エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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4.1 (9)
Posted by ブクログ
何時の時代にも「考えてみるべきであろう」というテーマは在る。そんなことに関する話題を提供してくれるのが本書である。豊富な話題を提供してくれる一冊であると思う。
本書は識者達へのインタビューや鼎談、対談を色々と集めて纏めたモノである。幾つもの読み応え在る内容を纏めている。新聞の特集、その下敷きになるフォーラムというのが下敷きになっているようである。
幅広い話題が取上げられているが、敢えて一口で纏めるのであれば「揺らぐ世界の中で進む技術革新という様相が導く先は?」というようなことになるのだと思った。
ロシア・ウクライナ戦争のような大規模な軍事衝突が展開している他方、各国で民主主義体制が揺らいでいる -
4.1 (9)
Posted by ブクログ
「人類の終着点」とはエグいタイトル。終着点と言いつつ、副題で「戦争、AI、ヒューマニティの未来」と。未来、それが明るいのか暗いのかはわからないけど、歴史が続くのであれば、決して終着ではない。一方、今の不透明・混乱な時代に生きる我々からすると、今後どうなるのか=終着ということだろう。
民主主義の問題、資本主義の問題、リベラルの問題、、、、今の世界を覆う問題を解説するものは多い。しかし論点が複雑で、自分の理解が大雑把でも正しいのかどうか自信がなかった。この本は、インタビュー・対談方式の構成で、体系立ってはいないけれど、わかりやすく解説されている。
グローバリゼーションとテクノロジーが、急速に世界 -
Posted by ブクログ
ベース情報が既に1年前ではあるが、書かれている内容は古くなっておらず、新鮮な状態で拝読(つまりウクライナ戦争が膠着状態であるということだが)。タイトルの通り、ウクライナ戦争に至る過程は、まさにアメリカ中心世界の終わりの始まりで、アメリカの生産力低下・エリート層の劣化・民度の劣化等、総合的劣化が根本にある。分断が進む世界=不安定化ではない、という言説を信じたくはなるが、これは誰にもわからない。プーチン独裁のロシアが世界の覇権を握る未来像は想像もしたくないが、世界が行き過ぎたグローバリズムから緩やかな分断に移行していくことは間違いないように感じる。本書は池上氏の質問にエマニュエル・トッド氏が回答す
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Posted by ブクログ
ロシアと西側の代理戦争としてのウクライナ戦争に関する報道は、その量と内容についてジャーナリストが持つ信仰のようなものが影響しているという指摘は報道内容に対して自分の軸をちゃんと持たなければいけない、という気持ちを強くさせる。単なる戦争、軍事的な分析だけでこの争いを語るのではなく、多面的側面から読み解くからこそエマニュエル・トッドは先を見通すことができるのだろう。ジャーナリストとして中立的立場である池上彰も自身の軸を持って語っているので大変参考になる。
いずれにしても問題だらけだな、世界は。その問題を上手く利用してやろう、という国々の利己的な思惑は恐らくなくならないけど、勝ち負けだけじゃなく、も -
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警告の書、世界経済という視点からグローバリズムという経済活動を検証する
グローバリズムがもたらしたものは、経済の自立を失い、国家主権さえ失ってしまう状況である。
EUは、グローバル資本主義のもとに完全な自由貿易、経済的国境の撤廃がもっとも進んでいる地域。
圏内で関税をなくし、通貨を統合した。しかし、その結果なにが起きたか。各国は通貨の切り下げなど金融緩和や財政出動もできず、独自の産業政策も不可能になりました。
EUでの勝者は、ドイツだ。ユーロ安でドイツの輸出産業は大いに潤った。経済危機に瀕した国々を低賃金で下請けのように使いユーロ圏がドイツにとって開かれた市場であることをフル活用している。
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Posted by ブクログ
ネタバレ結構、面白かった。
インタビューをされる側が、ウクライナ戦争に関しては情報戦が行われてて、情報が錯綜してて何が本当か分からない。と言っていて、正直だなと思った。
攻め込んだロシアには非があるのは当たり前だが、アメリカも焚き付けたよね?という内容は、そういう面もあるのかなー。と思わされた。
この戦争が今終わる事でメリットを得る者は誰もいない。というのは、暗い想いになりつつ、そう考えている人がどちらの陣営の上層部にもいるのかな?と思った。
アメリカ側→ロシアの思ったより高い生産力に根負けしたと思われたくない。
ロシア側→このまま戦争して、アメリカ陣営に劣らない国力を見せつけたい。
以上の事 -
Posted by ブクログ
言われればそうかな、という、納得感はありました。たしかに。
エマニュエル・トッドが中立的な立場で書いたと冒頭にあります。
ウクライナ戦争はプーチンのせいであるが、真の原因は、アメリカとNATOにあると暗にいっている
第3次世界大戦はすでにはじまっている
ウクライナ戦争はそもそも、ロシアとドイツを引き離そうと、アメリカが始めた戦争だ。
パイプラインの爆破も、ロシアの仕業とあるが、トッドは、アメリカとイギリスがやったに違いないといっている
ロシアにとって、ウクライナがNATOに加盟することがどれほどの脅威であるのかを西側は理解していない、いや、アメリカは理解していたからこそ、ロシアにウクライナを侵 -
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Posted by ブクログ
文春新書は本の題名と中身の落差が激しいと思うのは私だけでしょうか。この本は日本のメディアに載ったトッド氏のインタビューや対談などが集められており、老人支配国家や日本の危機というキーワードも外れてはいないものの、それだけではないという読後感です。時事ネタというか、その時々のトピックスが中心となりますが、トッド氏の発言は示唆に富んでおり、当代一級の知識人が見ている世界感をキャッチーに垣間見ることができます。文集的なものだけにちょっと重複感がありますけどね。あと、時系列が滅茶苦茶なのは不満でした。今後、文春新書のトッドシリーズは題名に惑わされずに買いたいと思いました。
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Posted by ブクログ
■読む目的
・ウクライナ侵攻関するエマニュエル・トッドの見方に、佐藤優が非常に評価していたためどのような主張なのかを確認する
・家族構造をメインの研究テーマとしている歴史人類学者がどのように地政学や国際情勢を見るのか気になる
■感想
世界の各国・各地域の家族構成という視点からここまで世界情勢を俯瞰できることにとても驚かされた。
日本もヨーロッパも、ロシアよりもアメリカとの繋がりの方が濃厚であり、NATOを通じて同サイドに居ることから、いかんせんNATO側の情報圏に包まれ、NATO側の視点が基本フィルターとなってしまう。
そんな中、著者のエマニュエル・トッド氏は、沸き立つ怒りや悲しみのような感 -
Posted by ブクログ
題名の「トッド」とは、フランスのエマニュエル・トッドのことである。独自な研究で世界を語るという感のエマニュエル・トッドである。近年『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』という人類の歴史を鳥瞰しながら、幾分掘り下げて行くという、長きに亘る研究の集大成的な本を上梓している。日本語版も登場して然程の時日が経っていない。この本の内容を念頭に、片山杜秀、佐藤優の両氏が「トッドの論点」で最近の話題等も掘り下げて論じるという感の一冊である。
本書は、トッド自身のインタビュー、トッド、片山杜秀、佐藤優の3氏による鼎談、片山杜秀、佐藤優の両氏による対談というような体裁の各部、5つの纏まりから成っている。各々 -
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第一次世界大戦の時のように起きてしまった事態に皆が驚いている
アメリカとイギリスはウクライナ人を人間の盾にしてロシアと戦っている
戦争がアメリカ文化の一部になっている
アメリカは他国を侵略することも普通のことだと考える基盤がある
ロシアにとっても予想外
共同体家族。結婚後も親と同居、親子関係は権威主義的兄弟関係は平等の社会
核家族。結婚後親から独立の社会
ヨーロッパとロシアの接近、日本とロシアの接近、ユーラシアの再統一はアメリカの戦略的利益に反するのです。そこで平和的関係が築かれてしまえばアメリカ自身が用済みになってしまうからです。
世界の不安定がアメリカには必要
NATO と日米安保の目的は -