エマニュエル・トッドのレビュー一覧

  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    自分に(読者に)語りかけるように、今まで書いてきた本のこと、思考する事でのインプットやアウトプット方法、自分なりの世の中の未来予想など書かれていました。

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    2024年01月17日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    毎回トッド氏の分析には舌を巻く。過去にもソ連崩壊やアラブの春、そしてトランプ大統領の勝利など数々の未来予想を人口学から的中させてきた人物ではあるが、本書はさらにそれを高学歴教育の普及の観点から鋭く分析する一冊である。
    高学歴と言えば戦後日本経済の爆発的な成長を支えてきた私の父の世代などは、大学進学者は未だ稀な時代であった。ほんの一握りの大学出身者が日本の経済と社会、政治を作り上げ敗戦日本のどん底の状態からGDPで世界の頂点に届くほどの「奇跡の復興」を作り上げた。因みに私の父は農家出身で兄弟も二桁いる。産めば産むほど生産力が増えていく世界を作り上げてきた様な大家族だった。あれから60年、70年そ

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    2023年10月31日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    トッド自身のこれまでを振り返りながら、その思考プロセスについて書かれた本。歴史的視点の大切さや読書法、データ・現実を重視する視点など、なるほどと思わせる内容。ただ当然と言えばそれまでだが、フランス人学者である著者のヨーロッパ的な考え方がベースにあるため、やや複雑&同意し難い記述も見られるように感じた。

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    2023年10月15日
  • 老人支配国家 日本の危機

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    ネタバレ

    エマニエル・トッドのエッセイ集。2013年から2021年までの欧米、日本に関する家族・文化、政治、経済論。したがって各編が東日本大震災後、新型コロナウィルス禍発生直後までの事象をもとに語られている。数年後に読むことになったが、当時の予測が実際どうなったかがわかるという視点から面白い。ただし、ロシアを好意的に論じている部分があるが、ロシアによるウクライナ侵略戦争で世界が翻弄されている今、政治経済の予測をすることは大変難しいことを痛感する。本のタイトルから、著者が日本の高齢化を中心に述べているかのように推測したのだが、それはごく一部に過ぎない。

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    2023年10月05日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    海外の有識者2人への個別インタビューに対して、国内の有識者2人が討論するという面白い構成。
    各国のコロナ対策の是非、ロシアのウクライナ侵攻に対するスタンスなど、インタビューを掘り下げていくと、有識者によって意見の食い違いがあることが分かり、国籍や立場によって複雑な事情があることを理解した。
    SNSやデジタル技術によって、人々が「単純化」された理論への志向が強くなり、少しでも異質なモノを見つけ次第排除しようとする傾向は、私自身も含め危惧している。リアルの交流が減ると、ついつい異質な他者を排除できるからだ。ただし、同じ価値観を共有できるほど、社会が単純ではない。
    人間は不確実で不完全な生き物。理解

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    2023年10月05日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    私はトッドさんが好きである。
    だからこそ盲信したくないし、崇め奉りたくない。

    読んでて違和感あるな、ってところは違和感のまま残したいし、素人ながらも自分で調べて考えたい、と思っている。

    以下、書きかけ

    ロシアを擁護する気は無いけれど、ロシアにも言い分があるし、反ロシアの国って意外に少ないんだね…という現実を直視できた。

    そしてウクライナにもネオナチな側面がたしかにあったんだな、とも思った。

    ホロドモールの悲劇についてちろっと記述があったので、ネット検索してみた。
    スターリンが外貨を得るために、ウクライナ(ソ連時代)から農作物を過剰に収めさせて輸出したことで、また天候不良も相まって、国

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    2023年09月28日
  • 問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界

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    欧米諸国は民主主義や人権の尊重など、西側の価値観を押し付けがち。しかしそれは世界の中ではまだまだ少数派なのだから、反発が起きるのは当たり前。

    一種の逆張り本ですが、こう言う観点もある事を知るのは大事。

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    2023年09月13日
  • 問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界

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    ニュース、新聞を見ていると、明らかにロシアがおかしく、ウクライナがかわいそうだと報道している。確かに軍事行為に及んだロシアは非難されるべきだとは思うが、なぜそのような行為に走らせたのかまで考えを巡らせることは必要であろう。同一の意見だけを信用せず、さまざまな視座を手に入れて、思考すべきであることを学べた。

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    2023年09月05日
  • 問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界

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    トッドさんの受け答えが、曖昧だったり、理由を明確にしなかったりで、ちょっと?が点灯。もしかしたら「第三次世界大戦はもう始まっている」と読む順番を間違えたのかもしれない。前作にすでに具体的な理由があったのかも。内容はロシアと同じことをイラクにしたアメリカが、生産力が落ち斜陽の兆しがみえてきた覇権をなんとか繋ぎ止めるためロシアを追い詰めていったというもの。これは私も前から感じていた説だったので、ストンと腑に落ちる部分が多かった。

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    2023年07月13日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    ここにある思考地図はよくある分析アナリストの基本のようなものだ。トッド氏の重要視している点は、事実に基づく統計数値データを如何に先入観なくして分析・出力すること、さらに、史実に基づく歴史観比較が付加されることにある。歴史は繰り返すの如く事件事故、災害も過去の史実が参考になる場合も多く、特に政治家の政策などは「前例」を重視する人間が多いのはそこに理由がある。だが、悪い事に過去20〜30年の歴史でも政府の政策で最新技術を駆逐した対処にはなっていないのが残念だ。今回のコロナ対策で、多くの国々が「マスク・対処機器」がほとんど自国以外であったことの誤りが浮かび上がったことは今後の政策にも参考になったと思

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    2023年05月20日
  • トランプは世界をどう変えるか? 「デモクラシー」の逆襲

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    本書は2016年末に出版された本で、大きくは3部構成になっています。第1部がエマニュエル・トッド氏へのインタビュー記事。第2部はトランプの共和党候補指名受諾演説、第3部は佐藤優氏による論考です。出版から3ヶ月以上経ち、トランプ政権の動向が少しずつわかってきている中で本書を読んだ感想ですが、エマニュエル・トッド氏の分析は非常に面白い。新自由主義的資本主義に対する民主主義の反撃であって、何も恐れることはない。今回最も明らかになったのが、エリート層およびそれを擁護するアカデミクス(経済学者を念頭に置いている)がいかに現状分析を間違ったか、という点である。トッド氏の最大の特徴は、世界の多様性を重視する

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    2023年04月28日
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下 民主主義の野蛮な起源

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    いやー難しいけど面白い!
    伝統的な家族形態,初等教育,高等教育が政治システムや国の在り方までの起源となり,様々な「敵」をなぜ作るのか,なぜ必要悪なのか?
    こんなにも説明ができるものなのかと感嘆.
    最終的にどんな国家のシステムも否定しない,かつ変化の途上とするのは,読後の満足感にはつながらないけど,世界を公平に見る,と言う原点に思い至らずにはいられない.

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    2023年04月06日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    ロシアを止むに止まれぬ戦争に引きずり込んだのはアメリカ(とイギリス)だという論法は太平洋戦争を引き起こした大日本帝国を擁護するのにも援用ができるな、と一瞬感心した。また、米国が好戦的だという指摘はその通りだろうが、ロシア(ソ連)が対外的な紛争をしたことがないと言わんばかりにスルーする鉄面皮ぶりはさすが。人類学に根差した著者のユニークな視点は示唆に富む所が多いのは確かだが、一方的に肩入れした言論が今回は際立っているようである。

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    2023年03月24日
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上 アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか

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    家族,宗教,識字化,産業,政治…見事なまでに一連のものとして,また絡み合い影響し合うものとして説明されている.まだ上巻を読み終わったところだけど,政治的,文化的,宗教的に相容れない集団が存在してしまうのは避けられない事なのかも?と.
    一方で,こういった深いところ,脈々と続いて来た人類の歩みに思考が及べは,「理解は出来なくても存在を受け止める」努力は出来るようになるのかも,と希望的観測も持ちつつ,下巻へ進む…

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    2023年03月01日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    社会を把握するための数字の見方が参考になる。

    著者のエマニュエル・トッドは、歴史人口学者であるが、ソ連崩壊やトランプ当選などの予言で知られる。
    多くの社会学が、人の主義や価値観について仮説・推論を展開するのに対し、著者のアプローチは各国の人口動態、家族構成などの統計から、人々の感情を思い浮かべる、経験主義的なものなのが特徴的である。

    特に興味深かったのは、統計データの信頼性について、死亡率は嘘がつけないというものだ。著者に言わせれば、物価、GDPなどはサービス経済になってからは何を表すのか分からない。訴訟が増え弁護士の手数料が膨大になることが生産なのだろうか?と言われると確かにその通りと思

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    2023年02月27日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    人類学者の著者による、ウクライナ問題について。
    全然世界情勢など知らないマンなので「ロシアによる一方的な侵略戦争」と思っていた節がありますが、その背景に「ウクライナのNATO加盟」、「NATOのロシアの意に反する東方勢力拡大」、「旧ソ連崩壊後の国境問題」などいろいろ複雑な問題があることを認識しました。
    面白いと思った点は、人類学的視点からの見解でした。ロシアは「共同体家族」、ウクライナは「核家族」。この違いにより「共産主義的思想」、「民主主義的思想」の違いに繋がるのは興味深かったです。

    日本のメディアを通して得られる情報とは別の視点でいろいろ語られていたので、新鮮でした。
    こんな情報化社会で

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    2023年02月25日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵略戦争について、ロシア側の論理を説明した本。
    著者はフランス人だが、反米・反EU。同意できない点もあるが、多面的な視点を提供してくれるという点で、読む価値はある。

    著者が「第三次世界大戦」という言葉を使うのは、この戦争は、実際には米国とロシアの戦争―米国によるウクライナでの「代理戦争」―だからだ。
    ウクライナの裏で米国(とNATO)が糸を引いている、ということはみんな知っている。著者曰く、米国や西欧の主張はまったくグローバルではなく(この点は完全に同意する)、むしろ世界の嫌われ者である。よって、今回の戦争でロシアを支持する国は多いだろう、という。

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    2023年02月21日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    見る角度、見る人によって同じ行動も意味が変わる、という典型例ご戦争なんだと思う。ロシアの侵攻もロシアから見れば止むに止まれず、なのかもしれない。

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    2023年01月29日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    平和な日本にいると、ロシアによるウクライナ侵攻は
    社会主義専制国家によるヨーロッパ民主主義国家への
    暴走行為のように見えてしまう。

    著者のエマニュエル・トッドはフランスの人口学者。
    経済と人口動態から世界の力関係を見ると、
    ロシアの脅威よりもEU、ドイツを利するシステムこそ
    ヨーロッパひいては世界の脅威になり得る。

    前提としてヨーロッパ主要国の最近の情勢が分かっていないと、なかなか理解できない点も多いが、
    人口動態や人類学的な観察にもとづく論説であり、
    ものの見方としてためになる。

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    2023年01月15日
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上 アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか

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    歴史人口学、家族人類学者のトッドらしい着眼点で、さまざまな国・地域の家族構成から、宗教や人々の経済基盤、ヒエラルキー、識字率などの統計を引きつつ、歴史をひもといていく。

    上巻前半はかなり学術的で、人類学素人の私にとっては、多少”体力”の要る読書になったが、後半は宗教改革から、プロテスタンティズムや印刷技術の普及による変化、都市文明と核家族化の関係、18世紀までさかのぼっても北欧の女性の識字率が高かったことなど、従来の身近な知識で読み進められる話になってくる。

    全体として、父系社会は、農耕が始まり定住して財産を蓄えるようになり、相続という行為が必要になって生まれてきたもので、実は核家族よりも

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    2022年11月13日