城山三郎のレビュー一覧
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「もっと早く読めばよかった」が、最初の感想です。
岡山県出身の自分にとって、大原孫三郎は、昔から知っている名前ではありましたが、何をやったかを知らないまま、ここまで来てしまいました。
が、この本を通して、大原孫三郎の人生を知り、「もっと早く知っておくべきだった」「もっと早く、この本を読んでおくべきだった」と思ったわけです。
経営者には、情熱と知性が必要だとよく言われますが、大原孫三郎は、情熱も知性も、高いレベルで備えていた人物だったようです。
しかし、そのバランスについては、非常に危うい印象を受けました。
概ね、情熱に傾くことが多かったように思います。
が、人生トータルで見ると、 -
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城山三郎は、没後10年を経過したが、彼の著書はいまだに読み継がれ、新たに出版もされている。
本作は、講演を基にした表題作と、亡き妻への遺稿、それに作家吉村昭との対談で構成されている。
軍隊経験から、組織そのものを信じていない城山は、強い人間の力が時代なり社会なりをよみがえらせていくと考えたいと、講演で語る。
教育問題に端を発し、魅力ある人間として、石田禮助や本田宗一郎たちを紹介する。人生は報われないことも多いけど、それでもやり続ける人間が負けない人間だと、田中正造や広田弘毅を挙げる。
第二篇の「そうかもう君はいないのか」補遺は、妻容子を妖精と呼ぶ、城山の愛情あふれるエッセイ。読んでいて、心が温 -
Posted by ブクログ
経済小説の開拓者、城山三郎。
初めて一冊手にとって読んてみたんだが、
非常に刺激的で面白かった。
家族経営を標榜し、
実際に功績を残し、名経営者だった社長が、
晩年、独裁的なワンマン経営に走り、
落ちぶれていく模様と、
その社長の優秀な腹心でありながら、
最終的には社長を追い落とし、
自らが社長になる男の物語。
この社長を追い落とす中堅社員の仕事っぷりがすごい。仕事のため、ホテル暮らしをする社長に仕えるため、わざわざ同じホテルに暮らし、
昼夜問わず呼ばれたらすぐに駆けつける体制をとる。土日の休みもなく仕事に捧げるその姿は、
一世代前では、サラリーマンの鏡だったんだろう。
今でもこんな人たちいる -
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ネタバレ戦争とはなんて残酷なものなんだろう。
そして、もっと残酷なのは、戦争を理由に人間の命を軽く扱った当時の軍のトップたちだ。
「一億総玉砕」という言葉の持つ意味を本当にわかっていたのか。
国民がいない国家など存在しない。軍は日本が滅びるまで戦争をやめるつもりはなかったということなのだろうか。
現代でも何故こんな簡単なことがわからない?と思うような発言をする政治家がいる。
誰が考えても最優先すべきは他にあるだろう!と思うのに、企業利益を真っ先に守ろうとする企業家がいる。
本当に大切なものは何か?
トップに立つ者が優秀だとは限らない。
上に立つ器でもないくせにトップに立ってしまった人間の下につく者は、 -
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高度経済成長の中で、
敗戦から バブル崩壊までの 時代の
創業者は、かくも壮絶に 生きたのだろう。
倉原は、福岡の出身で、「一流」をつねにめざした。
あくまでも 自分が中心でないと満足できない。
権限の委譲ということができない。
それでも、突進力そして人材をスカウトするチカラは
迫力があったが、
しかし、その人たちをうまく使うことができなかった。
『飢えた胃袋にけんめいに食物を詰め込む。
満腹に近づくと、更に大きな胃袋にとりかえて、
また飢えを感じさせ、更に多くの食物を取り込ませる。
腹がくちてくると、もっと大きな胃袋を』
まさに、それを 地にいくのである。
恐ろしいばかりの拡大成長路線 -
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ダム事業にあたっての用地買収の様子、賛否や補償をめぐる住民とのやり取り等、それがもたらす地域へのインパクトが。生々しく描かれている。その姿は、ひとつのモノサシとして参考になるし勉強にもなる。とくに、現場所長の言動には、住民を軟化させる手法・語り口として上手い(手慣れた)ところが大いに感じられる。
一方、ダム事業において用地・補償という限られた側面のみにスポットをあてられており、そういうことだけではないんだけどなぁとも、感じずにはいられない。そのあたりの、ややオーバーな(単焦点的な)様子は、この作者らしいとも思う(官僚たちの夏でひたすら人事に光を当てたような)。 -
Posted by ブクログ
大原孫三郎の生涯がすごい。人やお金を惹きつけちゃう人っているよね。惹きつけちゃう人は、なぜか出会いも別れも惹きつけちゃうよね。本書にも出てくるけど、どんなけ使うねん!ってゆう慈善団体への寄付や美術を志す若者への投資は目をみはるものばかり。頼る方も頼る方だけど、出しちゃうんだもの、大原孫三郎。そして、その美術を志す若者、まさかの児島虎次郎!!!そうか、児島虎次郎と繋がってる人か。児島虎次郎関連の書籍を読んでたころ、大原孫三郎って聞いたことあったわ。そーいやそーだわ。倉敷だしね。モネに睡蓮を描いてもらって買い取ってきた話とか感激。おすすめ。