城山三郎のレビュー一覧
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昭和50年ごろの商社マンの話。
京都支店に転勤になって相談役の相手をする主人公・沖と、定年退職になった笹上は「毎日が日曜日」の生活を送れると周囲から言われるのだが、現実は・・・。
この2人の対照、その周囲の人間の醜さ、前向きさ、当時の商社の様子がよくわかる。
今読んでも面白いと思えるのは、やはり主人公の沖と笹上の心情が克明に描かれていて、その2人が京都と東京と、離れていながらも何度も交差していくからだろう。
単身赴任の辛さや孤独な老後生活の寂しさ、それを紛らわせようと何かにすがりつく人間の姿というのはどうも時代を超えて共通のようである。 -
Posted by ブクログ
企業の話が7作入った短編集。
短く切るリズミカルな文章に、めまぐるしく変わる展開。そして主語をくるくる変えながらキャラクターの内面に迫っていく手法。
どれを取っても一級品だった。
ある種の切なさや悲しさが全体的に漂っている『総会屋錦城』よりも、バリバリ働く商社マンの光と陰を描く『輸出』やアメリカの関税規制に挑む日本人を描く『メイド・イン・ジャパン』の方が個人的には好きだな。
戦争の傷がまだ残る中で、様々な日本人が公私ひっくるめてめちゃめちゃに働き、今の日本がある。
いわゆる「古き良き」日本が知れていいですね。
城山三郎の中では一番好きな作品になった!次は随筆でも読んでみようかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界のホンダを作った本田宗一郎の伝記小説。基本的には、城山が100時間つきっきりでインタビューしたものや仲間などの話を取り入れた一冊。本田が引退した後から話が始まるという切り口が特に良かった。というのは、本田の若いころを美化するようなものを最初は期待していたが、むしろその時代を客観的に捉えると同時に、引退後の含蓄ある余生を描いていたからである。優れた経営者の引き際は潔いということを改めて認識した。近くの例で言うならスティーブジョブスもアイフォンなどで一つの時代を作ったら、潔く引いてしまったが、彼も本田も自分の限界を認識し、次なる人が現れることを期待しての判断なのだろう。また、仕事上のパートナー
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Posted by ブクログ
第一生命社長、東芝社長、経団連会長、大阪万博会長 等 を務め、
財界総理と言われた石坂泰三の生涯。
教養が深すぎる。
英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語ができ、
俳句や短歌にも詳しく(万葉集が愛読書)、
書や焼き物も趣味で、哲学にも精通。
バラエティ番組を見て日本の将来を嘆いていたりもしており、
テレビ見て笑ってる場合ではないと反省。
とにかくスケールの大きな人。
高度経済成長期で、のびしろが大きかった時代なので今とは背景が全然違うとは思うが。
部下で、朝7時から出勤し、夜7~8時まで働き、土日も休んだことがない、という人が出てきた…
働き過ぎでしょ… -
Posted by ブクログ
これは、ダイエーの創始者の中内功氏の伝記的小説となっていると思う
確かに、現代の歴史の中では価格破壊的商法は一時代を築いたのだと思うし
現在もそのモデルに則って行われているビジネスがあるのだろうが
その場合、果たしてみんなが幸せになるモデルなのだろうか?
フェアトレードを最近聴くようなったが、多くの場合
貧困国からの搾取を言っているようだが
国内を見渡しても搾取の割合がおかしくなっているのではないだろうか(利益の再配分の方法といってもいい)
それの一因として価格破壊のような正当な価格を引き下げる方向の力が働いていることがあるのではないかと考える