城山三郎のレビュー一覧

  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    「昭和の日』に、昭和の傑物の伝記を読み終えた。
    日米開戦前の三井物産社長、国鉄第五代総裁、石田禮助の生涯。
    戦前、物産ニューヨーク支店長時代、大西洋(太平洋ではなく)横断の海底通信ケーブルの最大ユーザーが三井物産だった、というのは、何だか誇らしい。一方、そこまで世界経済と密着してたのに開戦に流れていったのが、悔やまれる。石田禮助自身は、職を賭して反対し、財界を通じての反対活動もしたようだけど。
    国鉄総裁時代の国会答弁のくだりは、痛快で溜飲が下がる。経営者の視点とパブリックサービスに奉仕する精神のバランスが最高だ。

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    2021年04月29日
  • 雄気堂々(上)

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    渋沢栄一をはじめ、八百万の神達の圧倒的な熱量が、幕末期・明治維新から日本を列強国に並ぶ迄の礎を築いたことが描かれている。

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    2021年04月12日
  • 雄気堂々(上)

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    NHKの大河「青天を衝け」を見て、渋沢栄一の人生を知ろうと本書を手に取りました。尊皇攘夷の考えから横浜の焼き討ちを計画したり、ひょんなことから一橋慶喜の家臣となり、慶喜の弟のお供でフランスの博覧会視察とそれに続く留学、帰国後、既に大政奉還した慶喜を追って静岡、その後、時の政府大隈重信に呼ばれ、租税正(今なら大蔵省主税局長)に任じられる。建白魔の渋沢栄一がどの様に青天を衝いていくのか、政治と経済、道徳をどの様に考え、歩んでいくのか下巻が楽しみです。

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    2021年04月08日
  • 雄気堂々(下)

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    上巻の終わりで、大隈重信の云う「八百万の神々の集い」に入ることを請われ、その中に入って新政府の高官として活躍する所から始まる下巻。明治新政府の血生臭い政治の世界に嫌気がさし、経済界で生きる中でかねてよりの夢である「合本組織(株式会社)という組織作りに突き進む姿が描かれる。
    それにしても、幕末維新の所謂有名人である慶喜・西郷隆盛・大久保利通・大隈重信達とこれだけ絡んで日本の産業振興で大活躍した人物なのに、これまで殆ど知らなかったとは。

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    2021年02月18日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    「この爺さん、いったい何者なのか。」で締められる第一章が秀逸。
    その後は、石田禮助という人物の人生のダイジェストという感じです。波乱万丈の人生ですが、一つ一つのエピソードを深く掘り下げて書くことはしていないので、やや淡白な印象がなくはないです。

    しかし、石田禮助の魅力は存分に知れますし、ビジネフマンにとっては参考になることも多いかと思います。

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    2021年01月23日
  • 価格破壊

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    戦後のエコノミックアニマルを活写した、ある意味ロビンソンクルーソーのような行動小説。商売繁盛の為の徹底したハングリー精神の出発点は戦場での臨死体験にあるというのがいかにも戦後というべきか。死にそうな思いをした人は強い。
    主人公は信念に突き進んで行く行動の塊で、葛藤らしい葛藤も無いのに対比して、妻や部下など彼を取り巻く人物の揺れ動く内面描写は、丁寧に描かれている。この辺りがさすがというものか。

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    2021年01月20日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    こんな生き方をした人もいたんだなぁ。
    質素で頑固な人間で、もし身近にいても気難しくて近付けなかったかもしれない。
    それでも参考にしたい生き方ではあった。

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    2020年12月28日
  • 雄気堂々(下)

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    フランスから帰国後、明治政府の招きで大蔵省に。だが、藩閥の対立から野に下り、かねてからの夢である合本組織(株式会社)を創り上げる仕事に。いずれの藩閥にも属さない渋沢がいかにして、維新の元勲と肩を並べる最高指導者になって行ったのかを描く大作。

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    2020年12月18日
  • 黄金峡

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    ダム開発に揺れる地域を描く。
    経済成長期、ダム開発が乱発された。開発地域に住んでいた人々は土地住家を奪われるわけだが、その苦しみや悲しみは当然ある一方で、補償金に目の色を変える人達もいた。
    今となってはあまり無い、過去のそれら事象に対し、開発者・地域に住む者、地域に帰ってくる者、地域に寄生する者、開発に反対する者、それぞれの思惑が交錯し、興味深かった。
    反対する者も、どこか諦めというか、自分が「反対した」と納得するために行動しているところがあり、人間の機微が面白い。

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    2025年12月28日
  • 大義の末 新装版

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    天皇の権威を自身の拠り所にしようとする情けない人々のなんと多いことか。理性的に考えれば国体だの大義だの、もっともらしいことを言っても空虚なだけなんだが。
    つづく

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    2020年11月02日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    海軍兵学校の同期で、最初と最後の特攻隊員となった関行男大尉と中津留達雄大尉。「永遠の0」の宮部さんは中津留大尉がモデルになってるのかと、読み終えて思いました。本当に特攻作戦に関する文献は何度読んでも心が痛むし、憤りを覚える。親の気持ちも辛い。

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    2020年08月26日
  • 硫黄島に死す

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    ネタバレ

    小説の中に戦車部隊の話があり戦車に乗る兵士なのに戦車に乗れなかった兵士の話がありました。
    そこで日本軍がものすごく追い詰められていたことがわかりました。

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    2020年08月20日
  • 硫黄島に死す

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    有名無名の人物の列伝。宝塚航空隊のささやかな悲劇。最後の『断崖』は戦後の話のようだが、変わる時代への警鐘。

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    2020年08月16日
  • 大義の末 新装版

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    「人間は幸せを求めて生きるという単純なことを教師も親も誰も教えてくれなかった」時代を恨み、敗戦により一夜で価値観が逆転した社会に戸惑いながら天皇制を問う。その答えを求めてもがき苦しむ主人公=筆者の分身=の姿が痛い。軍隊での体験を「書き留めることで(戦争に)復讐をしたい」という筆者の思いがとても強く伝わってくる作品。語り部として最後の世代といえる氏の“証言”には重みがあります。もう一編は多くの少年兵が命を落とした住吉丸の悲劇を描いたもので、こちらも胸締め付けられる話です。

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    2020年08月09日
  • 本当に生きた日

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    ちょっと惹かれるタイトルでしょ?

    城山作品は男性的っていうのが定評だと思う
    わたしは『落日燃ゆ』などの作品を
    粛々たる気持ちで読んできた
    ところがこの作品はめずらしく女たちのものがたり

    東京郊外ニュータウンでおだやかな生活をしていた38歳の
    平凡な専業主婦の主人公がひょんなことから世に出て働いていく
    「いま、あなた本当に生きている実感があるの」
    と、やり手の女友だちにささやかれて

    その過程のさまざまなあれつきが描かれている
    いわく、女ゆえ信用されない仕事のむずかしさ
    子供との関係、夫との関係...

    そうして結局、ほどほどに保守的な主人公が軟着陸
    誘ったイケイケ副主人公も事業に失敗して挫折
    それでも再びをめざす女友だち
    「わたしが妻を持ちたい!のだった」との叫びを発しながら

    まあ、今ではちょっと古め話題
    しかし
    この単行本は2007年(平成19年)に発行されたのだが
    はじめて新聞に連載されたのは1986年(昭和61年)なのだ

    ああ、80年代!バブル景気の真っ盛り!
    当時わたし40歳代
    まさに「本当に生きているのか?」と悶悶としていた記憶が...
    当然、思い出しながらシンクロしてしまったのだった

    あれから30年近くたった
    現代においても
    女性が社会できっちり仕事をするのは
    並大抵の苦労でないこと
    変わらないと思うけど

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    2020年06月08日
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界

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    無理を通せば道理引っ込む的な成功者が戦後のさばった。今なら世間から袋叩き
    そういう時代もあったという事。戦国時代、天下人はそう生きただろう。
    豪快で浪花節的で面白いちゃ面白い伝記もの

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    2020年05月09日
  • 無所属の時間で生きる

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    数々の重厚な小説を残した城山三郎の大変楽しいエッセイ。「無所属の時間」とは必ずしも定年後の時間ではなく、組織に属さない作家という立場を意味しているようだが、還暦を控えて読むのは丁度良い。20 年以上も前の文章なのに古さは感じない。

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    2020年02月01日
  • 花失せては面白からず 山田教授の生き方・考え方

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    城山三郎 「 花失せては面白からず 」

    恩師 山田教授との交流を中心とした自伝。山田教授の生き方、考え方に焦点を当てている。タイトル中の「花」という言葉は、山田教授の求道心、人間探究心、価値多様性を意味すると思う。

    山田教授の生き方、考え方
    *客観的な事実認識による人間探究
    *価値多元論(多様性)〜異なる価値を認める
    *異なる価値観は 相互批判と意見修正により一歩進める

    著者の生き方、考え方でもあり、城山作品の気骨ある主人公は 山田教授をイメージしているように思う。

    資本主義者と社会主義者などの価値対立をどう乗り越えるか、研究の優先順位、ゲーム理論、力の法則が とても参考になった。



    「資本主義者と社会主義者など価値の対立をどう乗り越えるか」
    客観的な事実を突き合わせて 相互批判をしても 意見の修正が図られない場合、多数決による合意しかない


    研究の優先順位
    *全体より部分、一般より特殊を重視〜現実の変化の意義を探る*部分や特殊な問題への取り組みの積重ねが全体につながる
    *正常より異常、調和より不調和を取り組みの出発点とすべき
    *一元論より多元論、独裁制より民主制を基盤とすべき

    ◎ゲーム理論
    各方法の最小のゲインを比べその中の最大を選ぶ または 各方法の最大ロスを比べ、最小を選ぶ

    ◎力の法則
    力を持つ者も 常に敵の動きに合わせて 自分の態度を決める


    経済学のあるべき姿
    *客観的な事実認識に徹する
    *実証研究を通して 人間探究を行う
    *問題は 個人と全体の関係、人と人との関係
    *理論の仮説と事実の観察との結びつきを求める


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    2020年01月09日
  • 雄気堂々(上)

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    農家に生まれ、幕末の尊王攘夷の活動を主導しながら、幾多の同志の死をまのあたりにするも生きながらえる。時代の流れに乗り、自らの実力と運で幕臣となり、さらには新政府の中枢に誘われる。2019.12.13

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    2019年12月13日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    ご存知、ビジネス小説作家城山三郎氏による、渾身のノンフィクションである。城山氏自身が戦中海軍に所属していたようだが、若年だったため身分は訓練兵であり、出征は免れた。
    著者の無念さが全編を通してにじみ出ている。著者自身の、特攻隊員たちへの最大限の弔いとして本書が書かれたに違いない。というのは、巻末の参考資料が何十冊というすごいリストなのである。何としてでも正確な記録を残そうという著者の執念というか、真摯さが感じられる。
    表紙にある写真は、一人目と最後の特攻隊である。最初の関氏は、「僕ほどの技術を持ったパイロットに攻撃をさせずに特攻をさせるとは、バカげている」と言いながらも、命じられて散った。最後に特攻をした人は、何と終戦を知らず飛び込んだのであった。これら23歳の若者たちはともに家庭を持ったばかりで、何とも惜しい。また信じられないのが、戦後その母親たちが後ろ指をさされながら暮らさざるを得なかったということだ。特攻専用機の桜花や、人間魚雷の回天の記述には胸が痛んだ。
    若者だった著者自身の回想も入っており、ちょっと読みにくい個所もあるが、極力分かりやすく書く努力が見受けられる。著者の使命感を感じさせる本である。

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    2019年09月09日