城山三郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
んー。なんか、不思議な本だったなぁ。
家にあったから読んでみたけど…。
小説だと思って読み始めたら、何やら実在の人物史だったし(笑)。
面白いとも面白くないとも言える感じ。
まぁ、初めよりは後半で面白くなり始めたことを思えば、作家さんの力量と言うことになろうかと思いますが。
でもなんていうか、当時の俳壇の興隆っぷりというか、そういうものにややびっくりするような本だったかもしれません。そういう意味では、なんか、当時の空気感がちょっと分かったかな。
あと、今、途上国でいろいろ言われる勤務環境。ちょっと前まで、普通に日本でも、軽視されていたんだなぁなんて、ちょっと横道な所も、印象深かった。 -
Posted by ブクログ
最初の特攻隊長となった関大尉と最後の特攻隊長の中津留大尉の2人の若き指揮官を中心に、特攻隊員の無念と覚悟、特攻隊を巡る顛末が書かれている。
一億玉砕の掛け声の下、燃料も資材もそして兵力も尽きた日本軍は、出口の見えなくなった泥沼の太平洋戦争の最終作戦として特攻隊は編成される。
「一度飛び立てば二度と生きては帰れない」当に決死の作戦は、まだ若く操縦技術も覚束ない予科練習生を投入し、飛べるものは練習機から水上機まで全てつぎ込む自暴自棄な作戦であった。
きっと御旗の下に特攻を誓ったと当時は報道されたと思われるが、本書では戦争末期の激流の中で、関大尉、中津留大尉ともに妻、子、両親を思って特攻を誓い死ん -
Posted by ブクログ
流通の仕組みと闇、価格の裏側を解りやすく描きながらも、説明調に終始しない確かな筆力。
また主人公の戦争体験についての描写も強烈に鮮明で、彼の切迫感がひしひしと伝わり、城山三郎氏ならではの作品だと感じた。
主人公矢口はダイエーの創業者をモデルにされているらしいが、彼の人生を追うのではなく、あくまでも物語の中心を貫くのは「価格破壊」の灯火について。
価格破壊=たたき売り、ではない。
価格を破壊できる体制を整え、勝負する。
矢口の行動を見るにつれ、発想の転換、忍耐力の重要さをより認識する。
教科書的な本にもなるが、彼とは対極に位置するメーカーに在籍する身にとっては苦々しい気持ちにも -
Posted by ブクログ
錦糸町の駅ビルの本屋で購入し、ウイング号で読む。正直、あまり期待していませんでした。しかし、期待を裏切る出来でした。著者は、「官僚たちの夏」等で著名な小説家です。テーマは、幕末の尾張藩主である徳川慶勝です。意外なのは、徳川慶勝、松平容保、桑名藩主が兄弟なことです。将軍家、御三家のような家ならば、不思議ではありません。しかし、彼らは、尾張藩の支藩である高須藩の出身です。幕末において、長州、薩摩、会津が活躍したのに対して、尾張藩が活躍することはありませんでした。水戸藩のように、内部抗争で、全てのエネルギーを消耗したわけではありません。そもそも、エネルギーがなかったのです。尾張は豊かであり、武士たち
-
Posted by ブクログ
城山三郎が描く経済人の物語はやはり面白い。第一生命、東芝社長を歴任、経団連会長を6期12年、大阪万博会長を務めた石坂泰三。「権力に近づかぬこと、自ら権力を持たぬこと」「経済界は自主自立に徹し、自由経済の原則に則ること」「少年のように健全に成長し、立派に国際社会の仲間入りをすること」など、今聞いても納得することばかり。スタンフォード大学には「イシザカ・ルーム」があるということを、恥ずかしながら知りませんでした。また、上智大学元学長であるピタウ神父が、著者からのインタビューに対し、日本に来て良かったと思う点に「石坂泰三氏と本田宗一郎氏に出会えたこと」と答えており、これも知らなかったなあ。