いしいしんじのレビュー一覧
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大人のための童話だなあ、というのが第一印象です。読んでいて何だか寂しくなるのに、どこか暖かい気持ちにさせてくれる。子供の頃に読んだら、不思議な印象を持ったかもしれないなあ。でも、そういう不思議な余韻の童話って多かったような気もするなあ←
へんてこな大人達と、背高のっぽな男の子のお話です(ざっくり)。
少年にしか聞こえない足音や、空からねずみが大量に降ってくる話、一斉に音痴になってしまった街の人々が日常生活を一瞬で取り戻す話など、ファンタジックな小話を少年の視点で追いながら、物語世界の時間はゆっくりと流れていきます。
街で起こる事件や少年に訪れる変化などが非常に穏やかな筆致で描かれているせい -
Posted by ブクログ
ネタバレいしいしんじ作品についてのおぼえがき
”みずうみ”をよんだあとは、水音が印象に残った。
水くみたちのみずうみから、タクシー運転手、分娩台まで全章にわたる水の気配。羊水ってどんな匂いなんだろ?としりたくなる。
ものごとはおこるだけ。みずのなかを漂っていくような。
”死産”というほんとのできごとをゆったりふくんで流れている物語がよかった。
実体験が入った小説はすきじゃないというひともいるけど、ただ受け入れるにはできすぎてて切なすぎる世界観だからこそ、人間臭さがあって安心できた。
いしいしんじ作品をよむと「湿度」や「気温」や「匂い」を感じる。
とくにみずの匂い。そしていつも羊水ってどんな匂い -
Posted by ブクログ
いつも期待を裏切らない、ほんとうにこの人は。
上流の泥川から大海原へ、まさしく大河ドラマでした。
P111
「『ただ私はあの川が好きです。すべてのことに対し、一切なんのわけへだてもないところが』」
世界というものはそういうものだけれど、それを自分の創作物の中で再現できる作家は多くないと思う。
だからこそ彼は信頼できる作家のひとりなのだ。
P321
「天気は一切のわけへだてをしない。そこにいる誰の上にも、均等に陽はそそぎ雨風は吹く。ひどいときはしょうがない。いいときは互いに笑みをかわす。同じ空をわかちあっているからこそ、それぞれの濡れたからだを互いにいたわり、晴れの日は楽しげに声をかけあう -
Posted by ブクログ
泥の中でうなぎを捕まえる「うなぎ女」たちの子どもとして生まれた少年ポーが、数百年ぶりの大雨のなか川を流され、いろんな場所やひとに出会って別れて、また生まれた泥の中に還ってゆくおはなし。
いしいしんじの作品というのは、どうも、やさしすぎて残酷というか、ぬるま湯でゆっくりと絞殺というか、安寧と絶望がお互いを認識しないまま同居しているというか、そういう表裏的な、生と死が弧を描いているさまがあっさりと描かれていて、読み終わって直後は気持ちが動揺します。
ぐらぐらするわりに「ああそっか」と思える。どうすれば……と思うけれど回答は示されてる。
あがなうこと、つぐなうことに対してとてもまっ