城山三郎のレビュー一覧
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「硫黄島に死す」は同名小説を含む短編集で、
この間、新潮文庫の100冊フェアにも並んでました。新潮の100冊フェアも長いなぁ。
ちなみに「硫黄島に死す」は2007年12月公開予定で映画化も決まっているそうで、なんとなく見に行こうかななんて思いも。
その関係なのか、バロン西をテーマにした特別展「バロン西と硫黄島の戦い」が、北海道本別町の歴史民俗資料館で開催中(期間:2007年7月3日〜22日)なんだって。
でも、この小説で一番心に残ったのは実はバロン西ではなく、同収録「基地はるかなり」の死刑囚の「あわあわと生きる」という言葉です。
「基地はるかなり」では、特攻隊として死ぬはずの元少年兵がやが -
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神風特攻のリアルが伝わる作品だった。関行男と中津留達雄という兵学校同期で宇佐航空隊での実用教程を共にした数少ない仲間が主に描かれている。
二人とも結婚してにもかかわらず妻を残し軍の命令で特攻にでていくが関行男は特攻の幕開けを、中津留達雄は特攻の幕下ろしをするのがまさに運命か。
中津留の特攻は本当に不必要だったな。すでに終戦が決まっているのに伝達不足のために余計な突撃を強いられるのが辛い。不幸中の幸いは彼らの突撃が米軍基地に当たらなかったことか、これで当たっていたら戦後もっと厳しい制裁となっていただろう。
人間を武器として特攻させる発想に至ってしまうのが戦争という特異的な環境のせいなんだろう、当 -
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浜口雄幸、井上準之助二人の信頼関係や政治家としての覚悟は伝わるのだが、正直、この二人が命をかけた金解禁と緊縮政策が一体何のためだったのかがよくわからない。緊縮によって軍の膨張を抑えられたかも知れない、というのはあとづけであって、二人の遭難もテロの時代を呼び込んだものとも言えるし、浜口後継の若槻政権で満州事変が勃発、15年戦争が始まることを思えば、一内閣の財政政策でその後の日本の進路が変わったとも思えないのだ。じっさい政権が政友会に移ったら即金輸出再禁止となるのだが世界経済の情勢からして政権交代がなくとも早晩そうならざるを得なかったとも言える。当時まだケインジアンは主流派ではなかったが、それでも
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ネタバレ風越を中心として通産省の官僚達の生きざまを描いている。登場人物にはモデルがいて、特に政治家に関しては多少の知識があれば推察できるので面白い。また、内容自体もとても読みやすくかつ読み応えのあるものだった。馬車馬のように働く風越たち、理知的で人当たりが悪いとも言える牧、そしてワークライフバランスに重きを置き人懐っこい片山、どの生き方が正解、というのは無いだろうがやはり片山の生き方に惹かれてしまう。一方、自分の人生はどのように描かれるのか、どんな人生をこの先歩むのか、と考えたときに兎に角自分なりに個性のままに生きよう、それが例え風越たちのようであっでも、と思った。
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1975年、読売新聞で連載開始。
2010年、田原総一朗が必読の経済小説として雑誌プレジデントに掲載し、
2023年、文庫本が65刷69万部(Wikipediaより)を達成、今も増刷されている。
息の長い経済小説というのも珍しい。
テーマは商社マンの人生の幸福とは。
物語は昭和の、高度経済成長時代が終わりを迎え、日本全体がアイドル状態に入って来たるべきバブルに向かう端境期、
世界を駆け巡る商社マンたちの悲喜こもごもの毎日を描いたもの。
主人公の沖は歴戦の商社マンだが、閑職である京都支店長に転勤となり同期からは「毎日が日曜日」と揶揄される。
もう一人の主人公、笹上はサラリーマン時代から退職