村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終えてまず強く残ったのは、この小説が単なる青春小説ではなく、「文章を書くこと」そのものをめぐる小説でもあるということだった。冒頭の「完璧な文章などといったものは存在しない」という言葉に象徴されるように、この作品には、文章の限界と、それでも書くことの意味が切実に刻まれている。
村上春樹にとって、書くことはただ物語を作ることではなく、自分と世界との距離を測ることなのだと思う。作中で語られる「必要なものは感性ではなく、ものさしだ」という言葉は特に印象に残った。人間が認識しようとするものと、実際に認識できるものの間には深い淵がある。それでも、その淵の前に立ち、測りきれないものをなんとか言葉にしよ -
Posted by ブクログ
前作から10年ぶりくらいの「村上朝日堂」シリーズ。
1995年から1年ほどのエッセイがまとめられたもの。
裏で深刻な作品を書きながらの、精神のバランスを保つために、意識して軽い話題を取り上げていたらしい。
村上さんの飼い猫ミューズのお産のエピソードが印象的だった。。
雌猫のミューズは長寿猫で、五回くらい妊娠・分娩した。
必ず五匹産むので時間がかかるし、夜中に産む。
その間、村上さんがずっと付き添って両手を握ってやるのである。
なんだか神秘的な光景に思える。勝手に、月の光が差しているところを想像する。
そもそも猫というものは人間に飼われても心は許さない。
しかしミューズは、子供を産む時だけはー -
Posted by ブクログ
人はそれぞれ他人には明かせない秘密だったり決して善とは言えない部分を抱えながらそれでもみんなとうまくやっているものだ。物事を自分でコントロールできる範囲なんて実はほんの身の回りくらいで、大きな流れに逆らうことは所詮できない。だけども身の回りで自分が心からこうしたいと思っている事柄に関しては、そこにしっかりと向き合うことができれば確実に変化を起こすことができる。ざっくりするとそんな感じでした。
いつもの長編と比べると、なんとなく思想が柔らかいしハートフルで、そのままでいいんだよ、みたいな優しいおじちゃんみたいな印象を感じました。村上春樹も優しいおじちゃんになりつつあるのかな。 -
Posted by ブクログ
村上春樹による、地下鉄サリン事件に関わられた方へのインタビューによるノンフィクション。
村上春樹ファンとして、彼の一作品として本書を手に取ったが、内容は当然他の作品とは、毛色が異なる。他の作品と同じような期待値をもって読み始めたところ、最初は当然の違和感。しかしながら、読み進めていくうちに、この事件に関わられた方々の、当時の日常と、それを破壊する事件との遭遇。短文にまとめてしまうと、このような記述になってしまうが、丁寧なインタビューで、それぞれの方にとっての事件が「リアル」に紡がれている。
巻末に著者のあとがき的な著述が在るが、もしかすると、これを先に読むと、本書(この活動)の意図、ねらい、想