城山三郎のレビュー一覧

  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    城山三郎は一昔前の経済小説で有名だが、代表作「落日燃ゆ」のように戦後にスポットを当てる作品もある。それは、終戦当時17歳の彼も海軍の特攻部隊に身を置いていた背景があり、戦争反対ならびに戦友への鎮魂の意味もあろう。昭和19年10月25日の特攻一番機と昭和20年8月15日の最後の特攻機、それぞれのパイロットはくしくも海軍兵学校同期だった。すでに家庭を持っていたにもかかわらず23歳という若さで戦地に赴いた2人。ここから読み取れる若者の感情は「お国のために」の一言では片付けられない哀切なものだ。

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    2017年01月15日
  • 総会屋錦城

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    終戦から10年程たった時点での作品集。この作品の後、世界からエコノミックアニマルと揶揄される日本の起点が垣間見れた。経済に重きを置いたのは政治であるが、社会の中には戦争に向かった政治と同じ精神がこの時代にはまだ残っていたことが分かる。ただ、現代よりも自由に大きなことも出来たのかな?

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    2017年09月26日
  • 男子の本懐

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    「官僚たちの夏」に続く城山三郎。(はまったかもしれない)単純なので熱い展開が好きなのだろう。
    ここまで信念を貫くのは本当にすごい。よく信念を貫くとかいうが、これくらいの困難があるんだろうな。それにしても、タイトルが秀逸。

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    2016年10月16日
  • 価格破壊

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    主人公が薬をはじめとした価格破壊に挑戦する話。やはりビジネス小説が好き。面白かった。昭和44年の掲載。

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    2016年09月13日
  • 逆境を生きる

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    著者の講演録で、著書で取り上げた人物の生き方などが語られている。

    広田弘毅が印象深かった。貧しい石屋の息子として生まれたが頭がよく、石屋としていい字を書くためにと口説かれて中学、高校に進学して東大に入った。在学中には、勉強会でつくった本「日英同盟と世界の世論」が外交官に感心され、満州に行ってロシアの動きを探る仕事を与えられ、その報告書は日露開戦のための資料とされた。卒業後は外務省に入り、「自ら計らわず」を信条に自らを利することがなかったが、省内の人望が高くなって外務大臣となり、その実績が買われて総理大臣となった。2.26事件の実行犯や首謀者にきちっとした決着をつけ、三国同盟についても共産主義

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    2018年10月31日
  • 毎日が日曜日

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    出世コースから外れた中年・壮年商社マンの悲哀を描いた傑作。1980年代初頭と舞台はやや古いが、左遷・単身赴任・プロジェクト中止・トラブル処理など、商社の闇の部分にフォーカスした人間模様を描いているのが熱い。華やかな仕事をしているのは一部で、大半を地味で真面目な「兵隊」が支えている現状を、是非本書を通して知ってもらいたい。

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    2016年04月06日
  • 役員室午後三時

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    2016/2/10
    ある大手紡績企業の、独裁社長とキレ者若手社員を中心とした、社長・役員の座をめぐるどろどろした戦いの物語。
    これほどまでに裏で手を回すものなのかと驚いた。

    「サラリーマンの勝負時は、上役から質問された時、いつでも明確な答えが出せるよう常日頃勉強しておくこと」

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    2016年02月10日
  • 価格破壊

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    解説の小松伸六氏は、スーパーマーケットの経営者矢口にモデルがあるのかどうかわからない。なんて書いていましたが、どう考えてもこれ、中内功がモデルでしょ。
     ルソン島での戦争体験、薬局で闇商売、スーパー設立、生きた牛肉を買って自らで加工販売、大手電器会社(松下電器)と再販(独占禁止法)をめぐり長期にわたる裁判等々。どこをとっても中内功物語だ。小説内では、裁判の結末は政治による裏の力が働いて、電器会社側の勝利となっているが、実際には松下電器側が折れる形で和解したらしい。
     スーパーマーケットのパイオニアであり、一時代を築いたダイエーは、今はもうどこにもない。中内氏がワンマン過ぎ、社内にはイエスマンし

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    2016年02月03日
  • 無所属の時間で生きる

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    肩書から意識的に離れて、自分自身の時間を過ごすことの大切さをつづったエッセイ。

    出張時に空白に一日を作る、という点は実行してみたい。

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    2016年01月15日
  • 総会屋錦城

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    7つの小品。時代背景が、今とは大幅に異なるので、隔世感を持ったまま、同一化は出来ない。働く一人一人にそれぞれの生活、人生がある中で、会社という組織には企業経営がある。それは必ずしも、各人の個別理由を考慮にいれてはくれる訳ではない。葛藤と不条理が淡々と綴られてゆく。

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    2015年12月06日
  • 無所属の時間で生きる

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    来年からは無所属。
    フリーランス、プータロー、フリーター。
    1つ目以外の言葉の弱さはなぜなのか。


    どれにせよ、どう生きるか、どう在るかが
    充実につながる。

    絶望と希望は常に心の中に。

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    2015年12月02日
  • 無所属の時間で生きる

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    戦後の財界人、石坂泰三は、幾日か出張するとき、どこにも属さない一人の人間として空白の一日を日程に組み込んだ。著者は「もう、きみには頼まない」の中で、その時間の大切さを書いた。

    著者が文学界新人賞をもらって間もないころ、ベテラン編集者から言われたことは「自分の世界ができるまでは、テレビにはなるべく出ないことです。雑文なども書かないことです。」

    友人が「四十代の終わりからは、もう死に体も同然さ」の言葉を聞いて、さまざまなケースを取材し、死に体になった後の人生を探ったものが「毎日が日曜日」。

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    2018年10月31日
  • 総会屋錦城

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    戦後間も無くの混乱期に人々がどのように生きたかの雰囲気がつかめる。
    今では考えられないような、その時代特有の葛藤もあれば、現代にも通じる普遍的なものもある。

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    2015年08月16日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    20150720

    戦後70周年を機に読んでみた。

    登場人物が多すぎて、かなり読みずらかったが、
    特攻について、まだまだ知らない事が多かったので、あらためて戦争の悲惨さと、特攻というあまりにも悲惨でどうしようもない戦術を採用した当事者達に大きな怒りを感じた。

    二度とこのような事を繰り返さないように願うばかりだ。

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    2015年07月21日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    城山さんは、作家だったからこの本を書いたのではなく、戦後、戦争の体験だけは残したい、自費出版でもいいから書き残したいと思い、作家になったそうだ。特攻で散っていった兵士たち。その中には少年も多くいた。生きて帰ることはもともと考えられていない、人間棺桶「桜花」、人間魚雷「伏龍」。きさまらの代わりは一銭五厘でいくらでも来る、と言われ、まるで花びらのように命が散っていく。終戦を部下に知らせず特攻させた上官もいた。読んでいて腹立たしいことが多すぎて、絶対に戦争はしてはいけないと強く思った。

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    2015年04月11日
  • 秀吉と武吉 目を上げれば海

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    本屋大賞を受賞した「村上海賊の娘」を読んで、村上水軍に興味を持ったのだが、その村上水軍の総大将である村上武吉(たけよし)を描いた作品だ。
    「村上海賊の娘」では、どちらかというと策士というか、裏方として描かれていた武吉であったが、ここではメインとして描かれている。
    瀬戸内にある能島・来島・因島の三島を拠点として活動している村上水軍。彼等は瀬戸内海上での関所の役目の他に、毛利家の海上での戦いのバックアップとしても活動していた。自ら主人を持たない自由な生活を送っていたが、時代が信長、秀吉の天下統一の方向になってくるにつれ、彼等の自由な生活にも暗雲が立ち込めてくるのだった。
    時代小説なのだが、読

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    2015年03月06日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    戦争の記憶をもった人が、この世からどんどんと去ってゆき、いつしか戦争を経験した人が誰もいない世界がくるのか。それはとても怖いことだと改めて思った。この本は特攻の始まりと終わりの指揮官に焦点を当てて書かれている。早く日本が自国の弱さを悟り降伏を考えていたならば、無意味な特攻などは起きなかったかもしれないのに…。二度とこんな悲惨なことが起きないように戦争の記憶は語り継がれなければならないと心から思った。

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    2015年01月01日
  • 秀吉と武吉 目を上げれば海

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    ネタバレ

    戦国から豊富滅亡くらいまでの瀬戸内海賊の物語。

    今年話題になった村上海賊の娘が気になってこの本を手にとったのだけど、村上海賊(&毛利)の果てしない撤退戦という感じで読後感はあまりよろしくない。

    個人的には新兵衛が最後に侠気を見せてくれるのではないか?と思っていたが、最後までクズだったのが残念。
    頼広はどういう気持で島を出て行ったのか?など考えさせられるところは多々あった。
    充実の★3つで。

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    2014年12月26日
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界

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    弔辞というか伝記というか。割と今の世にもいるようなタイプの人な気がする。タイトル詐欺というかこのタイトルはもっと創業者系の伝記の方が似合う気がする。雇われにしろ創業にしろトップにはトップ同士の世界があり、他の登場人物が随分魅力的だった。筆者の書き方なのか、この人物の人徳なのか。 当然ながら旧態依然の話が多いと思いつつ、そうは改革もできない、未だこんな世界で生きてかなきゃいけない人々がいるんだよなと思うと悲しくもあり頼もしくもあり。 あ、あと亡き妻の話に割くパートが多いのはこの筆者だからこそと思った。

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    2014年12月08日
  • 外食王の飢え

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    城山氏は何故倉原を昇天させてしまったのか?二人の戦争に結論を出したのか、それとも先送りしたのか。昇の生き方に賛同したのか。沢に軍配を挙げたのか。

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    2014年09月30日