村上春樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
僕がうんざりさせられるのは、想像力を欠いた人々だ。T.Sエリオットのいう〈うつろな人間たち〉だ。その想像力の欠如した部分を、無感覚な藁くずで埋めて塞いでいるくせに、自分ではそのことに気づかないで表を歩きまわっている人間だ。そしてその無感覚さを、空疎な言葉を並べて、他人に無理に押しつけようとする人間だ。
障害者だろうが、健常者だろうが、貧乏だろうが、金持ちだろうが、悪人だろうが、善人だろうが、そんなことはべつにどうだっていい。僕はまったくかまいはしない。僕が我慢できないのはそういう〈うつろな連中〉なんだ。
★ トランスジェンダーの子と、その兄のサーファーの子が、なんか好き。 -
Posted by ブクログ
読み終えてまず強く残ったのは、この小説が単なる青春小説ではなく、「文章を書くこと」そのものをめぐる小説でもあるということだった。冒頭の「完璧な文章などといったものは存在しない」という言葉に象徴されるように、この作品には、文章の限界と、それでも書くことの意味が切実に刻まれている。
村上春樹にとって、書くことはただ物語を作ることではなく、自分と世界との距離を測ることなのだと思う。作中で語られる「必要なものは感性ではなく、ものさしだ」という言葉は特に印象に残った。人間が認識しようとするものと、実際に認識できるものの間には深い淵がある。それでも、その淵の前に立ち、測りきれないものをなんとか言葉にしよ -
Posted by ブクログ
前作から10年ぶりくらいの「村上朝日堂」シリーズ。
1995年から1年ほどのエッセイがまとめられたもの。
裏で深刻な作品を書きながらの、精神のバランスを保つために、意識して軽い話題を取り上げていたらしい。
村上さんの飼い猫ミューズのお産のエピソードが印象的だった。。
雌猫のミューズは長寿猫で、五回くらい妊娠・分娩した。
必ず五匹産むので時間がかかるし、夜中に産む。
その間、村上さんがずっと付き添って両手を握ってやるのである。
なんだか神秘的な光景に思える。勝手に、月の光が差しているところを想像する。
そもそも猫というものは人間に飼われても心は許さない。
しかしミューズは、子供を産む時だけはー