城山三郎のレビュー一覧

  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    三井物産から旧国鉄の総裁まで歴任した
    石田禮助氏の生涯。
    タイトルは国会で代議士を前に初登壇した際のコメント
    続いて「国鉄が今日のようになったのは、諸君たちにも責任がある」と気骨ある発言。
    男です。

    0
    2019年03月21日
  • 毎日が日曜日

    Posted by ブクログ

    題名だけを見てどんなに楽しい小説だろうと予想したらそれは見当違い。社名に奮闘する大商社社員のそれぞれを書く。
    毎日が日曜日の意味は主人公が閑職とも見られそうな日本のある都市の支店長を拝命することからきている。が、実際には組織の板挟みの中でそんなことを感じる余裕は全くなし。海外生活が長く日本に馴染めない家族も悩みの種となる。
    主人公の転勤を嘲る同期社員、会社生活にピリオドを打つ先輩社員も、主人公の対比となりそうなのに順風満帆とは行かない。
    時代設定が今より古いという反論はありそうだが、会社勤めのジレンマを描いた小説。

    0
    2019年03月04日
  • 総会屋錦城

    Posted by ブクログ

    城山三郎は”男子の本懐”のような重厚な歴史小説も書けば、本書のような大衆の生活を描く社会小説もありとてもバラエティに富んでいる。事故専務などはこんな職業もあるのかと考えてしまう人生の悲哀さを物語っている。昭和末期の高度経済成長期の日本の様子もよく分かった。自主規制、MADE IN Japan、負けるとは一発屋に成り下がること、不意な死、死への恐怖がとりわけよく書かれていると感じた。

    0
    2019年01月13日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

    Posted by ブクログ

    2014.12 記。

    サラリーマン小説の書き手としてはやはり城山三郎氏は別格だと思う。
    本書の主人公石田礼助は元三井物産社長という生粋の商社マンにして、請われて国鉄総裁に就任。戦後の混乱期、初代総裁が「不審死」するような時代だった。大赤字と非効率経営がはびこるなか、国会で議員を前に「国鉄が今日のような状態になったのは、諸君たちにも責任がある」と言い放った男。彼の奮闘を描く。

    「能率を上げるにはね、全体の統制を乱さない範囲において、独断専行をできるだけ許す」。戦前に満州の大豆投機で稼ぎまくったビジネス感覚を国鉄に持ち込むべく腐心する。それは赤字路線のバスへの切り替えから青函連絡船の安全スペッ

    0
    2019年01月05日
  • 冬の派閥

    Posted by ブクログ

    社会と組織と人間の関わり合い。

    組織人として心に留めるべき成語。
    【四耐四不訣(曽国藩)】
    耐冷、耐苦、耐煩、耐閑、不激、不躁、不競、不随、以成事

    0
    2019年01月06日
  • よみがえる力は、どこに(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    久々に読書欲が満たされた!
    偉人、奥様、戦争の話。二つ目はそうか、もう君はいないのかの補遺的なもの。
    これらは全く違う本でそれぞれ面白い。

    0
    2018年12月15日
  • 冬の派閥

    Posted by ブクログ

    幕末の尾張藩を描く。
    親藩筆頭の尾張藩の動きは、影響力も大きかったであろう。幕府と朝廷の間に挟まれて、大変だったであろう。自らの藩の動きももちろん考えなければならない訳で。
    組織とは、様々なしがらみがあり、上手く立ち回るのは本当に難しい。

    0
    2018年12月08日
  • 打たれ強く生きる

    Posted by ブクログ

    ・平素から十分、部下についてよく観察し、よく勉強しておかなければならない。どんな育ちで、どういう家庭で、どんな生活をしているか、何を勉強し、何に興味を持ち、どんなつき合いをしているか、等々。できるだけ深く、くわしく知っている必要がある。つまり、部下をまるごとのみこんでおくということで、そうなってしまうと、たとえイヤな部下でも、イヤなやつと思えなくなる。そのとき、部下ははじめて「この上役のためなら」と、本気にいいアイデアを出してくれる
    ・ひとをほめるときは、思いきって、手放しでほめ上げ、ひとをその気にさせる。だが、注文は容赦なくつける
    ・どんな仕事に就かされても、どんな土地へ行っても、必ずその行

    0
    2018年11月04日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

    Posted by ブクログ

     城山三郎という作家を語れるほど知っているわけでもないが、この人の書くテーマは「志」なのだと思っている。「孤高の」と付け加えても良いのかもしれない。
     冒頭、素封家の一人息子大原孫三郎、気が強くわがままいっぱい、東京の学生時代に周囲からいいように金を毟り取られて高利貸しに一万五千円と、時の総理大臣の年収一年半分の借金を積み上げ、その整理に当たった義兄が高利貸しとの交渉中に急逝して悄然と倉敷に帰る場面がさらりと書かれている。
     単なるイントロではなく、この時期あっての、後の大原孫三郎と、読み進むうちに理解ができる。
     大金をポンポン出すのはカネが有り余っているからだろうと思っていたら、晩年所有の

    0
    2018年11月04日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

    Posted by ブクログ

    23歳で特攻で散った関大尉と中津留大尉を中心としたドキュメント.城山三郎の渾身の一冊.経済小説のイメージが強いが自身の経験も踏まえた戦争関係の著書も多い.改めて強く戦争の不毛さをしる.

    0
    2018年10月09日
  • 毎日が日曜日

    Posted by ブクログ

    30年以上の前の作品なので設定自体は少し古いが,総合商社を舞台として,ビジネスマンにとっての“幸福な人生"とは何かを探求.最近経済小説と言えば池井戸潤が席巻しているが,元祖はやはり篠山三郎.その重厚感は流石.

    0
    2018年10月09日
  • 雄気堂々(下)

    Posted by ブクログ

    渋沢栄一の半生を描いた本。
    下巻は明治維新以降の話だった。

    慶喜に仕えていた栄一が才能を買われ官僚の仲間入りをし、自分の地位を守るために人を殺したり争いをしている周りに嫌気がさし、民間人として銀行業を始めることになった。
    どんな状況でも柔軟に対応しながらも、世の中のために働く信念は曲げず貫いていた。
    確立された地位を築いてからも分け隔てなく人々の意見を聞き、みんなが納得するところへ話を落ちつかせる仲介役ばかりになっていた。

    私利私欲のためでなく、世のためにと思うからこそ行える数々の偉業に見習うべきことがたくさんあった。

    0
    2018年07月03日
  • 雄気堂々(上)

    Posted by ブクログ

    渋沢栄一の半生を描いた本。
    上巻は討幕まで描かれていた。

    何事にも一生懸命に取り組み、世のため人のために討幕を掲げていたが、ひょんなことから徳川慶喜に仕えることになった。
    死を覚悟してまで討幕を決意していた栄一が、目まぐるしく変化する世の中に合わせて自分の考えを柔軟に変化させ、使えた先で一生懸命働く様が格好よかった!

    0
    2018年07月03日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

    Posted by ブクログ

    2001年に小説新潮に短期集中連載された城山三郎氏の小説。日本海軍初の神風特別攻撃隊「敷島隊」の隊長だった関行男と最後の「第七〇一航空隊艦爆分隊」の隊長だった中津留達雄、2人の人生を中心に特攻に関わる海軍の動向を描いたものです。他にも様々な特攻隊員や特攻兵器が登場します。他の特攻を扱った作品と異なるのは、特攻隊員の家族のその後をきちんと描いているところだと思います。特攻を美化することもなく卑下することもなく淡々とした文章ですが行間から作者の気持ちが溢れてきます。作者の丹念な取材による優れた作品です。

    0
    2018年06月21日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

    Posted by ブクログ

    城山三郎 による 大原孫三郎 伝記。社員重視の経営、大原美術館、孤児と貧困の支援に裏打ちされた 善の生き方が描かれている

    決断力の強さ
    *人の心は水と同じ〜急流でなければ 何事も転回できない
    *事業は何より度胸であり、決心である

    人に目を向けた経営
    *工場内に 職工教育部をつくり 学校教育に見合う勉強
    *金は使うためにあるのであって、人は金に使われるためにあるのではない
    *会社は 労働者と資本家が共に働き 利益を上げる場所

    息子 總一郎氏の創立記念日の挨拶(社員への最期の言葉)が素晴らしい
    *会社は〜存在理由があるか〜働く人が生きがい働きがいを感じているか
    *職場が人生の全てではないこと

    0
    2018年06月21日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

    Posted by ブクログ



    明日、死ね。
    国家のため、国民のため。皇国の軍人として散れ、と。
    いきなり、告げられるのである。
    昭和2年生まれの昭和を丸々生き抜いた著者自身の海軍体験を散りばめながら、神風特攻隊として殉じていった海軍兵学校の同期生二人の人生を対比しながら、綴られる一冊。
    本書中にも記されているが、茅ヶ崎でかつてサザンオールスターズを誘致して球場でライブを行ったことがある。その際、照明演出のために二射の光線が上下左右、夜を飛び交った。
    かつて戦中、この球場は対空砲ではなく対水上の敵機を撃つ為の海軍の高角砲陣地であった。
    探照灯である。
    遠浅の茅ヶ崎海岸は、米軍の日本本土上陸作戦コースに予想されており、海岸

    0
    2018年05月07日
  • 雄気堂々(下)

    Posted by ブクログ

    ●2018/5/1
    再読。
    なんだろう?
    城山にしてはおもしろくない。
    両渋沢のキャラクターは好きだわ。

    0
    2018年05月02日
  • 男子の本懐

    Posted by ブクログ

    静の浜口、動の井上。大事を成し遂げるには、揺るぎない覚悟と強力なパートナーが必要ということかと思った。

    0
    2018年03月22日
  • 硫黄島に死す

    Posted by ブクログ

    痛ましい戦争を知らない世代としてはその生々しい描写を読みながらも今の恵まれすぎる生活と比較してなんともいえない気分になる。有り難いという気分もないではないが、それ以上にどんな言い訳を以ってしても戦争という選択肢を選んではいけないし、このような現実の戦争と関わる小説を通して平和の大切さを認識し続けなければならないと感じる。
    「草原の敵」での敵少年兵を人殺しの練習に使おうという発想、極限状態で出現する人間の持つ残忍さに寒からしめられる。
    最後の「断崖」は戦争絡みであろうと勘ぐりながら読んだので何か肩透かしされた気分で、この本に収録するのは適切でない気がする。

    0
    2018年03月17日
  • 無所属の時間で生きる

    Posted by ブクログ

    久しぶりの城山さんのエッセイです。ここに書かれているエピソードが正に当てはまるステージに立ちつつあるので、そこここで気になるくだりがありましたね。とはいえ、よほど気持ちを本気で入れ替えないと「無所属の時間」は過ごせないでしょう、私の場合は。しばらくぶりに「毎日が日曜日」を読み返しますかねぇ。

    0
    2018年01月25日