城山三郎のレビュー一覧

  • 外食王の飢え

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    ロイヤルホストとすかいらーくをモデルとした外食産業の勃興の物語。コックとセントラルキッチン、人材育成と引き抜き、高級感と庶民的。相反するものに揺れながら、立ち止まることなく突っ走り成長する様がよい。それからこぼれ落ちて行く人の姿も書かれている。

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    2018年11月27日
  • わしの眼は十年先が見える―大原孫三郎の生涯―

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    倉敷というまち、大原という傑人の底知れなさをすこしでも測りたかった。時代はいつだっていたずらだ。明治末期から、昭和初期の熱い風。

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    2018年11月25日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    ネタバレ

     三井物産に35年間在籍し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった”ヤング・ソルジャー”―明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から”卑でない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。

    「朝、ミスター・イシダが来ると、全員立ち上がらんばかりのふんい気でした。ミスター・イシダは何か明らかに不満があっても、大声を出したりはしない。怒りを内に溜めていて、なぐりはしないけど、こちらはなぐられた感じがした」

     石田はとにかくオープンで、ざっくりばらん。多勢の前で、
    「おれの知識ではよくわからん。もっと詳しく説明してくれ」
     などと

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    2018年11月23日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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     三井物産に35年間在籍し、華々しい業績をあげた後、78歳で財界人から初めて国鉄総裁になった”ヤング・ソルジャー”―明治人の一徹さと30年に及ぶ海外生活で培われた合理主義から”卑でない”ほんものの人間の堂々たる人生を著者は克明な取材と温かな視線で描いた。

    「朝、ミスター・イシダが来ると、全員立ち上がらんばかりのふんい気でした。ミスター・イシダは何か明らかに不満があっても、大声を出したりはしない。怒りを内に溜めていて、なぐりはしないけど、こちらはなぐられた感じがした」

     石田はとにかくオープンで、ざっくりばらん。多勢の前で、
    「おれの知識ではよくわからん。もっと詳しく説明してくれ」
     などと

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    2021年08月08日
  • 男子の本懐

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    ネタバレ

    濱口雄幸は第27代内閣総理大臣として、1929年から1931年という世界恐慌の真只中の激動の時代に宰相を務めた人物です。

    本作では、その主要な経済政策である金解禁を実現するために、蔵相の井上準之助とともに信念を貫く濱口の姿勢が主題として描かれています。

    実直謹厳な濱口と、日銀出身で海外経験も豊富な井上。二人のスタイルは正反対ですが、金解禁を実行するために抵抗勢力と徹底に対峙する信念の強靭さが強く印象に残ります。

    濱口は1931年に東京駅にて凶弾に斃れ、題名の「男子の本懐だ」という言葉を発します。一時は回復を見たものの、死去。更にその翌年、盟友井上も血盟団の凶弾により命を落とします。

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    2018年11月10日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    三井物産の社長、会長から、

    国鉄総裁を6年勤めた石田豊助の生涯を綴った伝記。


    よく言う曲がったことの大嫌いな頑固オヤジ。だが、この人は若いときから海外で過ごし、国際感覚を持って事にあたっていたので、そのぶん大きな功績を残せたのだと思う。


    粗にして野だが卑ではない。


    あえて、粗や野になる必要はないが、

    卑ではない生き方を追求する石田豊助は確かにカッコいい。

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    2018年11月06日
  • 部長の大晩年

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    ・部下を叱る代わりに、「きみ、これまでどういう仕事してきたんや」と、訊ねる
    ・「日に日に冬が辛うなって参ります。どうぞお体をお大切に、御健康にお心をいたされますようお祈り申し上げます」「いつでも結構で御座います。もしおひまの時が御座いましたら御近情をお聞かせ下さいませ」
    ・「人間であるということが職業なんや。人間そのものの深化向上を切願する以外、何の手立てもありゃせんのや」
    ・「コーヒ店永遠に在り秋の雨」

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    2018年11月04日
  • 「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯

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    第五代国鉄総裁石田氏の生涯を辿るドキュメント。

    パブリックなものに奉仕する姿勢、使命感には強く共感し、自分もそうありたいと強く思う。卑なることを嫌い、生き方に筋が通っていると感じる。

    その一方で株で大損したり、孫を溺愛したりといった面もあり、その人柄も素晴らしいと思った。

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    2018年11月01日
  • 本当に生きた日

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    日常に追われる専業主婦がふとしたことで社会進出するが、多少の社会勉強をしつつも元の生活に戻るといった流れでストーリーからは心動かされることも教訓もないが、文体がとても読みやすく後の展開が気になって読み進めやすいと感じた。
    しかしながら前向きな友人はろくな目に合わず、元女優も、クライアントの男性も死ぬという暗い展開に。主婦素子も小説執筆が進まずで、結局専業主婦が幸せと感じざるを得ない。表紙と題名に期待して手に取ったが、勝手に想像していた内容とはかけ離れた内容と思いました。

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    2018年08月22日
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界

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    友人の薦めで手に取ってみた一冊。高度経済成長期の時代に経済界の重鎮として活躍した石坂氏の評伝。なかなか懐の深い多才な人物で、とても興味深く読めた。作者はおそらく石坂氏の中に理想的なリーダー像を思い描いていたように思う。

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    2018年07月29日
  • 部長の大晩年

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    ネタバレ

    なかなか。
    加古川出身で高砂でサラリーマン生活を送られた方で身近に感じた。こんな方がおられたんだ。
    そんなに昔の方ではないのに、随分違う世界の方のように思えてしまう。私にはあまり参考にならない。

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    2018年06月27日
  • 男子の本懐

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     高校で習った昭和史の中でも、トップクラスにその目的や影響がわかりにくい金解禁。この小説を読む前にこれらの知識を押さえておいたほうがよい。
    1、金本位制とは、同額の紙幣と金の交換を政府が保証している制度(実際に交換に行くかどうかではなく、後述の効果がもたらされることが肝要)。
    2、金本位制では、紙幣発行量が政府の金保有量と一致するため、無限定な紙幣発行はなくなる。
    3、金本位制を採用している国の紙幣は国際的にも信用が高くなり、為替相場も安定する(逆にジンバブエドルとか想像してもらうとピンと来るかも)。
    4、金本位制を日本が採用すると、外国からの原材料も購入しやすくなるので、それを加工して貿易し

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    2018年05月13日
  • 指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―

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    小説ではなくドキュメントまたはレポート

    特攻第1号としてレイテ沖に散った関大尉。
    最後の特攻隊員となった中津留大尉。
    この二人の人生や生い立ち、そして特攻機にのることになってしまった経緯、当時の戦況、さらには海軍の狂気が語られています。
    家族を残して飛び立ってい理不尽さ、切なさを感じます

    とりわけ、中津留大尉の最期はつらい。敗戦を知っていたと思われる宇垣のいわば「私的特攻」につきあわされての特攻。米軍キャンプに突っ込む直前で、その命令に背き岩礁に突っ込み玉砕したエピソードは胸が詰まります。

    戦争終結後の米軍基地への攻撃を回避したということが戦後の日本平和への軟着陸を果たしたという筆者のコ

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    2017年12月09日
  • 雄気堂々(下)

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    「日本資本主義の父」ともいわれる渋沢栄一にスポットを当てた小説。
    今の埼玉県の豪農の家に生まれた渋沢栄一は、幕末の激動の世の中で農家から幕臣、そして海外留学と若かりしころを過ごす。当初は時勢のままに攘夷だった人物が、知らなかった世界に見を置くうちに志の熱さを変えなまま柔軟に方向性を買えていくのは面白い。
    憎しみや利己、そういった感情論とは距離を起いて世の中を俯瞰する姿勢が、結果的に実学の世界で後世に名を残す結果に繋がったのだろうな。世の中に渋沢の名がつく財閥は耳にしないが、渋沢栄一に由来するプログラムは耳にする(どこかの大学とか。。。)
    誤解を恐れずにいうと、熱い志を持ちつつ激動の世の中をいか

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    2025年05月16日
  • 価格破壊

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    横並びの価格が当たり前だった時代に不断の努力で低価格を武器に挑戦する戦争帰りの男のビジネス小説。

    時代設定が相当古いので、現在にそのまま通用するような戦略はあまり無いが、過去にこうした時代があったことを知ることができる。

    やむを得ないと思うが、どうしてもビジネス小説は内容が薄く感じてしまうのが残念。

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    2017年10月24日
  • 無所属の時間で生きる

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    身辺雑記のような城山三郎のエッセイ。妻に対して「〇〇させる」って表現してたり、巷のかしましいご婦人たち、女子高生たちへのミソジニーっぷりとか、旧人類男性だなと思うんだけど、そうした強気ないっぽうで彼の日常や心象のなかにやさしさや弱気やシャイっぽい部分が存在する。こんな男っていいかもね、とも思った。
    本書は「無所属の時間で生きる」という。「無所属の時間に」とか「無所属の時間を」じゃないんだよなあ。そうすると恒常的に無所属という感じがするかなあ。確かに彼は、フリーの文筆家だからこういう表現になるということか。いずれにせよ、無所属の自分だけの時間でこそ、生きる、生かされるということだろう。
    そもそも

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    2017年09月23日
  • 総会屋錦城

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    総会屋というものを知ることが出来た。よく聞くが、想像していたものとはだいぶ違った。
    いつも思うけど短編はもの足りたいなぁ。

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    2017年09月10日
  • 燃えるだけ燃えよ 本田宗一郎との100時間

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    すごいバイタリティー。なんでこうも迷いがないんだろう。昔の人の方が生きることに迷いがない気がする。今は恵まれすぎということなんやろうか。

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    2017年07月03日
  • 臨3311に乗れ

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    サクセスストーリーに登場する人物は押しなべてこのような人たちである。唯一無二と己を信じ、遮二無二突き進み常識外の馬力でやり遂げ、そして周囲からは煙たがれる。
    だから、失敗したものは変人扱いとなる。常識の枠を超えられない者には大願成就は夢の又夢。

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    2017年05月01日
  • 総会屋錦城

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    7編からなる短編小説で題目の作品が直木賞受賞作という事で読んでみた。
    昭和20年から30年頃が時代背景の作品群だと思う。
    その時代に必死に生きている人々が描かれている。
    今の時代に生きている自分としては頭ではそんな時代になんだと理解は出来るが、感覚としては違和感を感じる所もあった。
    主人公の側からの視点で話が進んでいくが、相手の立場になって考えてみたり、別の視点で見てみると何方が正しいのか判断が出来ない点もある。
    混沌とした時代だったんだとも思う。

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    2017年03月17日