【感想・ネタバレ】シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年12月30日

宗教というものは、一部の特権階級がその他の人々をコントロールするために発明されたもの。神話や信仰は知る価値のあるものだけど、それらはについて考える時に権力者の道具であることは常に意識する必要がある。

「私はシャルリだ」運動は、社会的、歴史的な平等から出たものではなかった。あれは「表現の自由」の皮を...続きを読むかぶったイスラムフォビア、イスラム排斥運動だった。
当時、イスラム教徒に対して踏み絵のようなことがフランスで行われていたとは知らなかった。

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Posted by ブクログ 2019年04月04日

翻訳,しかもフランス語の翻訳であることもあって読みにくいというのが率直な感想.自分の理解力不足ももちろんだけど.
国内に住んでいる人々と移民の「同化」というのはこの国にいるとわかりにくいのだけど,著者はそこに希望を見出しているように読める.

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Posted by ブクログ 2018年01月28日

フランス国内向けなので、地名とかピンとこない所も多いけど、フランスで起きているライシテを隠れ蓑にしたイスラム排除は、日本の嫌韓嫌中とよく似ている。その理由も、急激な世界との融合により自分たちの失われつつある昔の文化や価値観への郷愁で、高齢化がその一因でもあること、などよく似ている。世界中どこも同じ問...続きを読む題を抱えてるなとつくづく思う。

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Posted by ブクログ 2017年10月31日

翻訳本でもあり、そもそも学者の書いているいちいち論理にこだわっている本なので、実に読みにくいのですが、ようやく読み終えました(途中で他の本を読んでたりもしましたけどね)。

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Posted by ブクログ 2017年05月04日

「私はシャルリ」に感じた違和感がかなり明快に解説された感じがした。
フランス社会はかつて平等を求めて大多数の人々が信じているキリスト教という強大な権力に立ち向かったけれど、それと同じやり方でイスラム教を批難することはできない。

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Posted by ブクログ 2016年05月24日

E.トッド氏の文春新書関連で一番この本が面白いと思った(前著は感情的な主張でややシラけた)。「第1章 宗教的危機」は何度か読み返した。

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Posted by ブクログ 2022年07月10日

ウクライナ問題に関する著者の見解がユニークなものだったので、こちらも読んでみた。

これは2015年1月におきた『シャルリー・エブド』事件にともない起きたデモなどフランスの反応についての分析。

原著の出版は、その数ヶ月後であることから、エッセイとか、インタビューを集めたものかと思って、読み始めたら...続きを読む、一冊を通してなんか堂々した論考となっている。

まさに社会学的、人類学的な論考で、フランスの地域ごとの価値観の分布とデモへの参加率から、どういう人がデモに参加したのかという推計から始まるところが圧倒的。

脱宗教の度合い、平等主義、権威主義の度合い、社会階層、年齢による差など、定量分析を踏まえながら、大胆な仮説を提案。

著者は、『シャルリー・エブド』事件への抗議デモに参加した人は、「言論の自由」という名のもとに、本当は(集団的な無意識レベルでは)、反イスラム的な動機で参加している。この動きは、反ユダヤ、人種主義、全体主義に向かう危険性をもっていると主張。

そして、それはフランスに限ったことではないというか、ヨーロッパ全体で起きていることの一つの断面でしかないとする。

この本がフランスででると、非難があつまったようだが、11月には、ISによる同時多発テロがパリでおき、そしてそれへのフランス人の反応をみるかぎり、著者の主張が残念ながら、裏付けられたとする。

ヨーロッパにおけるポピュリズム的な動きがなかなか理解できずにいたのだが、そこにアプローチするための一つの大きな視点が得られたように思う。

著者は、フランスより、日本のほうが、自分の言っていることを理解してくれる、とお世辞かどうかわからないが言っている。そこはどうかわからないのだが、私は、著者の意見をそのままに受け止めるわけではないが、一つ一つ、なるほどな議論だと思った。

それは別に日本的な価値観が著者と近いというより、問題との距離感が違うだけではないかとも思うが、もともとの文化の宗教との関係がヨーロッパとは違うという視点はなるほどと思った。

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Posted by ブクログ 2018年02月24日

20180111〜0131 2015年1月の「シャルリ・エブド」襲撃事件を受けてフランス各地で行われた「私はシャルリ」デモ。「表現の自由」を掲げたこのデモは、実は自己欺瞞的で無自覚に排外主義であった-- と、著者は断じる。私も、これら一連の事件とデモは、とても違和感を覚えた。この事件の背景にある事象...続きを読むーー宗教の衰退と格差拡大による西欧の没落について分析している。
以下、私の感想;
訳文がやや硬いせいもあるが、読むのに少し難儀した。この回りくどさはさすがフランス人の文章というべきか。
崩壊しつつあるカトリシズムを「ゾンビ・カトリシズム」と述べているが、ゾンビという単語が先走ってしまい、色物のように感じてしまった。
著者はEU統合に懐疑的で、ドイツが大嫌いだということはすごく感じた。

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Posted by ブクログ 2017年11月27日

力強い一冊。とにかく一行、一言に力がこもっていて読む方も力負けしないようにしないと折れてしまいそうになる。
自分は「私はシャルリ」に違和感を覚えたが、その違和感がなんだったのかが明確に記されていてわかりやすい。

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Posted by ブクログ 2016年10月29日

イスラム諷刺画がISの怒りを招き、テロ事件のターゲットになったフランスの「シャルリ・エブド」。15年1月は「私はシャルリ」とのプラカードを掲げる400万人の大デモが行われた。暴力に対する民主的なアピールとして報道されているが、イスラムを冒涜する自由とは何なのか!?実は排他主義の横行ではないのか。フラ...続きを読むンスの社会の宗教的な背景から詳細に分析し、デモ参加者はどのような人たちか?を追求する。それは大革命以降の脱キリスト教、反ユダヤとの繋がりの中で、著者が”ゾンビ・カトリシズム”と呼ぶ市民たちが浮かび上がってくる。イスラムとキリスト教の対立ではなく、イスラムと無神論との対立であり、脱キリスト教が最も進む世俗国家ならではの問題なのだということが痛切に感じられる。歴史人類学者・家族人類学者による豊富な各地域別の統計に基づく実証を伴った説得力に富む主張である。

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Posted by ブクログ 2016年02月29日

緊急出版であり、急いで訳したためか生硬で読みづらい。作者が日本の無宗教に触れているが、無宗教というカタチの日本教は今後グローバリズムや新自由主義の荒波の中で心の空白を埋めることができるだろうか。

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Posted by ブクログ 2016年03月06日

「シャルリ・エブド事件」を軸に、フランス社会、ヨーロッパ社会に対する批判を展開する。
その手法は、各地域の人口動態(デモ参加率、投票行動、信仰、階級等)や家族構造といったデータの分析に基づくものであり、説得的である。

基本は現在のフランス批判であるため、フランスの地理、歴史、政治についての予備知識...続きを読むが無いと、十分に読みこなすのは難しいところがある。
とはいえ、とりあえず通読して、「結論」を示した最終章まで辿り着けば、著者の主張はかなりclearに見えてくる。

脱キリスト教化、不平等主義的価値観の蔓延、ユーロの隆盛、高齢化社会、中産階級による支配、宗教的なものに対する無理解や恐怖等が結びつき、(形而上的な)「イスラム教」がスケープゴートとして標的にされている現実を示す。
この混迷から抜け出すためには、社会にイスラム教を受容し、真に共和主義的であったフランスを回復することが必要としている。

漫然と「イスラム批判」をするだけではいつまでも先に進まないということがよく分かる良書。

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Posted by ブクログ 2016年02月01日

本書を駆け足で読み、エマニュエル・トッド来日講演を聴きに行った。サブタイトルが原題では「宗教的危機の社会学」であり、文庫化に際してこちらがメインタイトルとなったことから分かるように、トッドはシャルリ・エブド事件やそれに続くイスラム系組織によるテロを主題にしているのではない。現在のフランスが置かれた状...続きを読む況から、普遍的な公式を導き出そうとしている。その答えが「宗教の危機がイデオロギーの危機に転移する」ということだという。

19世紀にパリ盆地においてカトリックのおよそ半分が消滅するという宗教的危機があった時には、フランス革命という人類史に残るイデオロギーの大転換があった。

20世紀初頭には北部ヨーロッパにおいてプロテスタンティズムが危機に陥ると、ドイツやオランダを中心にナショナリズム、ファシズムが勃興した。

そして今、20世紀後半から21世紀にかけてヨーロッパの多くの地域で、カトリックもプロテスタントもその生き残りすら消えてゆこうとしている。この宗教的危機に呼応するかのように、共産主義の崩壊が起きている。

この仮説を、トッドは丁寧な調査と膨大な資料によって裏付けている。

シャルリ事件後のフランスはイスラムに対するヒステリックな反応が目立つのだが、トッドはそれに異を唱える。

フランスにおけるイスラム教徒の割合はわずか5パーセントに過ぎないのにもかかわらず、フランス国民の多くが異常なオブセッションを〜無意識のうちに〜感じている事が問題なのだという。

また社会の不安要因は経済(格差の拡大や貧困)だけではなく、宗教の空白という要素も大きいといい、そのふたつが重なると、特に危険が増すという。

高い失業率が続き、宗教も消滅しつつあるフランス社会は非常に不安定であり、まさに今、大きなイデオロギーの転換が起きる可能性があるということだろう。

フランスをはじめ欧州の今後を注視したい。

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Posted by ブクログ 2017年08月23日

フランスの風刺週刊誌「シャルリ・エブド」が武装した犯人に襲撃され
たのは2015年1月7日。そして1月11日、フランス各地では犠牲者を
追悼する為のデモ行進が行われた。参加者は300万人とも400万人
とも言われる。

言論機関への襲撃はショックだったし、各国首脳が参加したパリの
デモの様...続きを読む子は壮観でさえあった。だが、最初の衝撃の波がおさまり
はじめると「何かが違う」と感じるようになった。

それはインターネット上に溢れる「Je Suis Charlie(私はシャルリ)」の
スローガンと、フランスが掲げている「自由・平等・博愛」の間に矛盾が
あるのではないかと思ったからだ。

「私はシャルリ」と表明することが、犠牲者への共鳴となり、言論・表現
の自由は暴力には屈しないというシンボルとなったのだろうが、「シャル
リ・エブド」がムハマンドを風刺することで、自分の信じる宗教や文化を
侮辱されたと感じた人もいたのではないか。

なので、タイトルに惹かれて本書を手の取ったのだが私には難解で
あった。だって、フランスの政治と言えばフランス革命くらいしか
分からないのだもの。それも漫画『ベルサイユのばら』が参考書だ
ものな。

租借できないままに理解したところでは、実は表現の自由を擁護する
為のデモではなく、世界各国が少なからず陥っている不平等社会を
容認する為のデモであったのだ。

著者はデモ参加者の社会階級の統計を利用し、参加者には中産階級
以上が多くを占め、労働者階級の少なさを指摘している。不平等主義
がフランスのみならずEUを席巻し、イスラム教徒に対する差別的な行動
がイスラム恐怖症を引き起こしている。

だからか。「シャルリ・エブド」襲撃事件は大きく取り上げられるのに、
ユダヤ人商店襲撃事件はまるで「なかった」ことになってしまっている。

「シャルリ・エブド」襲撃事件があった同じ年の11月。パリ同時多発テロ
が起きた。「私はシャルリ」のスローガンのように、この事件の後には
SNSのプロフィール画像にフランス国旗を重ねている人を多く見かけた。

そして、2016年3月にベルギーの首都ブリュッセルでの連続テロの際に
はベルギー国旗が同じようにSNSに溢れた。

フランス国旗やベルギー国旗を掲げる人は多いのに、シリアやイラク、
アフガニスタンの国旗を掲げる人は何故、いないのだろう。テロが起き
ているはヨーロッパだけではないのに。

ここにも無意識的な差別が表れていないだろうか。イスラム世界で
イスラム教徒がテロの犠牲になっても、私たちには関係ない…と。

尚、「シャルリ・エブド」襲撃事件ではイスラム教徒の警察官も犠牲に
なっていることを付け加えておく。だから、私は「私はシャルリ」とは
言えないし、フランス国旗も掲げられない。勿論、ベルギー国旗もだ。

もう少し私の頭が良ければ、本書から読み取れることがもっと多く
あったと思うんだ。自分の頭の出来が残念。

翻訳の仕方もあるのかもしれないが、フランス人の書く文章は饒舌
だね。

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Posted by ブクログ 2017年04月20日

前提とすべき知識が多すぎて、そして、
それに加えて、翻訳が難解なこともあって、
いまいち頭に入ってこなかった・・・

とにかく、著者の主張がフランス国内において、
主流ではなく、抑圧されていたことだけはわかった。

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Posted by ブクログ 2017年01月09日

問題は英国…、「ドイツ帝国」が…に比べて読みにくく、なかなか読み進まないが、この本が最も本質についてしっかり書いてあるようなことが問題は英国…に書かれていたので、今一度トライしてみたいと思う。

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Posted by ブクログ 2016年11月02日

タイトルがキャッチーなので気軽に読み始めたら、中身ががっつりお勉強テイストだったw
このテイスト、大学卒業以来・・・wがんばるw

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Posted by ブクログ 2016年09月07日

序章の前の「日本の読者へ」だけは読みやすかった。私もシャルリエブドは大嫌いだしテロのあと、デモはよいとしても深く考えずに「私はシャルリ」とか読者が増えたとかかなり違和感あった。多くの新しい読者は低劣な内容にすぐ離れたと思うけど。。。作者がこの事態に疑問を投げかけ、そのとき遠く離れた日本のメディアが作...続きを読む者のより所になった、足場になったのは嬉しい。
本文は難しいことを難しく書いて、こんなの理解できるのどこの学者だよというかんじ。多くの人に理解される努力をしなければ書く意味ないと思うのだけど。

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Posted by ブクログ 2016年04月21日

ゾンビカトリシズムとデモ。
ユダヤ迫害の軽視。
平等に価値を置く地域との対立。
戦争を仕掛けた偏執的なシャルリエブド。

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Posted by ブクログ 2016年10月09日

2015.1のフランス全国のデモ、フランス社会を支配している中産階級が、自己批判能力を欠き、経済的特権の中に閉じこもり、宗教的不安によって内面を穿たれ、イスラム恐怖症にのめりこんでいる。

カトリックとか、フランス革命の精神とかが、遠いフィクションの世界ではなく、現代フランスに続いていることが、何と...続きを読むなくわかりました。

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Posted by ブクログ 2016年02月17日

陳腐なシャルリ事件解説書かと思ったらかなり硬派なフランス社会論だった。フランス一般の捉え方に異を唱えるタイプの本なので最初の一冊には向いていない。ただ、読む価値はある。
そもそもライシテの歴史を踏まえた「俺たちが政教分離を守っているのだからお前らも守れ」という主張が正しいのかを検証し、またデモ参加者...続きを読むの地域が都市部に偏っていることを論証する。(フランスでは都市と地方の格差が深刻である)
とはいえ、新書の紙幅上仕方ないが、反EUなど従来の主張を繰り返して紙幅を費やし、かつアプリオリにされている部分が多く論証が足りておらず、また主として人口統計に依存した切り口では物足りない部分が多いため、全体としてざっくりとし過ぎている印象が強い。

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Posted by ブクログ 2016年01月25日

近年なかなかこれだけ大上段の文明ー社会論は観ないね。トインビー的と言おうか。

●家族構成の国による違い→兄弟間が平等→人間も平等。 兄弟間格差→人間は不平等
●分裂するフランス… 中心部 世俗主義 平等主義  周縁部 残存カトリシズム 非平等主義

●イスラムの根底にある平等主義はフランス中心部の...続きを読む相性が良い可能性がある。ただし男女間の取り扱いの際が分裂を生み出すだろう

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一般人向けといえるのか?

2016年12月31日

フランス社会の予備知識があるかどうか以前に、日本語として極めて難解で、無理に通読したものの、何も残らず。タイムリーな表題で序文だけ読んで購入してしまったが、出版社、編集者の姿勢に疑問を感じざるを得ません。

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