城山三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ちょっと惹かれるタイトルでしょ?
城山作品は男性的っていうのが定評だと思う
わたしは『落日燃ゆ』などの作品を
粛々たる気持ちで読んできた
ところがこの作品はめずらしく女たちのものがたり
東京郊外ニュータウンでおだやかな生活をしていた38歳の
平凡な専業主婦の主人公がひょんなことから世に出て働いていく
「いま、あなた本当に生きている実感があるの」
と、やり手の女友だちにささやかれて
その過程のさまざまなあれつきが描かれている
いわく、女ゆえ信用されない仕事のむずかしさ
子供との関係、夫との関係...
そうして結局、ほどほどに保守的な主人公が軟着陸
誘ったイケイケ副主人公も事業に失敗して挫折
それでも再びをめざす女友だち
「わたしが妻を持ちたい!のだった」との叫びを発しながら
まあ、今ではちょっと古め話題
しかし
この単行本は2007年(平成19年)に発行されたのだが
はじめて新聞に連載されたのは1986年(昭和61年)なのだ
ああ、80年代!バブル景気の真っ盛り!
当時わたし40歳代
まさに「本当に生きているのか?」と悶悶としていた記憶が...
当然、思い出しながらシンクロしてしまったのだった
あれから30年近くたった
現代においても
女性が社会できっちり仕事をするのは
並大抵の苦労でないこと
変わらないと思うけど -
Posted by ブクログ
城山三郎 「 花失せては面白からず 」
恩師 山田教授との交流を中心とした自伝。山田教授の生き方、考え方に焦点を当てている。タイトル中の「花」という言葉は、山田教授の求道心、人間探究心、価値多様性を意味すると思う。
山田教授の生き方、考え方
*客観的な事実認識による人間探究
*価値多元論(多様性)〜異なる価値を認める
*異なる価値観は 相互批判と意見修正により一歩進める
著者の生き方、考え方でもあり、城山作品の気骨ある主人公は 山田教授をイメージしているように思う。
資本主義者と社会主義者などの価値対立をどう乗り越えるか、研究の優先順位、ゲーム理論、力の法則が とても参考になった。
「資本主義者と社会主義者など価値の対立をどう乗り越えるか」
客観的な事実を突き合わせて 相互批判をしても 意見の修正が図られない場合、多数決による合意しかない
研究の優先順位
*全体より部分、一般より特殊を重視〜現実の変化の意義を探る*部分や特殊な問題への取り組みの積重ねが全体につながる
*正常より異常、調和より不調和を取り組みの出発点とすべき
*一元論より多元論、独裁制より民主制を基盤とすべき
◎ゲーム理論
各方法の最小のゲインを比べその中の最大を選ぶ または 各方法の最大ロスを比べ、最小を選ぶ
◎力の法則
力を持つ者も 常に敵の動きに合わせて 自分の態度を決める
経済学のあるべき姿
*客観的な事実認識に徹する
*実証研究を通して 人間探究を行う
*問題は 個人と全体の関係、人と人との関係
*理論の仮説と事実の観察との結びつきを求める
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Posted by ブクログ
ご存知、ビジネス小説作家城山三郎氏による、渾身のノンフィクションである。城山氏自身が戦中海軍に所属していたようだが、若年だったため身分は訓練兵であり、出征は免れた。
著者の無念さが全編を通してにじみ出ている。著者自身の、特攻隊員たちへの最大限の弔いとして本書が書かれたに違いない。というのは、巻末の参考資料が何十冊というすごいリストなのである。何としてでも正確な記録を残そうという著者の執念というか、真摯さが感じられる。
表紙にある写真は、一人目と最後の特攻隊である。最初の関氏は、「僕ほどの技術を持ったパイロットに攻撃をさせずに特攻をさせるとは、バカげている」と言いながらも、命じられて散った。最後に特攻をした人は、何と終戦を知らず飛び込んだのであった。これら23歳の若者たちはともに家庭を持ったばかりで、何とも惜しい。また信じられないのが、戦後その母親たちが後ろ指をさされながら暮らさざるを得なかったということだ。特攻専用機の桜花や、人間魚雷の回天の記述には胸が痛んだ。
若者だった著者自身の回想も入っており、ちょっと読みにくい個所もあるが、極力分かりやすく書く努力が見受けられる。著者の使命感を感じさせる本である。