いしいしんじのレビュー一覧
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いしいしんじ氏の作品は『ポーの話』と『四とそれ以上の国』しか読んでないのだけど、冒頭からしばらく読んで、その2冊が繋がるような気がしました。第1章。しずかに淡々として、すこし不穏で、これは何かが起こる前なのだとわかるけど、起こったことさえも淡々と描かれる。
それこそひたひた水が満ちて、穏やかにまた引いていくような。
3章のラストシーン。 これまで読み手の感情はそっと抑えられていたけど、ここでやっと解放される気がします。
このシーンが最初だったのかな。今までの物語は全部、このラストに繋がるために生まれたのかなと思いました。
水が満ちて溢れる。人はいろいろなものを失くしていくけれど、どこか遠く -
Posted by ブクログ
いしいしんじの、「大人のための絵本」っぽいところが大好きで、
この本も読み始めました。
ただ、今までと違って、世界に入り込むのに時間がかかりました。
淡々と進み、物語の全容を把握するのに、300ページくらいかかりました。
このお話は、
吹奏楽部だった人、楽器を演奏することが大好きな人には、
もってこいのお話。
『音』についてのお話。
合奏をしている
それは、音を鳴らしている
音を鳴らすことによって、
誰か(何か)と繋がっていることができる
「繋がっている」ことが、どれだけ素敵なことなのか
それがわかるお話です。
演奏する喜びを知っている人は、きっと -
Posted by ブクログ
ネタバレいしいしんじ作品についてのおぼえがき
”みずうみ”をよんだあとは、水音が印象に残った。
水くみたちのみずうみから、タクシー運転手、分娩台まで全章にわたる水の気配。羊水ってどんな匂いなんだろ?としりたくなる。
ものごとはおこるだけ。みずのなかを漂っていくような。
”死産”というほんとのできごとをゆったりふくんで流れている物語がよかった。
実体験が入った小説はすきじゃないというひともいるけど、ただ受け入れるにはできすぎてて切なすぎる世界観だからこそ、人間臭さがあって安心できた。
いしいしんじ作品をよむと「湿度」や「気温」や「匂い」を感じる。
とくにみずの匂い。そしていつも羊水ってどんな匂い -
Posted by ブクログ
いつも期待を裏切らない、ほんとうにこの人は。
上流の泥川から大海原へ、まさしく大河ドラマでした。
P111
「『ただ私はあの川が好きです。すべてのことに対し、一切なんのわけへだてもないところが』」
世界というものはそういうものだけれど、それを自分の創作物の中で再現できる作家は多くないと思う。
だからこそ彼は信頼できる作家のひとりなのだ。
P321
「天気は一切のわけへだてをしない。そこにいる誰の上にも、均等に陽はそそぎ雨風は吹く。ひどいときはしょうがない。いいときは互いに笑みをかわす。同じ空をわかちあっているからこそ、それぞれの濡れたからだを互いにいたわり、晴れの日は楽しげに声をかけあう