくれた一冊。
    いしいしんじという人は神様みたいだ。出産するのは自分ではなく妻なのに、ましてや胎児でもないのに、陣痛の苦しみ、胎児がこの世に生み出される瞬間の思いを、ものすごく鮮明に、詩的に描いていて、凄い。まさにいのちの誕生の奇蹟。

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    2015年01月18日
  • ある一日

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    出産の一日を切り取ったお話。
    母親が経験する痛み、胎児の戸惑いが迫ってくる。自分も色々な光と音、匂いに包まれているような気分になった。
    141ページと薄いけど、濃かった。。最後のバースプラン、ステキです。

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    2014年08月25日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    久しぶりに物語を読んだ。

    明るい話ばかりではなく、
    もの悲しい哀切なストーリー。
    短編集だけに色々なものが含まれる。

    いしいしんじの長編が読みたいと、
    思わせるには、十分な手応え。

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    2014年08月23日