作品一覧

  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか
    4.6
    1巻4,620円 (税込)
    資本主義は自らの危機を「時間かせぎ」によって先送りしてきた。70年代、高度成長の終わりとともに、成長を前提とした完全雇用と賃上げは危機を迎えていた。そこで各国はインフレによる時間かせぎ、つまり名目成長が実質成長を肩代わりすることで当面の危機を先送りした。80年代、新自由主義が本格的に始動する。各国は規制緩和と民営化に乗り出した。国の負担は減り、資本の収益は上がる。双方にとって好都合だった。だがそれは巨額の債務となって戻ってきた。債務解消のために増税や緊縮を行えば、景気後退につながりかねない。危機はリーマン・ショックでひとつの頂点を迎えた。いま世界は、銀行危機、国家債務危機、実体経済危機という三重の危機の渦中にある。新たな時間かせぎの鍵を握るのは中央銀行だ。その影響をもっとも蒙ったのがユーロ圏である。ギリシャ危機で表面化したユーロ危機は、各国の格差を危険なまでに際立たせ、政治対立を呼び起こした。EUは、いま最大の危機を迎えている。資本主義は危機の先送りの過程で、民主主義を解体していった。危機はいつまで先送りできるのか。民主主義が資本主義をコントロールすることは可能か。ヨーロッパとアメリカで大きな反響を呼び起こした、現代資本主義論。
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義
    3.3
    1巻760円 (税込)
    資本主義とグローバリズムが民衆を収奪し、ポピュリズムと分断、憎悪が世界を暗雲のように覆う……。民主主義が機能不全を起こす中で、歴史的転換期に入った現代社会。不確実な未来を見通すための確たるビジョンを提示する。これが「世界の知性」の答えだ!
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

    Posted by ブクログ

    近年読んだ本のなかで一番面白かったです。星6つ、7つの評価です。本文もそうですが、文末の訳者の解説も改めて頭の整理が出来たので非常に重宝しました。本書で主に議論の対象としているのは欧州と米国といういわゆる「西側」の民主主義的資本主義国家群です。そしてこれらの国々での資本主義が第二次世界大戦後どう変化してきたか、ということで、1970年頃を境に大転換が起こったと見ています。戦後から70年頃まではいわゆるケインズ的な介入主義的資本主義ですが、ブレトンウッズ体制の崩壊をきっかけに、新自由主義的転換を経て、ハイエク的な市場主義的資本主義へと転換してきたと分析しています。そこでは資本主義と民主主義という

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    2023年04月28日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

    Posted by ブクログ

    正統の経済学とは違った視点からの資本主義の貴重な分析。著者のバックグラウンドは社会学とのことだが、そういった異なる分野からの経済の検討は大切にしていかなければいけないのではないか。

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    2020年05月21日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

    Posted by ブクログ

    ケインズ的混合経済に代わってハイエク的自由主義経済が本流に腰を据えた70年代以降、「インフレ」「国家債務」「家計債務」と手段を変えつつファイナンス原資を確保し、果実を恣(ほしいまま)にしてきたファナティックな市場主義者=資本家。本書は彼らに対する糾弾の書である。金融危機の余波も覚めやらぬ2012年の著述だが、むしろ世界がコロナウイルルスに翻弄される現在(2020年3月)こそ読み返されるべき。著者は経済専門家ではなくフランクフルト学派の流れを汲む社会学者であり、所々で社会学のタームが顔を出すが、基本的にマクロ経済の知識があれば問題無く読める。

     政府が、国債を保有する債権者たる資本家に配慮する

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    2020年03月29日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

    Posted by ブクログ

    本書で著者は、フリードリッヒ・ハイエクが描いた自由主義的市場経済が世界を如何に変貌させていくかの予言を受けて、租税国家→債務国家→財政再建国家という道筋をなぞりながら、その恐ろしいまでの正しさを確認していく。通読すれば、何故政府が立場の弱い労働者に甘言を弄して彼らを不安定雇用へと追いやるのか、何故生活困窮者にとどめを刺すように社会保障費を切り詰めていくのかといった現在観測される様々な不条理がことごとく解き明かされる。

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    2017年04月20日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

    Posted by ブクログ

    グローバリゼーションとポピュリズムの中で、揺れ動く、民主主義と資本主義
    四名の知性が語る現代と未来

    1 世界の未来 エマニュアエル・トッド 私たちはどこへ行くのか

    ・核家族こそが人類の最初の家族システムだった
    ・今見られる政治的な代表制という仕組みは、それが民主的なものであれ、寡頭制的なものであれ、むしろ古い過去から残り続けたものであるとわかったのです。
    ・民主主義は、人間の小さなグループが自分たちの間で組織したものでした。そしてそれはいくらか排外的だったのです。
    ・この排外性は民主主義と反対のことではなくて、民主主義の始まり、あるいは再登場の始まりなのです。
    ・高等教育というのは、体制順

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    2022年06月02日

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