城山三郎のレビュー一覧

  • 官僚たちの夏

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    主人公・風越信吾は、異色の官僚と言われた佐橋滋をモデルに高度経済成長を支えた通産省の官僚たちの仕事ぶりや人事などの戦いや当時の日本の政治との関わりなどを描いている。
    2009年には佐藤浩二主演でTBSの日曜劇場でドラマ化された。
    1960年代、昭和で言うと35年から44年までの時期である。当時は学生運動、オイルショックなどもあり激動の時代でもあったが、第二次世界大戦後の焼け野原からたった15年〜25年で日本は世界に冠たる先進国となった高度経済成長を成し遂げた奇跡の時代のお話しでもある。
    今や世界的に有名な日本の基幹産業ともなった自動車産業も含め、当時は産業も育っておらず通産省の保護が重要な役割

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    2024年03月10日
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)

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    この遺稿のタイトルをつけたのは誰だろう?文中の言葉を抜粋したこのタイトルが、本のすべてを要約している。こんなに悲しくて素敵で完璧なタイトル‥‥なかなか出会えないと思う。

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    2024年03月02日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    三井物産に35年勤め、戦後78歳にして国鉄総裁になった明治生まれの豪傑の話。昔の商社マンとしての働きも面白いが、パブリックサービスの精神で活躍した国鉄総裁としてのエピソードが先見の明もあり、とても興味深い。特に国会答弁や記者への歯に衣着せぬ物言い、対応は読んでいて痛快。今はいないだろうなあ、こういう人。でも是非現れて欲しい。

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    2024年02月22日
  • 役員室午後三時

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    例えが適切ではないかもしれないが、スターリンを彷彿とさせる恐怖政治により地位を築いた藤堂と、運命共同体論をかざし現代的で合理的な経営者である矢吹。時代の流れによって理想的な経営者像も変化すると思うが、何かそれを感じさせるようなストーリーラインであった。最終的な敗者である藤堂自身も非常に個性的で魅力的な人柄として描かれており、痛快な逆転劇による爽快感というよりは、微かな同情が読後感として残る。

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    2024年02月14日
  • 総会屋錦城

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    1958年の直木賞を受賞した表題作を含む作品集。経済小説の先駆者とされる白山三郎。かなり前の作品だが、リアリティは失われていない。

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    2024年02月06日
  • この命、何をあくせく

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    1.著者;城山氏(故人)は、経済小説の先駆者。帝国海軍に志願するも、特攻隊の訓練中に終戦。その後、大学で教鞭をとる。城山三郎のペンネームで応募した「輸出」で文学界新人賞受賞、「総会屋錦城」で直木賞を受賞し、執筆に専念。他にも、吉川英治文学賞や菊池寛賞など受賞。経済小説を軸に、歴史や伝記小説などの著作がある。実直な主人公が組織の中で、どのように生きるべきかを問うた作品はビジネスマンから圧倒的な支持を受けました。
    2.本書;城山氏のエッセイ。36項構成(第1項;ジャラン、ジャラン~第36項;いくつになっても)題名は、島崎藤村の「千曲川旅情のうた」の一節。『テンポの速い人間が多くなり、社会のテンポが

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    2024年01月25日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

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    10年先が見えたのではなく、こういう10年さきの世を作りたいという強い意志が描かれた一冊。
    なにがどこまで、事実なのかは気になりつつ。
    こういう人間関係、ざっくりこんな考え方、こういう世の中、事実ベースの業績はコレと描写とファクトをより分けつつ読むとより楽しい。
    個人的には豪農のボンボンかつ農夫と自分のあいだをうめたがったつながりで比較すると、川上善兵衛は葡萄を残し、大原孫三郎は事業と美術館を残した点が興味深い。

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    2023年11月03日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    この本は、石田礼助が国鉄総裁に就任した後、国会での初登院で述べた「粗にして野だが卑ではない」という言葉がタイトルになっています。

    石田礼助は明治人の一徹さと、30年にわたる海外生活で培われた合理主義を持つ人物でした。

    彼は35年間三井物産に勤め、その間に素晴らしい業績を上げました。そして78歳で財界人から初めて国鉄総裁になったのです。彼の人生は、「ヤング・ソルジャー」と称されるほどの勇気と決断力に溢れています。

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    2023年10月27日
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)

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    タイトルから、筆者の深い喪失感が伝わる。

    何十年も前の出会いや、その後の新婚生活を瑞々しく書くこと自体、いかに筆者がその頃幸福感に満ち溢れていたかの表れ。病気が発覚するまでの40年余り、喧嘩をすることもなく居心地よく暮らした日々は、筆者にとってどれほど幸せに満ち溢れていたものだったか。

    だからこそ、筆者が書く妻が亡くなった後の深い深い喪失感、次女の回想が重く胸にのしかかる。
    大切な人を失う哀しみとは、これほどまでに深いものか。

    哀しいけれど、夫婦の間に流れる穏やかな空気と幸福感に、心があたたかくなった。

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    2023年10月26日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    代議士たちに「諸君」と呼びかけ、「生来、祖にして野だが卑ではないつもり」と自己紹介し、没後は、「生き方に自信があった」、「天衣無縫にいちばん近かった人」と評された石田禮助の生涯。明治生まれで三井物産代表取締役や国鉄総裁を務めた男の生き様は、文春文庫の「いい男の35冊」に選出されている、間違いなく“いい男”。時代やレベルは違うけど憧れる(再読)。

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    2023年10月09日
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)

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    まずタイトルからして、グッと惹き付ける。
    妻の亡き後がメインのお話かと思ったが、出会いからが丁寧に描かれていて、それがかえって後半になるにつれて、先がわかってしまうので切なくなる。でも、お互いの愛情表現方法は違えど、相手を思いやる気持ちが痛いほど伝わってきた。思えば思うほど、一人になったときの気持ちってどんなものだろうと想像してしまう。
    娘さん筆のあとがきが、客観的に描かれているからこそ、一番胸にきました。

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    2023年09月24日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    終戦記念日が近いこともあり、手に取った一冊。

    神風特攻隊の第一号に選ばれ、レイテ沖に散った関行男大尉。最後の特攻隊員として敗戦を知らされないまま玉音放送後に沖縄へ飛び立った中津留達雄大尉。二人の人生を対比させながら、戦争と人間を描いたドキュメンタリー。

    昔、鹿児島へ旅行した時、まさに特攻の地である知覧を訪れたことを思い出した。
    片道分の燃料しか積まずに、その分爆弾を積んで自らもろとも敵艦隊へ突っ込んでいく。まだ10代の青年が殆どで、その心境とは如何なるものだったのだろう。
    その知覧には所狭しと父母や妻あてに書かれた手紙が展示されていた。とても10代とは思えないほどね達筆で…すみからすみまで

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    2023年08月05日
  • 落日燃ゆ

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    清廉潔白に描き過ぎの感は否めないが、文官からみた太平洋戦争に突入する道程を描いていたことは勉強になり、また東京裁判の過程については知らないことも多かった。読んで損はなし。

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    2023年07月30日
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界

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    石坂泰三の伝記。石坂泰三は、戦前・戦後にかけて活躍した経済人である。その主な経歴を記すと以下の通りだ。
    1886年 誕生。1886年は明治19年
    1911年 東京帝国大学卒業→逓信省入省
    1915年 逓信省を退官し第一生命に入社
    1938年 第一生命社長就任(52歳)
    1947年 第一生命社長辞任(61歳)
    1948年 東芝取締役就任(62歳)
    1949年 東芝社長就任(63歳)
    1956年 経団連会長就任(70歳)
    1965年 日本万国博覧会協会会長就任(79歳)
    1968年 経団連会長退任(82歳)
    1975年 逝去(88歳)

    石坂泰三の活躍は、東芝社長時代の労働争議対応、12年に渡る経

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    2023年06月28日
  • そうか、もう君はいないのか(新潮文庫)

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    感想
    ともに歩む。しかし死別は運命付けられている。別れが来ても人生は終わらない。思い出に浸りながら。いつかどこかで浄化する。インクに託して。

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    2023年05月15日
  • 官僚たちの夏

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    ドラマがめちゃ好きだったから読んだけど、多分話変えられてるよね??ドラマの堺雅人が外人と交渉するシーンが読みたかったのになかった。

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    2023年04月18日
  • 大義の末 新装版

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    ネタバレ

    今こそ読むべき。城山三郎は志願して海軍に入ったが、結局戦争を煽る世間の雰囲気に踊らされたのだ、ということ。その理不尽さ、暴力、そして戦後の人々の変節ぶり。ぼんやりしてると追体験させられることになるよ!

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    2023年04月12日
  • 男子の本懐

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    読書する意味を振り返るというか、立ち止まれる機会になりました。やみくもに読書が好きで何でも今まで読んでましたがポリシーみたいなものも大事ですよね。

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    2023年02月14日
  • 落日燃ゆ

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    歴史小説はシバシカンで成り立っているので他の歴史小説読んでもイマイチピンと来なかったのですが、この本は違いました。行動と他己評価で主人公を形作る筆致に感銘を受けました。城山三郎先生の本をもう少し読んでみようと思います。

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    2023年02月11日
  • 打たれ強く生きる

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    思ったより爽やかな印象。
    確かに「昭和の男たち」という印象はあるが、経営者の成功条件は、今でも打たれ強いで変わっていないかもしれない。

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    2022年12月26日