エマニュエル・トッドのレビュー一覧

  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    西洋の敗北とは、権威主義国家など他世界に対する敗北ではなく、民主主義国家自体が内部崩壊していくこと示し、すでに西洋は民主主義でも国民国家ですらも無くなってしまっているとの激しい主張。宗教ゼロの状態がエスタブリッシュメントのモラルや道徳を無くし、そこからさらに進んで現実を否定して暴力的な衝動を持つニヒリズムの傾向を見出す。ちなみに生物学的に染色体で雄雌は決まるのだからトランスジェンダーを認めることはニヒリズム的ということになるらしい。アメリカのパワーバランスによって安全保障を成り立たせている国は非常に多いはずであって、筆者が言うように本当にアメリカ自体が経済的にも軍事的にも衰退しているとすれば、

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    2025年10月02日
  • 西洋の敗北と日本の選択

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    決して万人受けはしないとは思うが、日本の核武装を推奨したりと今までに見たことの無いポジションでの各種ご意見はとても興味深い。
    親露・反米の発言の数々で、英語圏で未だに翻訳されてない事をいわば名誉だと開き直っている姿勢にも笑ってしまったw
    「西洋の敗北」はあまりに骨太そうで今まで避けていたが、この人が書く本だったらどっぷり浸かってみようかと思い直す事が出来た。

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    2025年09月30日
  • 西洋の敗北と日本の選択

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    ウクライナ情勢と米国の思惑
    ●ウクライナは米国の援助なしでは戦争を続けられず、援助があってもロシアに勝てないことが明らかになった。
    ●そのため、資金や武器を他国に依存してきたウクライナに停戦・和平案を受け入れさせることは理にかなっている。
    ●強力な軍事支援でウクライナを事実上NATO側に組み込み、この戦争を起こした米国の隠れた目的は「ロシアとドイツを分断すること」。
    ●ロシアとドイツはもともとエネルギーや経済面で結びつきが強く、長期的に協力関係を築くのが合理的だった。



    欧州・米国関係の変化
    ●ノルドストリーム破壊によってドイツは米国に反抗的な立場を取り、欧州と米国の隔たりが広がった。

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    2025年09月28日
  • 西洋の敗北と日本の選択

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    日本を核武装すべき、ロシアとの友好関係を構築すべきという提言はとても重要。日本も真面目にこの議論をすることが急務だと感じた。
    ハンガリーのオルバン首相との対談についても興味深かった。
    イスラエルへのスタンスも考えさせられた。
    雑誌などへの原稿のまとめではあるが、有意義な書であった。

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    2025年09月21日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    フランスの歴史学者であり人類学者であるエマニュエル・トッド氏によるウクライナ侵攻の地政学分析書。15ヶ国以上で翻訳されているベストセラーにも関わらず、英語圏では未出版という曰く付きの書籍。奇しくも2025年8月16日の米トランプ大統領と露プーチン大統領の会談の日に読む。予測の正確性と的確さに驚かされる。
    ウクライナ侵攻とは単なるロシアによる侵略戦争ではなく、ロシアの一貫した政治的態度に対する脆弱化した西洋の敗北であると著者は主張する。西洋側にいるとロシア₌絶対悪かつ不利な立場の報道を日々受け取るが、実態はロシアは国家として安定しており、NATOに対する脅威から2014年のクリミア半島併合問題が

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    2025年08月19日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    ロシアから見たウクライナ戦争。
    物事は多面的に見なければ本質は理解できない。
    正義はどちらにもある。
    あまり感想になってはいませんが
    とにかく一日も早く停戦して欲しい。

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    2025年08月19日
  • 老人支配国家 日本の危機

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    エマニュエル・トッド氏の本は何冊か読んで、家族構造から人間の価値観や行動を説明するアプローチに感心した。その著者が日本について論じた本ということで興味を持ち手に取った。

    日本は伝統的に直系家族であり、日本人は継承が得意な反面、創造的破壊が苦手という性質を持つ。特に、直系家族システムが完成してしまうと女性差別や権威構造が硬直化してしまい、システムの維持が目的となり自己変革が更に難しくなるという。ここに日本の危機がある。

    面白いのは鹿児島のとある地域では、創造的な破壊が自然に受け入れられるような家族を持つところがあるらしい。明治維新での薩摩藩の中心的役割もその文脈で語られていた。規律正しい反面

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    2025年08月14日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    現代の世界情勢が、とても分かりやすく解説されていて、感動です。
    ロシアによるウクライナ侵攻をベースにした世界情勢です。
    ヨーロッパは根が深いですね。

    ただ、翻訳のレベル低く、誤字脱字も散見され、そこだけが残念です。

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    2025年08月06日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    序章だけでも示唆に富む。トランプ再選前の書だが、世界の情勢に遅れをとっている私には、特にウクライナ戦争の始まりと背景、各国の対応の解説について大変理解しやすく、しかも面白く読めた。帯にあるアメリカと欧州が自滅した、の意味が知りたい方は必読。

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    2025年08月06日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    ネタバレ

    作者は、ウクライナの敗北、プーチンの勝利を予想している。感情論を横に置けば、頷けなくもない。
    敗北の起因は、西洋の「プロテスタンティズム・ゼロ」状態による道徳的、社会的に崩壊にあるとする。特に、アメリカの衰退は不可逆的性を確実なものになったとしている。
    そのことは、トランプを大統領に選出したアメリカの不可解さを説明しているように感じた。

    印象に強く残ったのは、パレスチナ問題に対する西洋の対応が、「その他の世界」を親ロシアにしたと述べている点だ。数年前には違和感を感じたであろうが、今のトランプを選択するか?ということから、あり得ることであろう。

    グローバリズムを全面的に肯定はしないが、右翼化

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    2025年07月25日
  • 第三次世界大戦はもう始まっている

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    ロシアvsウクライナの戦争は、権威的民主主義陣営vsリベラル寡頭制陣営の対立が背後にある。後者の先鋭がアメリカ・イギリスであり、彼らはウクライナ人に軍事支援を行うことで、自らの手を汚さずにロシアと戦争をしているのである。よってヨーロッパを舞台にした世界戦争はすでに火蓋を切ったというのが、著者の見解である。

    著者は家族構造や宗教・教育のシステムから政治や経済を論じるスタイルを得意としており、本書においてもその手腕が如何なく発揮されている。種々の媒体での発言や記事の寄せ集めのため、体系的ではないが、一貫性は有る内容になっているように感じた。

    アメリカ・イギリスなど、いわゆる『自由民主主義』的な

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    2025年07月22日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    ウクライナ戦争勃発時、西側諸国はロシアに対し、経済制裁によって瞬く間に屈服するという幻想を抱いていた。しかし、その目論見は大きく外れる。
    ロシアはクリミア侵攻以降の経済制裁を教訓に、国内産業構造を強靭化し、西側から独立して存立しうる体制を築き上げていたからだ。

    米国の「滑稽さ」とロシアの強靭さ

    一方、ウクライナ戦争における西側のリーダーを自負しながら、物資の製造・供給すら満足に行えないアメリカの現状は、著書の中で「滑稽」と厳しく批判されている。経済的な実力差にとどまらず、乳幼児死亡率などの社会指標においてもロシアが優位であるという指摘は、西側社会が抱える問題の根深さ、およびそれを自覚できな

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    2025年07月06日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    多くのマスコミの論調(主にアメリカのリベラルなマスコミに通じる)とは異なる著者独自の視点(家族構造からみた国家観や欧米の宗教観)及びフランス人から見たヨーロッパ、ロシア、アメリカの見識から本書はマンネリな読者(もちろん私も)の思考に刺激を与える。
    ロシアのウクライナに対する侵略が単なる領土拡大ではなく安全保障の観点から追い込まれたという親ロシア的な見方には、安全保障という概念が結果として領土拡大ないし利権の確保になったことは歴史が証明しているのでは?また、法の支配や国際法に関してスルーしているのは気になるところ。
    ただプロテスタンティズムの衰弱が信用経済にどっぷりつかってアメリカの工業力の低下

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    2025年07月05日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    いまだ20世紀と変わらない西洋の独善を体現したようなアタリは論外としても、4名の「西洋」知識人達の議論には特に目新しい視点がみられない(トッドもこの時点では露ウ戦争へのスタンスを明確にしていない)。唯一ミラノビッチにはやや未来に開かれた現実主義のようなものが感じられたくらいか。
    一方で、その後を受けた日本の論者達の議論には共感する部分が多かった。特に小川さやか氏の途上国やインフォーマル経済に視点を置いた議論には、世界の広さや本当の多様性について考えさせられる。

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    2025年06月18日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    この本は、トッドの大作『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』を読むための入門本と冒頭で紹介されているけど、それ以上の面白さ。

    前述の大作の面白いところをギュッと紹介してくれるだけでなく、現代社会の抱える様々な課題や疑問を家族制度の観点で説明するところにフムフムと読み入ってしまう。
    ところどころに見える刺激的なフレーズがまた良い。

    意図的に極解した切り取り
    ■日本やドイツは長男を頭とする直系家族社会。英米の核家族社会とは根本から異なる。
    ■日本は長男が家を継ぎ、老いた親の面倒を見て家が社会福祉を担った。英米は成長した子は親元を離れ、老いた親の面倒は社会税制が担った。
    ■日本が硬直化しやす

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    2025年06月15日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    プロテスタントの規律を失った英米欧州各国をプロテスタントゼロとして、西洋は一部のゼロ化したエリートたちが政治を牛耳る寡頭制国家になっている。一方、アメリカは製造業が空洞化して、世界を実質的にまとめることは出来なくなってきておりせいぜい韓国、日本、台湾をつなぎとめるだけであり、欧州まで手が回らないが、それでもイスラエルやウクライナへのテコ入れをすることで無理があらわになってきている。
    西洋の多様性の強要は、宗教ゼロではない他の国々の共感を得ることが出来なくなってきている。

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    2025年05月24日
  • トッド人類史入門 西洋の没落

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    オーディブルで

    エマニュエル・トッドの著作は以前いくつか聴いたことがあるのだが、これは「我々がどこから来て、今どこにいるのか?」の邦訳の出版後に、それを読み解き、さらにはその後の特にウクライナとロシアの情勢を受けての世界の現状をどう考えるかについて、トッド氏と、片山杜秀、佐藤優両氏の対談、トッド氏についての片山、佐藤両氏の対談、フィガロ紙のトッド氏に対するインタビューなどなどを載せている。基本、対談やインタビューがベースのものなので、わかりやすいものになっている。

    「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」もオーディブルに入っているので、聴こうと思っていたが、こちらはちょっと気合を入れない

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    2025年05月22日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    個別の議論は理解できても論点が多く、それらが相互連関しており、全く日本人の通説的なところと違う視点から切り込んでくるので、全体として非常に難解で一度の読書で消化できる内容ではない。

    基本的にはアメリカを中心とする(日本も含む)西欧社会が終わりに向かっているということで、一番の要素を宗教→プロテスタンティズム→金と権力だけの宗教ゼロ状態という西欧の流れが自己利益だけのエリートと民衆の分断を招いているという指摘。これは、日本社会も含めてモヤっと思っていることを言い当てたのかもしれない。そして、そうした利益社会は即物的な戦争に走りやすいと。

    また、そうした傾向は現物経済よりも、法律家・金融家とい

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    2025年05月13日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    識字率の上昇、義務教育の普及が民主主義の基礎を作ったということも事実ながら、高等教育の普及による教育格差が社会の分断を生み出し、民主主義を破壊するというパラドクシカルな現実を告発するエマニュエル・トッドの明敏さ。

    人類は歴史上初めて、先進国の教育において、女性が高等教育を受ける比率が男性のそれを超えるという時代を迎える、とトッドは指摘する。
    現在私たちがいかなる意味で歴史上大きな転換点に立っているかを明晰に教えてくれる著者に感謝。

    トッドの深い人間知を垣間見せるフレーズを引用しておく。
    ある人が「支配階級はただお金を稼ぎたいのだろう」と言ったのに対して、トッドはそうではないと答える。ありふ

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    2025年05月12日
  • 西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

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    なかなか難しかったので半分も理解できていない気がするが、ロシアとウクライナの戦争について、今までにない視点でみることができた。西洋は宗教ゼロに向かうことで崩壊してきているというのも興味深い

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    2025年05月11日