城山三郎のレビュー一覧
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著者の講演録で、著書で取り上げた人物の生き方などが語られている。
広田弘毅が印象深かった。貧しい石屋の息子として生まれたが頭がよく、石屋としていい字を書くためにと口説かれて中学、高校に進学して東大に入った。在学中には、勉強会でつくった本「日英同盟と世界の世論」が外交官に感心され、満州に行ってロシアの動きを探る仕事を与えられ、その報告書は日露開戦のための資料とされた。卒業後は外務省に入り、「自ら計らわず」を信条に自らを利することがなかったが、省内の人望が高くなって外務大臣となり、その実績が買われて総理大臣となった。2.26事件の実行犯や首謀者にきちっとした決着をつけ、三国同盟についても共産主義 -
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解説の小松伸六氏は、スーパーマーケットの経営者矢口にモデルがあるのかどうかわからない。なんて書いていましたが、どう考えてもこれ、中内功がモデルでしょ。
ルソン島での戦争体験、薬局で闇商売、スーパー設立、生きた牛肉を買って自らで加工販売、大手電器会社(松下電器)と再販(独占禁止法)をめぐり長期にわたる裁判等々。どこをとっても中内功物語だ。小説内では、裁判の結末は政治による裏の力が働いて、電器会社側の勝利となっているが、実際には松下電器側が折れる形で和解したらしい。
スーパーマーケットのパイオニアであり、一時代を築いたダイエーは、今はもうどこにもない。中内氏がワンマン過ぎ、社内にはイエスマンし -
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本屋大賞を受賞した「村上海賊の娘」を読んで、村上水軍に興味を持ったのだが、その村上水軍の総大将である村上武吉(たけよし)を描いた作品だ。
「村上海賊の娘」では、どちらかというと策士というか、裏方として描かれていた武吉であったが、ここではメインとして描かれている。
瀬戸内にある能島・来島・因島の三島を拠点として活動している村上水軍。彼等は瀬戸内海上での関所の役目の他に、毛利家の海上での戦いのバックアップとしても活動していた。自ら主人を持たない自由な生活を送っていたが、時代が信長、秀吉の天下統一の方向になってくるにつれ、彼等の自由な生活にも暗雲が立ち込めてくるのだった。
時代小説なのだが、読