城山三郎のレビュー一覧

  • 毎日が日曜日

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    海外転勤の多い総合商社が舞台。タイトルにつられて、果たしてどんなゆっくりとした日常をあの城山三郎が書いているのだろう、と思ったが、全く違う作品だった。
    主人公の沖が、海外赴任を経て京都支店長となる。そこでどう商社マンとして生きていくか。子どもたちは海外から帰国した影響がぬぐえず、沖としては家族円満こそが求めている人生と感じる一方で、自分がライフワークとしている仕事も気になる。
    そこに定年バンザイの笹上、また、個人的には趣味に生きた住井が気になった。

    今後自分はどういう人生にしていきたいか、あらためて考える必要があるな、と思った。

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    2017年11月11日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

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    「もっと早く読めばよかった」が、最初の感想です。
    岡山県出身の自分にとって、大原孫三郎は、昔から知っている名前ではありましたが、何をやったかを知らないまま、ここまで来てしまいました。
    が、この本を通して、大原孫三郎の人生を知り、「もっと早く知っておくべきだった」「もっと早く、この本を読んでおくべきだった」と思ったわけです。

    経営者には、情熱と知性が必要だとよく言われますが、大原孫三郎は、情熱も知性も、高いレベルで備えていた人物だったようです。
    しかし、そのバランスについては、非常に危うい印象を受けました。
    概ね、情熱に傾くことが多かったように思います。
    が、人生トータルで見ると、

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    2017年11月01日
  • 硫黄島に死す

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    こういう物語は語り継いでいかないといけないんだろうな。
    死を簡単に選択できる、死は美しい、そんな時代があった。

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    2017年09月13日
  • 打たれ強く生きる

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    「人生の持つ時間は限られている。その中で、時間を忘れるほどの陶酔をどれだけ多く持ったかで、人生の価値は決まる。」

    「随処に主となる。電車で体を移動させていても、確かな自分の人生と自分の時間がある。」

    など、人生の指針が書かれている。

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    2017年09月11日
  • 男子の本懐

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    第2次異世界大戦前に誰が軍部の暴走に歯止めをかけようとしていたのか。その結果がテロによる悲劇的な殺害となったしまったことを、丁寧な記述で読み進むことができる好著。浜口雄幸首相、井上準一郎大蔵大臣の壮絶な戦いを歴史に残し今こそ語り継ぐべき時だと思う。しかし確信を持って政策実現を行いその結果が凶弾に倒れる結果になることを覚悟しそれを男子の本懐であるとする。こんな政治家が今いないのが現実でもある。

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    2017年04月13日
  • よみがえる力は、どこに(新潮文庫)

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    城山三郎は、没後10年を経過したが、彼の著書はいまだに読み継がれ、新たに出版もされている。
    本作は、講演を基にした表題作と、亡き妻への遺稿、それに作家吉村昭との対談で構成されている。
    軍隊経験から、組織そのものを信じていない城山は、強い人間の力が時代なり社会なりをよみがえらせていくと考えたいと、講演で語る。
    教育問題に端を発し、魅力ある人間として、石田禮助や本田宗一郎たちを紹介する。人生は報われないことも多いけど、それでもやり続ける人間が負けない人間だと、田中正造や広田弘毅を挙げる。
    第二篇の「そうかもう君はいないのか」補遺は、妻容子を妖精と呼ぶ、城山の愛情あふれるエッセイ。読んでいて、心が温

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    2017年04月09日
  • 役員室午後三時

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    経済小説の開拓者、城山三郎。
    初めて一冊手にとって読んてみたんだが、
    非常に刺激的で面白かった。
    家族経営を標榜し、
    実際に功績を残し、名経営者だった社長が、
    晩年、独裁的なワンマン経営に走り、
    落ちぶれていく模様と、
    その社長の優秀な腹心でありながら、
    最終的には社長を追い落とし、
    自らが社長になる男の物語。
    この社長を追い落とす中堅社員の仕事っぷりがすごい。仕事のため、ホテル暮らしをする社長に仕えるため、わざわざ同じホテルに暮らし、
    昼夜問わず呼ばれたらすぐに駆けつける体制をとる。土日の休みもなく仕事に捧げるその姿は、
    一世代前では、サラリーマンの鏡だったんだろう。
    今でもこんな人たちいる

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    2017年04月03日
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界

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    近代の日本の歴史を支えてきた人の名前を知らずして、情報の少ない大昔の歴史を学ぶことも必要かもしれないが、近代の情報が多い歴史を学ぶことも必要だと思う。

    その人達が何を同学び、どう考え、判断してきたかは非常に勉強になる。

    私がちょうど生まれたとし、生まれた街で開催された、大阪万博の長を努めていた方が、こんなご高齢な方であったとは思いもよらなかった。

    いつの時代も、日々勉強を続けることが必要なのだと、身につまされる思いで、この本を読むことが出来た。

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    2017年04月02日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    ネタバレ

    戦争とはなんて残酷なものなんだろう。
    そして、もっと残酷なのは、戦争を理由に人間の命を軽く扱った当時の軍のトップたちだ。
    「一億総玉砕」という言葉の持つ意味を本当にわかっていたのか。
    国民がいない国家など存在しない。軍は日本が滅びるまで戦争をやめるつもりはなかったということなのだろうか。
    現代でも何故こんな簡単なことがわからない?と思うような発言をする政治家がいる。
    誰が考えても最優先すべきは他にあるだろう!と思うのに、企業利益を真っ先に守ろうとする企業家がいる。
    本当に大切なものは何か?
    トップに立つ者が優秀だとは限らない。
    上に立つ器でもないくせにトップに立ってしまった人間の下につく者は、

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    2017年02月27日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

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    同県人(とはいえ、倉敷と岡山は大きく違うのだが)と言うことと、昔から大原美術館には何度も通ってること、そして、城山三郎と来たら読まないではいられない。

    児玉虎次郎との関係は知っていたが、石井十次や清水安三との交流についてはこの本をもって初めて知った。

    自分はここまでの大人物にはなれないが、自分の持ち場において何をすべきなのかについて、常に探る態度は是非とも見習いたいものだ。

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    2016年11月03日
  • 秀吉と武吉 目を上げれば海

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    ネタバレ

    村上水軍(の中でも海賊を全うした能島水軍)のトップ村上武吉が主人公。厳島合戦で毛利元就に味方し、元就の死後三男の小早川隆景とパートナーシップを組む。しかし人たらしの秀吉にいいように操られ、流転する羽目に。関ヶ原で西軍に味方し家康からも疎んじられ、最後は屋代島で貧しい暮らしの中老衰。非常に勉強になるのは秀吉の人たらし術。戦わずして人を征服する策略。そして小早川秀秋のダメ男ぶりがすごい。秀秋は寧々(北政所、高台院)の甥であり、秀吉の養子になり、秀頼が生まれたため小早川に養子に出されていた。

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    2016年09月13日
  • 男子の本懐

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    磯田道史先生が司会をつとめる英雄の選択で取り上げられていました。男子の本懐とは違った視点であり、本書を再度読み直しています。現代の政治家皆に読んでいただきたい書です。

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    2016年08月02日
  • 毎日が日曜日

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    サラリーマンの憂鬱。左遷された沖と退職した笹上を対比しながら、何が幸せや生き甲斐につながるのか考えさせられる。結局は雇われの身、人事は業績などより運や人脈に依るところが大きいのであろう。結局は与えられた仕事を実直にこなす他ないと考えます。
    そして家族はやはり土台であり、生き甲斐にできることがとても幸せであると感じる。最近はそうでない人が多い気がするが。

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    2016年06月17日
  • 総会屋錦城

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    経済小説の第一人者である城山三郎氏の短編集。直木賞受賞作『総会屋錦城』を収録。

    高度経済成長期前夜の混沌、纏わりつく人々の熱気、時流に乗れない者の悲哀、いまとなっては懐古的であるものの泥臭い昭和のビジネスマンの姿がここにある。

    最も私が好きな作品は『輸出』だ。売上至上主義の本社側と、現地と本社に挟まれた駐在所職員の悲劇と、思惑渦巻く人々の儚くも滑稽なドラマが印象的であった。

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    2016年06月13日
  • 打たれ強く生きる

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    「歩く」という言葉がたくさん出てる気がする。現在、免許証も失い、歩くことにしてるから。視点や見聞がだいぶ、この本で見つめれれる。

    一見ビジネスブックのように読み取れるが、技術者のことも書かれ、休日の過ごし方が乗ってて面白い。

    よく学んで生きたいと思うような諸説ばかりである。

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    2016年06月06日
  • 外食王の飢え

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    高度経済成長の中で、
    敗戦から バブル崩壊までの 時代の
    創業者は、かくも壮絶に 生きたのだろう。

    倉原は、福岡の出身で、「一流」をつねにめざした。
    あくまでも 自分が中心でないと満足できない。
    権限の委譲ということができない。
    それでも、突進力そして人材をスカウトするチカラは
    迫力があったが、
    しかし、その人たちをうまく使うことができなかった。

    『飢えた胃袋にけんめいに食物を詰め込む。
    満腹に近づくと、更に大きな胃袋にとりかえて、
    また飢えを感じさせ、更に多くの食物を取り込ませる。
    腹がくちてくると、もっと大きな胃袋を』

    まさに、それを 地にいくのである。
    恐ろしいばかりの拡大成長路線

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    2016年06月06日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

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    倉敷を訪ねて知った、ある経営者の生涯を描いた小説。
    高い見識と決断力をもって、会社をそして地域を豊かに発展させた力量は計り知れない。
    現在の日本社会は生まれながらに力を持つ者が小さな志しか持たないのか、それとも日本社会の体質がそれを邪魔する小さな社会なのか、富がうまく生かされていいないような気がする。

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    2016年05月28日
  • 黄金峡

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    ダム事業にあたっての用地買収の様子、賛否や補償をめぐる住民とのやり取り等、それがもたらす地域へのインパクトが。生々しく描かれている。その姿は、ひとつのモノサシとして参考になるし勉強にもなる。とくに、現場所長の言動には、住民を軟化させる手法・語り口として上手い(手慣れた)ところが大いに感じられる。

    一方、ダム事業において用地・補償という限られた側面のみにスポットをあてられており、そういうことだけではないんだけどなぁとも、感じずにはいられない。そのあたりの、ややオーバーな(単焦点的な)様子は、この作者らしいとも思う(官僚たちの夏でひたすら人事に光を当てたような)。

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    2016年04月05日
  • 百戦百勝 働き一両・考え五両

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    知略に富んだ相場の神様、実在の人物を描いた風ですね。勝負に勝つには情報が大事を地で生きた人のようです。ささやかに株をやってる身としてはその考え方も大いに勉強になりました。おおおとこて喧嘩っ早いと書かれているが、冬子さんやお安さんと話すときには「......」が多く、豪快な人柄よりは女性に弱い可愛らしい人物を感じさせ、その人柄に惹かれます。
    浮気の話がよく出てくるが、実在人物なのにいいのかな、といらぬ心配をしていまう。
    冬子さん、安さんをはじめ、好敵手の面々も味わい深いキャラ満載で最後まで飽きさせません。

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    2015年10月25日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

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    大原孫三郎の生涯がすごい。人やお金を惹きつけちゃう人っているよね。惹きつけちゃう人は、なぜか出会いも別れも惹きつけちゃうよね。本書にも出てくるけど、どんなけ使うねん!ってゆう慈善団体への寄付や美術を志す若者への投資は目をみはるものばかり。頼る方も頼る方だけど、出しちゃうんだもの、大原孫三郎。そして、その美術を志す若者、まさかの児島虎次郎!!!そうか、児島虎次郎と繋がってる人か。児島虎次郎関連の書籍を読んでたころ、大原孫三郎って聞いたことあったわ。そーいやそーだわ。倉敷だしね。モネに睡蓮を描いてもらって買い取ってきた話とか感激。おすすめ。

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    2015年09月06日