村上春樹のレビュー一覧
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小澤征爾と村上春樹という、クラシック音楽と文壇の巨人による対談集。「マーラー」「オペラ」「バーンスタイン「グレン・グールド」というテーマについて、二人は縦横無尽に語り尽くす。あるときはレコードを聴きながら、あるときは村上の仕事場で。この二人にとって、バーンスタインの存在は大きいようだ。小澤征爾の若手音楽家に接する姿勢やリハーサルの仕方は、ほとんどバーンスタインのやり方をまねていると言っていいだろう。文庫化にあたり、日本を代表するジャズ・ピアニスト大西順子が、小澤指揮のサイトウ・キネン・オーケストラと2013年9月に共演したときの顛末が追加収録されている。 大西はこの公演の直前に引退を表明し。音
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Posted by ブクログ
第三の新人の作品を題材に、村上春樹氏が米国の大学で講義をした時の話をまとめたもの。
特徴的なのは著者の立場に立ったらこう思っているはずだという観点からの、文章のプロとしての見方。当たっているかどうかというよりも、その文章への愛や本気さがその説得力を増している理由だ。特に、樹影譚については秀逸。3つのパートに分けた上で、変遷とその意味について深く考察がなされている。この文章を書いたのは、どんな作者の心理状況や理由があるのかに焦点が当たっており、てにをはをどうこうするのではなく、どこにテンションを持ってくるか。解説で敢えて強調しているところなんて、村上春樹の小説を読んでいるような気がするくらい -
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特に翻訳に興味があるわけではない、と言うか、むしろ翻訳の文章は頭に入ってこないので苦手な世界だが、その舞台裏はとても面白い。興味がないけどそのマニアックぶりが面白いという点では「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を連想する。やはり村上春樹が面白いのだ。
翻訳のあれこれを語ると読者や作家活動にも関係してきてその広がりも面白いところ。
ここでは2つの短編を二人が翻訳して掲載し、比べるという面白い試みもしている。例えば登場人物の職業について書かれていない場合、翻訳者が肉体労働者と思うか知的労働者と思うかで訳文がかわってくる。淡々としたものにするか熱いものにするか、主人公は「僕」なのか「私」なの -
Posted by ブクログ
読んだばかりのJ.D.Salinger の「Catcher in the Rye」について、訳者である村上春樹と、それを教材に東大で講義をしている柴田元幸が徹底的に語り合っている。
この小説は「社会に反抗する無垢な少年の物語」という評価が通り相場らしいが、村上も柴田もそれに関してはとても否定的である。以前は、若者はこの小説を読まないことには話が始まらないというところがあったそうだ。ところが二人の対談を読んでいると、とてもそんな単純な物語ではないことに気付かされた。
二人は「トム・ソーヤー」や「ハックルベリー・フィン」を引用しながら、ヨーロッパにある成長物語はアメリカにはない。反成長物