村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても良かった、と思うけど村上春樹作品の中でどうしても比較してしまうので☆は4つ。
主人公夏帆とその家族の物語り。
生きる上でのトラウマの乗り越え方、付き合い方の物語りかなあ、と私は受け取りました。
女性が主人公になることで、いつも私をイラッとさせるやれやれ系男子がパスタを作ったりプールで泳いだりしてるだけで美人と言えなくもない感じの良い女の子とするすると性的関係を持ったりするのは封印されてたのが良かった。
相変わらず訳の分からない生き物たちも健在だけど、人間じゃなくて動物だからか比較的それもすんなり受け入れられました。
ちょっとした一文やエピソードでやばいこの人!怖い!って思わせる力量はさすがです。
村上春樹が本気を出して他人に害悪を与えるサイコパスな人を書いたらものすごく怖いだろうな、と感じました。読んでみたい。
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Posted by ブクログ
大枠は姉妹の情愛を描いた作品に感じる。
姉のエリと妹のマリ。片や眠り、片や夜を生きる。片や周りの期待通りに生き、片や反骨的に生きる。2人はそれぞれ対照的に描かれているものの、寄り添い合いたいという思いは1つで、最終的にはそうなれたのだと思う。
しかしながら姉妹だけでなく、他にも様々なことがこの夜には起こり、それに我々はどのような意味を見出すのか、試されているようにも感じた。(村上春樹的には意味など無いのかもしれないが)
この小説は物語を描くと言うより、伝記に近いものだと思う。兎に角、この小説の感想を書くことはとても難解で自分の文章力の無さを痛感させられる。
寂寥感のある読後感で、一先ず手に取って欲しい一冊。ただ、退屈に感じる人も多いと思います。 -
Posted by ブクログ
過去の人間関係におけるあまりに深い傷のせいで、自分自身がわからなくなり、自己嫌悪に陥る様子がリアルだった。つくるほど壮絶な経験をしたことはないが、自分に色がない、自分には人に与えられる特別なものはないと思ったことがあったため、この本を読んでいると、このような感情をより明確に言語化されているような感覚があった。物語の後半で、つくるに対してエリが言った、「もっと自信と勇気を持つべきだよ」「たとえ君が空っぽの容器だとしても、それでいいじゃない」「もしそうだとしても、君はとても素敵な、心惹かれる容器だよ。」という言葉が印象に残っている。自分では個性がなくつまらないと思っていても、ある関係の中ではとてもありがたい存在であるかもしれないし、個性が強すぎないことがそれまた個性でもあるのかもしれない。どれだけ自分を好きになれなくても、世界から見た自分の役割をわかりきることはできないし、考えて悩んでも無駄なことなので、エリが言う通り、幸せになるためには自信と勇気を持つことが必要なことだと思った。空っぽでも、「誰かが思わず物を入れたくなる素敵な、心惹かれる容器」という比喩がとても綺麗で好きや表現もよい。この小説でいちばんすきな言葉だった。そして、このようなことを言えるエリは、きっとつくるとはまた違うけど長くて暗い闇の中でもがき、乗り越えてきた強さがあるからなんだろうなと思う。最終的なつくるの運命は書かれてなかったが、沙羅と結ばれて、幸せになってほしいと心から思った。
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1980年代、ヨーロッパ諸国に長期滞在した著者が、その土地で過ごした出来事を書き綴ったエッセイ本。時系列的に『ノルウェイの森』、『ダンス・ダンス・ダンス』を執筆した頃になるが、本書にもあるように、『ノルウェイの森』が売れたことは本人も予想外のことであったが、皮肉なことに、この作品によって長編小説をしばらくの間書けなくなってしまった。しかも日本国内で散々な目にあったこともあって、この時期は本人にとってはつらい時期であった。このように、本作は単に海外の日常を書き出すのみならず、著者がスランプに陥ったとき、どのような生活を送って、再び長編小説を書くに至ったのかという、復活の軌跡としても読める。
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ネタバレ『海辺のカフカ』に続き読んだ村上作品の2作目
なんで今作を選んだんだっけか
序盤から村上節が効いててとても引き込まれた。冗長には感じられず、心地よいテンポ感だと思えた。ただ他の人の感想を読むと、(特にすみれの文章は)村上さんの持ち味を幾分か誇張させたものらしい
海辺のカフカと比較した時、どちらも共通のテーマを扱っているなという感じがして、一部読んでいて展開が想像できた。パラレルワールドや不完全(になってしまったよう)な人間、愛と性欲と孤独とアイデンティティなどなど。
村上さんのギリシャの島や保安室の情景描写がリアルで、二つの全く異なる場所を続けて描くことで、読んでいて夢から覚めたような、まるで全く別の物語を読んでいるような感覚にもなったが、主人公Kにとっても夢と現実の区別も付かなくなるような、とても乖離した一連の出来事だったのだと体験できた。
よくわからないけど絶対に意味を持つであろうモチーフもたくさんあり、考察のしがいがありそうだが、大した感想は書けない。もっと何も気にせずゆっくり読書できる時間が欲しいな -
Posted by ブクログ
ネタバレ穴から出てきているから顔ながきと思ったら騎士団長なんかい。今後顔長になるかなぁ。ワクワクしてどんどん読める。やっと春樹ワールドだ
免色さんはイデアに穴の中であっていたのかな?だからその日から数日は鈴が鳴らなかった。昼間に顕現して疲れてしまっていたから。そしてだから食事会に招くのも突っかからずに受け入れている。ジョークと受け取っているのだろうと私は受け取っているが、免色さんは本当に招いてるのではなかろうか。(←違った)
免色さんの思惑通りに行きすぎてうざいからちょっとミスって欲しい。娘と同じ空気吸って欲しくない。過去にどれほど苦労したのかさえ知ればその気持ちは変わるだろうが。
主人公は穴の中に免色さんを放置しようと思わなかったとあるが、僕は免色さんと同じ考えを持ちそう。つまり、梯子を外し長時間穴の中に人を放置してみたらどうなるだろうかと考えてしまう。
実際に生活の中でマンションの14階にいるときここから一歩踏み出したら本当に死ぬのだろうか、運転中壁に向かってハンドルを切ったら事故を起こして本当に死ぬのだろうか、などと考えたりする。他者に対してでなく自分に対しての死に向かう好奇心という点で少し異なるが、とりあえず僕は免色さん派だ。
「どう、十分硬くなったかしら?」と彼女は尋ねた。
「金槌みたいに」と私は言った。
「釘だって打てる?」
「もちろん」
世の中には釘を打つべき金槌があり、金槌に打たれるべき釘がある、と言ったのは誰だったろう?ニーチェだったか、ショーペンハウエルだったか。あるいはそんなこと誰も言っていないかもしれない
↑腹ちぎれるくらい笑った
「つまり我々の人生においては、現実と非現実との境目がうまくつかめなくなってしまうことが往々にしてある、ということです。その境目はどうやら常に行ったり来たりしているように見えます。その日の気分次第で勝手に移動する国境線のように。
秋川の子供が1q84のふかえりと重なる。他にも多くの登場人物が他作品の登場人物と重なる。春樹らしさと捉えるべきか、ありきたりと捉えるか。 -
Posted by ブクログ
きっかけは、あの名セリフ「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きる資格がない」。元ネタを知りたくて手に取った一冊。
読んでみたら、目的以上に本編そのものが面白かった。マーロウと登場人物たちの気の利いた掛け合いが最高に小気味いい。真似したくなるけど、日常生活であんなキザなやり取りをする場面はどこにもない(笑)。
村上春樹作品でたまに出てくる、ちょっと変だけど洒落た言い回し——たとえば「赤坂でナッツでもつまもうか」的な、あの独特な日常描写も、たぶんチャンドラーの系譜にあるんだろうな、と勝手に納得。
ミステリーとしてのトリックや動機は正直ちょっと強引で、そこだけ見ると物足りない。でもそれでいい。この小説はマーロウたちの気持ちいいお喋り合戦のためにあるんだから。
そして終盤、あの名セリフが満を持して登場する。「この文脈があったから、あの一言だったのか」と痺れた。セリフそのものは真似できないけど、その裏にある価値観は大切にしまっておきたい。読む前より、読んだ後の方がこの本を好きになった一冊。