エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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自由は格差が前提とは
自由貿易は格差が信じられている社会で受け入れられる。本書のこの指摘は考えさせられた。抜き書きする。 教育レベルの違いが前段にあり、それが格差を受け入れ、完全な自由貿易政策を受容することをすのだと思います。 自由貿易が格差を広げたというのは、とてもシンプルでわかりや すい。でも、もう少しきちんと説明しなければいけません。 なぜ、上流階級や上位中産階級(アッパーミドル)がそれを受け入れたのかを。それは格差を信じているからです。 (中略) (米)国南部の奴隷オーナーたちは、 自由貿易信奉者だったのです。 自由貿易の「自由」というのは、英国の名誉革命の自由とリンクしているよう -
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西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか
著:エマニュエル・トッド
訳:大野 舞
出版社:文藝春秋
読み終わって、まず、感じたことは、日本とは、いまだ、GHQの支配下にあるという錯覚だ。
意図しない戦争に協力させられ、そのために、米軍が国内に長期駐留している。
だが、それは、ドイツも同じだ。
東の体制が崩壊した後も、日独伊は、いまだ、友好同盟国ではなく、米国の支配下にある植民地であるという幻想だ。
本書のいう西洋とは、米国とその同盟国をいう。
狭義の西洋は、米英仏、市民革命を経験した国々。これがコアだ。
そして、本書の西洋である、広義の西洋は、米英仏日独伊、米軍事同盟である
露は、ウクライ -
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知人の昨年のベスト本1位と聞き、今年1冊目はこの本に決めた。なるほど、日頃見聞きするニュースの報道とは全く違った角度から世界を見せてくれる劇薬だった。
ウクライナ戦争や中東情勢といった時事的なトピックもさることながら、トッド氏の提唱する家族人類学・人口歴史学というアプローチ自体が非常に興味深い。
家族形態に着目した人類学の巨人レヴィ=ストロースと、トッド氏が遠い親戚に当たるというのもかなりアツかった。インタビュー本1冊で終わるのも勿体無いし、そのうちトッド氏の著作はきちんと読んでみたい。
そして、これはトッド氏の意図を超えた解釈かもしれないが、読み進めるうちに僕の中に湧いてきたのが、普段は -
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ウクライナ戦争を軸に、西洋諸国の世界における影響力の低下や、アメリカエリート層やワシントン政治家のモラルの低下、その要因を西洋の繁栄や社会秩序を支える柱となっていたプロテスタンティズムの衰退を中心に説明する。社会を支えていた価値観の崩落により、西洋諸国はニヒリズムに陥ってしまい、そのことが著しい道徳観の欠如をもたらした。
また、ソ連崩壊後、ロシアは完全に世界の覇権を目指すような国家ではなくなり、アメリカをはじめ西洋諸国はロシアの存在を完全に侮っていた。しかし、ロシアはプーチンによる国家の建て直しと安定感が達成されており、その認識の欠如が西洋諸国がウクライナ戦争を読み違える大きな要因となる。
家 -
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普段いかに親米的な情報しか得られていなかを実感した。米英を中心とする西洋の敗北を述べる内容。世界で25ヶ国語に翻訳されていながら、英語版のみ出版されていないという事実から、内容が米英に都合が悪く、また米英の言論空間が閉鎖的になっていることが窺える。現状を破壊する衝動を表すニヒリズムという概念からウクライナ、イスラエルの惨状を語り、いずれにおいてもアメリカが敗北していると述べられる。ニヒリズムの原因は宗教のゼロ状態がもたらす価値観の空白にあるとされている。この点については生活の中で宗教が意識されない日本はどうなのかと個人的に気になった。また、家族構造の観点から社会や経済を説明する視点は初めて触れ
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2025/12/28 エマニュエル・トッド 「西洋の敗北と日本の選択」☆
「米国覇権体制の終焉=西洋の敗北」が著者の主張ポイント。
その著書は世界25ヵ国語に翻訳されたが、英語版は出来ていない。
トッド氏は、英語版禁書の事実が本書の真実性と価値を表すと。
1.米国覇権の終焉
(1)米国は財政赤字・貿易赤字[各々Δ1兆ドル/年]のファイナンスが必要。
そのためにドル高を堅持して、ドルへの投資を確保している。その結果、金融業は好況化し、投資家・銀行家・弁護士・会計士の仕事は活況。
他方、実力以上のドル高は、産業へダメージとなり、空洞化をもたらしている。産業人は仕事を失い生活レベルを下げている。これ -
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ネタバレトッドが本書で冷徹に描き出すのは、西側諸国(アメリカ、ヨーロッパ)が不可逆的な衰退期に入ったという衝撃的な診断である。特にウクライナ戦争を、「集団的西側」の優位性が崩壊に向かうプロセスとして分析する。
トッドの論点の核心は、西側の敗北が軍事や経済の表面的な問題ではなく、精神的・人口学的な深層構造に起因するということだ。西側の精神的基盤であったカトリックの終焉(出生率の低下と識字率の向上による)が、普遍的なイデオロギーとしての求心力を失わせた。そして、低い出生率は、長期的な国力の衰退を不可避にする最大の要因であると指摘する。
西側が経済制裁によって崩壊すると踏んでいたロシアは、予想外の強靭さ -
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ネタバレこの本は、自分がこれまで持っていた価値観をかなり大きくゆさぶってくれる本でした。自分は、この本を読むような人の多くとおそらく共通して、日本でエリート層に属しているとおそらく言えることと思います。一方で世界情勢についてはこのような本を読んだことはなく、新聞に書いてある物の見方を受け入れてきました。すなわち、次のような考え方です。ウクライナはその全土に対して権利があり、その全土をロシアに対して守り切るのが望ましい決着である。米国を中心とした「グローバル化」の進行は受け入れるべき望ましいことであり、また必然として世界を覆っていくだろう。彼らの文化の一つである同性愛やトランスジェンダーの容認についても
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西洋の敗北とあわせてエマニュエル・トッド。日本では西側フィルターの情報が多い中で、アンチ西側、フィルターをできるだけ外して世界を見た時、ウクライナ問題とは何かをズバリと。
良い本。
ロシアウクライナ問題。西側諸国に都合のいい目線ではない切り口。そう、つまるところ、西側諸国の資本主義は寿命を迎えつつあって、NATOは自分たちの食い扶持のために侵略していっているのだ。ロシアがウクライナに戦争をしかけたのは、ウクライナという小国を侵略したいのではなく、西側諸国、アメリカにもう勘弁してくれと手を上げたわけだ。
第三次世界対戦となるかは分からないけれど、中国が台湾をどうにかするのは時間の問題だろうし、 -
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西洋の敗北。狭義の西洋である米英仏にはもはやエンジニアも技術者も労働者はおらずものは作れない。広義の西洋である日独はモノづくりは残っているが米国の保護国になってしまっている。
宗教ゼロ状態の米英仏はウクライナ戦争への大義も戦略もなく場当たり的に進め、兵器製造の観点からして敗北は必至。
経済制裁もGDPでは測れないロシアの経済力を見誤っており、効果はでない。
BRICS諸国、グローバルサウスの反西洋の動きも見えていない。
トランプの生産を国内に回帰させようとする保護主義はもはや手遅れで、いくら関税をかけても優秀なエンジニアや労働者がいない国で良いものはつくれない。プロテスタント的な労働観が -
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