エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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『第三次世界大戦はもう始まっている』は上手い新書タイトルだった。それを継続し「ヨーロッパは敗北しつつある(テクノロジー開発が劣位にある)」「イスラエルは民族浄化がアイデンティティになっている」/『西洋の敗北』は25ヶ国語に翻訳されたが、米国版は出ていないという、「それは名誉なことです」、
「日本本土への核攻撃に、アメリカが核報復を覚悟して報復してくれるはずはない」。日本に核保有を勧めているのは、論理的には正しいだろう、政治は倫理でやるものではない。
2016年トランプ当選を予想したのは「白人男性の平均寿命がわずかだが減少している(幸福度の低下)」もうすぐ非白人が過半数になる焦燥からの反発を見たからだった、アメリカは周期的に“世界の警察官”を放棄し“受益国負担”を求める。もちろんC国には規律の根底となる「自由な言論」がない。 -
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難しい。日本に住んでいるとやはり欧州は遠くに感じる。
同じ大陸でしかも近くで戦争が起こり今も継続しているんだから、当然のことだ。
面白かったところは家族形態からそれぞれの国を観察しているところ。欧米諸国でも米英とドイツ、ロシアは違う。
むしろドイツとロシアは同じ家族形態。
信じられないが、いつかわからないがドイツとロシアは友好国となる。ウクライナはそもそも国ではなかった。
ウクライナは西部、キーウ、東部の緩い寄せ集めての連合国みたい印象を持った。
そう考えると、それぞれ分かれてヨーロッパとロシアにそれぞれ分離していれば、このウクライナ戦争は起こらなかったのかもしれない。 -
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西洋とは自由主義の国民国家。つまり欧米のこと。コロナを経て、ロシアとウクライナの戦争が膠着しつつある2024年7月に書かれた本。
文藝春秋はこの本を売るために「日本と世界に何が起きるのか」という副題をつけているが、そのようなことは何も論じられていない。むしろ、「アメリカや西欧の社会はなぜ壊れつつあるのか」といった副題のほうが正確。
ロシアは実は社会としては安定しているという分析から始まり、東欧、ドイツ、北欧、英国、米国の社会がいかにして分断、弱体化していき、ロシアとウクライナの戦争が起こるべくして起きた、という悲観的な分析がなされる。そして、西欧と米国の衰退は、キリスト教的価値感消失とシンクロしていると論ずる。
約100年前にマックスウェーバーは、プロテスタンティズムの労働を神から与えられた「天職」と捉える精神が、資本主義社会の進展を支えたと論じたが、本書は、現在その真逆の動きである「宗教ゼロ状態」が進行していると主張している。
ここでいう宗教とは一神教のこと。もとから「特定宗教依存ゼロ」「八百万のカミを満遍なく許容」している日本にはそもそも関係ない議論であるともいえる。
ロシア=悪、というステレオタイプの議論は全く異なる視点が興味深いので、彼の主張を記録する。(以下長文)
【プーチン体制のロシア】
乳児死亡率は減少し、農業生産額が増加し、経済の復興がなされ、社会は安定しているという。広大な国土に対して人口は減少傾向。著者は、ロシアには領土拡張の意図は無いと分析している。
【ウクライナ】
ソ連時代から東部はロシア語話者が多く、ウクライナ語圏は西部地域となっており、この分断は21世紀になっても解消することはなかった。しかし2014年以降、西部と中央部を核としてナショナリズムが勃興。東部のロシア語話者つが国外に移動していったという。著者の認識は、ドンパスとクリミアは「ロシア語圏」ではなく「ロシア」であるというもの。
もはやウクライナは単独国家としては存続しえず、現在の「戦時下のウクライナ」は、税収に基づく国家財政運営がなされているのではなく、西洋国家のドルとユーロの資金援助により動き続ける軍事装置であるとしている。
【「西洋」の定義】
広義ではイギリス、アメリカ、フランス、イタリア、ドイツ、日本。狭義ではイギリス、フランス、アメリカ。日独伊はナチズム、ファシズム、軍国主義を経て「今は変わった」とされているという。「西洋」を生み出したのはプロテスタンディズム。
プロテスタンティズムの二面性は、教育と経済の発展と良い面がある一方、人間は不平等という考え方があることが悪い側面。つまり、我こそは神に選ばれし者という自己認識の人を出現させたこと。これらの社会では、もともとキリスト教が社会の基盤を構成しているが、宗教が崩壊するかわりに政治イデオロギーの形をとった集団信仰が勃興。
著者は宗教価値観の社会への浸透度合いを、活動的状態、ゾンビ状態、ゼロ状態に分類し、同性婚の法制度化がなされた時点をもって国家の宗教価値観が「ゼロ」となった時点であるとしている。
【ドイツ】東欧国家を取り込み再組織化。東欧諸国は「ロシアの思想的・政治的衛星国」から「ドイツの経済的・人口的衛星国」へと移行。2012年のノルドストリームパイプラインの開通により、ドイツはアメリカの軍事的保護に頼りながらも、エネルギー面ではロシアと密接なパートナーシップを開始。つまり、ロシアとの関係においては、ドイツはエネルギー面かつ経済面での自国の利益を放棄。一方で、ウクライナ戦争においては米国に追従。ドイツの指導者たちは、ウクライナとの連帯が免罪符となるという行動か。ドイツの矛盾した行動を、著者は「自殺幇助による欧州の死」と表現。
【英国】著者の観察では、イギリスは「国家ゼロ」状態に向かって突き進んでいる。
最近の大きなイベントであるEU離脱は、イギリス国民の内部崩壊から生じた。EU 離脱にはイングランドとスコットランドの分離問題も関係する。
UKすなわちUnited Kingdomは1707年のイングランドとスコットランドの合同によって誕生。UK/イギリス国民誕生は、プロテスタンティズムという共通のアイデンティティに基づく。
現在のイギリスの政界は急速に最上位レベルで有色人種化が進む。かつてはイギリスは白人のプロテスタントの国だったが、もはやそうではない。
イギリスは500万人以上の大都市はロンドンのみ。ロンドン首都圏には全人口の16%が居住。脱工業化が進み、金融業がGDPの8%を占める。米国に対して貿易赤字を抱える。
17世紀にプロテスタンティズムが浸透。識字が進んだ。プロテスタンティズムの労働倫理は労働と貯蓄を重んじるもので消費社会とは対極。19世紀には、イングランド南部とロンドンではイギリス国教会が支配的となる一方、イングランド北部やウェールズではメソジストなど非国教徒のプロテスタントが主流に。
20世紀初頭に、この2つのプロテスタントが共に崩壊。プロテスタンティズムに替わってナショナリズムが台頭。著者はこの状態を「プロテスタンティズム・ゾンビ」社会と定義。亡霊のようなプロテスタンティズムが戦時下の国家団結の基礎となったとする。戦後、1960年代以降、火葬率の高まり、同性婚の合法化とともに、キリスト教的な価値観が衰退していく。
ブリグジットの議論が本格化した2014年は、宗教ゼロ状態の出現と時期が同じ。EU離脱を支持した「中等教育までしか受けていない層」と、残留を志向した高等教育を受けた層の間の断絶が顕在。
プロテスタンティズムの国として、かつては宗教と国家が緊密に結びついていたが、宗教が衰退したことが「国家・ゼロ状態」となっている。
【北欧】
ウクライナ戦争以降、ヨーロッパ北部のプロテスタント地域に、好戦的な政治勢力が出現。フィンランドとスウェーデンがNATO加盟要請。
デンマークとノルウェーは以前からNATOに加盟済み。デンマークは米NSAの盗聴拠点として、NSAによるメルケルの盗聴にも関与。
スカンジナビア社会でプロテスタンティズムが消滅していくことで、国民が帰属先を求めている。
フィンランドとスウェーデンがNATO加盟要請に至った原因は、ロシアから守られたい、からではなく、どこかに帰属したい、からなのだ。
【米国】
米国は東西を大海に囲まれ、南北の国境は大国ではないカナダとメキシコと接しているという点で、地政学的には「離島」だが、世界経済への依存度は高い。しかし、アメリカ社会は内部において衰退が進行している。
プロテスタンティズムが崩壊したことにより、アメリカ社会の価値観がネガティブなものに変化。
白人中年男性の死亡率が上昇。その死因は、アル中、自殺、オピオイドのOD。また、アメリカは先進国で唯一、平均寿命が低下している国であり、乳児死亡率はロシアよりも高い。対GDPに占める医療費が他国よりも高いが、その医療費の一部はオピオイドによる社会の破壊に費やされている。
WW2のあとにルーズベルト政権がとったニューディール政策は、富裕層に増税し、組合を制度化したという意味で左派的だった。アイゼンハワー政権下では、退役軍人に高等教育をうける機会を与える政策がとられる。この時期の米国は、内政的には宗教的な盛り上がりが最高調に達し、外交的には共産主義との対決が鮮明に。当時の負の側面としては①南米諸国が実質的に米国の属国であったこと、②黒人に対する人種差別が制度として残っていたこと。
つまり、アメリカの自由民主主義では、インディアンと黒人を劣等人種として不平等に扱うことを固定化していた。プロテスタンティズムは人の不平等を制度化するメカニズムを有しており、黒人問題は宗教的な側面を内包している。
時を経て米国においてもプロテスタンティズム及び宗教全般が衰退が進行中。著者は、出生率の低下、ホモセクシャリティを容認する人の増加、同性婚を容認する人の増加に結びつけている。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教はいずれもホモセクシャリティを非難し、同性婚を無効とする。したがって同性婚が法制度として成立する時が「宗教ゼロ」の状態であり、米国においては2015年がその年である。さらに現在は一歩すすんで現在のトランスジェンダーや性自認に関する議論は、本来は変更することが出来ない生物学/遺伝学的な性別を変更可能とする。これは、「虚偽を肯定、崇拝」するニヒリズムであるとする。
プロテスタンティズムの衰退は、結果として黒人の解放ももたらしてきた。しかし黒人への不平等は、白人間の平等を機能させてきたが、黒人の解放はアメリカの民主主義の混乱をもたらした。
労働者階級消滅に伴い中流階級は衰退。銃乱射事件は激増中。肥満疾患をもつ国民の割合は他国対比で群を抜いて増大。
戦後の高等教育の大衆化は、それまでWASPのみがアクセス可能だった高等教育をSATの成績次第で誰でも(特にユダヤ人)に解放した。しかし結局、このメリトクラシーは衰退し、現在では最富裕層のみによる寡頭制の不平等社会となっているとする。
アメリカの経済的な強さは、情報技術の進歩と豊富なエネルギー生産能力があることに裏打ちされているが、製造業は衰退。工作機械はもはや自国では生産できず、エンジニアになる大学卒業者の割合は激減。科学と技術分野においては、他国から労働者を大量に輸入しないと成立しえない。
【西洋圏ではない、その他の国々】
ウクライナに侵攻したロシアを非難している国はアメリカの同盟国か軍事的保護国。これら西洋圏は世界人口では12%に過ぎない。非難していない国には、ブラジル、インド、中国、南アフリカ、サウジ、トルコ、アルゼンチン、イランが含まれる。
現代の経済対立を、西洋vsその他、と捉えると多くの国はロシアに対して「2度目の脱植民地化」を期待しているといえる。
消費社会のグローバル化により、現代の西洋社会のプロレタリアートは、新興国の低賃金労働者に依存することで生活水準を維持している。西洋先進国は、いわば社会全体がバングラデッシュの児童労働を利用している。
ウクライナ戦争の本質は、ロシアvs米国(と同盟国)の戦いであり、グローバル化の第一段階が低コスト国への生産移転だったとすると、第二段階は低コスト国に戦争を肩代わりさせているといえる。
これら「その他の社会」が父系制の家族構造を維持しているが、アメリカは性別を否定するニヒリズム社会となっている。しかし、米国の「虚偽を肯定する価値観」は、重要な政策ですら一夜にして変わりうることを示唆する。日本はアメリカに追随するためにLGBT法案を通しているが、中国との有事の際にアメリカが軍事保護を行わない可能性さえある。
【冷戦後のアメリカ】
著者はソ連崩壊後のアメリカの行動を4局面に分けている。
第一段階はソ連崩壊後数年間、平和が続くという見方から軍事費を削減。ロシアを見下していた。
第二段階は2008年まで。アメリカは世界の支配者を目指して軍事費は増大するも、イラクとアフガニスタンでの軍事行動は失敗に。一方ロシアでは、1999年にプーチンが政権を握りロシアの再興に着手。同年チェチェン人によるモスクワでのテロ発生を制圧するも、チェチェンに自治を認めることでロシア社会への取り込みに成功。チェチェン連隊はウクライナ戦争でロシア軍で主要な役割を果たすまでになる。
第三段階は、オバマ政権下での軍事退却の時期。
アメリカが中東から撤退することができるようになったのは、天然ガス生産量が増大し、エネルギーの自立を確立したため。東日本大震災によりドイツは脱原発を宣言し、2012にはロシアとの間にノルドストリームが開通。ロシアは2008年にはジョージアの南オセチア共和国紛争に介入し同国を収奪。2014年にはウクライナのクリミアに侵攻。2015年にはシリアに介入するがいずれもアメリカは動かず。
そして現在の第四段階は、「現実逃避」のフェーズ。一貫性をもたない外交政策の第一期トランプ政権を経て2020年にバイデン政権がスタート。アメリカはアフガニスタンからは2021年に撤退するが、ウクライナではナショナリズムが勃興。警戒を強めたプーチンがついにウクライナに攻撃開始。アメリカの指導者たちが合理的に行動しないことは、今後のアメリカの方向性を不確実にしている。著者はアメリカが指針を失っていることを「宗教ゼロ状態」と形容。
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Posted by ブクログ
この本はベストセラー『西洋の敗北』を踏まえた上で読むべきだと思うのですが、今さら読む気にもなれずAIに教えてもらうことにした。AIの回答は、『西洋の敗北』の主張は以下4点で
1.西洋の衰退は内部から始まっている
2.ウクライナ戦争は西洋の限界を示した
3.アメリカの覇権は弱まっている
4.世界は多極化へ向かう
但し、異論も多く、専門家の間では賛否が分かれているとのこと。
この『西洋の敗北と日本の選択』では、実質的に上記の再掲と、『西洋の敗北』にはなかったイスラエル・イラン問題について言及されています。もう『西洋の敗北』は読まなくてもいいかな。
この方がここまでロシア贔屓だとは知りませんでした。見方はいろいろあるにせよ、先制攻撃はロシアで、たくさんの人が亡くなっている。ロシアが武力行使をしなければこうなってないと思うのだが、それでもロシアを擁護するんだろうか。
イラン、イスラエルについて。本書は7部構成だが、5件目は「イスラエルは神を信じていない」7件目は「危険なのはイランより米国とイスラエル」だ。著者はユダヤ人つながりはあるが、ユダヤ人なのかキリスト教徒なのかわからないとのこと。「伝統的なユダヤ的価値観」と「イスラエル国家の行動」との乖離を指摘し、もはやイスラエルとの縁は感じないそうだ。日本でも、ユダヤ教の国ということは知っているが、イスラエルは好戦国という印象しかない人は多いだろう。そういう意味では、アメリカとイスラエルは近いのかもしれない(トランプはイスラエルをポイ捨てたようだが)。ユダヤ教に固執しているのに、八方へ虐殺的に武力行使をして憚らないイスラエル。イスラエルの建国の志は消えつつあり、もう宗教はどうでもいいのだろうか。
この著者は日本には核保有を勧めていたり、他にもいろいろありますが、『西洋の敗北』の延長、または『西洋の敗北』につながる内容が多いようです。『西洋の敗北』は英語に翻訳されていないそうですが、特にアメリカはそんな話に耳は貸さないでしょう。本物のインテリ層なら英語訳がなくても読むでしょうが、その上で何を言ったところで、アメリカでは意味を持たないように思います。
この方は少々ロシア寄りだとは思うものの、日本はアメリカ側のものの考え方をしがちなので、ヨーロッパ人の世界情勢の見方として一読する意味はあるかと思います。英語圏以外で、こういう視点の方の著書が他にあれば読んでみたいです。(でもそれが中国人だったら批判的に考えるだろうな…と思うとやっぱり私も西側人間だな)内容は理解できても、ここに書くのは難しい。。。 -
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ロシア、米国、ヨーロッパの状態をウクライナ戦争を元に解説する。ちょっと難しいところもあるが、ロシアは経済制裁を受けても見た目ほど悪い状態ではなく、準備をしっかりした上での軍事侵攻だったようだ。そして、ヨーロッパは米国の属国かのように落ちぶれ、すでに西洋は支配的な立場ではないらしい。実感はないが、著者の説明で納得するところも多い。そして、西洋が敗北した後には中国や中東の姿が見えそうだ。本書を読んで、ロシアの見方が変わった。米国の危うさも分かった。ヨーロッパは他人事にできるのならしたいくらい心配だ。
宗教において、「活動的」段階から「ゾンビ」段階に、そして「ゼロ」段階になるとの分析が頭に残った。活動的段階はミサに行って心から宗教を信じる段階、ゾンビ段階は形式的に宗教儀式をする段階、ゼロ段階は宗教に関係ない生活を送る段階と言ってよいだろう。そして「無」を崇める「ニヒリズム」となることで、国は自滅していく。日本は宗教が全面には出ないが、国民はニヒリズムの感情を持っている人が多いように感じた。これはかなり危険な兆候であり、日本の政治を「なんかつまんないことやってんなー」としか思わないような、先は暗闇しか見えないようなものだ。 -
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第三者的な立場から(日本のことも好意を持って慮ってもらえるという特殊性も加味して)日本が今後どのような道を目指すべきかを考える示唆を与えてくれる本。日本人はもっと危機感を持って現在の世界情勢を捉える必要がある、という認識を持たせてくれる。
本とは直接関係ないが、以前台湾を訪れた際に台湾における国交大臣にあたる方のスピーチを聞いた。相手に訴えかける話し方その話すスピードの心地よさ、かつ内容も理路整然としている、素晴らしいスピーチだった。現地の方に「素晴らしい政治家がいて良いですね」と話すと、「あの方よりもっと人気がある方がいますよ」と言われた。台湾の方々の政治への関心の高さと人材の豊富さ、日本の政治に対する不安な気持ちが押し寄せ、暗澹たる気持ちになった。
しかし、日本も手をこまねいてる暇はない。国民一人一人の手で日本という国家をどうしていくか、考えなければならない時が来ている。 -
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経済ではなく、家族構造、宗教、教育等の人々の無意識や下意識で行動を形作る文化人類学的観点から過去および現在の各民族の立ち位置を解き明かす本。新たな視点がたくさんで興味深かった。
以下、興味深かったキーポイント。
☀︎原始の人間は外婚制、核家族で、女性の地位が高い。そこから家族形態を進歩させてきたところほど日本やドイツのような直系家族やロシアや中国、中東のような共同体家族である。
☀︎民主制こそ原始的。
☀︎ロシアは共同体家族でありながら女性の地位が高い。
☀︎もともとは宗教改革から始まった識字化が、産業革命等の経済革命の素地をつくった。
☀︎直系家族は、強力な推進力を持つが、既存のシステムを変えるのには核家族よりも時間を要する。
☀︎日本は世界の競争から出たがっているように見える。
個人的には、北欧の国々は女性の方が男性よりも圧倒的に学力が高いのが面白かった。 -
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ー グローバリズムによって、米国の労働者階級は安価で質の良い製品を自分で「生産」せず「消費」してきました。しかし「生産者」と違って「消費者」は「共同体」には属さない存在です。ちょうど、帝国の富によって生きながらえたローマ帝国末期の「平民」のように、「労働者」とは言えません。
「民主主義」は「消費者」ではなく「労働者」によって支えられるもので、そうした「労働者」が消滅したことで米国の「自由民主主義」は「リベラル寡頭制」へと変質してしまいました。 トランプを支持しているのも「労働者」というより、基軸通貨ドルの恩恵の下で生活している「消費者=平民」なのです。 ー
資本主義と民主主義の二人三脚の崩壊の先にある新たな政治経済の枠組みってなんだろうか。
イスラエルを駆り立てる戦争への欲動は、どこで誰が止められるのだろうか。 -
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ー ウクライナ・ナショナリズムの一時的な軍事的成功は、地域レベルではなく、世界レベルでの軍事的、経済的、イデオロギー的敗北によってしか抜け出せないような、エスカレートした状況にアメリカを追い込んだ。現在のアメリカにとっての敗北とは、ドイツとロシアの接近、世界の脱ドル化、「集団的内部紙幣印刷[ドル〕」で賄われる輸入の終焉、そして大いなる貧困だ。
しかし私は、ワシントンの人々がこうした事柄について果たして自覚できているのかどうかまったくわからない。むしろこの敗北の意味について何も気づいていないことを願おう。そしてアメリカが、アメリカとキエフ(キーウ)のためだけに平和を宣言し、サイゴン、バグダッド、カブールと同じような結末を迎えることになると彼らが信じていることを願うのだ。
しかしながら、アメリカの社会学的ゼロ状態は、アメリカの指導者たちの最終決定に関する合理的な予測を不可能にしている。とりあえず、ニヒリズムは必ずすべてを可能にしてしまうということは、頭にとどめておこう。 ー
2年前から、状況はますます悪化している。
止まる理性がないとするならば、どこまで悪くなっていくのだろう。 -
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今世界で起こっている変化の底にあるのは『西洋の敗北』、宗教ゼロになりアメリカとヨーロッパがニヒリズムに陥っているからとトッドは言う。
下部構造である経済に政治は規定されるが、可視化されている経済の水面下には、教育があり、宗教があり、家族構造があるとはトッドの分析。
宗教ゾンビ化がナショナリズムを生み2度の世界大戦を起こし、戦後に宗教ゼロが始まりニヒリズムからの世界の混乱が起こっている。
トランプがいなくなってもこの潮流は止まらない。日本はどうすべきか、自分はどうすべきか、まだまだ答えは出ないが、トッドは考える方向性を示してくれていると直感的に思う。