エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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フランスの歴史人口学者、家族人類学者である著者が世界情勢を考察する世界各国で発売されている一冊。
『西洋の敗北』を読んでいたところ、内容が難しい点が多いと感じ、まずは日本のことを述べている本書と同時進行で読んだことで理解が深まった感じがします。
このような視点で世界を見るということが非常に新鮮であり、興味深く読み進めました。家族構造的に、日本は中国よりもドイツに近いこと、日本に対し、核武装と共に通常兵器の増強、さらにロシアとの友好関係の構築を勧めるなど、なかなか言いにくいような提言をしています。著者は、日本にかなり好意的な印象で、期待しているようにも感じます。現状、日本が劇的に何か変われるわけ -
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ロシアがウクライナに侵攻して暴虐を尽くしたのが2022年2月。このトッドー池上対談が行われたのが2023年4月。まだバイデンのアメリカだった頃に書かれたこの書籍を、3年後、トランプがイスラエルと共にイランに先制攻撃した後に読む。まるで答え合わせをするように。
そうか、問題はトランプではなく「アメリカ」だったのか。
ロシアと欧州が抱く家族観の違いの中で、欧州的な個人主義&核家族の価値観がいまだ世界的には「少数」ということや、日本とドイツが「中間」にいる立ち位置など、人類学と歴史学の立ち位置を持つトッド氏の指摘は興味深い。ただ、トッド氏が日本に対して助言する中で、アメリカ主導からの脱却を促 -
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ウクライナ戦争や米欧の分裂をめぐるニュースは追っていたつもりだったのに、この本を読むと“見えていた世界”がまったく違う姿で立ち上がってきました。プーチンの手段は到底許されないけれど、彼が何を根拠に動いているのかを別角度から示されると、欧米の対応のほうがむしろ行き当たりばったりに見えてくるのが印象的でした。
特に、アメリカが“負けを悟られまいとする国”として描かれるくだりは衝撃的で、イランへの強硬姿勢の背景をこう読むのか、と目が覚めるような感覚がありました。昨年出版された本なのに、その後の国際情勢と照らし合わせると妙に腑に落ちる部分も多く、今のアメリカを著者がどう分析するのか続きが気になります -
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1.日本から「家族」が消滅する日
日本やアジア圏の少子化は「ゾンビ儒教」によるもの。老後の世話と子どもの教育が負担が重すぎ、少子化を招いている。
今後老人はどんどん増えていくため、儒教的な老人支配は強まる一方。親の面倒ばかり見たり老人への支援ばかりしていると少子化は進む一方だが改善される兆しはない(一人一票の民主主義の構造上の欠陥、マジョリティ優先)
フランスは老後の面倒や子どもの教育を国が行っているため少子化になりづらい、移民も多いが。
2.ウクライナ戦争と西洋の没落
ロシアの行動は西欧社会の勝手な価値観(グローバルスタンダード)を世界に押し付けようとしたことへの反発にある。日本もアングロ -
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最初のインタビュー記事がコロナ元年だが、2026年に読んでもエマニュエル・トッドの先見性に驚かされる。ただ、経済活動をロックダウンで規制して老人を守る取り組みに疑問点を抱かれていることに違和感を感じた。コロナ禍については産業が空洞化してマスクさえも作れない先進国の危うさが指摘されていてもっともだ。家族システムによる社会論の総集編となっているので非常に読みやすい。日本がメインテーマとなっているが、日本の核武装と直系家族の弊害としての少子化への対策が示される。核兵器は自国防衛に特化し(核の傘はあり得ない)、戦争をなくす画期的なものとの位置づけだ。核拡散防止の観点からはなかなか難しいテーマだが、核保
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世界25ヵ国で翻訳され、世界的ベストセラーになっている『西洋の敗北』、そこでの視点から日本の選択に触れ、提言している。『西洋の敗北』は英語での翻訳版はない。一種の発禁に近い扱いを受けているが、本書を読んでいくと、都合の悪い事実が明らかになり、英語版が普及するのを避けていることがわかる。提言は刺激的な示唆に富んでいる。世界の覇権者たる米国の劣化を鋭く指摘し、'世界は米国を必要とする'黄金期は終焉し、いまや逆説的に'米国は世界を必要とする'関係性になっていて、トランプの関税策が誤った針路になることを予見している。平和的観点から、日本は核を持たない、核廃絶を基
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西洋の敗北という本を読んで、現在の資本主義が終わりかけていると思いました、これは6冊目の著作となります。今までに「第三次世界大戦」というフレーズを聞いてきましたが、この本を読むと現在はその段階に入っているかもしれないと思いました。
以前、ノストラダムスの予言の本を読んだ時に印象に残っているのは「共産主義は消滅する、そして資本主義も消滅しなければならない」というフレーズです、これを読んだ小学生の頃には見当もつきませんでしたが、実際に、ソ連が消滅して、今のアメリカや欧州を見ていると、見えてくるものがあります。
明日(2026.2.8)は日本の近い将来を決めることになる、衆議院総選挙です、恐らく -
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原作はトランプ当選、ブレグジット、フランス極右政党の拡大があった2016〜2017直後に出版されているが、その当時すでにここまで情勢について分析・理解が進んでいたとは驚きだった。ブレグジットについては社会の上層が下層に寄り添った結果だと評価する姿勢だったが、あとがきで最新のイギリスの動向(ロシアフォビアと米国追従)について懸念が示される立場となっている。初等教育→中等教育→高等教育受講者割合が高まっていく傾向は先進国に共通しているが、教育の階層化によって格差が広がり社会の分断が生じている。英米はとくに、エリート層が短期的に最大利潤を得るためにグローバル化を進め、産業をどんどん労働力の安い海外に
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著者は2026年1月現在の西洋の「常識」を疑い、否定し、ロシアの優位性を絶対の答えとしている。
ロシアのウクライナ侵攻は、NATO拡大を阻止すると言い続けてきたロシアの反撃であり、ウクライナは1990年からアメリカが育ててきた親米国家であり、ロシア系住民を追い出していっていたのだ。
アメリカやヨーロッパでは、産業が空洞化し、法律サービスや金融などのフィジカルな価値を生み出さない活動によりGDPが膨らんでいるだけで、トッドはこれを国力の衰退と見る。さらに、プロテスタンティズムが死に絶えて勤勉や規律という社会の土台となる価値観の共有がなくなったこと、数学・科学分野での教育レベルの低下が起こってい