エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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ー ウクライナ・ナショナリズムの一時的な軍事的成功は、地域レベルではなく、世界レベルでの軍事的、経済的、イデオロギー的敗北によってしか抜け出せないような、エスカレートした状況にアメリカを追い込んだ。現在のアメリカにとっての敗北とは、ドイツとロシアの接近、世界の脱ドル化、「集団的内部紙幣印刷[ドル〕」で賄われる輸入の終焉、そして大いなる貧困だ。
しかし私は、ワシントンの人々がこうした事柄について果たして自覚できているのかどうかまったくわからない。むしろこの敗北の意味について何も気づいていないことを願おう。そしてアメリカが、アメリカとキエフ(キーウ)のためだけに平和を宣言し、サイゴン、バグダッド -
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今世界で起こっている変化の底にあるのは『西洋の敗北』、宗教ゼロになりアメリカとヨーロッパがニヒリズムに陥っているからとトッドは言う。
下部構造である経済に政治は規定されるが、可視化されている経済の水面下には、教育があり、宗教があり、家族構造があるとはトッドの分析。
宗教ゾンビ化がナショナリズムを生み2度の世界大戦を起こし、戦後に宗教ゼロが始まりニヒリズムからの世界の混乱が起こっている。
トランプがいなくなってもこの潮流は止まらない。日本はどうすべきか、自分はどうすべきか、まだまだ答えは出ないが、トッドは考える方向性を示してくれていると直感的に思う。 -
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今までの常識がひっくり返される様な書籍ですね。米国を中心とする英語圏で本書が訳されていないのは、親ロシア派とも取れるトッド氏への嫌悪感もあるかもしれませんが、不都合な真実をある程度含んでいるからと考えるのが妥当かと思います。
エンジニアの数や出生児死亡率から国力を測るという人類学者らしいアプローチは納得感がありますし、米国の国力がGDPの規模が表すほどは強国ではないというのはその通りかもしれません。それに加えてトランプ氏の混迷と欧州のパワーダウンが明らかであり、西洋の敗北とは歴史的にも象徴的なタイトルですね。だからこそ本書は売れてるだと思いますが。分かりにくい部分は多々ありますが、本書で触れて -
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星4.0
時事問題を追っている人こそ読むべき本と感じた。
エマニュエル・トッド氏の書籍は初めて読んだ。
2026年4月21日本レビュー投稿時点で話題になっているハンガリーの首相交代等について、
何となく自分は「反EU、親露な悪意の右派政党が、善意のウクライナ支援派の政党に取って代わられた」とだけ受け止めていた。
ロシアがウクライナに侵略をしかけ、実際に被害が出ていることは許すべきものではないが、
そもそもロシアに対してアメリカとそれの従属国のようになっているヨーロッパがNATO拡大というロシアへの侵略をしていたのでは無いか。
筆者の主張である、家族構成が国家の性格になるのであれば、イラン -
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フランスの歴史人口学者、家族人類学者である著者が世界情勢を考察する世界各国で発売されている一冊。
歴史人口学、家族人類学という分野は初めて触れますので、このような考え方で見ると、世界はこう見えるのか、という個人的には衝撃的な内容だったと感じました。それだけに、各国の歴史、家族観、宗教観に加え、民族扮装や革命など大小の出来事を把握していないとなかなか理解できず、難解な印象を受けました。たまたまですが、同著者による『西洋の敗北と日本の選択』を同時進行で読みましたので、こちらを先に読んでからのほうが理解が進むと感じました。
本書は、ウクライナ戦争から考察を始めています。そのなかで、乳児死亡率、自殺率 -
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フランスの歴史人口学者、家族人類学者である著者が世界情勢を考察する世界各国で発売されている一冊。
『西洋の敗北』を読んでいたところ、内容が難しい点が多いと感じ、まずは日本のことを述べている本書と同時進行で読んだことで理解が深まった感じがします。
このような視点で世界を見るということが非常に新鮮であり、興味深く読み進めました。家族構造的に、日本は中国よりもドイツに近いこと、日本に対し、核武装と共に通常兵器の増強、さらにロシアとの友好関係の構築を勧めるなど、なかなか言いにくいような提言をしています。著者は、日本にかなり好意的な印象で、期待しているようにも感じます。現状、日本が劇的に何か変われるわけ -
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ロシアがウクライナに侵攻して暴虐を尽くしたのが2022年2月。このトッドー池上対談が行われたのが2023年4月。まだバイデンのアメリカだった頃に書かれたこの書籍を、3年後、トランプがイスラエルと共にイランに先制攻撃した後に読む。まるで答え合わせをするように。
そうか、問題はトランプではなく「アメリカ」だったのか。
ロシアと欧州が抱く家族観の違いの中で、欧州的な個人主義&核家族の価値観がいまだ世界的には「少数」ということや、日本とドイツが「中間」にいる立ち位置など、人類学と歴史学の立ち位置を持つトッド氏の指摘は興味深い。ただ、トッド氏が日本に対して助言する中で、アメリカ主導からの脱却を促 -
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ウクライナ戦争や米欧の分裂をめぐるニュースは追っていたつもりだったのに、この本を読むと“見えていた世界”がまったく違う姿で立ち上がってきました。プーチンの手段は到底許されないけれど、彼が何を根拠に動いているのかを別角度から示されると、欧米の対応のほうがむしろ行き当たりばったりに見えてくるのが印象的でした。
特に、アメリカが“負けを悟られまいとする国”として描かれるくだりは衝撃的で、イランへの強硬姿勢の背景をこう読むのか、と目が覚めるような感覚がありました。昨年出版された本なのに、その後の国際情勢と照らし合わせると妙に腑に落ちる部分も多く、今のアメリカを著者がどう分析するのか続きが気になります -
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1.日本から「家族」が消滅する日
日本やアジア圏の少子化は「ゾンビ儒教」によるもの。老後の世話と子どもの教育が負担が重すぎ、少子化を招いている。
今後老人はどんどん増えていくため、儒教的な老人支配は強まる一方。親の面倒ばかり見たり老人への支援ばかりしていると少子化は進む一方だが改善される兆しはない(一人一票の民主主義の構造上の欠陥、マジョリティ優先)
フランスは老後の面倒や子どもの教育を国が行っているため少子化になりづらい、移民も多いが。
2.ウクライナ戦争と西洋の没落
ロシアの行動は西欧社会の勝手な価値観(グローバルスタンダード)を世界に押し付けようとしたことへの反発にある。日本もアングロ