城山三郎のレビュー一覧

  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    紙幅の問題があったのかも知れないが、内容・量共にもう一つ物足りない。

    石田禮助は正に「粗にして野だが卑ではない」聖人君子ではないと感じただけに、もっと掘り下げた作品に仕上がった可能性を思うと残念。

    同じ著者の書いた「わしの眼は十年先が見える」(倉敷紡績・大原美術館の大原孫三郎)がよかっただけになお残念。

    東京からの出張帰りに新幹線で読み切る、感じではオススメか。

    文教堂淀屋橋店にて購入。

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    2020年12月20日
  • 雄気堂々(下)

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    来年の大河ドラマの主役渋沢栄一の、青年期から壮年期までを描いた作品。
    もともと新聞小説だったらしいが、新聞小説にありがちな散漫な作品になってしまった。上巻では栄一の妻との関係にかなりの部分が割かれているのに、下巻ではほぼ出てこないとか。
    あるいは下巻ではいきなりキーワードとして八百万の神という言葉が多発されたり。
    まあ来年の大河ドラマの予習という感じではよかったかも(実際オリジナル脚本とはいいながら、この作品を下敷きにするのだろうし)

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    2020年10月31日
  • 役員室午後三時

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    大社長として。主役として。その拘りが己自身を崩壊させる。ちょっと可哀想な部分もあるかなあ。倍返しとは似て非なるもの⁈
    今の時代において、運命共同体とは⁇といぅ難題について考えてみても面白いかも…

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    2020年09月22日
  • 人生余熱あり

    購入済み

    今の私も余熱はあるのか?

    定年を迎え再雇用でそのまま働く身にとっては眩しい景色でした。自分に見せる老後を目指します。

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    2020年08月13日
  • 無所属の時間で生きる

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    久し振りにエッセイなるものを読んでみた。
    著者の日々の生き方、考え方に触れることができて面白かった。
    自分も社会人になってから、一度だけ無所属の時間を1ヶ月ほど過ごしたことがあり、そのとき感じた解放感、本来の自分に戻れた安心感とちょっぴりの不安感、そんなことを思い出した。
    「この日、この空、この自分」…。自分に立ち返る時間も必要ということ。

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    2020年08月08日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    ネタバレ

    石田福助の生涯を描いた本。
    飄々とした人格やエピソードは読後感爽快であるが、国鉄関係の記述が少なかったのが残念。

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    2020年07月26日
  • 雄気堂々(下)

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    渋沢栄一の生涯。幕末から明治にかけて混沌とした時代に生き、特に維新以降、国の主導的立場にあった。かくあるに一徹でなく、人の意見を聞き、考え方を柔軟にできることが条件のようだ。その意味では、洋々たる人生でもなく、本書であまり良く扱われていない大久保や大隈、岩崎のように敵も多く苦労したことだろう。下巻では、途中、史実の羅列が続き退屈な部分があったが、まもなく紙幣の顔になる翁の活躍を存分に知ることができた。2020.1.15

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    2020年01月19日
  • 総会屋錦城

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    戦中、戦後直後の日本企業の社会小説7編。
    総会屋、貿易業、サルベージ会社、描かれる資本主義の実態、経済機構のからくり、組織と人間。
    昨今のコンプライアンス云々のブラック企業とは比べ物にならない。命の重さは紙よりも軽い。
    心に戦争の被害を残す戦中派世代の特異な精神構造がありありと感じられる。
    当時の息吹を感じられる一冊でした。
    昭和2年生まれの著者、城山三郎氏は海軍特別幹部練習生として終戦を迎える。
    氏の筆力があってもちろんのことだが、経験を伴っての描写を滲み出るものがあるな。

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    2019年11月02日
  • 雄気堂々(下)

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    上巻からどのような展開になるのかと思って期待していたが、割と可もなく不可もなしと言うのが感想だ。
    自分としては経済人としての渋沢栄一をもっと書き込んで欲しかった。

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    2019年08月10日
  • 雄気堂々(上)

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    ある意味で時の人である渋沢栄一を知りたくて読んでみた。
    正直知らない事が多く、驚き感心している。
    上巻は主に江戸幕府が終焉を迎える時代の栄一について書かれている。
    自分のイメージする明治時代の栄一はこれからの下巻に書かれいてる。楽しみだ。

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    2019年08月02日
  • 冬の派閥

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    御三家筆頭として幕末政治に絶大な影響力を持つ尾張藩の、勤王・佐幕の対立は、ついに藩士十四人を粛清する〈青松葉事件〉へと発展し、やがて明治新政府下、藩士の北海道移住という苦難の歴史へと続く。尾張藩の運命と不可分の、藩主・徳川慶勝の「熟察」を旨とする生き方を、いとこ一橋慶喜の変り身の早い生き方と対比させつつ、転換期における指導者のありかたを問う雄大な歴史小説。

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    2019年06月21日
  • 一発屋大六

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    私大を出て就職十二年、いまだにパッとしない地方銀行の平社員今田大六。【一発」を夢みる三十男。大六の宿直の夜、一千万円紛失事件が発生! 脱サラへの夢を豊かなユーモラスと風刺で描く。

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    2019年06月19日
  • 秀吉と武吉 目を上げれば海

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    戦国末期、瀬戸内海の村上水軍を率いて独立自存の勢力を誇っていた海賊の総大将・村上武吉。毛利一族などとの争いの末に獲得した徴税権と領土が、天下統一を狙う豊臣秀吉に奪われそうになった時、武吉はいかにして、それと戦ったのか。いかなる権力にも臣従することなく、己れの集団を守りぬいた武吉の生涯を通じ、時代の転換期における指導者のあり方を示唆した歴史小説。

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    2019年06月19日
  • 秀吉と武吉 目を上げれば海

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    きちんと歴史的な取材をした上で書かれた作品だとわかる。無理矢理にヒーローを作らず、悪役を作って盛り上げるでもなく、しかし最後まであきさせずにひとりの男の一生を描いている。
    村上武吉の境遇、生き方に共感できて、最後まで清々しかった。

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    2019年04月28日
  • 緊急重役会

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    短編集ということもあり、特に前半2話は「これから」というところで終わっているので、中途半端感は否めない。

    しかし、いずれも考えさせられるものはある。

    4話の主人公はいずれも、企業においてそれなりの地位にたどり着いた人物あるが、四者四様で、何としてでもトップへ登り詰めようとする者、平凡ではあったがあることがきっかけで欲が出た者、醜いほど自分の地位にしがみつこうとする者、自分の地位に影響することは全く無いはずなのに不必要に意識する者、いろいろである。

    どの話も人間の醜さが描かれているが、同時にそれが人間の弱さでもあり、本質でもあるかもしれない。

    ゲーム理論でいう「最適な選択」とはおよそ言え

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    2019年04月28日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    ネタバレ

    ずっと読もうと思っていた本です
    事の良し悪しは別に、現代の財界人の発言に道理や筋を感じないもので…

    石田礼助
    明治~昭和を生きたカッコいい男の不器用かつ天衣無縫の仕事ぶりを描いています

    もう、物語どうこうではありません

    国鉄時代の直近の部下に
    「ずいぶん多勢の人に仕えたが、あんなに気持ちのいい人はいない。毎朝、石田さんに会うのがたのしみだった。生涯、あの人ほどの人物にめぐり会うことはないだろう」P162から

    周囲から、このように評される人物に私はなれないし、会えてもいない…
    (私も言いたい放題系であるが、徹底的に人望がない。 器が小さいんだわ)

    くせ者も多かったであろう当時の代議士や

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    2019年05月04日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    三井物産に35年間在職し、華々しい業績を上げた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になったヤングソルジャーこと石田禮助の生涯。
    明治期から昭和初期この時代って、こういう一線を画す大物が多いよなー。

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    2019年03月01日
  • 臨3311に乗れ

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    こういうガツガツした感じはいいなあと思う。
    近ツーの社史として書かれた割に、吸収した側の近畿交通社よりも吸収された側の日本ツーリストに焦点が当たっているのは、単純に依頼者が馬場副社長本人だから?
    合併会社が軌道に乗り時が経つと、日本ツーリスト出身の役員はいなくなり、ベンチャーの名残がなくなっていくのは残念なようではあるけれど、多かれ少なかれどこの会社も同じようなもので、結局のところ会社は公器なんだなあと思う。

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    2019年02月22日
  • 総会屋錦城

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    著者は日本の経済小説の開拓者
    戦争直後の方なので小説の内容も戦後
    各登場人物たちも戦争の傷跡を抱えている

    総会屋、新聞社の飛行士、相続問題を抱える2代目社長、製造業の社長などの短編小説

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    2019年01月28日
  • 臨3311に乗れ

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    近畿日本ツーリストの創業者、馬場勇。
    社史を基にした戦後企業の物語。
    戦前戦後のこの辺りの起業した男たちの物語は熱いね。現代の日本企業の礎を築いてきたその変遷は、熱っぽくて良い。

    戦後の荒廃と混乱の中で、資力もバックも、信用もないが、先見性と野武士的勇断を武器に、新しい世界"旅行代理店業"に切り込んでいった男の集団。
    たった数人で立ち上げた小さな会社から、ここまでの企業にするには、その情熱は凄まじい。

    経済小説は、今だと池井戸潤氏あたりが流行っているが、その先駆けである昭和一桁代生まれの城山三郎氏のそれは、どれもいつ読んでも古さを感じさせず、滾るものがあるな。

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    2018年12月14日