城山三郎のレビュー一覧
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やっと読み終わった。難しかった。
『落日燃ゆ』(城山三郎 著)は、太平洋戦争終戦後にA級戦犯として処刑された広田弘毅を主人公に据え、その生涯と人間性を描いた歴史小説です。以下に感想を述べます。
この作品は、単なる歴史小説を超えて、「責任とは何か」「誠実とはどうあるべきか」を深く問いかけてきます。
城山三郎の筆致は重厚でありながら、感情に流されず、史実に基づいた静かな語り口が広田の誠実な生き様と響き合っています。戦争という巨大な悲劇の中で、「誠実であること」がどれほどの力を持つのか、またどれほどの代償を伴うのかを、読者に突きつけてくるような一冊です。 -
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太平洋戦争前という混迷の時期に外務大臣、内閣総理大臣という要職にあり、何かにつけ好戦的な軍部による横槍に煩わされながら国際協調で日本を守ろうとするも、戦後の東京裁判で戦争責任を問われ、軍人ではない文官としてはただ1人、A級戦犯として処刑された人物、広田弘毅の生涯にスポットをあてた伝記的な作品です。
源義経や石田三成のような、史上の悲劇の被害者に惹かれる人には、とっても刺さる作品だと思います。
ただしかれらを強い武勇や権力、指導力で集団を導いた剛のリーダーとするならば、広田は柔のリーダーシップの持ち主であると言えます。
この作品を読んで私は広田弘毅という人物ほど、<柔>の一字を象徴する人は -
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やっと読めた、、、。難しい。とにかく難しい。ハンカチ→ハンケチと書かれている。時代を感じる作品。意味はわからなかったけど、とにかく読むことだけはやめず、意地で完読。分からないなりにも広田氏の人となりや、妻静子のこと、どの様な生き様だったのかはわかった(つもり)。決して読みにくい文章では無く、自分があまりにも無知だったために読むのに時間が掛かってしまったと言うオチ。A級戦犯。全く意味もわかっておらず1番悪いことをした=A級かと思っていた。恥ずかしい。自国で起こった出来事は日本人として知っておく必要がある。広田氏の生き様にマンザイをおくりたい。
そして、もっと日本が大好きな人が、自国愛が強い人が国 -
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唯一の文官ながらA級戦犯にて死刑判決を受けたという広田弘毅という人物ついて深く知ることができ、それまでの見方と180度変わった。
外交官として長く手腕を振るって和平外交に注力し、また二二六事件で混乱している最中の内閣総理大臣となり、常に国のために奔走してきた生涯だったはずなのに、暴走する軍部と時勢に逆らえず最後はその彼らと共に戦犯の裁きを受けることとなったことに理不尽さを感じまた深く心を痛めた。 しかし最後まで一言も弁明をせず保身に走ることなく、責任を抱え込んで覚悟の中で死んでいった彼のことを思うと哀しみよりも敬意を表することが必要だと感じた。 -
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この主人公は作者を投影したものらしい。「大義」という杉本少佐なる人の本に影響され、海軍に志願した軍国少年。天皇のために死ぬことに疑問もなく、自由に生きることなど、はなから考えられなかった時代。いざ軍に身を置いてみれば、全く理想とはかけ離れていた。復員してみれば、さらに同じ戦争を生き抜いた人たちの変わり身に、さらなる絶望を感じながら、天皇制について問い続ける主人公。
城山三郎氏は「軍隊という組織悪の標本みたいなものを書き留め、復讐したい」と言ったことを、作家になった理由として挙げているそうだ。
「大義の末」は1959年(昭和34年)に出版され、私の手にとったこの文庫本は、令和2年に改版されたもの -
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ネタバレ1950~60年代の実在の通産官僚をモデルに描いた作品。
天下国家を論じ国益のためにがむしゃらに働き高度経済成長の礎となった風越信吾はじめ通産官僚たち。一方で目先の利益に目を奪われ、謀略を練り、全体の利益を顧みず足を引っ張る財界と、その意を受け権力争いに奔走する政治家たち。
主人公は信念も胆力も部下からの信頼もあったが、清濁併せ呑むことができず味方以上に敵を作ってしまった。風越師団として重宝してきた部下は鮎川も庭野も無理がたたり身体を壊してしまう。風越の期待に応えようとしたからであり、またそれ以外の人間には反発を買う結果となる。人を評価するときは比較ではなく、その人そのものの資質をみないといけ -
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軍神と呼ばれ讃えられた特攻第一号の関大尉と、終戦日の玉音放送以降に長官に伴い飛び立った最後の特攻中津留大尉を中心に、彼らの性格や人とのかかわり方・そして短く儚い生涯を鮮明に書き記している。また残された妻や両親の深い悲しみと苦しみをも取材をもとに書き表していて、読んでいて胸が詰まるほど苦しくなった。
変に脚色をしていないからこそ、また実際に当時海軍に所属していた経験のある筆者だからこそ当時のひりついた空気感に近いものを文章越しに感じることができたと思う。
なぜこのような悲しいことが起きなければならなかったのかと何度も繰り返し考えてしまう。
一人親かつ妻子もいた、本来なら選出対象にはならないはずの -
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足尾鉱毒事件がもとで強制廃村となった谷中村から離れようとしない残留民たちと、彼らとともに戦った田中正造について描いた伝奇小説。
これから書く原稿のお勉強のつもりで手に取ったが、文章が上手くて熱があり、とても引き込まれた。
子どもの頃読んだ日本の偉人マンガに田中正造も入っており、天皇に直訴したりとか大隈重信の家の庭に勝手に汚染土を持ち込んで松を枯らしてみせるとか、正義感が強い反面なかなかぶっ飛んでる人だなあという印象を持っていたが、よく考えてみれば(いやよく考えてみなくても)ぶっ飛んでるのは行政のほうであった。公害で苦しむ村を助けるどころか、池を作って村を沈めるという。銅山の操業を止めさせるほう -
購入済み
ひょんなことから零戦を鹵獲して、結果スピード出せねえじゃん、
からヘルキャットが開発された。その後、追いつけない高さから、追いつけない速度で
攻撃されるようになってなす術がない中、対抗する機体として紫電改が開発されるが、川名は
水上機の二式大艇を開発したメーカーで、当時の有名どころの三菱や、中島、今の富士重工じゃないとことがミソ。
小回りがきく、燃費がいい反面ゼロヨンみたいなことは苦手となると日本車と米国車の縮図みたいにも取れる。
単純に出力上げるだけでは無く、操舵に気を使った機構をつけたりする所も優秀。
紫電改の現物は四国の車じゃないといけないようなところにあるみたいなので、いつか行ってみた