城山三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ちょっと惹かれるタイトルでしょ?
城山作品は男性的っていうのが定評だと思う
わたしは『落日燃ゆ』などの作品を
粛々たる気持ちで読んできた
ところがこの作品はめずらしく女たちのものがたり
東京郊外ニュータウンでおだやかな生活をしていた38歳の
平凡な専業主婦の主人公がひょんなことから世に出て働いていく
「いま、あなた本当に生きている実感があるの」
と、やり手の女友だちにささやかれて
その過程のさまざまなあれつきが描かれている
いわく、女ゆえ信用されない仕事のむずかしさ
子供との関係、夫との関係...
そうして結局、ほどほどに保守的な主人公が軟着陸
誘ったイケイケ副主人公も事業に失 -
Posted by ブクログ
城山三郎 「 花失せては面白からず 」
恩師 山田教授との交流を中心とした自伝。山田教授の生き方、考え方に焦点を当てている。タイトル中の「花」という言葉は、山田教授の求道心、人間探究心、価値多様性を意味すると思う。
山田教授の生き方、考え方
*客観的な事実認識による人間探究
*価値多元論(多様性)〜異なる価値を認める
*異なる価値観は 相互批判と意見修正により一歩進める
著者の生き方、考え方でもあり、城山作品の気骨ある主人公は 山田教授をイメージしているように思う。
資本主義者と社会主義者などの価値対立をどう乗り越えるか、研究の優先順位、ゲーム理論、力の法則が とても参考になった。
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Posted by ブクログ
ご存知、ビジネス小説作家城山三郎氏による、渾身のノンフィクションである。城山氏自身が戦中海軍に所属していたようだが、若年だったため身分は訓練兵であり、出征は免れた。
著者の無念さが全編を通してにじみ出ている。著者自身の、特攻隊員たちへの最大限の弔いとして本書が書かれたに違いない。というのは、巻末の参考資料が何十冊というすごいリストなのである。何としてでも正確な記録を残そうという著者の執念というか、真摯さが感じられる。
表紙にある写真は、一人目と最後の特攻隊である。最初の関氏は、「僕ほどの技術を持ったパイロットに攻撃をさせずに特攻をさせるとは、バカげている」と言いながらも、命じられて散った。最後 -
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大藩であるにも関わらず、幕末において余り存在感のない尾張藩がフォーカスされた作品。
印象に残っているのは、「尾張藩は大藩、雄藩であり、尾張で全てが完結されてしまうが故に、有象無象の他藩と交わることを良しとしなかった」という精神性。
この一文だけで、尾張藩が何故幕末において存在感を発揮しなかったのか何となくわかってしまう気がする。更に言うと、この精神性は今の名古屋にも連綿と受け継がれているようにも感じる。
しかし主人公の徳川慶勝は真面目な人だけど報われないなぁ(これは城山三郎の殆どの作品の主人公にも共通するけど)。あと、北海道開拓の件からも、余り優秀な指導者だったとは余り思えない。。 -
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渋沢栄一というと、
聞いたことはあれどなにをした人かは正直よく知らなかった。業績は多岐にわたるが、
第一国立銀行のちの第一勧銀を設立したのが一番の功績なのだろうか。
この本は渋沢栄一の生涯をなぞった小説だが、
農家→尊王志士→徳川家に士官→大蔵省完了後→民間で事業に携わる
といった生涯の変遷に驚く。
これだけ立場を変えても人々に慕われて尊敬されたのは、よほどの能力と人柄があったのだと思う。
本の一節に、
志を心の中に立たせるのは容易い、
実際にどうやったら立つかを考えないと意味がない。
というような内容がある。
彼の一生はそれを追求した結果として、
立場が -
Posted by ブクログ
渋沢栄一というと、
聞いたことはあれどなにをした人かは正直よく知らなかった。業績は多岐にわたるが、
第一国立銀行のちの第一勧銀を設立したのが一番の功績なのだろうか。
この本は渋沢栄一の生涯をなぞった小説だが、
農家→尊王志士→徳川家に士官→大蔵省完了後→民間で事業に携わる
といった生涯の変遷に驚く。
これだけ立場を変えても人々に慕われて尊敬されたのは、よほどの能力と人柄があったのだと思う。
本の一節に、
志を心の中に立たせるのは容易い、
実際にどうやったら立つかを考えないと意味がない。
というような内容がある。
彼の一生はそれを追求した結果として、
立場が