城山三郎のレビュー一覧
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ネタバレ浜口雄幸は名前を知っているぐらい。東京駅に遭難場所の目印があるのは知っていた。井上準之助に至っては名前すら知らなかった。
昭和初期は自分の中では空白時代。ほとんど知らない。政治家も何となく軍関係が強いイメージだった。
今回小説を読んで、こんな政治家がいたのかと素直に感動した。愚直で一筋。世の中を良くしようと本気で考えている。命をかけている。そして実際に二人とも凶弾に倒れる。
正しいと思ったことはやり通す。自分もそうならなければと改めて思う。井上が浜口の死を知り号泣するくだりは胸にグッとくるものがある。
男子の本懐。いいタイトルだ。 -
Posted by ブクログ
城山さんの作品は魅力的なタイトルが多い。『男子の本懐』、『雄気堂々』、『粗にして野だが卑ではない』、『少しだけ、無理をして生きる』など。本書もそう。
また、城山さんの作品は高確率で感涙する。本書の存在はかなり前から知っていたが、内容が想像でき、なんとなく避けてきた。
思い切って読んでみると、案の定、泣けた。笑いもした。最愛の妻、容子さんとの運命的な出会い、ペンネーム「城山三郎」の由来、取材旅行での思い出の数々。二編の詩、闘病中のお二人。
「ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、なおも容子に話しかけようとする(p134)」
想像以上の感動。寂寥感。巻末の次女、紀子さんの「父が遺してくれたもの」と児玉清さんの解説も良かった。
最後に、オレより長生きしてね、かみさん…。 -
Posted by ブクログ
明治維新から突貫工事で近代化を進めた日本。
長州の作った憲法により、軍の統帥権が政府から独立した機構が作られる。
結果、本来、米英ではシビリアンコントロール下にあり、行政の一機関であるはずの軍が、大日本帝国では政府のコントロールが効かずに暴走。政府が軍事を政治の一手段として使うことが出来なかった結果、日本は壊滅的な敗戦に追い込まれる。
国家の体制も建築物と同様に、設計に欠陥があると長い年月で腐敗と疲労によりその欠陥部位から国家全体が崩壊する。
当時の日本という国の設計ミスに広田弘毅は官僚、閣僚、首相いずれの立場でも苦しめられた。
憲法9条の見直し気運が数十年前と比べると高まっているように感じる。自衛隊に対する国民のイメージも良くなってきていると思う。
これ自体に嫌悪感は感じてはいない。しかし自衛隊、つまり軍事力の増強を進めるのならば、必ず、それを政府(文民)が完全にコントロールできる仕組みを確立しておかなければならない。そして同時に国民が政府を自由な意思で選挙できる体制を堅持しなければならない。
過去と同じ失敗は避けたいものだ。
小説に話を戻すと、
広田弘毅は東京裁判では自らを弁明すれば、違う結果もあり得たと思う。
死をも恐れず己の生き様を貫く姿勢は、非常に感銘を受けるが、凡人の私には到底そのような覚悟を持って生きることはできないだろう。
名誉を守りたい、死を免れたいと凡人は思うところ。到底真似はできないが、純粋に彼の生き様は尊敬できる。また、国家体制の欠陥により苦しい人生を強いられた彼に同情している。