エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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世界の捉え方が変わる本
フランスの歴史学者、エマニュエル・トッドへの文藝春秋のインタビュー、対談集。
トランプの当選予想やその保護主義的な政策の評価、逆にネオリベラリズムへの批判は日本の主流の論調と異なるものの、根拠となる歴史観を踏まえると一定の説得力がある。日本向けの話としては、少子高齢化への対策が最優先だと何度も触れられ、日本でも30年前から問題を認識しているのは先見性があったのに、何も手を打たず口だけと手厳しい。
右派左派、格差、福祉の話は価値観の問題でもあり、一致した正解などないのだが、トッドは経験主義的な立場で価値観、倫理に踏み込まないことで論理が明解になっている。それでも本能的な -
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冒頭に書いてあるが、トッドによる研究の全貌を一般の読者にも読みやすい形で示した「私にとって最も大事な本」だそうだ。全人類の歴史を、家族システムという補助線ひとつで整理しなおしてみせる手際はおみごと。経済学ばかりが重視される社会科学の現状への異議申し立ても傾聴すべきと思う。「反米を煽るものではない」と言いつつ、アメリカとドイツをディスるときの筆の冴えも面白い。
日本やドイツの直系家族が経済的な効率性に優れると言いながら産業革命がテイクオフしたのは核家族のイギリスであったり、それはそれで理由が示されるのだが、全般を通して、ああ言えばこう言う的なところも多く、ウクライナ戦争にまつわる言説も含めすべ -
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【第三次世界大戦はもう始まっている/エマニュエル・トッド】
お恥ずかしながら、今ウクライナで起こっている出来事について、しっかり本を読んで調べるのはまだ本書を含め数冊。
異なる意見や見識が有れば、是非教えていただきたいと思います。
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著者は、現在の状況を、「第一次世界大戦」に似ていると言います。
ロシアが一歩的にウクライナを攻めているというのではなく、
軍事的緊張を高めてきたのはロシアではなく、NATOの方であった、といいます。
裏ではアメリカが、ウクライナに武器を支援しており、その目的はウクライナをNATOの事実上の加盟国とし、ロシアをアメリカには対抗できない従属的な地位に追いやることです -
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歴史的経緯や国際情勢の冷静な分析に基づいて語られている。
ドイツ統一が決まった1990年に、NATOは当方に拡大しない約束がなされたが、1999年にポーランド、ハンガリー、チェコ、2004年にルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニア、バルト三国がNATOに加盟した。2008年のNATO首脳会議では、ジョージアとウクライナを組み込むことが宣言され、それに対してプーチンは「強力な国際機構が国境を接することは安全保障への脅威」であると主張していた。
ロシアは共同体家族(結婚後も親と同居し、親子関係は権威主義的、兄弟関係は平等)だが、ウクライナは核家族。外婚制共同体家族は、ゲルマン人の直系家 -
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上巻はだいぶ体力の要る読書だったが、そのおかげで下巻はすんなりと理解できた。
アメリカ、フランス、イギリス、中国、ドイツ、ロシア、日本など、異なる家族形態や宗教、教育がたどってきた歴史をもとに、現在を読み解いている。
個人的に興味深かったのは、教育、特に高等教育が不平等主義を後押ししているという現象。識字が課題となる初等教育の普及段階では、教育が平等主義とつながっているが、高等教育になればなるほど、当然のことではあるが格差が広がる。民主制は指導者が必要だから、エリートも必要なわけだが、経済格差と教育格差がリンクして議論されている日本でも、まさにこの部分を直視して問題の落としどころをさぐらねば -
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ネタバレ人口動態の専門家でそれに関しては納得できる内容だった。
経済的な観点のみで政策を進めると長期的な視点を失いやすい、という記述にも同意。
ただ、各国の経済政策については他の専門家の著書も読んで考えたいなと思った。
概ねの主張としては
今後新自由主義的なグローバルな政策から各国とも保護主義的な政策へ舵を取るべき。そういう局面に来ている。
ナショナリズムと保護主義は=ではなく、差別をしなくても保護主義は達成できると著者は考えている。
各国それぞれに課題がある。
日本は何より人口動態の問題が深刻だが、能動的帰属意識がない。
日本の制度や意識改革、既存の組織方針を刷新をするのは容易ではないので正直 -
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ネタバレいろいろな人達のトッド氏の評判が高いので、著書を読みたいと以前から思っていました。
本書ではコロナ、トランプ氏、中国、フランス、ロシア、ドイツ、欧州、グローバル経済・自由貿易と保護主義、日本の人口動態問題に関してのことが語られています。
「ロシアは騙された。NATOが約束を破って勢力を拡大し、ロシアが追い込まれた」と。
グローバル経済・自由主義は宗教に近い。自由貿易の「自由」とは奴隷制と関係がある。言葉遊び。世界の富裕層が、貧しい人々を安い労働力として使うということ。「自由」ということばそのものが嘘。
自由主義者はいつもいかに支払いを抑えるかと考えます。しかし保護主義は国家がとる自然に備 -
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ウクライナ問題に関する著者の見解がユニークなものだったので、こちらも読んでみた。
これは2015年1月におきた『シャルリー・エブド』事件にともない起きたデモなどフランスの反応についての分析。
原著の出版は、その数ヶ月後であることから、エッセイとか、インタビューを集めたものかと思って、読み始めたら、一冊を通してなんか堂々した論考となっている。
まさに社会学的、人類学的な論考で、フランスの地域ごとの価値観の分布とデモへの参加率から、どういう人がデモに参加したのかという推計から始まるところが圧倒的。
脱宗教の度合い、平等主義、権威主義の度合い、社会階層、年齢による差など、定量分析を踏まえなが -
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人口学者であり家族人類学者によるウクライナ戦争論 ウクライナはすでにNATOに加盟していたようなものだった。それに危機感を覚えたロシアがウクライナに侵攻したというのが筆者の言いたいことだ。アメリカのミアシャイマーと同じ主張だ。
母国フランスでは、集団ヒステリー状態になっていて、冷静な議論ができない状況らしい。だから日本の文藝春秋でインタビューを受けたというのだ。
「この戦争は父権制システムと核家族の双系制システムの対立だ」という筆者。何と歴史的には、ロシアの「父権制システム」の方が、アメリカ、イギリスの「双系的な核家族」より新しいらしい。地図なども使用しわかりやすく説明してくれている -
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「大分断」が2020年7月に発行されているので2021年2月に発行された「以後」は新型コロナウィルスについての世界の知見が多少とも整い始めたころとなる。前著では民主主義の失速と後退の原因としての教育格差が語られ、日本の問題にも触れるという構成だったが、「以後」」は聞き書きであり、日本人が質問し、それに答える形で構成されており、より「日本について」語る内容となっている。
トランプ大統領の業績についての評価から始まり、EUの問題や中国の行動原理など、トッド氏の家族制度による人類学的考察をもとにした、世界の見方についての視点は変わらず切れ味が鋭く示唆に富む。自由貿易と保護主義への転換については著書「 -
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グローバリゼーションとポピュリズムの中で、揺れ動く、民主主義と資本主義
四名の知性が語る現代と未来
1 世界の未来 エマニュアエル・トッド 私たちはどこへ行くのか
・核家族こそが人類の最初の家族システムだった
・今見られる政治的な代表制という仕組みは、それが民主的なものであれ、寡頭制的なものであれ、むしろ古い過去から残り続けたものであるとわかったのです。
・民主主義は、人間の小さなグループが自分たちの間で組織したものでした。そしてそれはいくらか排外的だったのです。
・この排外性は民主主義と反対のことではなくて、民主主義の始まり、あるいは再登場の始まりなのです。
・高等教育というのは、体制順 -
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ネタバレトランプ政権が終わった後に、過去の本と比べてどうだったかを照らし合わせるために読みました。
トランプさんの演説内容があり、とても良い発言をしています。
多くの日本人はトランプさんを誤解していると言いたいです。メディアは偏った報道をしていると改めて思います。
まずひとつ思ったのは、ヒラリーは戦争をやりたがっていたので当選しなくて本当に良かったです。
この本でとても気になったのが、多くの大統領に影響を与えた哲学者のニーバーという人物の話でした。
なぜアメリカは、世界の警察と言って様々な国に軍事介入をしたのか、軍事介入を始めた多くの大統領はニーバーの光の子(正義)が闇の子(悪)を倒すという単純