あらすじ
利潤を追求する企業と、不況にあえぐ大衆、大衆を扇動するかのようなマスコミ。まさに今日的問題を、歴史上の事件を題材にえぐる。大正七年、一介の商店から三井・三菱と並ぶ大商社に成長した鈴木商店は、米の買占めを噂され、大衆をあおる新聞の論調もあって、米騒動の群集の焼打ちにあった。第一次大戦による好況から戦後の不況へ、そして昭和初頭の恐慌に至る激動の時代に諸悪の根源と指弾された同店の盛衰とその大番頭・金子直吉の劇的な生涯を描く異色作。
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Posted by ブクログ
金融マンであれば読んでおくべき本。
決して簡単な内容ではないし,歴史背景が古いので若い人には少し掴むのには時間がかるかもしれない。
城山作品の最高傑作だと思う。
Posted by ブクログ
昨今の原発報道を聞いていて、ふと本書のことを思い出し、約20年振りに再読した。
いまから95年前、高騰する米価について、大阪朝日新聞は、三井、三菱を凌ぐ新興の鈴木商店に関するねつ造記事を流布し、庶民を扇動した挙句、結果、鈴木商店は焼き討ちにあってしまう。
国益のためとまっすぐに進む大番頭 金子直吉は、何ら防戦することなく、足元をすくわれてしまう。
ここまでは、まさに前述のとおり。弱者の見方かのような仮面を被り、国益を無視した報道を続け、人気を取り、存在感を示したい大手マスコミの姿は全く変わっていない。
しかし、今回、気になったのは、丁稚あがりの社員たちと高商卒のエリート社員たちとの確執の間に立つ支配人 西川文蔵の存在。彼の早逝が、鈴木商店の崩壊の始まりといってもよい。
対立の間にたち、会社をまとめようとするリーダーの葛藤。今も昔も変わらないリーダーの厳しさを感じられた気がした。そうしたとき、マスコミの体たらく報道には与せず、自らの意見をしっかりと持つべきだと改めて思った。
Posted by ブクログ
玉岡かおる著の「お家さん」で興味を持った鈴木商店。
私が住んでいる街とも縁が深い話なので期待大!で読んでみました。
城山三郎って作家はすごいですね。緻密な調査とそれを構成していく綿密さ・・多くのことを知らされ、考えさせられました。
「お家さん」とは違った観点で鈴木商店を描いています。特に大番頭金子直吉については、最終的に鈴木を倒産に追い込んだというネガティブな捉え方もしています。また、大阪朝日新聞を代表にマスコミと鈴木商店との確執や政府の政策など・・・当時の時代背景も読んでてとても興味が持てました。
Posted by ブクログ
Kodama's review
『鈴木商店焼き討ち事件』そのような歴史があったことは知っていましたが、内容は詳しく知らなかったので、初めて事件の真相を知り得た気がします。同時に、『経営とは?』と様々なことを考えさせられる1冊でもありました。
(08.11.16)
お勧め度
★★★★☆
Posted by ブクログ
双日の源流であり、米騒動の時に米を買い占めた悪徳商社という汚名を着せられた「鈴木商店」のはなし。著者の城山三郎さんが精力的な取材で明らかになった部分と、それでもわからない部分。
これ自体30年以上前の本だけど、未だに双日の人はこの本をバイブルにしている(人もいる?)という話を聞いて読み始めましたが、たしかにいい会社だったんだろうなという感じは伝わってきます。実体がどうだったかということよりも、何世代か前の先輩にまで想いを馳せられる会社というのもいいもんだなと思いました。
大正時代の新聞記事の引用がやたら多くて読みにくいけど、新聞記事をすっ飛ばしても、城山さんのまとめがあるので筋はわかります。
Posted by ブクログ
金解禁や米騒動で有名な金子商店に
関する興味深い本。
今の日商岩井(もうないけど)や
帝人や神戸製鋼などなどの始まりと
なった三井・三菱とならぶ財閥会社なのですが
昔から台湾銀行の不良債権話に関連
した話しかでてこないし一方通行の
情報しかないのでイー本見つけた感じ。
元、新聞記者の城山さんらしい取材本ですね。
大東亜戦争前の日本史に興味がある人には
ご一読を。