【感想・ネタバレ】西洋の敗北と日本の選択のレビュー

あらすじ

英語版以外の25カ国で翻訳され、日本でも累計9万部のベストセラー『西洋の敗北』の著者、エマニュエル・トッドの最新作。

〈私の多くの予言のなかでも「西洋の敗北」は、最もすぐに実現したものです。しかし「西洋の敗北」が具体的にどんな形をとるかは予言していません〉とトッド氏自身が述べているように、問題は、「西洋の敗北」がどんな形で現れるかだ。
すでに起きているウクライナ戦争、イスラエル・イラン紛争、トランプ関税、米欧の分裂と対立は、いずれも「西洋の敗北」が現実化したものである。
さらに今後、起きるのは、NATOの決裂か? ドル基軸体制の終焉か? 米国覇権の崩壊か? そして日米同盟はどうなるのか?
「西洋の敗北」「西洋の分裂」を受けて、日本はどうすればよいのか?
トッド氏はこう指摘する。
〈日本がかなり困難な状況にあることは間違いありません。米国が当てにならないなかで、中国と対峙しなければならないからです。
現状で私がお勧めしたいのは、欧州と米国のヒステリーに極力関わらず何もせずに静観すること、しかし密かに核武装を進めることです。
米国が自国の核を使って日本を守ることは絶対にあり得ない。核は「持たないか」「自前で持つか」以外に選択肢はないのです〉

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Posted by ブクログ

知人の昨年のベスト本1位と聞き、今年1冊目はこの本に決めた。なるほど、日頃見聞きするニュースの報道とは全く違った角度から世界を見せてくれる劇薬だった。

ウクライナ戦争や中東情勢といった時事的なトピックもさることながら、トッド氏の提唱する家族人類学・人口歴史学というアプローチ自体が非常に興味深い。
家族形態に着目した人類学の巨人レヴィ=ストロースと、トッド氏が遠い親戚に当たるというのもかなりアツかった。インタビュー本1冊で終わるのも勿体無いし、そのうちトッド氏の著作はきちんと読んでみたい。

そして、これはトッド氏の意図を超えた解釈かもしれないが、読み進めるうちに僕の中に湧いてきたのが、普段は当たり前に信じている民主主義こそが正義というドグマへの疑念だ。
民主主義的でないロシアや中国、イランといった国々でも人々は幸福に暮らしているし、西洋の民主主義国は現在、深刻な危機に瀕している。
こと、トッド氏曰く「直系家族」の国である日本においては、果たして民主主義は本当に最適な政治形態なのだろうか。もしかすると、権威主義のもとで、公権力に対してはなあなあに接しつつ、市民生活の次元で幸せを追求することの方が「本音と建前」の国民性に合っているのではないか。
ほんの思いつきに過ぎないが、考えがいのあるテーマだと思う。しばらく、じっくりと温めてみたい。

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2026年01月10日

Posted by ブクログ

普段いかに親米的な情報しか得られていなかを実感した。米英を中心とする西洋の敗北を述べる内容。世界で25ヶ国語に翻訳されていながら、英語版のみ出版されていないという事実から、内容が米英に都合が悪く、また米英の言論空間が閉鎖的になっていることが窺える。現状を破壊する衝動を表すニヒリズムという概念からウクライナ、イスラエルの惨状を語り、いずれにおいてもアメリカが敗北していると述べられる。ニヒリズムの原因は宗教のゼロ状態がもたらす価値観の空白にあるとされている。この点については生活の中で宗教が意識されない日本はどうなのかと個人的に気になった。また、家族構造の観点から社会や経済を説明する視点は初めて触れたため興味深かった。直系家族型という点で日本とドイツは共通しており、製造業が競争力を維持できているのは直系家族型のためであるそう。著者は一貫して勤勉な技術者、労働者を重視しており、物理的な生産能力が戦争の勝敗を分ける。金融で膨らむGDPは時代遅れの指標であり、GDPで劣るロシアがウクライナ戦争を継続出来ているのは生産能力で勝るため。

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2025年12月29日

Posted by ブクログ

2025/12/28 エマニュエル・トッド 「西洋の敗北と日本の選択」☆
「米国覇権体制の終焉=西洋の敗北」が著者の主張ポイント。
その著書は世界25ヵ国語に翻訳されたが、英語版は出来ていない。
トッド氏は、英語版禁書の事実が本書の真実性と価値を表すと。
1.米国覇権の終焉
(1)米国は財政赤字・貿易赤字[各々Δ1兆ドル/年]のファイナンスが必要。
そのためにドル高を堅持して、ドルへの投資を確保している。その結果、金融業は好況化し、投資家・銀行家・弁護士・会計士の仕事は活況。
他方、実力以上のドル高は、産業へダメージとなり、空洞化をもたらしている。産業人は仕事を失い生活レベルを下げている。これらが社会の分断をもたらし、米国社会を混迷させている。
(2)双子の赤字は米国に長く収入以上の生活をもたらし、国民を怠惰にした。
もはやプロテスタンティズムの倫理精神は存在しない。
まともな産業人がいない中でトランプが「国内産業の復興」を呼びかけても実現は不可能。ex.スマートフォンの製造を中国から米国へ移すことは不可能・・・担い手不在
(3)トッド氏は米国経済と世界覇権は既に破綻していると。
トランプ氏は最後の見届け役。

2.軍産複合体が主導して、軍事産業の強化と資本主義体制の延命
①米国は軍需産業が主導 優位性がある 社会意識の劣化
②欧日亜の防衛予算増額 米国からの兵器購入
③個別の戦争を展開     ウクライナ・ガザ

3.米国覇権体制の最後の勝負は「AI相場の現実化」
  現代の米国の生き残り策は「AI社会の実現」
  「世界の冨」が米国市場のAI関連相場の引き上げに向かっている
  その相場上昇が米国ドルへの投資を支えている
  行方は二通り
①AI社会の実現 主導した米国に創業利益、覇権を持続
②AI社会が実現不可能→相場の大崩れ・米国覇権の終わり
それにしても恐ろしい問題提起である。早期に英語訳が出ることを祈りたい。

2025/12/30 追加その2「西洋の敗北と日本の選択」
1.ウクライナ戦争はロシアの勝利とトッド氏の判定
 軍事生産力で西側を圧倒 米国などは生産力を持たない
 マクロン仏大統領「フランスの武器庫は空っぽだ」
 ただしそれならばプーチンの「限定核使用の恫喝」はなぜ?
 トッド氏のロシア贔屓はちょっと不思議なくらい過大
2.トランプ関税 狙い判るが、実現性は皆無→悲惨な結末へ
 双子の赤字を一気に解決する秘策としては一理ある
 ただし「製造業の国内回帰」を実現する基盤は既にない
 米国経済は①金融②AIに向けられている 過大な利益期待
 したがって最終的には「増税とインフレ」が現実化、悲惨な生活
3.独露ガスパイプライン「ノルドストリーム」の破壊
 これは両国へのテロ行為 特にドイツが抗議しないのは謎
 ドイツは米国の属国性明らかに 120の米軍基地が存在(全NATOの半分)
 米国が独露の離反を図った 「メルケル政権の親露政策」修正(ただし退任後)
4.英国公共サービスの劣化 (サッチャー以降の英国)
 資本主義経済=民主主義政治体制は社会インフラの適切な供給が出来なくなった   既得権・ポピュリズム
 専制体制(中国・ロシア)に劣後する?
 →ただし国民の自由の享受という点では圧倒的差があると思う
5.「米国の覇権」が世界中で綻び始めている=これが本質
  BRICSの対米離反拡大 
  サウジアラビア・イランが中国媒介として接近
  インドやブラジルもロシア貿易拡大 対露制裁を無視
6.ドル基軸体制の行方
  急激な崩壊は世界経済へ打撃
  「新たな体制」への移行は着実に ?いかなる体制
  米国の死活問題 過剰な生活水準の是正
  ←膨大な貿易赤字を、タダでファイナンスしてきた「特権」

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2025年12月30日

Posted by ブクログ

西洋の敗北。読む前にも薄々と感じていたアメリカの危うさ、ヨーロッパも力がない感じ、そして得体の知れないロシア、中国のパワー。そういったことが、読むとスッキリとしました。
そうか、西洋は敗北していたのか、そう言われると、いろんなことが腑に落ちる、そういう本でした。
少し偏ったところはあるにせよ、良い本でした。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

西洋の敗北。狭義の西洋である米英仏にはもはやエンジニアも技術者も労働者はおらずものは作れない。広義の西洋である日独はモノづくりは残っているが米国の保護国になってしまっている。

宗教ゼロ状態の米英仏はウクライナ戦争への大義も戦略もなく場当たり的に進め、兵器製造の観点からして敗北は必至。
経済制裁もGDPでは測れないロシアの経済力を見誤っており、効果はでない。

BRICS諸国、グローバルサウスの反西洋の動きも見えていない。

トランプの生産を国内に回帰させようとする保護主義はもはや手遅れで、いくら関税をかけても優秀なエンジニアや労働者がいない国で良いものはつくれない。プロテスタント的な労働観が消滅した国にはもはや良質な労働者はおらずいるのは消費者だけ。

今後日本は現在の西洋やアメリカから離れ、自立すべきでその為の核武装も強く薦めている。

著者の主張には頷けるところが多く、ソフトランディングで西洋から徐々に離れることがこれからの日本が進むべき道だと感じた。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

いま、個人的に最も信頼できる知識人がエマニュエル・トッドだと思う。その世界認識は極めてラディカルかつ本質的である。
トッドは言う。

私自身の世界である「西洋の民主主義」を、共につくり出した英国、米国、フランスの三極が、いま崩壊しつつある。−中略−英米仏という三極の崩壊は、価値観の面でとくに著しい。西洋の「労働倫理」は言うまでもなく、より一般的に、「自由」「知性」「批判的思考」、理解と前進を可能にする「人間の理性」といった理想や価値観が消滅しつつある。「進歩」という理想が崩壊している。

この言葉はペシミズムから来ているのではない。冷徹なリアリストの診断なのだ。
そして世界における日本の位置づけについて、次のように述べる。

日本は今日、西洋社会に統合されているが、日本が世界史において、西洋の挑戦に立ち向かい、それに見事に成功した最初の非西洋国であったことを思わずにはいられない。日本は独立を保つために近代化した。これが明治維新の目的であり意味であった。日本自体が”BRICSの先駆者”だったのだ!

価値観が崩壊した世界で、日本が果たさなければならない役割にあらためて思いを致させられる。

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2025年10月14日

Posted by ブクログ

おもしろい視点です
なるほどな、私たちが薄々感じていたことを
明確に表現されてます

アメリカに同調しすぎない
属国からの脱却が
今、求められようとしているのかもしれない

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

若干危険なにおいがする本だ。日本は核武装するべきという主張は日本人には受け入れがたいものだが、著者の論理的な説明を読むと納得せざるをえない。とはいえ、私は日本の核武装は反対だ。また、トランプによる米国が破滅の道に進んでいるのも、年初のベネズエラを攻撃して大統領夫妻を拘束したことにより現実味を帯びてきた。結構怖いことを書いているが、正直なところ自分が予測する未来とも近いこともあり、絶望的な未来にならないことを祈るくらいしか私たちにはできないのかもしれない。

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2026年01月08日

Posted by ブクログ

トッド氏の著書『西洋の敗北』の日本人向けレクチャー。家族類型の違いから世界各地域の歴史展開と今後の展望を著述するトッド氏の真骨頂。未だ欧米を中心とする価値観のトラウマから抜け出せない石頭の柔軟剤。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

「西洋の敗北」が気になっていて、さらに「日本の選択」が加わり購入。
筆者は以前テレビで見たこともあり、有名な歴史研究家とのこと。

フランス人であり、ユダヤ人の血を受け継ぐ彼だからこその視点もある気がする。
現在のアメリカ、ヨーロッパの状況から日本が今後どういった動きをすれば良いのかなどについて述べている。

日本の情報は少なからず、アメリカやヨーロッパからの影響があると感じる中で、彼の視点は貴重な情報に感じる。

少し偏りがあるところもあるが、これから世の中の情報を見る上で参考になる一冊だ。

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2025年12月25日

Posted by ブクログ

日本贔屓の著者
西洋よりかと言うとそんな事はなく、アメリカを強く敵視
ロシア寄りの発言。ロシアが戦争を遂行できる能力をエンジニアの数にあると考える。
ロシアでの敗北を、中東で埋め合わせしようとする姿勢
アメリカは製造を放棄して基軸通貨のドルで、借金以上の浪費をしていると避難
見方を変えると、違った考え方もあるものだなと楽しく読むことができました。
西洋の敗北がヨーロッパで受け入れられず、中東のイランに受け入れられるのが、面白い。
日本の核武装も、今の現状を考えると有りかなと思ったりしました。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「西洋の敗北」以降、日本のとるべき方向性が示されたものを期待したが、そうではなかった。
が、「西洋の敗北」を理解するには役立った。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

『西洋の敗北と日本の選択』の著者エマニュエル・トッドは、歴史人口学と家族人類学を基盤とした独自の分析で世界情勢を読み解く研究者である。彼はかつて唯一ソ連崩壊を予見した人物として知られており、その洞察力には定評がある。フランス人でありながらロシアの思考様式を尊重し、西欧的価値観を相対化する姿勢は、一見偏っているようにも映るが、広範なデータと長年の研究を踏まえた彼独自の視座である。

本書を通して、ウクライナとロシアの戦争について、これまでとは異なる視点を得ることができた。私は当初、この戦争をロシアの侵略戦争だと受け止めていた。しかしトッドの議論を読む中で、ロシア側にとっては防衛的な側面が強く、実質的には「アメリカを中心とした西欧諸国」と「ロシア」の対立であり、西欧側の敗北がすでに決定的になりつつあるという見方が示されている。

また、アメリカの軍事行動や外交姿勢が持つ軽率さや構造的弱さを、著者は鋭く指摘する。世界がアメリカを必要としているのではなく、むしろアメリカが世界を必要としているという構図。そして、これまでドルの基軸通貨体制に依存してきたアメリカは、今後覇権を他国に譲る可能性が高いと論じられている。

本書を手に取る前に、私は斎藤ジン氏の『世界秩序が変わる時』を読んでいた。そこでは「アメリカの覇権が揺らぐ中、日本が再び重要視され、日本経済にも復活のチャンスが訪れる」という希望的な未来像が語られていた。しかしトッドの視点に触れ、もし本当に覇権がアメリカから別の国へ移るのだとすれば、日本経済の復活はどうなるのかと、複雑で少し寂しい気持ちにもなった。

さらに著者は、日本が自立した国家として生き残るためには「核保有」を検討すべきだと主張する。アメリカは日本のために核を使用して守ってくれるとは限らず、逆にアメリカによって不要な戦争に巻き込まれる危険すらある。国際的なパワーバランスが不均衡であることこそ、核攻撃を受けるリスクを高めるという指摘は衝撃的であり、考えさせられる内容だった。

全体を通して、本書は世界情勢を別の角度から理解させてくれる非常に学びの多い一冊だった。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

西洋の敗北は、未だ英語訳がされないまま。

一方、日本人は、著者の話をよく聞いてくれるのだという。冒頭の「日本の読者へ」という、20ページに及ぶ文章にそれがよく現れている。



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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西洋の敗北のエッセンスが凝縮されたトッド節炸裂の一冊。
冷静な分析で世界情勢に切り込む。
アングロサクソン世界の内部崩壊というショッキングな内容。
特に「有言実行で約束を守るロシア、有限不実行で約束を守らない米国」という表現が言い得て妙だった。
トランプの周りには「二五%の理性的な人間と七五%の奇妙な人間がいる」という表現も秀逸。
日本に対しては再三、核の保有を勧めている。核の傘ということに何の安心感もない。被爆国だけにとても難しい議論になると思うけれど、日本が独立性を保ったままこの平和を維持するためにはどうすれば良いのか真剣に考える時期がやってきているのだと思う。
広い視野をもって世界情勢を見ていきたい。

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2025年10月27日

Posted by ブクログ

 この著者が書いた「西洋の敗北」は世界25ヵ国で翻訳され出版されているのだが、英語訳は未だされずに英語圏では出版されていないというのは驚きだ。「西洋の敗北」は日本で大変よく読まれ大ヒットしてるので、当然アメリカでも出版されていると思い込んでいたが、アメリカは意外と「自由の国」ではないということがこのことでもわかる。この本は最近文藝春秋に寄稿されたエマニュエル・トッドの論文を集めた新書でとてもいい本である。
現在の世界情勢は新聞や雑誌を読んでもよくわからないというのは、アメリカでこの著者の本が発行されないということからも言えることだ。NATO諸国のGDP合計のわずか3.3%しかないロシアとベラルーシに、なぜ西欧諸国は勝てないのか?アメリカの自国の生産力は空洞化して、圧倒的な兵器生産力でウクライナを支援することなどできずに、経済封鎖してもロシアの戦闘能力を制限できないのだ。イスラエルは圧倒的軍事力でガザ地区を瓦礫の山にしたが、ウクライナをけしかけたアメリカは、広大なロシアを負かすことができないばかりか、継続的に武器や弾倉を供給し続けることもできないのだ。この著者が日本に向かって言っていることだが今後東アジアでもアメリカは紛争を起こして日本を巻き込もうとするだろうが、日本は「なにもしないこと」を選択した方が良いかもしれない。アメリカに自国を守ってもらおうなんてお花畑の世界だ。自国の自立について考えるのができない日本人は、東アジアでなにが起きてもなにもせずに、自国の真の問題である「若いカップルがなぜ子供をつくらないのか」という問題に向き合ってたほうがましだ。この著者が書いた「西洋の敗北」、「第三次世界大戦はもう始まっている」、そして本著はいずれも読むべき本であると思います。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

決して万人受けはしないとは思うが、日本の核武装を推奨したりと今までに見たことの無いポジションでの各種ご意見はとても興味深い。
親露・反米の発言の数々で、英語圏で未だに翻訳されてない事をいわば名誉だと開き直っている姿勢にも笑ってしまったw
「西洋の敗北」はあまりに骨太そうで今まで避けていたが、この人が書く本だったらどっぷり浸かってみようかと思い直す事が出来た。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

ウクライナ情勢と米国の思惑
●ウクライナは米国の援助なしでは戦争を続けられず、援助があってもロシアに勝てないことが明らかになった。
●そのため、資金や武器を他国に依存してきたウクライナに停戦・和平案を受け入れさせることは理にかなっている。
●強力な軍事支援でウクライナを事実上NATO側に組み込み、この戦争を起こした米国の隠れた目的は「ロシアとドイツを分断すること」。
●ロシアとドイツはもともとエネルギーや経済面で結びつきが強く、長期的に協力関係を築くのが合理的だった。



欧州・米国関係の変化
●ノルドストリーム破壊によってドイツは米国に反抗的な立場を取り、欧州と米国の隔たりが広がった。
●2013年、スノーデンによる暴露でNSAが大規模監視を行っていたことが判明。監視対象の最優先は敵国ではなく「同盟国」



小国のリスクと国際政治
●ハンガリー大統領は「小国は大国と違い、わずかな間違いも許されない」と強調。小国のリーダーシップの難しさを指摘。



米国の介入主義
●世界はアメリカを必要としているのではなく、むしろアメリカが世界を必要としているのかもしれない。
●米国は「世界の警察官」として振る舞うために、イラク・アフガニスタン・ジョージア・シリアなどに介入してきた。
●これは「米国が不可欠だ」と思わせるために介入を続けている可能性がある。



イランに関する見方
●欧米メディアは「イランでは女性の地位が低く迫害されている」「シーア派は抑圧的」と報じる傾向がある。
●しかし実際には大学進学率は高く、シーア派の方が女性優遇的な面もある。
●イランは多数のエンジニアを輩出しており、米国で博士号を取る留学生のうちエンジニア分野の割合はイラン出身者が約66%と突出(中国は約35%)。



資本主義と民主主義
●第二次世界大戦後〜20世紀末まで、資本主義が成長を生み、その格差を民主主義が政治で吸収する構造があった。
●しかし資本主義が暴走し、民主主義で制御できなくなった。
●特に米国では格差が拡大し、政治資金やロビー活動で民主主義が資本主義に取り込まれてしまった。



米国の構造的問題
●アメリカは帝国的立場に固執し、世界から搾取するシステムを守ろうとしている。
●その姿勢が「終わりのない戦争」を引き起こしている。

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

日本を核武装すべき、ロシアとの友好関係を構築すべきという提言はとても重要。日本も真面目にこの議論をすることが急務だと感じた。
ハンガリーのオルバン首相との対談についても興味深かった。
イスラエルへのスタンスも考えさせられた。
雑誌などへの原稿のまとめではあるが、有意義な書であった。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

対談やインタビュー部分が多いからか私の理解力の問題か、よく分からない部分が多かった。イランはともかくロシアに対する過度な礼賛と信頼は奇妙に感じる。ロシア(ソ連)が約束を守る国だったことなんてあったか?それと同じレベルでアメリカも欧州も信頼できないという話は分かるけど。
直系家族と核家族の話もよく分からなかったな。もとの「西洋の敗北」を読んでからだとすんなり理解できる部分もあるのかも。
全体としては腑に落ちる部分も多かった。資本主義と民主主義の組み合わせは敗北している。日本はアメリカの仕掛ける戦争に巻き込まれず国家として自立しなくてはならない、そのためには核を持つべき。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

フランス人且つユダヤ混血の作者として、欧州への自嘲もあるが、広く世論を認識したうえで世界を読み解く本
。日本に対しての見解は少々難あり。ロシア及びアメリカへの考察は興味深い。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

日本を含めて、世界情勢は今後どのような方向へ転換するのか、またその際、何を念頭に国の舵取りをするべきかを著者は提案する。具体的には、米国は以前よりも国力が弱体化しており、またそれと同時に中国は軍事力を強化していることをふまえると、日本は核武装と主張する。一方で、日本以外の国々については、ウクライナ侵攻の欧州の対応をハンガリーを除いて批判的であったり、イランよりもイスラエルのほうに問題があり、しかも現在のイスラエルは宗教を信じていないと指摘する。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

西洋の敗北と日本の選択 エマニュエルトッド 文藝春秋
西洋の敗北とドイツの選民的視野の狭さについては意義無しだが
ニホンの選択については問題が多い
まず何にもするなは良いが
戦争ありきの発想からしてナンセンスだと思うし
消極的すぎる

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

20年ほど前、2020年辺りから西洋の時代が終わって、東洋の時代になるという本を読んだことがあります、800年周期でそれが繰り返されているという内容だったと記憶していますが。本屋さんでこの本を見かけて、ピンとくるものがありました。

最近ゴールドの価格が急上昇していますが、これは現在私たちが使用している通貨の価値が下がっていることを意味しています、これも世界の混乱を示すものなのでしょうか。

昨年定年を迎え会社勤めをしていないのですが、ビジネスの世界でも少なからず影響を受けていると想像します。この本を読んで、将来私たちが目にすることになるであろう新しい世界を迎える覚悟を持たなければならないと思いを新たにしました。

以下は気になったポイントです。

・西洋の民主主義を共に作り出した「英国・米国・フランス」の三極が、今崩壊しつつある、経済的に崩壊している、国内の生産基盤が国外に流出し、産業の空洞化が起きた、さらに自由・知性・批判的思考、理解と前進を可能にする「人間の理性」といった理想や価値観が消滅しつつある、「進歩」という理想が崩壊している(p4)

・トランプは国際取引でドルの使用を止めようとする国々を関税で脅している、米国の真のスローガンは、生産せずに消費する、常にあらゆる分野で「生産せずに消費する」なのである、国内の財政赤字から生み出されたドルで国外から購入することが可能だから(p6)

・西洋の敗北は不可避だ、とウクライナ戦争の当初から筆者が確信できたのは、人口が米国の半分以下のロシアの方が、米国より多くのエンジニアを要請しているという事実からである(p9)ウクライナ軍は崩壊しつつあり、欧州は経済制裁の最大の被害者となっている(p38)

・ロシアは和平に関心を持っていない、レッドラインを明示したにもかかわらず、NATOが東方拡大を続けたり、ミンスク合意にこぎつけたものの、その後も戦闘が続き裏切られたりした、冷戦後の数々の経験から、西側諸国との約束(文書での協定や合意)にいかなる信頼も置いていないから(p40)

・米国はいわば、スーパーオランダ病に苦しんでいる、ここでの天然資源(オランダは天然ガス)は、ドル、である。米国では高学歴者ほど、産業・ものづくりの就職につながる科学、エンジニア分野ではなく、ドルという富の源泉に近づくために、金融・法律の分野に進んでいる(p49)

・ドイツのケースと同様に、米国が自国の核を使って日本を守ることは絶対にあり得ない、核は「持たないか」「自前で持つか」以外に選択肢はない(p51)日本は核武装と共に通常兵器の増強も進めるべき、これは戦争をより困難にするため、戦争は軍事的は勢力不均衡から生まれるから(p54)

・ロシアの勝利でなく、西洋の敗北である、すなわち、米国を含む「アングロサクソン世界」の内部崩壊である(p61)これまで世界を支配してきた「自由主義的(リベラル)西洋」の崩壊を意味している(p62)

・保護主義政策が効果を持つには、輸入品に関税を課すだけでは不十分だ得る、優秀で能力があり勤勉な労働人口が必要である、米国はすでに手遅れである、エンジニア不足だけでなく、技術者や質の高い労働者も不足している(p65)

・今回の米国の敗北はこれまで経験したことがないような敗北である、イラク、アフガニスタン、ベトナムで米国は敗北を経験したが、これによって世界経済によける米国覇権を失ったわけではなく劇的な事態にはならなかった、しかしウクライナ戦争での敗北は、単なる敗北ではなく「世界経済における敗北」すなわち「経済制裁や金融支配によって世界に君臨してきた米国の覇権力が敗北すること」を意味する(p74)

・原初のホモサピエンスの家族構造は各家族で、次に農業の発生と共に発明されたのが「直系家族」である、限られた農地を次世代に分割せずに譲り渡すためだと考えられている、ここでは文字も生み出されていて、直系家族は、資産や知識・技術の「世代間継承」に適したものであった(p93)

・日本企業の2つの特徴、1)長寿企業が多い、世界で数百年以上存続している企業の3分の2が日本にある、2)他の国には珍しい独自の製品を生産する企業が多い、経済複雑度と呼ばれるこの指標で日本は今でも世界一である(p98)

・民主主義は消費者ではなく、労働者によって支えられる、そうした労働者が消滅したことで米国の自由民主主義は「リベラル寡頭制」へと変質した、トランプを支持しているのは、労働者というより、基軸通貨ドルの恩恵の下で生活している、消費者=平民である(p101)

・第二次世界大戦から20世紀末まで、資本主義が経済成長と技術革新を担当し、その結果生まれる格差・弱者を民主主義政治が救うという、役割分担ができていた、しかし油断していて、資本主義の暴走を民主主義が制御できなくなった、米国では政治献金・ロビーングを通じて民主主義が資本主義に乗っ取られてしまった(p102)

・ロシアとベルラーシのGDPの合計は、西側陣営の3.3%である、しかしこのGDPでロシアはミサイルを生産し続けられる、問題は、経済の金融化・サービス産業化が進む中で、GDPがもはや「生産力=真の経済力」を測る尺度として効力を失っていることにある、軍事力を最終的に支えるのは、リアルな生産力である(p113)

・独露の接近は米国が最も恐れている事態である、強力な軍事支援でウクライナをNATOの事実上の加盟国とすることで戦争をけしかけた米国の隠れた真の目的は、ロシアとドイツの分断にあった、元々ロシアとドイツはエネルギー面・経済面で緊密な相互補完関係にあり、両者の協力関係は、地政学的にも地域の安定に寄与する、長期的な視点に立てば、この二国の接近は、全く合理的である(p117)

・ロシアとベルラーシのGDPの合計は、西側陣営の3.3%である、しかしこのGDPでロシアはミサイルを生産し続けられる、問題は、経済の金融化・サービス産業化が進む中で、GDPがもはや「生産力=真の経済力」を測る尺度として効力を失っていることにある、軍事力を最終的に支えるのは、リアルな生産力である(p113)

・独露の接近は米国が最も恐れている事態である、強力な軍事支援でウクライナをNATOの事実上の加盟国とすることで戦争をけしかけた米国の隠れた真の目的は、ロシアとドイツの分断にあった、元々ロシアとドイツはエネルギー面・経済面で緊密な相互補完関係にあり、両者の協力関係は、地政学的にも地域の安定に寄与する、長期的な視点に立てば、この二国の接近は、全く合理的である(p117)

2025年10月18日読破
2025年10月19日作成

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2025年10月19日

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