城山三郎のレビュー一覧
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濱口雄幸と井上準之助、二人の金解禁へ邁進する物語。金解禁が遅れた日本において経済立て直しのためには必須事項だった金解禁をやり遂げる二人の葛藤が描かれている。予算編成では官吏の給料を下げることで無理やり財政を作ろうとし全国から非難を浴びるものの井上の頑とした性格と黙々とことを進める浜口の協力プレーで進める。軍縮も大きな問題でたびたび海軍と衝突するが、彼らのおかげでその時は軍の拡大を防げてたしもし2人が長く政権を担っていたら戦争も起きなかったのかも。
二人とも田舎出身で若くして活躍するも左遷させられる境遇が絆を深くしたのかも。
経済ってむずかしいよね。 -
Posted by ブクログ
特攻機として零戦などの戦闘機だけでなく、大きなフロートを持つ水上機や、練習機の「赤とんぼ」まで投入されていたことを知ると、人の命をあまりに軽視していた軍部に腹がたって堪らない。
極めつけは伏龍。海の底で敵艦に爆弾突き当て、仲間とともに人知れず死んでいく。こんなん作戦じゃない。
映画やドキュメンタリーなとでは、国を思って散っていった若者たちの、勇ましい、感動的なストーリーに作り込まれて伝えられることも多いが、実際には声を上げられない、やり場のない無念さに包まれながら、人知れず亡くなっていった方も多いんだろう。
かの戦争で散っていった若者たちが少しでも多く生き残って日本再建に参画していたら、政治も社会も経済もこんなに残念な状態にはなっていなかったのかもしれないとは思う。 -
Posted by ブクログ
やっと読み終わった。難しかった。
『落日燃ゆ』(城山三郎 著)は、太平洋戦争終戦後にA級戦犯として処刑された広田弘毅を主人公に据え、その生涯と人間性を描いた歴史小説です。以下に感想を述べます。
この作品は、単なる歴史小説を超えて、「責任とは何か」「誠実とはどうあるべきか」を深く問いかけてきます。
城山三郎の筆致は重厚でありながら、感情に流されず、史実に基づいた静かな語り口が広田の誠実な生き様と響き合っています。戦争という巨大な悲劇の中で、「誠実であること」がどれほどの力を持つのか、またどれほどの代償を伴うのかを、読者に突きつけてくるような一冊です。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争前という混迷の時期に外務大臣、内閣総理大臣という要職にあり、何かにつけ好戦的な軍部による横槍に煩わされながら国際協調で日本を守ろうとするも、戦後の東京裁判で戦争責任を問われ、軍人ではない文官としてはただ1人、A級戦犯として処刑された人物、広田弘毅の生涯にスポットをあてた伝記的な作品です。
源義経や石田三成のような、史上の悲劇の被害者に惹かれる人には、とっても刺さる作品だと思います。
ただしかれらを強い武勇や権力、指導力で集団を導いた剛のリーダーとするならば、広田は柔のリーダーシップの持ち主であると言えます。
この作品を読んで私は広田弘毅という人物ほど、<柔>の一字を象徴する人は、なかなかいないのではないかなと思いました。
まず話を聞いて受け止め、知識と状況判断力に基づいた決断を下すというリーダーシップ。
そして彼には<自ら計らわぬ><物来順応>というある意味受け身な人生観が根底にある。
過度に自分を売り出すことはしないし、不本意な場所に飛ばされるという処遇を受けてもこれをすんなりと受け容れ、そこで自分にできることをやる。
終盤の東京裁判においては、死を目前にしても決して抗わず、保身に走らず、責任をとろうとした。
リーダーとしてだけではなく、その人柄も、果ては死生観に至るまでも、すべてが柔。
受け身な人生観と評してしまったけれど、それでいて柔のなかに確固とした信念を内包しているような、そんな柔軟性と包容力の権化みたいな人物として描かれている広田弘毅に魅力を感じました。
いっぽうで優柔不断な一面が、軍部の発言権を強くするきっかけとなってしまった、それが平和主義者にもかかわらず、最終的には戦犯として、東條英機などの武官と同列の戦争責任を問われてしまった要因なのかもしれない。
たしかに結果だけ見れば大臣としての評価は必ずしも良くはないだろうし、調べてみると実際、彼に対する辛辣な意見も結構あります。
けれど、自己主張や保身にあふれた現代社会で生きている身からすれば、その対極の人生を貫いた広田弘毅は、めちゃくちゃカッコイイと思います。
言ってしまえば広田弘毅の人生とは、運命に翻弄された、自分はじっとしているのに大波の方から向かってくるような人生であって、そんな人生を描いたこの作品が、悲劇的ムードを帯びることは避けられないかもしれません。
それでも、自分を売り出すこと、自分だけを助けようとすること、そんなものとは無縁だった稀有な男の人生に触れることで、誇り高い大切なものに気づかされる作品でした。