【感想・ネタバレ】官僚たちの夏のレビュー

あらすじ

日本人の誇りを取り戻すべく、固い信念で通産行政を強引、着実に推し進め、次官への最短コースを疾走する“ミスター・通産省”風越信吾。高度成長政策が開始された60年代初め、通産省という巨大複雑な官僚機構の内側における、政策をめぐる政府・財界との闘いと、人事をめぐる官僚間の熱い戦いをダイナミックに捉えた城山三郎の代表作!

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Posted by ブクログ

昭和の激務官僚の話。
今もブラック霞ヶ関とかで話題になるけど、昔もとんでもなかったんだな。
仕事にこんだけ命懸けられるって凄いし、こんな官僚たちがいてくれたお陰で今の日本があるんだね。

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2025年08月28日

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霞が関は夏に人事異動をやる(一部、4月もあるが)、という慣習と、予算編成とがうまくマッチしていてとても面白い小説だった。高度経済成長期頃と今の官僚は役割も立場もだいぶ変わったが、なお残るものは今でもある。通産省がMETIになってしまったのが惜しまれる。

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2025年07月28日

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普段小説はあまり読まないのですが、読み始めるとページをめくる手が止まらなかった。
高度成長期の日本を舞台にした、通算官僚たちの熱い生き様。
政治に翻弄され、挫折を味わいつつも、天下国家のために文字通り命懸けで闘い続ける骨太の官僚たち。
結末は、時代の変化を感じさせるいささか悲しいものではありましたが、濃密な物語でした。
気を大きく持ちたい時にまた読もう。

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2025年07月18日

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「霞ヶ関で働きたいならこの本を読んでみなさい。この本に出てくる官僚のような働き方が出来そうなら官僚を目指しても良いんじゃないかな。」と恩師に言われ、気になっていた本。正直、私には風越や庭野のような働き方は出来ない。むしろ、片山のような生き方に憧れる(片山ほどの能力は私にはないが…)。この話は1960年代の話であるが今の官僚たちも同じような働き方をしているのだろう。日本人は働きすぎである。

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2025年01月05日

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高度成長期時代の通算省の人間模様。脚色しすぎてる部分はあるかもだし、モーレツにはたらく時代の話だけど、今に通ずるものあり。国家のために身を注ぐ風越の男気に魅力を感じる企業戦士は多いはず。

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2024年07月16日

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昭和50年に書かれた作品であるが、作品内で描かれる二項対立は、令和の今もなお現実に我々を取り巻く課題である。

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2023年07月14日

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おもしろかった。
官僚に対する漠然としたイメージが、少し変わった。

ただ、ここまで仕事に打ち込み、24時間働く男たちの姿は、心打つものはあるが、女性の視点で見ると、無理だなと思ってしまう。
ひと世代前の働き方、人生観かもしれないな。

どちらかというと、作中の登場人物である片山の考え方に共感した。

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2020年12月12日

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本作の舞台になった1960年代から60年が経っていますが、本作が持つメッセージ性は少しも色褪せることなく、それどころか現代人に向けたものであるかのような錯覚さえ覚えます。

天下国家のために働くエリート官僚たちの姿をリアルに、生々しく描き、官僚国家が孕む問題点を鋭く描きます。
登場人物のキャラクターがそれぞれ立っているのですが、それは決して一面的な平板な設定ではありません。それぞれの信念がぶつかり合い、信念と現実とのギャップに苦しみ、それぞれがもがきます。
国家のために働く、官僚たちのリアルがここにあります。

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2020年11月08日

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戦後日本で経済開放と国内産業保護の過渡期を牽引した通産官僚の実話。官僚と政治家の関係や人事等々、現在でも不変のものも多く、パブリック・セクター(特に経済産業行政)で働く人にとっては必読書。

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2020年07月12日

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通産官僚たちの、法案をめぐる政財界とのバトルと、人事をめぐる官僚同士の戦いを、タイトル通りに熱く描く。
天下国家のためという意志のもと、無定量・無際限の仕事っぷりで突き進み、民族派的で統制的ともとれる政策を推し進めようとする風越派官僚と、様々な利害からそれに抵抗、妨害する政財界との戦い、それに政策の理念等による官僚同士の対立も絡み、風越派は敗れ去る。

「離れること、忘れることの難しさ」。「天下国家のため」という美しく尊い理想が、逆に官僚たちを押しつぶし、敗北へと走らせてしまう。

風越たちが肩で風を切るように通産省内を闊歩して官僚人生を謳歌し、天下国家のためという大きな理想を掲げて政策の実現のために邁進していた暑い夏は過ぎ去り、風越派が一人また一人と省を去る敗北の冬が訪れるという、状況と季節の対応が、より物語のドラマを印象付ける。

何度か経産省に行って話を聞いたりしたことあるので、古い本だし時代設定も昔だけど、空気とかは、そういえばそんな感じだったなあってところもあって面白く読めた。風越が人事方針を能力主義に転換したところとか、行政指導が政策ツールの大部分を占めるので社交性が重視されるってところとか。

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2023年01月22日

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結局、この時代といまの官僚(ひいては日系企業の会社員たち)とでは働き方は変わらないんだろうなと思った。やっぱり健康第一ですね。

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2025年08月06日

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いわゆる「国士型」通産官僚を描いた小説。作者は官僚出身というわけではなさそうだが、それにしてはずいぶんとリアリティがある(まだ学生の身分である自分には、描写として正確なのかは分からないが)。主人公の、人事への執着が面白い。
紋切り型ではない終わり方も好印象。
これを読んで経産省を目指す学生は多いだろう。

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2025年07月31日

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自分がかつてやっていた個別人事の世界ってこんなに官僚的だったんだなぁと改めて認識。限られた情報から適材適所を見極めて将来の人事像を構築していく。個別人事の醍醐味。でも一方で鮎川・庭野と風越が決めてしまったようにある種のコースが内外で固まってしまっているように見えることが弊害としてあるのも事実。固めすぎてしまうことでそれが成立しなくなってからの挽回も難しい。結局この時代から個別人事の世界ってあまり変化していないんだな。でもサクセッションプランの本質もまたここにあるよねとも思う。

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2024年11月30日

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ネタバレ

1950~60年代の実在の通産官僚をモデルに描いた作品。
天下国家を論じ国益のためにがむしゃらに働き高度経済成長の礎となった風越信吾はじめ通産官僚たち。一方で目先の利益に目を奪われ、謀略を練り、全体の利益を顧みず足を引っ張る財界と、その意を受け権力争いに奔走する政治家たち。
主人公は信念も胆力も部下からの信頼もあったが、清濁併せ呑むことができず味方以上に敵を作ってしまった。風越師団として重宝してきた部下は鮎川も庭野も無理がたたり身体を壊してしまう。風越の期待に応えようとしたからであり、またそれ以外の人間には反発を買う結果となる。人を評価するときは比較ではなく、その人そのものの資質をみないといけない。また先を見通しすぎてしまったため、外れたものからの怨嗟を受けることとなった。

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2024年08月21日

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主人公・風越信吾は、異色の官僚と言われた佐橋滋をモデルに高度経済成長を支えた通産省の官僚たちの仕事ぶりや人事などの戦いや当時の日本の政治との関わりなどを描いている。
2009年には佐藤浩二主演でTBSの日曜劇場でドラマ化された。
1960年代、昭和で言うと35年から44年までの時期である。当時は学生運動、オイルショックなどもあり激動の時代でもあったが、第二次世界大戦後の焼け野原からたった15年〜25年で日本は世界に冠たる先進国となった高度経済成長を成し遂げた奇跡の時代のお話しでもある。
今や世界的に有名な日本の基幹産業ともなった自動車産業も含め、当時は産業も育っておらず通産省の保護が重要な役割を果たした。ただし、本文からもわかる様に途中からは保護主義より自由主義にした方が帰って良かった面もあった様である。
ミスター通産省と呼ばれた主人公風越信吾の歯にきぬをきせぬ言動により浮いたり沈んだりのハラハラドキドキも物語として楽しめるが、特にもはや戦後では無いと言われた昭和の熱い空気が感じられる歴史感も想像して楽しい物語となっている。
主人公は熱くて全力で死ぬ気で頑張ります的なワーカホリック、対する新人類として家庭や趣味、自分の時間も大事にする片山という対照的な官僚も描いている。
今もこんな感じの「バブル世代」「ロスジェネ」対「Z世代」のような対立はあるかもしれませんが、エジプトの古い壁画に「最近の若者は〜」的な象形文字も書いてあるらしいので、人類はそうやって新しい世代の奴に嫌味を言い続けてたんだな。そうして歴史は繰り返すんだな。
なんて感想を持ちました。

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2024年03月10日

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ドラマがめちゃ好きだったから読んだけど、多分話変えられてるよね??ドラマの堺雅人が外人と交渉するシーンが読みたかったのになかった。

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2023年04月18日

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通産省の官僚が高度経済成長期の日本でどのように政策を立案して日本のために働いていたかが伝わってきた。週休1日の時代に朝から晩まで国のために働いているのは、大変そうな仕事だなと改めて感じたけど、国を動かすやりがいも強いのかなと思った。勉強熱心なところや、国会議員や企業の社長など様々な関係者ともぶつかりながら議論して政策を作ることころもすごいなと思った。今とこの本の時期では政策も仕事の内容も少し変わってると思うけど、国のために頑張る気持ちは変わらず大事だなと思った。

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2022年12月24日

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ネタバレ

古代のバンカラ通産省の空気感
いまも他省庁より尖った印象(若手の提言とか)

●パリでの外交官生活になじめない牧さん p92

牧は、また、日本のことを思った。通産省では、仕事さえしているなら、タテになっていようと、横になっていようと、問題にされない。服装にしても、風越のように、夏には半裸も同然の男もいる。通産省が懐かしかった。

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2022年10月30日

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何回目かの再読。
初読は大学で。役人に興味があった。
2回目は若手社会人の頃。
3回目、ガンで余命宣告を受けた親父がなぜか読んでいたのを見て。勤め人としてのあれこれを思い出していたのか。
そして今回。当たり前だが、読後感は毎回大きく異なる。

昭和30年代のあらゆる意味でありえない働き方、理不尽。
定時退社しただけでやる気不足扱い。男女差別を差別とも思わない。いや、むしろ通産省は他の役所より積極的に女性キャリアをとるんだ、と。そしてその新人に「お人形さん」とあだ名をつけることが「ユーモア」だった時代。
いっそすがすがしいまでに、「国家のため」と「省のため」を混同した政策論議。はあ。
主人公の「豪放磊落」気取りの態度も、今日的に見るとまったく共感できない。

一方で、ここで戦わされる企業再編の必要性を巡る議論が今でも相当程度有効なことにも驚かされる。
特許行政の遅れとかも含め、今日の「経済的安全保障」論のプロトタイプとも言うべき論点はすでにその萌芽があったと。

そして、中身が今から見れば時代錯誤だとしても、「これはやるべき」と納得できた仕事に滅私奉公している姿には、いくらワークライフバランスがあたりまえの今日でもやはり胸が熱くなるものだ。そして、人事というものの巡り合わせの不思議さにも時代を超えたリアリティを感じる。

というわけで、かなりいろいろな意味で今の時代には馴染まないストーリー。それでも時代の記録として、そしてある意味普遍的な「働きバチの誇り系小説」として、その価値は全く損なわれていないと感じた。

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2022年01月31日

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この作品は、通産省の人事を巡る人間関係を描いています。主人公の風越は官僚的であり、ある面では、非官僚的です。誰に対しても歯に衣着せぬ物言いは魅力的だ。「男なら」を好み、人に頭を下げるのが嫌いだ。保身を考える組織人には羨望だろうと思う。

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2021年05月26日

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人事のおもしろさと儚さ。
これが「人の事」だから、おもしろいと言ってられるが、ポストが全ての世界で人事権を握られたら、そりゃ忖度するわ。というのは現代の構図。
国を動かすという熱量はすばらしい。壮大なモチベーションの反面、自分の将来のために上司や政治家の顔色をうかがい、省内の空気に敏感になるという、建前世界の身内思考の世渡り術。めんどくさい。

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2020年08月29日

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昭和のモーレツ官僚の話かと思い、そんな感じで話は進んだが、最後はそれで終わらなかった。時代は確実に変わっていき、風越が主流でなくなる時代が来た。
ただ、風越の働き方や仕事の取り組み方が時代の主流でなくなっても、官僚としての熱い思いはいつも主流であって欲しい。

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2025年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

風越を中心として通産省の官僚達の生きざまを描いている。登場人物にはモデルがいて、特に政治家に関しては多少の知識があれば推察できるので面白い。また、内容自体もとても読みやすくかつ読み応えのあるものだった。馬車馬のように働く風越たち、理知的で人当たりが悪いとも言える牧、そしてワークライフバランスに重きを置き人懐っこい片山、どの生き方が正解、というのは無いだろうがやはり片山の生き方に惹かれてしまう。一方、自分の人生はどのように描かれるのか、どんな人生をこの先歩むのか、と考えたときに兎に角自分なりに個性のままに生きよう、それが例え風越たちのようであっでも、と思った。

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2025年05月15日

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高度成長期の日本を舞台に、国家を背負い、自分の人生を懸けた通産省の官僚たちの生き様を描き出した作品。主人公は飽くなき人事への興味を持ち、ミスター通産省とも呼ばれることになる有力官僚ながら、歯に衣着せぬ物言いとざっくばらんな態度から、野武士然とした官僚らしからぬ男。彼はあくまで国家のために、そして有用な人材を生かすべく奮闘するのだが、彼の言動は政財界との軋轢も産んでしまうのだった。。。
世間一般の官僚のイメージとはかけ離れた主人公。これでうまくやっていけるのかと心配していると、案の定彼の理想の実現は暗礁に乗り上げるのだが、まあ今の目で見るとフランス式経済というのもどうかなとは思う。でもそんな彼も権益争いやら順送り人事からは完全に自由になれていないところが、やっぱり官僚か。と思ってしまった。それにしても反主人公派の暗闘は当然として、彼が目をかけたある人の態度はどうにも納得がいかないな。

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2024年11月24日

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全力で働く男たちを描いた小説。
現代とは背景が大きく違うので理解が追いつかないところもあるが、理想に燃え夢を見て働く格好良さに感動した。

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2024年06月29日

Posted by ブクログ

忖度無しにがむしゃらに働く男の話で面白い。
主人公は時代の変化を読み取れない一面あり。
ただ、信念を持って仕事に向き合いたいと思わせる本です。

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2024年03月16日

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昭和的価値観がイメージするThe官僚世界。実力以上に根回しや権利者への立ち回りが物を言う。令和のコンプライアンスからするとNGか?と思う箇所はいっぱいあっても案外霞が関ではまだまかり通る思考だったりするのでしょうか。
数年間の積読を経て何故今手に取ったのか我ながら不明なのだが、落ちぶれつつある日本を憂いながらも回復できる要素を当時の霞が関から模索したいと思ったのか。
ことを成すにはタイミングが大事でそれを掴みそこねたら結局は老兵は去りゆくのみなのかと少し落胆もした。

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2023年01月04日

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人として生きていくのか、国家のために物として生きていくのか。常に両極端な生き方を要求されていた時代。理念でも、行動でも組織は纏まらない。大切なのは、やはり両者のバランスなのだと、感じさせられる。

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2022年09月07日

Posted by ブクログ

経産省カルチャーの中で働くことになってしまったので、読んでみた。

古い、男臭い、独りよがりな、偉そうな、ブラックな、そういう場所。そういう人々。ホモソーシャル。

特に人事カードで人事を我が物にしようとする風越の態度が、現代においてはもはや腐敗臭を放つ。

30年代の経産省がこうであった、ということは理解。諸々の規制が国内企業の育成に役立ったと。

現代の経産省官僚の役割ってなに?彼らに何ができるのか?政治家につつかれて補助金を出してるようにしか見えないけど。今の彼らが、天下国家のために何を為しうるのか、書かれてある本があったら読みたいものだ。

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○地球は通産省を中心に回転していると考えている男(こういう人は今もいる)

○開戦直前の燃料局長、東は、開戦に徹底的に反対(それは知らなかった。その事情をもっと知りたい)

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2021年08月29日

Posted by ブクログ

古いけど古くない。
自分ができることは思っているよりもっと少ない。信念を持ち努力を続けつつ、謙虚に。休みながら。

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2021年01月31日

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