エマニュエル・トッドのレビュー一覧

  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    齢69にしてこの尖り。
    マクロンをこけにするあたりが最高。
    異常に強い相関関係は、実は同じ事実から派生している2つの事象だった。とは。
    最終章の未来の畳みかけと放り投げが素敵。20年後トッド氏なきあとを見届けたい。

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    2021年06月19日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    先入観や偏見を避けるために、事実やデータから入ることが大切である。「データを十分に時間をかけて痛めつければ、希望する情報が得られる」と言うけれど、使う人が善良であれば、善良な人には届くと思う。
    どれだけデータと情報が正しくても、先入観や偏見の強い人には届かない。そこをどう対処しているのかが気になった。読み取れていないだけかもしれない。

    さらに、論理だけでなく熱い心も持っている。それゆえに軋轢を生み、大勢の敵を作ることもあるが、心がしっかりしているので揺るがない。本当に強いなあと思う。挙げられていた著作も読もうと思う。

    著者はとにかくよく読む。まずはそこから真似したい。
    若い頃はつぶすほどの

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    2021年06月04日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    著名な歴史人口学者の思考の仕方を整理した本。
    本国では、(本人いわく)敵が多いせいか、日本人向けオリジナルというのがよい。
    下記の項目を一つひとつ自分や他者の作品にふれながら語る。

    入力
    対象
    創造
    視点
    分析
    出力
    倫理
    未来

    入力から出力までのところは、大量のデータを仕入れて、創造的知性によってモデルをつくって、検証する、という流れが、自分にはしっくりくる。

    以下、重要と思ったところ。
    ・歴史とデータが重要という見解は共感する
    ・彼の分析の仕方では、数字の裏に人がいることを読み取る。「統計的想像力」というのは面白い
    ・著者にとって書くことのイメージが変化してきたこと。肉付けしながら書

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    2021年05月24日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    文中で色々な学者、政治家に対する批判や、自身に対する批判も出てくる。学者の考え方、学説の違いは、そこに至る基本的な考え方、社会に対するスタンスの差による事が分かる。作者の「思想ではなく事実から始めよ」「思想やイデオロギーが出発点にあると…それに合致した事実ばかりに注目し、前提にそぐわない事実を排除してしまい…結果として自分の考えに合わせて現実を歪めてしまう…まともな研究と言えない」「ひたすらにデータを収集し事実の積み重ねの中からやがてモデルを生み出していく」というスタンスから、ソ連崩壊、リーマンショック、英国EU離脱が予見出来たと。学者はかくあって欲しい。

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    2021年05月01日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    新しい発想は、何もないところから生まれてくるわけではない。たくさんの知識やデータが蓄積された上で、互いの関連性が見出され、新しい事実が表出してくる。著者自身の社会科学についての方法論。

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    2021年04月18日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    話題の歴史学者である著者の研究過程を紐解く本作。
    ソ連の崩壊、リーマンショック、EUの破綻(イギリスの離脱)を予見できたのは、どのような思考回路から出てきたものなのか。
    とにかく沢山の書物に触れること。広い視野から湧き出るインスピレーション。そして検証には嘘の無い数値データを用いる。家族制度、識字率、出生率、死亡率等を組み合わせると見えてくるという。
    すごいなあ。の一言。正直、凡人には解りません。

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    2021年04月13日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    思考することは、事象と事象の間にある偶然の一致や共通性を見出すこと
    そのベースとして、統計データと歴史のインプットが必要。それを踏まえての着想が大事だと繰り返し説かれていた。
    電子書籍で読んだが、実物を見たらデザインも素敵だったので、紙の本で読みたかった本。

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    2021年04月21日
  • エマニュエル・トッドの思考地図

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    フランス人学者エマニエル・ドット氏が、自らの思考の仕方を述べたもの。普段は独特の視点から、鋭く現代や将来の情勢を分析、予測している著者であるが、この本は日本人に対して、自らがどのように状況をつかみ、分析し、発信しているのかの過程を詳しく述べている。正確なデータや事実を重視し情報を収集、蓄積していくことを何より大切にしていることが、よく理解できた。古典的哲学書や小説からも学んでいることも興味深い。勉強になった。

    「私は社会から集団的な枠組み(思想や信仰など)が消滅すると、経済活動や社会活動といった集合的活動がより困難になると考えています。これまで集団的枠組みというのは一種の制約であって、それが

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    2021年03月03日
  • パンデミック以後 米中激突と日本の最終選択

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    グローバル経済の拡大による一部の富裕層とそれ以外の分断、いきすぎたグローバル経済が国民の分断を加速させる。国という共同体意識、ものづくり経済が奪われていく事への対する警鐘を鳴らし続けてきたトッドの言葉。以下、考えるべきポイントと感想。

    ・「日本の人口動態は危機的状況にある。人口減少、高齢者層の増加、少子化、日本政府は危機感を抱きながら後手後手に回り続けてきた。」
    ⇒同感。一番サポートすべき子育て共働き世代=国の生産性を維持して、且つ次世代への投資をしてる人たちをこの国はどう扱っているか?日本人として真剣に向き合うべき問題だ。このままだと老人とともに落日していく国だ。

    ・「自由貿易とは世界の

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    2021年02月15日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    教育の高度化が進み、高度教育を受ける層が増えなくなってから、教育は同じ層を再生産することになっており、分断を作り出している。そのことにより、エリートと大衆は分断され、民主主義は崩壊している。民主主義といっても、家族制度が違うアングロサクソン、日本とドイツ、ロシアといったところでは違うルートをゆく。格差を生み出すのは行き過ぎたグローバル化であり、保護主義とは自由主義の一種であり、全体主義とは全く違う。


    EUはドイツに支配されており、ドイツや中国の推し進めるグローバル化によって世界的な分断を生み出しているのだと思った。分断とは、それぞれがポジショントークに終始し、それぞれの層が固定化することで

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    2021年02月10日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    <目次>
    はじめに
    第1章教育が格差をもたらした
    第2章能力主義という矛盾
    第3章教育の階層化と民族主義の崩壊
    第4章日本の課題と教育格差
    第5章グローバリゼーションの未来
    第6章ポスト民主主義に突入したヨーロッパ
    第7章アメリカ社会の変質と冷戦後の世界
    訳者あとがき解説

    p40集団の道徳的な枠組み
    p43上層部の人々が庶民に語り掛けることで社会に
    存在していた
    p102江戸時代~完璧主義に悩まされることなく~豊かな
    創造性があった~少しばかり無秩序な社会

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    2021年01月17日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    保護主義が必ずしも悪いものではないことが分かった。ただ、教育格差による分断が諸悪の根源として、ではそれに対する処方箋が提示されていない。

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    2020年12月07日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    欧州の知的エリートの問題意識がよくわかる一冊。教育の普及が所得格差を生み、社会の分断につながるという指摘は日本にも当てはまるであろう。欧州内でのフランスの衰退の憂慮からくる悲観的な視点は割り引く必要があるが、資本主義、自由主義の課題を認識できる一冊。アメリカ人には、書けない内容であろう。

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    2020年11月14日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    教育と知性が分離してしまった、という指摘には唸らされる。
    過激でびっくりするような考え方も多かったけど、歴史家という視点だとそう見えるんだなあと新鮮でもある。

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    2020年09月07日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    フランスの知識人による一味違う社会のものの味方を教えてくれる一冊。この本はエッセイ集のような感じなんだけど,主な論考は,表紙にも書かれている教育による格差,そこから引き出されるエリートの問題についての話と,著者の専門の人口についての話がメイン。背景が読みきれないところはちょっと読みにくい部分もある。正しいかどうかはさておきとしても、日本だと安倍か反安倍か,トランプか反トランプかで凝り固まった論調しかないけれど、0か1かの話ではなく,そこから距離を取った論考なので面白い。著者の立ち位置を確認しながら読むとそのユニークさがわかる。まぁ,ドイツへの論考とかは,フランス人ならではの視点のような気がして

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    2020年08月16日
  • 大分断 教育がもたらす新たな階級化社会

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    初トッド。多分他にも持ってるけどまだ読んでない。インタビューをまとめたものなので内容はやや散漫だが、著者の基本的な思考枠組みは見て取れる。人口と家族構成をメインにするアナール学派やね。あと、地政学の匂いも。興味は持てたのでメインの著作にも挑戦してみようと思う。

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    2020年08月14日
  • グローバリズムが世界を滅ぼす

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    新自由主義とかいうものが何なのかもよく分かっていない状況で読んだ。

    経済に対する規制を外して、より開かれた状態にすること。そしてそれは、グローバリズムによって国外にも扉を開き、世界を組み込んだ市場経済を作り出す。労働力は自由に移動するし、企業はより広くマーケットを拡大できる!

    やたら持ち上げられる新自由主義に対する切り込み。めちゃくちゃ要約すると、輸出にばかり目がいって、短期的な利益ばかり出そうとするから、内需を生む賃金の上昇が起きない(コストとしか見なされないから、労働力に投資しない)。大金持ちは簡単に株式で富を増やすが、その会社がどうなろうが責任は持たない。格差は大きくなるし、賃金上が

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    2020年05月07日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    「今、世界で一番危なっかしいのは、アメリカではなくヨーロッパなのです」2016年刊行時点の衝撃的な発言だが、改めて読み返してみるとなるほどと感じてしまう。EUの求心力低下が危惧される。

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    2020年04月15日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    世界情勢と日本の動向を様々な評論家が分析した一冊。

    ヨーロッパ中心なのは仕方ないが、勉強にはなった。

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    2020年02月17日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    イギリスがEU離脱したことを受け、現在の主にEUの情勢を分析した一冊。

    著者がフランス人ということもあり、フランスによってる部分はあるものの、ヨーロッパ人が見たEU、アメリカ、そして日本の情勢を知ることができた。

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    2018年11月22日