城山三郎のレビュー一覧
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ダム事業にあたっての用地買収の様子、賛否や補償をめぐる住民とのやり取り等、それがもたらす地域へのインパクトが。生々しく描かれている。その姿は、ひとつのモノサシとして参考になるし勉強にもなる。とくに、現場所長の言動には、住民を軟化させる手法・語り口として上手い(手慣れた)ところが大いに感じられる。
一方、ダム事業において用地・補償という限られた側面のみにスポットをあてられており、そういうことだけではないんだけどなぁとも、感じずにはいられない。そのあたりの、ややオーバーな(単焦点的な)様子は、この作者らしいとも思う(官僚たちの夏でひたすら人事に光を当てたような)。 -
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大原孫三郎の生涯がすごい。人やお金を惹きつけちゃう人っているよね。惹きつけちゃう人は、なぜか出会いも別れも惹きつけちゃうよね。本書にも出てくるけど、どんなけ使うねん!ってゆう慈善団体への寄付や美術を志す若者への投資は目をみはるものばかり。頼る方も頼る方だけど、出しちゃうんだもの、大原孫三郎。そして、その美術を志す若者、まさかの児島虎次郎!!!そうか、児島虎次郎と繋がってる人か。児島虎次郎関連の書籍を読んでたころ、大原孫三郎って聞いたことあったわ。そーいやそーだわ。倉敷だしね。モネに睡蓮を描いてもらって買い取ってきた話とか感激。おすすめ。
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長編『官僚たちの夏』をそろそろ読もうと思っていたので、その準備も兼ねて。
特攻隊第一号の関行男大尉と、最後の特攻隊員中津留達雄大尉についてのドキュメント。涙無しには見られない悲劇のストーリーというよりは、淡々とした描かれ方。それでも、訳の分からぬ作戦を断行した上層部への静かな怒りが伝わってくる。
著者自身が昭和初期の生まれで、海軍に志願し入隊していたとのこと。現代では理解の外にある考え方であり、そんな考え方を持ったまま入隊した海軍の腐敗と終戦がどれほど堪えたのか、これもまた理解の外にある。
海軍の腐敗だとか特攻隊の評価だとか、そういったものはこの短編を読んだ程度で語れることでもないし語りたくもない。その一方でこの本を読んで印象に残ったのは、登場人物から垣間見える信念の強さだと思う。陛下に捧げた体であるとして我が子への輸血を拒んだ高橋赫一。東京裁判で一言もしゃべらず一身に罪を引き受けた広田弘毅。終戦後の米軍基地への特攻を直前で避け、平和への軟着陸の一翼を担った中津留達雄。などなど。
もちろん、現代の価値観に照らすと善悪の問題にはなろう。しかし、自分を貫くことができたのは、教育による洗脳などではなく、自分の中に折れない芯のようなものがあったからなのかな、と思う。それは著者がその身で経験した海軍の腐敗描写との対比で明らかだ。
戦争について多くの著作を残した城山三郎も、強い信念に突き動かされたのだろうか。次に読むのは『官僚たちの夏』だが、広田弘毅について描かれる『落日燃ゆ』も読んでみたいと思う。 -
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【本の内容】
東北の静かな山村に、日本最大のダム建設計画が持ち上がった。
交渉のため村に乗り込む開発側と、先祖伝来の土地に愛着を抱く住人たち。
多額の立ち退き補償を巡り、村は賛成派・反対派に分かれ騒然となる。
ダム建設は、人々に何をもたらすのか。
高度経済成長黎明期の1959年に執筆された傑作社会派小説。
[ 目次 ]
[ POP ]
群馬県・吾妻川流域の八ッ場ダムの建設中止問題で揺れる中、半世紀前に発表された作品がよみがえり、現代を撃つ。
ダム建設で賛否が二分した村が舞台の、城山三郎初期の社会派小説だ。
三つの黄金がすさまじくぶつかり合う。
幾百年守り続けた集落の知恵が、自然の美しさと和みあっている貴重な黄金郷。
そこにダム計画が持ち上がり、立ち木一本、庭石一個、先祖の墓までもが補償金に換算される黄金(ゴールド)ラッシュが到来、村民はカネの魔力に右往左往する。
先祖伝来の土地を守るべく、一部の抵抗派は、「来るでねえ!」と叫び、黄金色に輝く肥桶の糞尿を開発側にぶちまける……。
物語は、村民たちの絆、堆肥で培われた土壌も破壊され、バブルに狂奔した村人が自滅するところで終わる。
ダム建設による産業振興、治水という当時の大義は揺らぎ、「ダムはムダ」に象徴される新しい大義「コンクリートから人へ」が声高に叫ばれる時代になった。
大義とカネに翻弄される住民の苦悩は放置されたままだ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]