ヴォルフガング・シュトレークのレビュー一覧

  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

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    近年読んだ本のなかで一番面白かったです。星6つ、7つの評価です。本文もそうですが、文末の訳者の解説も改めて頭の整理が出来たので非常に重宝しました。本書で主に議論の対象としているのは欧州と米国といういわゆる「西側」の民主主義的資本主義国家群です。そしてこれらの国々での資本主義が第二次世界大戦後どう変化してきたか、ということで、1970年頃を境に大転換が起こったと見ています。戦後から70年頃まではいわゆるケインズ的な介入主義的資本主義ですが、ブレトンウッズ体制の崩壊をきっかけに、新自由主義的転換を経て、ハイエク的な市場主義的資本主義へと転換してきたと分析しています。そこでは資本主義と民主主義という

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    2023年04月28日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

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    正統の経済学とは違った視点からの資本主義の貴重な分析。著者のバックグラウンドは社会学とのことだが、そういった異なる分野からの経済の検討は大切にしていかなければいけないのではないか。

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    2020年05月21日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

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    ケインズ的混合経済に代わってハイエク的自由主義経済が本流に腰を据えた70年代以降、「インフレ」「国家債務」「家計債務」と手段を変えつつファイナンス原資を確保し、果実を恣(ほしいまま)にしてきたファナティックな市場主義者=資本家。本書は彼らに対する糾弾の書である。金融危機の余波も覚めやらぬ2012年の著述だが、むしろ世界がコロナウイルルスに翻弄される現在(2020年3月)こそ読み返されるべき。著者は経済専門家ではなくフランクフルト学派の流れを汲む社会学者であり、所々で社会学のタームが顔を出すが、基本的にマクロ経済の知識があれば問題無く読める。

     政府が、国債を保有する債権者たる資本家に配慮する

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    2020年03月29日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

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    本書で著者は、フリードリッヒ・ハイエクが描いた自由主義的市場経済が世界を如何に変貌させていくかの予言を受けて、租税国家→債務国家→財政再建国家という道筋をなぞりながら、その恐ろしいまでの正しさを確認していく。通読すれば、何故政府が立場の弱い労働者に甘言を弄して彼らを不安定雇用へと追いやるのか、何故生活困窮者にとどめを刺すように社会保障費を切り詰めていくのかといった現在観測される様々な不条理がことごとく解き明かされる。

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    2017年04月20日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

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     第二次世界大戦後西洋諸国で確立していった福祉国家が、サッチャー、レーガン政権以降の新自由主義により変化していった、という大きな流れは良く聞くものの、ギリシャの財政危機やリーマンショックといった世界を大きく騒がせた出来事には一体いかなる背景があり、どのような意味合いを持つものだったのか、本書を読んでかなり得心が行った。
     
     高度成長の終焉により、成長を前提とした完全雇用と賃上げは危機を迎えていた、その危機に対処するため採られたのが、貨幣により「時間」を買うことだったが、それは危機の先送り、つまり時間かせぎに過ぎないというのが、著者の主張である。

     なるほどと思ったのは、例えば次のようなとこ

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    2025年04月20日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    グローバリゼーションとポピュリズムの中で、揺れ動く、民主主義と資本主義
    四名の知性が語る現代と未来

    1 世界の未来 エマニュアエル・トッド 私たちはどこへ行くのか

    ・核家族こそが人類の最初の家族システムだった
    ・今見られる政治的な代表制という仕組みは、それが民主的なものであれ、寡頭制的なものであれ、むしろ古い過去から残り続けたものであるとわかったのです。
    ・民主主義は、人間の小さなグループが自分たちの間で組織したものでした。そしてそれはいくらか排外的だったのです。
    ・この排外性は民主主義と反対のことではなくて、民主主義の始まり、あるいは再登場の始まりなのです。
    ・高等教育というのは、体制順

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    2022年06月02日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    世界情勢と日本の動向を様々な評論家が分析した一冊。

    ヨーロッパ中心なのは仕方ないが、勉強にはなった。

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    2020年02月17日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    資本主義のこれからを知るために手に取った。止まることが許されない資本主義。今必要なのは速度を落とすこと。貧富の差は拡大し続ける社会で、ヒエラルキーの下層にいる人たちの声を吸い上げる必要がある。

    アメリカの移民問題、実はアメリカ違法移民は正規で入国した人たちのオーバーステイ。メキシコからアメリカよりも脱アメリカする人の方が増えているとか。ニュースの表面ばかりを受け取っていたな。

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    2020年06月15日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    4人の大御所が論説。世界の未来、はじめに核家族と民主主義があった。民主主義の希望、選挙ではちゃんと代表されない時代になった。資本主義の限界、市民より市場に支配される国家。分断の克服、移民政策に失敗した国は21世紀の負け組になる。

    社会のしくみを見ると、世の中は複雑化し、かつてのエスタブリッシュな世界が崩れてきているということでしょうか。難しいです。

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    2018年10月13日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    ブリグジットやトランプ大統領の誕生をグローバル経済でないがしろにされていた民主主義が復活と断言して、EUと日本の民主主義の行く末を語ります。
    日本のエリートは欧米と異なりグローバルではない指摘し、少子化対策に婚外子を奨励するなどもあり、フランス人らしいエスプリに満ちた言説がとても興味深く読めます。
    また、21世紀は移民政策が重要にもかかわらず国を開こうと意識が薄い日本と指摘されていますが、先日、日本の移民流入数が世界第4位との記事を読んで驚きました。この件は真っ当な移民政策の議論が必要そうです。

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    2018年06月03日
  • 世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義

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    選ばれたひとびとが大衆の代表ではなくなっているという点に納得。多様化の弱点でもある、わかりやすいリーダーのたてづらさ。人口論も興味深い。

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    2018年04月04日
  • 時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか

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    民主主義は、国家を借金漬けとし、資本主義は、その借金を元手にグローバリズムを進めているが、いずれ民主主義と資本主義の対立が先鋭化するだろう。

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    2016年05月06日