いしいしんじのレビュー一覧

  • みずうみ

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    どう受け取るべきか悩む作品。今までの物語とはかなり違う印象です。
    3章仕立てで構成されていますが、それぞれがそれぞれに影響し合っているというか、同じことを全く違うアプローチで表したというか。また作者のエッセイを読めば3章は実体験を元にしていることは読み取れ、より一層どう受け取るべきか悩みます。
    正直、途中で一度読み続けるのを挫けそうになりました。しかし少し中断してまた読み直してみると、判らないままに染み込んでくるんです。そう、まるで水のように。コポコポと。

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    2011年04月05日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    やっぱりいしいしんじさんの
    短編集は素敵。
    東京夜話よりもメルヘン度が高い。
    しかししっかりと
    いしいしんじさんらしい
    毒が出ている。
    もう一度読み返したい。

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    2011年04月02日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    それまでのいしいしんじ作品と比べてすっと頭に入ってこないが、夢中になる。おかげで電車を乗り過しました(笑)
    うなぎ女たちの野性的で絶対の母性と、天気売りの尋常じゃない真っ直ぐさが好き。

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    2011年03月27日
  • ぶらんこ乗り(新潮文庫)

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    私同様、読書好きな友人が
    「この作家さん、あなたが好きそうな感じ。」と
    おススメしてくれたので、チャレンジ。

    初めは、この独特な文体が、
    私には「ちょっとそっけない位シンプル」な感じがして、
    なかなか馴染んでいかなかったが、
    後半、大きく話が展開してからじわじわと心に染み込んできて、
    読み終わった後、静かな感動が残った。

    幸せって、ちっちゃくてもあったかい。
    あったかくていつまでも握り締めていたいけれど儚い。
    儚いと分かっていても、それをいつまでも大切に、大切にしていたい。

    気づいても気づかなくても、そこにそっとあるもの。
    ちょっと位、キズがあっても、何かの拍子で凹んだりしても、
    それを

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    2019年01月16日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    物語の奔流。川は枝分かれして広まっていくが、最後は海に流れ込み、雨となって、また川になる。最後、ウナギが川を溯るシーンが一番印象的だった。終始丁寧な語り口調なのに、設定はかなりきわどかったりする。登場人物の豊かな個性もなかなか魅力的だった。

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    2016年01月17日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    少々ブラックな短編集。
    世にも奇妙な物語的かと思ったら、もうちょっとぶっとんでて、
    自由なかんじ?
    あいかわらず、色んな国(仮想っぽいところも)のエッセンスが織り混ざってる印象を受けます。
    感動的な小説とは違うが、確かに同じ人が書いてるんだなあ、と思う。

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    2015年06月29日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    いつも期待を裏切らない、ほんとうにこの人は。
    上流の泥川から大海原へ、まさしく大河ドラマでした。

    P111
    「『ただ私はあの川が好きです。すべてのことに対し、一切なんのわけへだてもないところが』」

    世界というものはそういうものだけれど、それを自分の創作物の中で再現できる作家は多くないと思う。
    だからこそ彼は信頼できる作家のひとりなのだ。

    P321
    「天気は一切のわけへだてをしない。そこにいる誰の上にも、均等に陽はそそぎ雨風は吹く。ひどいときはしょうがない。いいときは互いに笑みをかわす。同じ空をわかちあっているからこそ、それぞれの濡れたからだを互いにいたわり、晴れの日は楽しげに声をかけあう

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    2010年04月03日
  • プラネタリウムのふたご

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    一気に読みきるのではなく、
    少しずつ読んでいく本だと思います。

    ふたごが閉鎖的な田舎町で育ち、
    別々の道を歩んでいく話。
    一人は手品師になって世界中を渡り歩き、
    一人は町で郵便局の配達員になります。

    ところどころ、ぐっとくるところがあります。
    最後はやりきれませんが、
    それでも、あったかい素敵な物語だと思います

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    2017年10月29日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    memo:

    ちょっとのことだけはさ、大切にね、他のひとがやらないくらいていねいに、やらなくちゃいけない、って気がするんだよ

    そういうのは、てりかえしです。ゆびはさんだり、ころんだり、そんなのいくらでも、まちがうのです。ポーのいちばんふかい底で、まちがったことをしないのが、だいじなんですよ。

    ポーのきもちがほんものなら、並べた石ころだって、ほんとうの花

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    2009年11月23日
  • ポーの話(新潮文庫)

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    いしいしんじっぽい、メルヘンの背後にある言いようのない気味の悪さ。それが嫌いという人も多いけど、違和感を抱えながら読み進めると、最後の最後でそれがちょっとだけきらきらしたものに変わる感じが好きです。

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    2009年11月06日
  • ポーの話(新潮文庫)

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     泥の中でうなぎを捕まえる「うなぎ女」たちの子どもとして生まれた少年ポーが、数百年ぶりの大雨のなか川を流され、いろんな場所やひとに出会って別れて、また生まれた泥の中に還ってゆくおはなし。

     いしいしんじの作品というのは、どうも、やさしすぎて残酷というか、ぬるま湯でゆっくりと絞殺というか、安寧と絶望がお互いを認識しないまま同居しているというか、そういう表裏的な、生と死が弧を描いているさまがあっさりと描かれていて、読み終わって直後は気持ちが動揺します。
     ぐらぐらするわりに「ああそっか」と思える。どうすれば……と思うけれど回答は示されてる。

     あがなうこと、つぐなうことに対してとてもまっ

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    2009年10月08日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    いしいしんじの不思議な世界。
    メルヘンな、ファンタジックな設定の裏に潜むリアリティ。
    いしんしんじという人の感性にやられ続ける短編集です。
    「カラタチとブルーベル」
    「緑春」
    「透明に関する四つの小話」
    「太ったひとばかりが住んでいる村」
    この4つのお話が特にお気に入り。
    全部で19話収録です。

    『食べられるなら、おいしく。踊れるうちは、足を高く。
    ―生きるなら、生きるだけのたのしみをからだじゅうに受けて生きようと、ぼくたちは昔から、ただそう思って暮らしているんですよ』

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    2009年10月04日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    めずらしくジャケ買い(中古じゃない文庫!笑)

    不思議な短編集。
    どうやら最近不思議系によく出会う。

    大人の童話という感じ
    ちょっとこわくて、森の中に迷い込んだよう。
    海外ものを読んでいる気分にもなった

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    2009年10月07日
  • 白の鳥と黒の鳥

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    いしいしんじ2冊目

    SS集なので、区切りも良く読みやすい。
    『しろねずみ』と『白黒の鳥の声』が中でもお気に入り。
    主人公と動物たちのやりとりの様子が可愛らしく、どこかコミカルで心が和む。私もこんな風に動物と楽しく会話してみたい♪

    ちょっと不思議でゆったりとした一時が過ごせる。そして、なんとなく紅茶が飲みたくなる。(そんなイメージが似合うと言うことで・・・)

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    2009年10月04日
  • 麦ふみクーツェ(新潮文庫)

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    この作家さんをどう評価すべきなのか?
    寓話作家なのか、一種のファンタジー作家なのか。児童文学作家なのか。カテゴライズすることは無意味と判っているのですが、悩んでしまいます。
    ともかくも、この作品。特に前半は何が語りたいのか良く判らず、かなり読みにくい。ミステリーでは良く、最後にそれまで散りばめられていた場面が、ジグソーパズルのように嵌まっていくような構成があります。それにちょっと似ています。もっともパタパタ嵌ると言うより、繋がりが見えるようになるという感じですが。
    読後感はなかなか良いのですが、それが何処から来るのか判らない。物語そのものの筋は通っても、その中で語りたかったことは何なのかが判ら

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    2016年08月16日
  • プラネタリウムのふたご

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    掴みどころの無いふわふわした話で、普段の面白さの尺度から離れて、童話のような透明感や厳しい哀しさ、浮遊感やノスタルジーなど揺らぎのある感覚を覚えた。

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    2025年11月30日
  • プラネタリウムのふたご

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    なんか何も救いが無いような、なのに救いしかないような、不思議な話でした

    プラネタリウムとまっくろくておおきなもの
    光と闇の対比
    それでも六本目の指は、あなたの指につながれている

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    2025年11月30日
  • げんじものがたり

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    ◼️ いしいしんじ「げんじものがたり」

    京ことばで、くだけた語りの源氏物語。

    関西弁というか、やはり京言葉、そして今ふうの言葉で訳してある源氏物語。大谷崎をはじめ多くの方が現代語訳している源氏物語。専門的なことは知らないが、私的に紫式部は素晴らしい物語作家で、一文が長すぎる人だと思う。特に日本人が訳すと古語の知識にどうしても引きずられてしまう傾向があるかなと。私が通読した与謝野晶子も苦戦している跡が見えた気がした。

    まあともかく今作はある意味思い切った、パロディ的な訳。目的が違うかもと思う。

    まずは「桐壺」に、「雨夜の品定め」の「箒木」。プレイボーイ光源氏が唯一?逃げられてしまう「空蝉

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    2025年11月24日
  • 本からはじまる物語

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    好きな恩田陸さんが入っていたので思わず読んでみた。短いながらほっこりする感じのものが多くてよかった。

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    2025年11月13日
  • トリツカレ男(新潮文庫)

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    ネタバレ

    映画を見に行く前に再読。
    新しいことに次々夢中になるトリツカレ男のジュゼッペがある日憑りつかれたのは、笑顔の奥に陰りを隠した女の子ペチカ。ジュゼッペは昔取った杵柄を駆使して彼女の笑顔の曇りを取り除くためになんでもするのだが…というお話。
    おとぎ話みたいなラブストーリーで、すべての要素がパチンパチンとキレイに収まっていく面白さ、優しく包み込まれるような心地良さがある。ペットのハツカネズミくんが飄々としてるけど健気でいいんだよなあ。
    最後の「特別サービス」で駄目押しのハッピーエンドを見せつけられるのが好き。

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    2025年11月02日