筆者の経歴からしても歴史贔屓が強い面はあるとは思うが、他の学問やビジネスにも適応できるような思考法を、噛み砕いて記述している本だと思う。ただ、本の執筆テーマに沿って筆者の過去のエピソードの挿入が多く、主題がとっ散らかってかえって読みにくいところも。
筆者の主観的な要素が強い本という点は注意しつつ、総じて四章あたりまでの内容は、これから論文やレポートを初めて書くという大学一年生におすすめしたい本(ファクトファースト、思考から予測への三つのフェーズ等)。作成方法のヒントだけでなく、大学で論文やレポートを執筆する意味や価値を見い出すことができるかも。
p.197に登場した「Hours de moi」(理性を失うこと。直訳すると「自分の外にいる」)は、初めて知ったが、面白いフランス語のフレーズ。この本のここまでにいたる主張に基づくなら、理性を失う状況はむしろ、「自分の内に籠もり、外が見えていない状態」であるという気がするが、対比的にも見える表現をあえてここで登場させているのかな?