似鳥鶏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この物語はミステリーであると同時に、直人・七海二人が生きていくうえでの存在意義を問う物語でもある。
惨殺された両親。遺された兄妹。
児童養護施設に入れられ、しゃべることも出来ず、思いを伝える術を持たない妹。
その妹を守るのは自分の役目。
そう想い続けてきた直人にとって、自覚のない自身の深層心理を言い当てられ、晒されるのは辛いことだったに違いない。
だが、妹・七海の思いを知り、彼女の強い意志を確認した以上、その思いを受け入れることしか直人には出来ない。
直人の性格が多少うざったく、立ち回りの不味さに苛つく場面もある。
だが、設定年齢を考えればそれも不自然ではない。
本格推理が苦手な人にも楽しめる -
Posted by ブクログ
触れたら焼け爛れる酸性の湖に立てられた十字架に磔にされた死体(長)ですって…………………
何それめっちゃ読むしかない٩(๑❛ᴗ❛๑)۶←←←
私の好みをズバリ突いてくるような劇場型不可能犯罪シーンが冒頭から出て来て、非常にエキサイトしながら読み進めました。
が。
結論:オープニングがクライマックスだった٩(๑❛ᴗ❛๑)۶←←←
前作となるシリーズ第一弾を読んでいないので何とも言えませんが、この作品は「シリーズの主役目線」よりも「巻き込まれた被害者候補の目線」で展開させた方が面白いんじゃないかなってことを、本作に収められた三作を読んで強く感じました。
なので、割と被 -
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。短編3編収録。『ホームズ遺伝子』という設定により、ミステリでよくある名探偵が周囲を気にせず事件にまっしぐらになるような奇行に説明をつけてくる辺り面白いですな。
同じく遺伝子保有者を狙う『機関』と、保有者の奪い合いを同時進行で行っているため、毎度発生する殺人事件の謎を解くだけでなく、機関との知恵比べや、敵の戦闘員とのアクションなど盛り込んできており、謎解き+エンタメな感じがぷんぷんです。これをごちゃついた感じと印象を受けるのか、サービス満載と捉えるのか。私は後者で楽しめましたが。
『強酸性湖で泳ぐ』がシチュエーション等楽しめて良かったですね。(事件当事者の視点だったので事件発生ま -
Posted by ブクログ
カリスマ教育者・松田美昭が作った全寮制一貫校・恭心学園。高い進学実績、ひきこもりや反抗も治ると話題の学園で健康な男子高校生が突然死んだ――。新生・似鳥鶏渾身のダークサスペンス!
読み切るのがしんどかった。暴行、いじめ、体罰、洗脳のシーンが恐ろしく丁寧でかなりHPを削られた。玄関までたどり着けたから良かったけど、下手したら不審者が生徒を暴行していて、それを捕まえるために全員で捜索してましたって言ってしまえば通ってしまったのではないかと思うと本当に学校の中で何が行われているのかを明らかにするのは難しいんだなと。運が良いというか都合が良いというか、そんなラストではあったけれど、希望あるラストで良か -
Posted by ブクログ
ネタバレスパルタ教育で有名になった私立の全寮制の学園。「学校」という密室のなかで、軍隊よりもひどい「教育」を受け、洗脳されていく生徒たち。そして事件…… 病死したことにされた生徒の死に不審を抱いたいとこたちが学園を調べ始める。
告発までの流れはうまくいきすぎているが、主眼はそこにはない。有形無形の暴力による洗脳教育の恐ろしさ。そこに子どもを預ける「共犯者」たる親たちのエゴイズム。逃げ場のない子どもたちの絶望。そして喝采する第三者たち。
知性ではなく力に頼ることの恐怖がここにある。それを是とする人がいるという事実。昨今の風潮を思うと、現実とかぶる。告発しようとする人たち、彼らに協力する人たちの良識 -
Posted by ブクログ
うーん。正解のない世界。
だからこそテーマとしては深いし、飽きない構成でぐいぐい読ませてくれました。
しかしこれは体罰否定の極論でしょう。
現在の「体罰」という言葉の持つ意味を考えると、それはもう肯定される要素を一切含まない行為なんだと思う。だから「体罰」は肯定されるべきではない。
でも、やっぱり言ってわからない子どもというのもいる。よく言って聞かせれば最後にはわかってくれるというのは幻想でしかないと思う。
散々暴れた挙げ句、他の児童に怪我を負わせる恐れがある行為に及んでいる児童がいる。
制止するために限界まで声をかけ続けた上で危険だと判断して腕を掴んだベテランの教員が「体罰だろーが!