城山三郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「日本資本主義の父」ともいわれる渋沢栄一にスポットを当てた小説。
今の埼玉県の豪農の家に生まれた渋沢栄一は、幕末の激動の世の中で農家から幕臣、そして海外留学と若かりしころを過ごす。当初は時勢のままに攘夷だった人物が、知らなかった世界に見を置くうちに志の熱さを変えなまま柔軟に方向性を買えていくのは面白い。
憎しみや利己、そういった感情論とは距離を起いて世の中を俯瞰する姿勢が、結果的に実学の世界で後世に名を残す結果に繋がったのだろうな。世の中に渋沢の名がつく財閥は耳にしないが、渋沢栄一に由来するプログラムは耳にする(どこかの大学とか。。。)
誤解を恐れずにいうと、熱い志を持ちつつ激動の世の中をいか -
Posted by ブクログ
身辺雑記のような城山三郎のエッセイ。妻に対して「〇〇させる」って表現してたり、巷のかしましいご婦人たち、女子高生たちへのミソジニーっぷりとか、旧人類男性だなと思うんだけど、そうした強気ないっぽうで彼の日常や心象のなかにやさしさや弱気やシャイっぽい部分が存在する。こんな男っていいかもね、とも思った。
本書は「無所属の時間で生きる」という。「無所属の時間に」とか「無所属の時間を」じゃないんだよなあ。そうすると恒常的に無所属という感じがするかなあ。確かに彼は、フリーの文筆家だからこういう表現になるということか。いずれにせよ、無所属の自分だけの時間でこそ、生きる、生かされるということだろう。
そもそも -
Posted by ブクログ
著者の講演録で、著書で取り上げた人物の生き方などが語られている。
広田弘毅が印象深かった。貧しい石屋の息子として生まれたが頭がよく、石屋としていい字を書くためにと口説かれて中学、高校に進学して東大に入った。在学中には、勉強会でつくった本「日英同盟と世界の世論」が外交官に感心され、満州に行ってロシアの動きを探る仕事を与えられ、その報告書は日露開戦のための資料とされた。卒業後は外務省に入り、「自ら計らわず」を信条に自らを利することがなかったが、省内の人望が高くなって外務大臣となり、その実績が買われて総理大臣となった。2.26事件の実行犯や首謀者にきちっとした決着をつけ、三国同盟についても共産主義 -
Posted by ブクログ
解説の小松伸六氏は、スーパーマーケットの経営者矢口にモデルがあるのかどうかわからない。なんて書いていましたが、どう考えてもこれ、中内功がモデルでしょ。
ルソン島での戦争体験、薬局で闇商売、スーパー設立、生きた牛肉を買って自らで加工販売、大手電器会社(松下電器)と再販(独占禁止法)をめぐり長期にわたる裁判等々。どこをとっても中内功物語だ。小説内では、裁判の結末は政治による裏の力が働いて、電器会社側の勝利となっているが、実際には松下電器側が折れる形で和解したらしい。
スーパーマーケットのパイオニアであり、一時代を築いたダイエーは、今はもうどこにもない。中内氏がワンマン過ぎ、社内にはイエスマンし