2030 来たるべき世界

2030 来たるべき世界

トッド、緊急来日。「西洋の敗北」が現実となった今、世界はどこへ向かうのか。そして2030年、激動の世界で日本に残された道とは何か。戦争への欲望とテクノロジーの暴走を前にした人類へ、世界最高の知性たちからの「最後の処方箋」

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2030 来たるべき世界 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    刺激的な本。
    自分用のメモを兼ねて、感想が長くなった。

    ソ連崩壊、アラブの春、英国のEU離脱などの予測を的中させてきたトッド氏(この本の中でもアメリカのベネズエラ攻撃を予測していた!)。2024年の彼の著書『西洋の敗北』は世界27ヵ国語に翻訳され読まれているが、この『西洋の敗北』という言葉を知るだけで、最近のニュースの聞こえ方が変わってくる。
    アメリカやドイツが勢いを失い内向きになっていることを、プロテスタンティズムの崩壊と重ねる考え方も衝撃的だ。
    トッド氏の発言のいくつかを、下段にコピペしておく。
    とはいえ、トッド氏が考える、崩壊していくアメリカから日本が独立する方法としての「核武装」については、私個人的には心理的抵抗が強い。

    もうひとつ、オードリー・タン氏のAIに関する発言も刺激的だった。
    氏は、シンギュラリティ(垂直離陸)は危険であり、これにプルラリティという概念を対置する。
    『プルラリティーは水平的な理解を求めます。つまり、AIやソーシャルメディアなどが、本来なら決して合意しない人々の間の理解と関係性の健全性を育むために活用されるべきだと考えるのです。』
    氏が関係したデジタルツール「vTaiwan」では、自身の考えをそこで共有する時、『ソーシャルメディアの反社会的な領域では、他人の投稿の皮肉や毒舌コメント付きで再投稿する、といった行為が見られますが、vTaiwanではありません。』『人々は非常に速く学びます。意見の対立する者同士の間で広範な合意を得る提案をすることだけが、「橋渡しボーナス」を獲得できる手段だと。』つまり、異なる意見を互いに尊重するような書き込みにしか、いわゆる「いいね!」のようなボーナスが付かないようなプログラム(教育されたAI)だということだ。そしてそれを、単にコミュニケーションツールとしてでは無く、政府の意思決定プロセスに組み込んだ。日本では考えられない、ホンモノのデジタル活用だ。
    つまり、AIが良いか悪いかではなく、AIをどう活かすか、結局は人間の問題なのだ。
    『ソーシャルメディアで目にするように、「For
    You」フィードはユーザーの依存行動やタッ
    チスクリーン操作に忠実です。つまりエンゲージメント(反応)数を最大化していますが、それはおそらく操作によるものです。
    そして人々が互いに数怒すると、水平的な連携は崩壊します。垂直的な忠誠心だけが残る一方で、社会という頼の基盤はオゾン層のように、個人に忠実なAIによって消耗されていくのです。
    つまり最大の課題は、功利主義哲学のように数値を最大化するのではなく、コミュニティ内のメンバー同士の関係性を健全に保つようAIエージェントを訓練することです。』

    そして、そんなタン氏自身はSNSをどう活用しているかというと、『面白いことに、私のスマホ画面は白黒表示にしているので中毒になりません。ソーシャルメディアで動画などを見ても、すべて灰色で色がありません。つまり現実の周囲の方が画面より鮮明なのです。
    もう一つは「ソーシャルフォーカス」というブラウザ拡張機能をインストールしていることです。これはメインフィード、つまり(AIのおすすめである)「For You (あなた向け)」フィードを削除します。私の好みを分析して中毒状態に陥らせる寄生的なAIですが、完全に排除しています。
    ソーシャルメディアに投稿する際、返言を確認したり、ハッシュタグを追跡したり、プロフイールを閲覧したりしますが、常に意図的な行動です。「For You」フィードの寄生的なAIによって、意図せずコンテンツを消費することは絶対にありません。
    実際、研究によれば、「For You」フィードと再投稿ボタンの組み合わせは、過激な声に拡声器を与えることで必然的に人々の分断を招きます。つまり「For You」フィードを排除することで、分断された極端な立場ではなく、市民的な中道に立ち返れるのです。』


    【以下、トッド氏発言の抜粋】
    日本はヨーロッパのいくつかの国々と似たような軌跡をたどっています。しかし、実際のところ、日本の西洋との出会いというのは、言うならばかなり暴力的で危険なものでした。つまり、西洋、主に米国ですが、まず脅威、あるいは挑戦として日本に現れたのです。大枠で言うなら、西洋の植民地にされるかもしれないという脅威です。
    これが、明治維新の最大の意味です。つまり、西洋を模倣すべきモデル、追いつき、追い越すべきモデルにして、自らも西洋的になりながら、自分自身でもあり続ける。これが日本の歴史でした。そして明治以来、それは大成功をおさめ、日本は世界で最も近代的な国の一つになったのです。
    しかし今、私が考えるのは、自分がお手本としてきた国々、つまり西洋の国々が崩壊したときに、日本のような国では何が起きるのだろうということです。近代化という理念や概念をもたらした西洋が、いうならば衰退と危機の局面に入っているのです。

    たとえばトランプ大統領についてです。彼はまもなく来日しますが、みんな彼のことを非常に重要な人物だと考えています。強大な力を持っているし、大きな脅威でもある。歴史の中できわめて行動的な登場人物だと見られている。たしかに、目立つ登場人物です。しかし彼は自分の思い通りにならない歴史(物語)の登場人物なのです。彼は物語を動かす主人公ではありません。
    まず、彼は敗戦国の大統領として来日するのです。

    現在の状況で逆説的なのは、国際関係の中で、より狂っていないのは最も権威主義的な国々だということです。困ったことに、私の属する世界、つまり西洋のリベラルな世界がちょっとおかしくなって、かなり信頼できなくなっているのです。

    ここでは細かい議論に入りませんが、頭のおかしな億万長者でいっぱいになった米国は内戦にも入りかねません。トランプは戦争か内戦かの選択でためらうことになるかもしれないと思うくらいです。とにかく米国は地球上で最も大きな不安定ゾーンになったのです。

    ここでイスラエルを支持するということについて、大事なことを指摘しておきたいと思います。今日、イスラエルに反対する姿勢を表明すると反ユダヤ主義者と指弾されます。イスラエルの政策への反対はユダヤ人差別だというわけです。で、イスラエルの政策への批判は反ユダヤ主義の証拠とみなされて、それを唱える人たちはアメリカでもドイツでも追及されることになる。(略)
    そのうち、イスラエルの政策に反対するユダヤ人が反ユダヤ主義者として指弾される、という不条理にまで行き着くでしょう。私は、これを反ユダヤ主義2・0と呼びます。そう考えれば、欧州で反ユダヤ主義者だったはずの右派や右翼の多くの政治家たちが今、イスラエル国家を支持する理由がわかります。(略)
    反ユダヤ主義はまず何よりも、ユダヤ人を物理的に抹殺してしまおうとする恐るべき試みとして姿を現します。ホロコーストです。これに対し、イスラエルへの支持は、ユダヤ人を道徳的に抹殺する試みです。

    最後に一言だけ。アメリカによる日本の征服、1945年の敗戦は日本にとってトラウマになりました。しかし、日本は知るべきです。今、目の前に二度目のトラウマが待ち構えているのです。それはアメリカ、勝者だった国の崩壊です。これによって、日本は自由になることを強制されるのです。

    0
    2026年05月21日

    Posted by ブクログ

    ネットで流れてくるニュースだけを見て、世界に触れている気になっていた。知らなかったことがたくさんある。トッド氏、タンし、トフト氏の書籍や発言をフォローしていきたいと思った。

    0
    2026年04月14日

    Posted by ブクログ

    2030年、世界はどうなるんですかね。本書は主にエマニュエル・トッド氏がメインですが、心に残ったのは台湾のオードリータンさんですね。彼が台湾で行った政策、そのまま日本でできないもんですかね。

    0
    2026年03月30日

    Posted by ブクログ

    2030年がどうなるかを、何人かの有識者が分析した一冊。

    オムニバス形式なので内容は散漫だったが、読みやすかった。

    0
    2026年09月26日

    Posted by ブクログ

    最初の2人の話はすごく感慨深い。
    ロシアの捉え方はある意味日本の報道からは新鮮です。
    AI時代の話はやや難度が高いが、理解しておきたい内容です。

    0
    2026年08月24日

    Posted by ブクログ

    一つの意見としては際立っていて興味深い。感情的にならず、全ての可能性を一度引き受ける。そして多様な意見を広く開けて対話する。

    0
    2026年08月16日

    Posted by ブクログ

    地政学から見た論点が強いが、2030年という近未来を予想するに相応しい3人の著者であった。現実として起こることは起こるし起きないことは起きない。未来は予測するのではなく自ら選び取るものという姿勢を感じられた。

    0
    2026年08月06日

    Posted by ブクログ

    第三者的な立場から(日本のことも好意を持って慮ってもらえるという特殊性も加味して)日本が今後どのような道を目指すべきかを考える示唆を与えてくれる本。日本人はもっと危機感を持って現在の世界情勢を捉える必要がある、という認識を持たせてくれる。
    本とは直接関係ないが、以前台湾を訪れた際に台湾における国交大臣にあたる方のスピーチを聞いた。相手に訴えかける話し方その話すスピードの心地よさ、かつ内容も理路整然としている、素晴らしいスピーチだった。現地の方に「素晴らしい政治家がいて良いですね」と話すと、「あの方よりもっと人気がある方がいますよ」と言われた。台湾の方々の政治への関心の高さと人材の豊富さ、日本の政治に対する不安な気持ちが押し寄せ、暗澹たる気持ちになった。
    しかし、日本も手をこまねいてる暇はない。国民一人一人の手で日本という国家をどうしていくか、考えなければならない時が来ている。

    0
    2026年06月28日

    Posted by ブクログ

    トッドの話は面白い。が、核武装が答えかどうかについては拘りたいところ。また、ふと思ったのは中国の話がほとんど出てこないことである。
    書籍の作りとしては、広島大学の学長さんとの対談がとても短く、入れる必要があったのか。

    0
    2026年06月14日

    Posted by ブクログ

    今世界で起こっている変化の底にあるのは『西洋の敗北』、宗教ゼロになりアメリカとヨーロッパがニヒリズムに陥っているからとトッドは言う。
    下部構造である経済に政治は規定されるが、可視化されている経済の水面下には、教育があり、宗教があり、家族構造があるとはトッドの分析。
    宗教ゾンビ化がナショナリズムを生み2度の世界大戦を起こし、戦後に宗教ゼロが始まりニヒリズムからの世界の混乱が起こっている。
    トランプがいなくなってもこの潮流は止まらない。日本はどうすべきか、自分はどうすべきか、まだまだ答えは出ないが、トッドは考える方向性を示してくれていると直感的に思う。

    0
    2026年04月29日

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