あらすじ
近代日本最大の経済人渋沢栄一のダイナミックな人間形成の劇を、幕末維新の激動の中に描く雄大な伝記文学。武州血洗島の一農夫に生れた栄一は、尊皇攘夷の運動に身を投じて異人居留地の横浜焼打ちを企てるが、中止に終った後、思いがけない機縁から、打倒の相手であった一橋家につかえ、一橋慶喜の弟の随員としてフランスに行き、その地で大政奉還を迎えることになる。
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新札の顔、渋沢栄一について描いた城山三郎の代表作。タイトルの威風堂々は栄一が好んだ「雄気堂々、斗牛を貫く」という詩から採られたものである。渋沢栄一というと日本初の銀行を設立、日本の産業基盤を作ったという功績の方に焦点が当てられるが、この小説では幕末期の栄一の動きに物語の半分ほどが充てられており、ある種の青春小説としても楽しめた。平岡円四郎、原市之進、徳川慶喜、大隈重信、井上馨、江藤新平、大久保利通、西郷隆盛幕末・明治初期の人物たちが栄一をどう見出したかあるいは栄一は彼らをどう見ていたかも知ることができた。
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日本産業界の父と言われた渋沢栄一翁一生を描いた長編小説。
若かりし頃、若気の至りで憂国の志士として高崎城乗っ取りを計画するが挫折。
知恵と努力と誠意で大成し大人物として育って行くが大河ドラマ「青天を衝け」にて詳しくドラマ化されましたが原作はこの城山三郎版の渋沢栄一だと思われます。
平岡円四郎、徳川慶喜との縁から、徳川昭武公のフランス留学に付き添い自分の道を切り開いて行く。
海外留学で学んだ事を元に、姑息な事はせず正々堂々と自分の考えで世の中を渡って行きます。
大隈重信、井上薫、伊藤博文等明治の元勲の知己を得て国づくりの神として体制づくりで活躍後、民業に出て日本産業の近代化に多大な貢献をした。
自分を曲げない強さを持ちながら私欲に走らず、公の利益を考えて行動するスタイルで多くの人から好かれ、非常に大きな事を成し遂げた渋沢翁の生き方に憧れます
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幕末の面白さに惹かれて、渋沢栄一のことも知りたいと思い本書を読んでおります。上を読み終えたところです。
幕末、武士道みたいな精神で、これだ!と決めたことに突っ走っていく人が多いなか、渋沢もその考え方から、横浜で焼き討ちを計画する。
でも、新しいことを知って、渋沢は自分の立ち位置を変えていく。時代の波に揉まれながら、自分の立ち位置で成果を出そうとする熱心さと、柔軟な考え方は見習いたい!
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渋沢栄一の結婚〜パリ留学・大政奉還後に租税正に任命されるまでを描いた伝記小説。
途中、「わたし(著者)」が登場するのに戸惑ったが、
全体的に人物が魅力的に描かれていて、物語に引き込まれていった。
下巻にも期待。
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現代日本につながる実業界を作った渋沢栄一。武州血洗島出身、幕末は志士であったという。エネルギッシュな渋沢の波乱の生涯を描いた長編歴史小説。
上下巻の上巻。
大河ドラマ「青天を衝け」の渋沢栄一、日本経済、実業界の創立の立役者。武州中山道の宿場町深谷宿の北の血洗島の豪農の家に1840年に生まれる。
自分にとって渋沢は明治の人。調べてみたところ、意外にも高杉晋作、久坂玄瑞、沖田総司と同世代だった。
本書を読み渋沢も志士だったことを知る。
幕末に開国。攘夷、威信の風は空っ風の吹く関東地方にも及ぶ。栄一ら若者は江戸への遊学や武芸の修行者との出会いを通じ、世の中を変えようと思い至る。
一つ間違えば清川八郎と共に京に上り、新撰組の一員となっていたかもしれない。
栄一たちの計画は高崎城を奪って南下、横浜の外国人居留地を焼き討ちすること。直前で断念し一転逃亡の身となる。京に逃げるために思い付くのが少しだけ面識のあった一橋慶喜の家臣である平岡円四郎。渋沢と従兄の喜作は一橋家に雇われ関東を脱出。討幕の志士が一転、最後の将軍の家臣となる運命の変転が実に興味深い。次第に家中で表し慶喜の弟昭武の随行で渡欧し、明治維新を迎える。
欧米の風俗、制度に触れたことが維新後の渋沢の運命を大きく変える。貴人情を知らずと思われた慶喜の深い愛情、渋沢を抜擢したが暗殺される一橋家家臣の平岡円四郎と原市之進。
渋沢の同志たちの多くは、天狗争乱、戊辰戦争や彰義隊、振武軍などで命を落とす。それは一つ間違えれば渋沢の運命でもあった。
成功者の自伝や伝記を読むと、成功する人は生まれてからまっすぐに進路を取り偉人となったかのように錯覚するが、実際は右に左に大きく触れ、わずかばかりの実力と大きな運が必要であることを強く感じさせる。
面識のなかった大隈重信に抜擢され明治新政府に仕えることとなった渋沢。
上巻はここまで。
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・精神だけではあきたりぬ。実が伴わなければうそだ。
・仕事は与えられるものではない。つくり出すものなのだ。
・思いきり能力の開花できる仕事にたずさわれるのは、人間としての生き甲斐である。
等、心に響くフレーズ多数でした。単純に、読み物として面白いです。
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幕末維新激動の中、渋沢栄一が武州の一農夫から明治新政府の一員(租税正、今で言えば財務省主税局長)として招かれるに至る迄がこの上巻で描かれる。尊王攘夷に燃え仲間と共に討幕の行動を起こす決意をしその機を常に窺い乍らも世の中は目まぐるしく変化し続け、なかなかその意を遂げる事が出来ない。しかしそんな中でも、栄一は世の中の動きを常にキャッチアップして、初志貫徹する事の武士としての潔さ等に縛られる事なく、今どうすべきかの方向性を柔軟に修正する事が出来る。そんな思考・行動特性が、回りの若くして散っていった仲間に比べて、僥倖とも言える程の境遇に導いて行かれる事に繋がるんだなぁと思う。
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自分の変わり方について「生も大いに老練用ゆるところこれある人物に相成り申し候」と書く。
老練とは久しく経験を積み、物事になれて巧みなこととある。
環境は人格形成に影響する。広い視点を養うようにしたい。
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来年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公、そして新1万円札に決定した渋沢栄一の前半生を描いた「雄気堂々」上巻。近代日本最大の経済人であり、そのダイナミックな人間の形成を激動の中に描く雄大な伝記文学!
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国の行く末までも自分ごと化できるすごさ。
来年の大河ドラマの予習もかねて。
先に読んだ著者の『落日燃ゆ』が素晴らしかったのも作用して。
熱量がすごい。国を憂い、自分たちがなんとかするんだ!という思い。本当に熱い。すごい。
自分自身のこと、他人のこと、所属する組織のこと、働いている会社のこと、住んでいる地方のこと、国のこと。どんなことでさえ自分ごととしてとらえ、考え、行動できるはずなのに、してない人が多すぎる。もちろん自分も含めて。
昔の人は偉かった。
と、手放しで礼賛するつもりはないが、この自分ごと化して行動できる強さ、見習い自分も同じく行動していきたい。いく。
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渋沢栄一の30歳くらいまでの出来事を、いろんな登場人物を交えて描かれたわかりやすくて面白い小説。
小説の読み始めは、読みにくい。
栄一の家族や栄一が暮らす村の人々など、登場人物が多くて脳内渋滞を起こしてしまった。。
ただ、それらの登場人物が織りなすエピソードが読み進めていくうちに、どんどん面白くなっていく。
江戸時代末期の激動の時代、薩長同盟とか大政奉還とか歴史の教科書で学んだ時代の、歴史の教科書に書かれていないストーリー。
教科書で学んだことのある、幾人もの人物と栄一とのやりとりが、栄一を成長させる。そして、読者(自分)に当時の各地方や政府、幕府の関係性の理解を促してくれる。
はやく下巻読みたい。
(敬称略です)
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「日本資本主義の父」とも称される渋沢栄一の伝記的小説。しかし、ただの伝記的小説ではなく、良質の幕末・明治維新を巡る青春群像劇であり、著者が「あとがき」で述べているように「ひとつの人格形成の物語であると同時に、国家形成、時代形成の物語である。あるいは、組織形成の物語ともいえる。」
そもそも一農夫であった渋沢栄一が、過激な志士、徳川慶喜の家臣、幕臣、大蔵官僚、実業家へと転々とする人生を送っていたことを、本書を読んで初めて知ったが、その波乱万丈の人生自体が面白い。そして、著者の読ませる文章がそれを引き立たせている。
また、いずれの脇役もなかなか魅力的で、時々脱線しながらも、様々な登場人物を深掘りする描写も悪くない。
そして、本書で紹介されている、渋沢栄一の「精神だけではだめ、実が伴わねばうそだ」という考えや「やりがいのあるたしかな仕事がなければ、自分でつくり出せばよい」という姿勢などについては、生き方として参考にしたいと思った。
上巻の最後で出てくる、渋沢栄一が大隈重信から「八百万の神々の一柱」として大蔵省への出仕を説得され、渋沢栄一もそれに感化されるというエピソードが、一番心に残った。
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僕の大好きな渋沢栄一の小説です。
農民から立身出世して大成していく姿は秀吉に通じます。
最近歴史小説は戦国時代から幕末明治に興味が移ってます。
やっぱり人の生き死によりもいかに政治的に勝ち抜くかという方が現代に通じます。
自分で仕事を作って上に認めてもらっていく姿は見習わないといけません。
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渋沢栄一が新政府の大蔵省に勤めるまでの話
尊王攘夷を唱えて倒幕に立ち上がったが、慶喜に仕えることになり、幕末の動乱期を京都で過ごし、ヨーロッパへ留学し、帰国後に新政府に仕えることになった、その時32歳。
倒幕の志し高くとも百姓一揆で終わっては命がもったいないとして、死に場所を探していたともいえる京都での日々。一方で、仕事は自分で作るものとして、建白魔と言われるほど上役に現状の課題と対策を提案した。
ただの百姓だったところから、幕末の動乱を老練に生き抜いた
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渋沢栄一の若い時には好奇心旺盛だった事は隠せない。世の中の変化を視る為「旅」江戸から京都、そして幕末変化に末端でも役立つ立場を得るために慶喜の部下としての采配、財務対策を手掛けたことが将来の道を築いたと言える。その一つが慶喜の弟昭武との2年に及ぶフランス遊学へと繋がる。選ばれた理由は「百姓上がりの勾者だが調停役に役立つ」と栄一は理財と舌弁に長けた人物だった、と言える。(下巻に続く)
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若い頃幕末志士とは知らなかった。新撰組の近藤勇とともに行動してたのも意外。ただこの頃から志だけではなく実もないと意味がない、論語と算盤の礎がある。
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今年の大河ドラマの主人公渋沢栄一の業績を振り返ろうと、76年刊行の文庫を棚から取り出し、約30年ぶりに再読。
しかし、字は小さく(1行43文字)紙面は褪色、読みづらいので仕方なく(笑)2003年改訂版を購入。
こちらは1行38文字で、たった5文字の違いながらはるかに読みやすかった。
上巻は、血洗島の農家に生まれた栄一が、勤王の志に目覚め、やがて一橋慶喜に仕え、慶喜の弟明武に随行しフランスに行き、維新を迎えるまで。
日本資本主義の父と言われる渋沢栄一だが、若いころは攘夷を掲げ、横浜の外人居留地の焼き打ちまで計画していたとは。
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農民の出である渋沢栄一の士農工商から尊王攘夷そして実業家に変遷していく大きな変化の時代にどう行動していくのかが分かる物語であった。第一銀行、論語、千代、市郎右衛門、伊藤博文、一橋慶喜、横浜焼き討ち、新選組、蛤御門の変、近藤勇、土方歳三、大隈重信、フランス行き、等歴史がよく分かった。
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4.0
渋沢栄一の生涯と幕末の動乱を描いている。
久しぶりの時代小説であったが、比較的読みやすい。
子供の頃に薄い歴史漫画で渋沢栄一について読んだ事があったが、一橋慶喜に仕えていたとは知らなかった。
時代に翻弄され流されつつもその先で自身のやることを見つけ、作り挑んでいく様や固い意思をもちつつ柔軟に自分の置かれた状況を咀嚼して進んで行くところはどの時代にも通ずる重要な性分だと思った。面白い。
青天を衝けを見ようかと思う。
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2024年!新一万円札の顔になる渋沢栄一!
500以上の会社設立に関わった、近代日本経済に多大な影響を与えた人です。
劇的な人生で、只々「めちゃくちゃすごい人だな」と思いました。
大きく変化している現代は、渋沢栄一が生きた時代と似ており、参考になることがあると思います❕
ぜひぜひ読んでみてください
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NHKの大河「青天を衝け」を見て、渋沢栄一の人生を知ろうと本書を手に取りました。尊皇攘夷の考えから横浜の焼き討ちを計画したり、ひょんなことから一橋慶喜の家臣となり、慶喜の弟のお供でフランスの博覧会視察とそれに続く留学、帰国後、既に大政奉還した慶喜を追って静岡、その後、時の政府大隈重信に呼ばれ、租税正(今なら大蔵省主税局長)に任じられる。建白魔の渋沢栄一がどの様に青天を衝いていくのか、政治と経済、道徳をどの様に考え、歩んでいくのか下巻が楽しみです。
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農家に生まれ、幕末の尊王攘夷の活動を主導しながら、幾多の同志の死をまのあたりにするも生きながらえる。時代の流れに乗り、自らの実力と運で幕臣となり、さらには新政府の中枢に誘われる。2019.12.13
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渋沢栄一というと、
聞いたことはあれどなにをした人かは正直よく知らなかった。業績は多岐にわたるが、
第一国立銀行のちの第一勧銀を設立したのが一番の功績なのだろうか。
この本は渋沢栄一の生涯をなぞった小説だが、
農家→尊王志士→徳川家に士官→大蔵省完了後→民間で事業に携わる
といった生涯の変遷に驚く。
これだけ立場を変えても人々に慕われて尊敬されたのは、よほどの能力と人柄があったのだと思う。
本の一節に、
志を心の中に立たせるのは容易い、
実際にどうやったら立つかを考えないと意味がない。
というような内容がある。
彼の一生はそれを追求した結果として、
立場がころころと変わることになったのだろう。
城山三郎さんの本なので内容はいつものようにお墨付き。新紙幣一万円の肖像となる渋沢栄一について知りたければぜひ。
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渋沢栄一の半生を描いた本。
上巻は討幕まで描かれていた。
何事にも一生懸命に取り組み、世のため人のために討幕を掲げていたが、ひょんなことから徳川慶喜に仕えることになった。
死を覚悟してまで討幕を決意していた栄一が、目まぐるしく変化する世の中に合わせて自分の考えを柔軟に変化させ、使えた先で一生懸命働く様が格好よかった!
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渋沢栄一の生涯を描いた歴史小説。上巻は武州血洗島での誕生から、幕末、明治新政府での若き官吏時代に入るまで。
攘夷強硬派→一橋慶喜家臣→フランス留学→明治新政府での大隈からの協力要請
一介の農民が一橋慶喜に取り立てられる件は興味深い。慶喜の周りに開明的な側近、平岡円四郎や原市之進やがいたことはあまり知られていない。彼らが早くに暗殺されていなければ(しかも内ゲバ)、世の中も変わっていたかもしれない。
本書では、渋沢栄一だけのことでなく、幕末維新の全体の動きもよく捉えられていて頭の整理にもなる。
渋沢栄一のような偉人の生い立ちはどのようなものだったのか。
若い時から「建白魔」であり、自分の意見を発信する意欲が強かった。
フランスへの留学が、後世、偉大な実業家になるに大きな影響を与えていたことは間違いない。
(以下引用)
・井上馨が総理になろうとするときであった。明治の元勲たちの中で、井上ひとりがまだ総理になっていなかった。・・・(井上)「渋沢が大蔵大臣にならなければ、引き受けぬ」といった。元老や重臣たちは、入れ代り渋沢説得にのり出した。「きみがやれば井上も総理になれるのだから」と。
(渋沢)「わたしは実業家で通す決心です」
・(渋沢夫人)「お父さんも論語とはうまいものを見つけなさったよ。あれが聖書だったら、てんで守れっこないものね」
論語には夫人の指摘する通り、女性に対する戒めはない。
・平岡もまた、京都へ来て以来、人材登用の必要性をいっそう身にしみて感じていた。薩摩・長州・土佐など、有力諸藩を動かしているのは、いずれも、身分の低い下士上がりの若手たちである。それに比べれば、一橋家も、幕府も、人材らしい人材が居ない。・・・若くて根性があり、頭の切れる若者が、欲しい。その手はじめの一人が、栄一である。
・「天下の権、朝廷に在るべくして在らず、幕府に在り。幕府に在るべくして在らず、一橋に在り。一橋に在るべくして在らず、平岡に在り」と世間にうわさされるほどの人物で、このとき、(平岡円四郎は)四十三歳の働きざかり。
・平岡円四郎も原市之進も、一をきいて十を知る聡明なひとであった。相手の顔色を見ただけで要件がわかるといわれた。先が見えすぎ、ひとの先廻りをする。そのため、かえって、ひとにきらわれるという面もあった。
・(大隈重信が渋沢を大蔵省に招聘する際の言葉)
「新政府がやろうとしていることは、すべて知識も経験もないことばかり。何から手をつけてよいかわからぬのは、きみだけではない。誰もが、わからん。わからん者が智慧を出し合い、これから相談してやって行こうとしている。つまり、われわれみんなが八百万の神々なのだ、きみも、その神々の中の一柱として迎えた」
「知らぬからやめるというなら、みな、やめねばならぬ。やめたら、国はどうなる」
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一万円札になった渋沢栄一のことを学びたくて読みました。
幕末の頃の方だったんですね。
と、この程度の認識で読み始めた私ですので、城山三郎の文章はやや難しかったかな。もう少し事前に知識を入れてから読んだ方が楽しめたかも。
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大河ドラマで取り上げられたのをきっかけに読んでみた。渋沢栄一の名前は知ってはいたが、この本を読んで初めて功績の一端を知った。財閥が誕生し肥大化して行ったご時世に、論語と算盤の思想で資本主義の種を蒔いた偉大な功績に感銘です。
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成功は社会のおかげ。成功者は社会に恩返しすべきだというのが、渋沢の素朴だが強い信念であった。
渋沢はよく言った。私が、もし一身一家の富むことばかりを考えていたら、三井や岩崎にも負けなかったろうよ。これは負け惜しみではないぞ。と。渋沢にはそれだけの能力があった。設立し関係した企業五百、同じく関係した公共、社会事業六百といわれ、近代日本の無数の礎石を築いた人だからだ。三井、岩崎、住友など大財閥の一族でも男爵どまりである中で、経済人でたった一人、子爵に抜きん出たのが渋沢だった。渋沢は多くの慈善活動をしたが、ただ大金を出すだけではなく、いかに効果が上がるかを考えた。
下巻は、主に三菱との争いだ。三菱率いる岩崎弥太郎は、衆議による会社運営ではなく、全て社長専決でやっていくという主義。対して渋沢は、合弁会社が一番いいという主義で、全く反りが合わなかった。あくまで、日本の発展を目指す渋沢、三菱が発展すれば良いという岩崎、その辺の違いが最終的な評価(叙爵)になったのかなと思う。
全二巻