【感想・ネタバレ】男子の本懐のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年01月18日

「静」の浜口雄幸と「動」の井上準之助。対照的な二人の人生が金解禁という大事業を前に交錯し、政治を動かしていく様を史実に基づいて生き生きと描いた傑作です。二人は対照的でありながら、働くことについての信念や経済観などの核心部分では通低している部分があるように思え、そこもまた面白いです。

二人は、戦前、...続きを読む命をかけて軍部に立ち向かえた最後の政治家ではないかと思います。二人の死後、軍部に物言える政治家を挙げろと言われてもなかなか難しいのではないのでしょうか。

日露戦争と太平洋戦争に挟まれた時代の、しかも経済の話ということで、日本の近現代史の中ではあまり陽の当たらない箇所をテーマにしていますが、二人の波瀾万丈の人生のお陰で飽きずに読むことができました。

余談ですが、井上は現代の尺度で図ると明らかにパワハラ上司ですね。部下にはなりたくないです(笑)

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Posted by ブクログ 2020年10月20日

金本位制は、火の利用に並ぶ人類の英知という信念のもと、金本位制、金輸出の自由化にかけた濱口雄幸と井上準之助の生涯を描いた経済小説。道半ばで命を落とし完結出来なかったことは悔しかったろうと推察するが、軍の権力を少しでも削ぎ落とそうとするこの施策は当時の時代背景を考えると無理があったのかもしれない。しか...続きを読むし二人の思いが成就していたら先の大戦は回避出来た可能性が高い。多くの国民に知って欲しい史実である。

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Posted by ブクログ 2019年04月21日

濱口雄幸、井上準之助の二人の絆を描いた本。どうしても易きに流れる中、本気で日本の未来を考え理想に向かった二人。結果二人は命を落として、日本は戦争へ向かうことになる…

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Posted by ブクログ 2019年03月19日

非常に重厚かつ濃密な物語で、じっくりと楽しむことが出来ました。金解禁という一大事に取り組んだ井上と濱口の絆や信頼関係が読んでいて気持ちよく、それだけに2人の迎えた結末が無念でなりません。また状況が止めようもなく悪い方向へ悪い方向へ転がってゆくのが丹念な筆致で描かれており、当時の日本が如何にしてあの凄...続きを読む惨な戦争へと転がり落ちて行ったのか、その原因の一端を理解出来たような気がします。この手のジャンルの小説を手に取ったのは初めてでしたが、楽しく読むことが出来ました。機会があればまたこういった作品を読んでみたいです。

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Posted by ブクログ 2019年01月03日

金解禁に奔走した浜口雄幸と井上準之助の命を懸けた仕事への情熱が伝わってくる良い小説であった。二人とも銃弾に打たれて亡くなるのだがそれまでに政治、金解禁に懸ける気合は凄まじいものがあった。我々も見習わないといけない。一回一回が勝負、ウォール街暴落、生に対する執着、インフレ、浜口の実直な人柄、満州事変、...続きを読む金輸出禁止、天命をうけた以上決死の覚悟で事に当たるつもりでいる、等本懐というものを再度考えてみたい。

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

・「人は常に態度に気をつけ、堂々たる容姿を以て人に接しなければいかぬ。自分の気持ちを人から悟られるようでは何事もできぬ」井上準之助
・「自分は天命を受けた以上、決死の覚悟で事に当たるつもりでいる――途中、何事か起こって中道で斃れるようなことがあっても、もとより男子として本懐である」浜口雄幸
☆命を賭...続きを読むけて仕事をするとはこういうこと

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年06月01日

たらればなので、もし暗殺されていなかったらは、わからないですが、男の生き方としてかっこいいと思いました。
・すでに決死だから、中道で倒れても、もとより男子の本懐。
・早く帰って、日常業務から解放されて、個人の時間で大所高所に立つ勉強をせよ。一人一人の質を高めることが、銀行のため、国のためになる。
...続きを読む人をリードするためには、読書をせねばならぬ。
・一度膨れ上生活を縮めるのは、人間には難しいのだろう。
・正しく明るき政治に機密費は不要
・柔則存 剛則折

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Posted by ブクログ 2018年05月04日

2人の男が人生を賭して実現しようとした経済政策「金解禁」。
単なる友情物語でも、綺麗事を並べた精神論でもない。泥臭く、あの手この手を尽くして、ただただ信念を貫く2人に、心を揺さぶられる。
政治家のあるべき姿が、ここにある。

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Posted by ブクログ 2017年10月29日

自分を犠牲にしても、日本国の将来をおもんばる政治家がいた。そんな政治家が今の日本にいるだろうか?みんな政治屋に成り下がっていないだろうか?

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Posted by ブクログ 2017年02月05日

「艱難汝を玉にす」

浜口・井上の行なった金本位制の政策内容は難しく、なかなか理解できなかったが、この小説の醍醐味はその政策内容ではなく、その政策を実施するという強い意思を貫徹し、実施までこぎつけた二人の生き様を知れることにあると思う。
自分の中では都度読み返したい一冊となった。

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Posted by ブクログ 2016年06月20日

浜口雄幸と井上準之助
2人の英雄は凶弾に倒れ日本は戦争に突入していきます。
性格の違う2人が命を賭して成し遂げた金解禁。
それにつながる緊縮財政と行政整理。
行政改革は今につながることと思います。
自分ももっと命懸けで仕事しなあかんなと思いますσ^_^;

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Posted by ブクログ 2014年08月07日

目先の政治にとらわれずこの国の将来を見据え、勤勉に真剣に政策を考え、政党政治にとらわれる周囲の雑音に惑わされずに生き抜いた、浜口雄幸。

その浜口とは通ってきた道も、問題への解決の仕方も違う井上準之助。
ただひとつ、ふたりが見るこの国の将来が重なったとき、命を賭けた彼らの勝負が始まった。

...続きを読む世代も前のことだからこそ今、評価される彼らの施策。

劇的な場面でもないところで、ただただ涙がでてきた。

こんな政治家が日本にいた時代があったのに・・。
井上準之助も座ってきた日銀総裁という要職が、政治の道具にされて空席となるなんて、子孫の世代として恥ずかしい。

この著者である城山三郎の真面目な人柄が伝わってくるような、淡々とした、けれど引き込まれる一冊だった。

自分の子供の世代にも読ませていきたい作品。

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Posted by ブクログ 2013年09月06日

胸を震わすとはこういう事なんだろうなと感じた。

昭和4年から昭和6年 第27代内閣総理大臣 浜口雄幸(おさじ)と大蔵大臣 井上準之助が貫いたイズムに迫るドキュメント。 両氏とも大蔵省キャリア(井上準之助は日銀総裁も経験)であることも関連し、「伝説の教授に学べ!」「この金融政策が日本経済を救う」など...続きを読む経済学方面書籍からのリファレンス多数。

金輸出解禁という、当時の日本経済のグローバルスタンダードに向けた経済施策を断行したという点もさることながら、施策という旗の下、銃弾(東京駅での狙撃)が体に入ったままでも、総理大臣として軍縮と官僚の減棒など、節制の説明に登壇したリーダーシップを叩きつけてくる一冊だと思う。

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Posted by ブクログ 2023年02月14日

読書する意味を振り返るというか、立ち止まれる機会になりました。やみくもに読書が好きで何でも今まで読んでましたがポリシーみたいなものも大事ですよね。

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Posted by ブクログ 2022年06月07日

緊縮財政と行政整理を行い、金解禁を実行した浜口雄幸と、その盟友井上準之助の物語。性格や言動も異なる二人が、どのようにして日本経済建て直しに命をかけ、金解禁を実行したのか。そして、無念の凶弾に倒れたのか。
昭和の気骨のある政治家の物語として、胸を熱くして読み進められました。特に、浜口が東京駅で銃弾を浴...続きを読むびた場面を描いたシーン。死を悟った浜口が、「まだ早いな。いずれは死ぬ命だ、国家のために斃るれば寧ろ本懐とするところが、しかし余の負うたる責任だけは解除してからでなければ申し訳がない。」と回想する場面。
浜口雄幸の気迫と覚悟、そして使命感に燃える姿、人間としての真面目さ、他者への慈悲、やさしさを感じました。
このようにもしもの「男子の本懐」と心から言える生き方を目指し、日々過ごそうという気持ちにさせられました。

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Posted by ブクログ 2022年02月24日

果たして金解禁の意味は良くわからなかったけれども、蓄財や名声の為でなく動いている姿は、現代に生きる私には理解は到底及ばないです。
最後の墓が並んで立ってる描写好きです、青山霊園行かなければ。

個人的に高橋是清がダメな方で描かれていたのが新鮮でした。

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Posted by ブクログ 2021年09月25日

R3.8.13~9.25

(あらすじ)
緊縮財政と行政整理による<金解禁>。これは近代日本の歴史のなかでもっとも鮮明な経済政策といわれている。第一次世界大戦後の慢性的不況を脱するために、多くの困難を克服して昭和五年一月に断行された金解禁を遂行した浜口雄幸と井上準之助。性格も境遇も正反対の二人の男が...続きを読む、いかにして一つの政策に命を賭けたか、人間の生きがいとは何かを静かに問いかけた長編経済小説

(感想)
浜口雄幸、名前はしっていましたがその生涯を知ることができました。(井上準之助は全く知らず)
金解禁という難しいテーマであり、その部分は完全に理解はできませんでした。(流れで読んでしまいました)
ただ、2人の政治姿勢には惚れてしまいます。
昭和の初め、政治家は本当に命を賭す存在だったのだという感慨が残りました。

そういえば、数年前に城山三郎さんの広田弘毅の小説も読みましたが、ほとんど内容を忘れており、この内容もいつまで覚えていることやら。

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Posted by ブクログ 2019年08月26日

昭和初期に金解禁を遂行した浜口雄幸首相と大蔵大臣である井上準之助の物語。(読む前は、浜口首相といえば東京駅で銃撃された程度しか知らなかった。)

静の浜口、動の井上といわれるくらい正反対の二人だが、盟友として確固たる信念をもって緊縮財政を進めるくだりは、政治家はこうあるべしと改めて感じた。二人が現在...続きを読むの数百兆もある日本を見たらどう思うかを考えてしまう。

当然ながら敵も多く、両者とも最後は凶弾に倒れてしまうが、金解禁を断行するときに万が一の覚悟はできていたであろう。浜口首相といえば東京駅で銃撃された程度しか知らなかった

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Posted by ブクログ 2018年03月22日

静の浜口、動の井上。大事を成し遂げるには、揺るぎない覚悟と強力なパートナーが必要ということかと思った。

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Posted by ブクログ 2017年04月13日

第2次異世界大戦前に誰が軍部の暴走に歯止めをかけようとしていたのか。その結果がテロによる悲劇的な殺害となったしまったことを、丁寧な記述で読み進むことができる好著。浜口雄幸首相、井上準一郎大蔵大臣の壮絶な戦いを歴史に残し今こそ語り継ぐべき時だと思う。しかし確信を持って政策実現を行いその結果が凶弾に倒れ...続きを読むる結果になることを覚悟しそれを男子の本懐であるとする。こんな政治家が今いないのが現実でもある。

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Posted by ブクログ 2016年08月02日

磯田道史先生が司会をつとめる英雄の選択で取り上げられていました。男子の本懐とは違った視点であり、本書を再度読み直しています。現代の政治家皆に読んでいただきたい書です。

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Posted by ブクログ 2014年05月28日

二つの大戦に挟まれた混乱期、金解禁(金の輸出解禁、金本位制復帰)をやり遂げた二人の政治家、浜口雄幸と井上準之助の物語。火の使用に継ぐ人類の英知と言われる金本位制をあらゆる反対を押し切り取り戻す。ただ死んではなんともならんではないかと僕などは思ってしまう。

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Posted by ブクログ 2013年11月26日

厳しさと、その中の優しさを感じてしまう。彼らに近づけるように精進したくなる。
そのような作品を作った城山さんに惚れてしまう。

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Posted by ブクログ 2013年08月08日

経済小説。舞台は第一次世界大戦後の混乱収まらぬ大日本帝国。主役は濱口内閣の濱口雄幸と井上蔵相。強い信念を持ってこの国を金本位制へと復帰させた。未来を見据える政治家は、いつの世も眼前利益重視の国民とマスコミに翻弄される。金解禁と現世の原発問題がダブる。

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Posted by ブクログ 2012年12月21日

命を懸ける、今の政治家には絶対に無い本物の覚悟に凄みを感じる。
こうした鉄の意志を持って決断できる大きな人物が凶弾に倒れたことで、その後の政治家が死の恐怖に屈し、決断できないまま軍部への統制力を失い、最悪の結果を招いたことは本当に残念。

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Posted by ブクログ 2012年10月02日

よかった!いい本でした!
浜口雄幸と井上準之助の二人が主人公ですが、こんな政治家はもうなかなかでてこないんだろうね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年11月10日

濱口雄幸は第27代内閣総理大臣として、1929年から1931年という世界恐慌の真只中の激動の時代に宰相を務めた人物です。

本作では、その主要な経済政策である金解禁を実現するために、蔵相の井上準之助とともに信念を貫く濱口の姿勢が主題として描かれています。

実直謹厳な濱口と、日銀出身で海外経験も豊富...続きを読むな井上。二人のスタイルは正反対ですが、金解禁を実行するために抵抗勢力と徹底に対峙する信念の強靭さが強く印象に残ります。

濱口は1931年に東京駅にて凶弾に斃れ、題名の「男子の本懐だ」という言葉を発します。一時は回復を見たものの、死去。更にその翌年、盟友井上も血盟団の凶弾により命を落とします。

デフレ政策である金解禁についての歴史的な評価は様々ですが、政治家としての信条に対し、文字通り不惜身命であった二人についてあまり語られることが少ないのを悔やみました。

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Posted by ブクログ 2018年05月13日

 高校で習った昭和史の中でも、トップクラスにその目的や影響がわかりにくい金解禁。この小説を読む前にこれらの知識を押さえておいたほうがよい。
1、金本位制とは、同額の紙幣と金の交換を政府が保証している制度(実際に交換に行くかどうかではなく、後述の効果がもたらされることが肝要)。
2、金本位制では、紙幣...続きを読む発行量が政府の金保有量と一致するため、無限定な紙幣発行はなくなる。
3、金本位制を採用している国の紙幣は国際的にも信用が高くなり、為替相場も安定する(逆にジンバブエドルとか想像してもらうとピンと来るかも)。
4、金本位制を日本が採用すると、外国からの原材料も購入しやすくなるので、それを加工して貿易しての外貨獲得もしやすくなる。国内経済力の地力を高める。
5、他方、金本位制を採用するためには、政府が金をできるだけ保有しておく必要がある。そのためには、金本位制を採用する前に政府のお金を流出させない緊縮財政が不可避となる。

 静の浜口雄幸総理と、動の井上準之助蔵相が、この金解禁に不退転の覚悟で臨んだものの、折悪しく世界大恐慌と重なり、貿易での外貨獲得もそれによる景気復興もできない不評判の政策に終わり、2人とも軍部が台頭していく中で、犯人不明のまま暗殺(総理は一命をとりとめたものの体調が戻らず病死)されてしまったというもの。政治家は読む価値あるが、タッチは思いのほかあっさりしていたのと、上記の金解禁の背景を理解しないとこの2人が’’男子の本懐’’で命を賭けて取り組んだ意味が理解しにくいと思う

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Posted by ブクログ 2016年10月16日

「官僚たちの夏」に続く城山三郎。(はまったかもしれない)単純なので熱い展開が好きなのだろう。
ここまで信念を貫くのは本当にすごい。よく信念を貫くとかいうが、これくらいの困難があるんだろうな。それにしても、タイトルが秀逸。

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Posted by ブクログ 2013年06月13日

今の安倍政権の経済政策「アベノミク」の危うさに比して、この作品に出てくる二人の政治家の立派なことに驚く。そして、まさに命をかけて、自分がよしとする方向(基本的には間違っていないと思う)を邁進し、それぞれ、政治テロに倒れた。

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