城山三郎のレビュー一覧
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財界総理と言われた石坂泰三氏の生き様。明治生まれの男の魂を感じる一冊。今の日本政府の体たらくを石坂氏が見たら何というのだろう。
あとがきに著者の城山氏がこう記している…
「存在感のある人間が、いま求められている。大不況の壁の前で、揃って足踏みしているのではなく、広い原野へ連れ出してくれる大きな人に会ってみたい。王道や大局をつかむ力があり、懐の深い人に…」
ちなみにこの文章は1994年に氏が書いたもの。18年たった今でも、全く以って今の日本人の気持ちを代弁している言葉だと思う。ちなみに大不況という言葉を会社の組織や自分を取り巻く身近なものに置き換えれば、今の自分の生き方と照らし合わせることが出来 -
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倉敷の偉人大原孫三郎と、その子、總一郎について。
実家にあったので、何の期待もなく読んだが、面白かった。
大原美術館や、クラレのことは知っていたけど、孤児院運営へのかかわりや、社会問題研究、労働問題研究、農業研究機関までつくって取り組みをした人とは知らなかった。
明治・大正時代の大金持ちの資本家でありながら、従業員と友となり
人間としてともに高め合っていける事業のあり方を、熱意と実行力とスピード感をもって、追求していっているのに凄みを感じた。
ビジョナリーカンパニーを読んで、私が理解し、今もその内容として解釈している「矛盾すると思われる課題は同時に解決する事ができるし、それが出来る会社が -
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【読書その107】スミスの本棚を読んで、一度読みたいと思っていた城山三郎の「静かに健やかに遠くまで」。本書は、これまで城山氏が書いてきた本のフレーズを整理したもの。読んでみて改めて素晴らしい本だと思った。以下が心に残ったフレーズ。
①人間は、どこか見どころがあるはず。それ見て使うのが上司の役目。
②魅力を感じるリーダー。常にあるべき姿を求めている。生き生きしている。教養とか文化に対する関心だけではなく、人間に対する関心、好奇心を失わない。さらに、卑しくない。
③サラリーマンの勝負どきは、上司から質問を出されたとき、いつでも明確な答えを出せるよう、常日頃、勉強をしておくこと。その上で、「おまえ、 -
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ネタバレ終戦間際の予科練を舞台にした小説。「一歩の距離 予科練」と「マンゴー林の中で」の二本が収録されています。
これを読み終わって知ったのだけれど,作者の城山三郎氏も海軍に志願入隊して,特攻の部隊に配属されて終戦を迎えていた方だったんですね。一歩間違えば,この小説は残されていなかったというわけ・・・。
結構感情的な書き方だったり,登場人物の心の動きなんかが詳細に書かれているので,あくまで小説,フィクションとして読んだんですが,なかなかよかったです。
青春群像劇,と言った感じです。
飛行機乗りというのは当時の少年達の憧れだったんですねー。今でもパイロットというのはかっこいい職業の一つではあると思 -
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スティーブ・ジョブスの訃報が全世界を駆け巡った日に読み終えた。日々残された時間を意識して生きる姿は城山さんもスティーブも共通していて、心を動かされる。いつも自分の命を意識しなくちゃいけないんだと。
この本はメモのような日記を編集したものなので、読み始めは慣れがいるかもしれません。でも、読むうちに引き込まれます。
前向きな言葉が目立ち、自分自身を励ましている様子が強く伺いしれます。前向きな言葉が重なるほどに、老いる事や伴侶を失った事の苦しさや哀しさ、戸惑いといったものが肌身を持って伝わって来ました。
ところで、この日記の構成にやられました。おぉ、そうきたか!という感じで涙が出ました。改めて「そう -
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「この経済小説がおもしろい!」に紹介されていた本。
城山三郎さんは企業小説の分野では著名な作家さんですが、
著書の本を読むのはこれがやっとこさ2冊目。
しかし、期待以上の面白さにぐいぐい引き込まれてしまいました。
ストーリーはダイエー創業者の中内功さんをモデルとした
スーパーマーケットの企業物語。
「安い商品を買う」という行為は
ごく当たり前のことだと思っていましたが、
昔は物の値段は統制されていたんですね。。
そんな基本的なことから知らなかった自分でも、
主人公がどうやって創造的価格破壊をもたらしたのかが、
ストーリー形式でよく理解できました。
主人公の熱意とい