城山三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
短編集ということもあり、特に前半2話は「これから」というところで終わっているので、中途半端感は否めない。
しかし、いずれも考えさせられるものはある。
4話の主人公はいずれも、企業においてそれなりの地位にたどり着いた人物あるが、四者四様で、何としてでもトップへ登り詰めようとする者、平凡ではあったがあることがきっかけで欲が出た者、醜いほど自分の地位にしがみつこうとする者、自分の地位に影響することは全く無いはずなのに不必要に意識する者、いろいろである。
どの話も人間の醜さが描かれているが、同時にそれが人間の弱さでもあり、本質でもあるかもしれない。
ゲーム理論でいう「最適な選択」とはおよそ言え -
Posted by ブクログ
ネタバレずっと読もうと思っていた本です
事の良し悪しは別に、現代の財界人の発言に道理や筋を感じないもので…
石田礼助
明治~昭和を生きたカッコいい男の不器用かつ天衣無縫の仕事ぶりを描いています
もう、物語どうこうではありません
国鉄時代の直近の部下に
「ずいぶん多勢の人に仕えたが、あんなに気持ちのいい人はいない。毎朝、石田さんに会うのがたのしみだった。生涯、あの人ほどの人物にめぐり会うことはないだろう」P162から
周囲から、このように評される人物に私はなれないし、会えてもいない…
(私も言いたい放題系であるが、徹底的に人望がない。 器が小さいんだわ)
くせ者も多かったであろう当時の代議士や -
Posted by ブクログ
近畿日本ツーリストの創業者、馬場勇。
社史を基にした戦後企業の物語。
戦前戦後のこの辺りの起業した男たちの物語は熱いね。現代の日本企業の礎を築いてきたその変遷は、熱っぽくて良い。
戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界"旅行代理店業"に切り込んでいった男の集団。
たった数人で立ち上げた小さな会社から、ここまでの企業にするには、その情熱は凄まじい。
経済小説は、今だと池井戸潤氏あたりが流行っているが、その先駆けである昭和一桁代生まれの城山三郎氏のそれは、どれもいつ読んでも古さを感じさせず、滾るものがあるな。