エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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ネタバレ経済統計はうそをつくが、人口統計はうそをつかない(筆者=家族人類学者)
自然人日本人 5時からの民主主義
完璧さが長所でもあり短所
唯一の課題は人口減少
移民受け入れは多文化主義ではなく 同化主義で時間をかけて行う
高いGDPでも国内産業が空洞化した国は脆い:コロナ死者
米国
民主党 高教育水準の白人と連携するヒスパニック 黒人 米国人のリベラル
共和党 低教育水準の白人 米国人の真実
英米
資本主義をダイナミックに動かす「創造的破壊」 ←絶対核家族↔直系家族
ネーション(国民)英国の発明 →保護主義
民主主義=自民族中心主義 ←英国 プロテスタント・米国 白人社会
米国は求心力ある普遍的支配へ 日本は特権的な同盟国 ヨーロッパにおける英国
中国
人口規模大のため何にでも特化できる
内的矛盾を抱えたまま地球の重心のひとつへ
・人間の自由を重んじる社会や国が優位に立つ
・戦争は自分の力を過信するとき起る
・ポピュリズムはエリートが民衆の声を受け止めないときに台頭してくる -
Posted by ブクログ
ソ連崩壊、トランプ勝利、イギリスのEU離脱など、歴史的変化点を見通してきた著者が、タイトルのテーマで何を訴求するのか関心をもって読み進めたが、半分肩透かしにあった。全4章構成のうち、最初の章のみであり消化不良気味である。
著者本人の問題でなく、出版社の方で、日本の現状に対するインパクトを考えた上でのタイトルであろう。その中でも、日本政府がとってきた政策が、高齢者の健康を守るために、現役世代と若者の生活に犠牲を強いている、という論舌は鋭い。
著者は決して経済や政治の専門家ではなく、人口動態や家族制度を調査する学者であるが、著者自身の専門を通した幅広い調査や深い洞察は、大変示唆に富んでいる。 -
Posted by ブクログ
つい我々は印象だけで判断してしまう癖がある。
物事は一つの視点だけではいけない。他者の異なる意見が大事だ。
これは日本のメディアの課題が大きいと思う。
世界で起きている大事なニュースを、なぜ日本では報道がされないのか。
さらにいうと、それらを深く考察した番組などほとんど無いに等しい。
若年層ほどテレビ・新聞を見ていないのは、現前たる事実だ。
インターネットで自分の興味あるものだけを選択し視聴している状況では、ともするとこれら世界のニュースが置いてけぼりになってしまっている。
それは自分自身も反省の意を込めてだが、やはり世界で何が起きているのかを知ることはとても大切だと思うのだ。
さらに言うと、世界のそれぞれの人が、それらニュースをどう感じて見ているかを理解することも大切だ。
我々は内に閉じこもっていないで、もっと外の世界に出ていかなくてはいけない。
結局、トランプ大統領とは何だったのか。
世界はどこに向かっていくのか。米中はどうなっていくのか。
日本は世界からどう見られているのか。
今現時点でも日本を取り巻く環境は相当に厳しい。
かつてないほど隣国との関係性も難しくなっている。
さらに本書でも述べているが、これだけ確実に少子高齢化問題が見えているのに、その対策がなされていないのは、もっと国民が声を上げるべきだ。
政治家も「何とかしなければいけない」とは言っているが、具体的行動にまで発展し、結果を残せているものは正直見当たらない。
高齢化していく、さらに人口が減っていく、というのはすべての問題の根源的課題だ。
国家の安全保障の面から言っても、若者がいない国がどうやって国防していくというのか。
元々数が少ない貴重な若者を、国防のために駆り出していいのか。
それでは国防はお座なりにしていいのか。
世界は日本国内のことなどを興味がないかもしれないが、「どう対応するのか」については興味があるらしい。
日本の対応次第で、中国・韓国・北朝鮮との関係性にも影響があるからだ。
逆にいうと、日本はもっと世界に目を向けなければならない。
ロシアと中国との関係性も、昔の共産主義の文脈で語られた印象のまま止まっていてはいけない。
そして日本の中でさらに興味が薄いのが、欧州の出来事だ。
ドイツ・フランス・イギリスの関係値。
東欧はロシアとの関係性が今どうなっているのか。
私自身も詳しくはないのだが、こういうことを日常から語る習慣があってもいい。
中学校時代の社会科の授業じゃないが、社会人が気軽に国際社会を学べる講座みたいなのがあってもいい。
そして情報に踊らされずに、自分自身の考え方で意見を述べられるようになりたいものだ。
(2022/2/20) -
Posted by ブクログ
ネタバレ筆者の専門である「家族構造」を切り口とすると、各国の社会体制や歴史を異なった視点で見れて面白かった。
例えば、資本主義はイギリスで始まり、アメリカではある種一番純粋なかたちで発展しているが、これはイギリス・アメリカで見られる「絶対核家族」(子どもが親元を離れて家族を構築する)による、個人の自由が尊重される価値観が
ベースになっている。一方、ロシアは「共同体家族」(子どもは親と一緒に住み続け、遺産相続は平等になされる)であったため、資本主義を受け入れられず共産主義となった。
確かにそのように考えると、資本主義や共産主義が発生した地域は必然だったと思わされた。
また、ソ連崩壊は、平等を行きすぎた結果、現実との歪みが生まれたのが原因で、昨今のアメリカにおけるトランプ政権誕生やイギリスにおけるブレグジットは、自由が行きすぎた結果としての保護主義への回帰と解釈できる、とのこと。
本書の構成が雑誌の連載を繋げているせいだろうが、読み進めることで議論が深まっていく感じがあまりなかったのが、少し残念。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。
何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制限をしたいという英国側の思惑も報道がありましたが、筆者の言わんとするのは英国の「主権の回復」です。英国はこれまでも通貨発行権も手放していませんでしたが、より自国を中心に考えるという事のようです。まあ主権の話も社説等でチラチラ出ていたりしますが、実際EUに住まう学者から説明されると、真偽はともかく「やっぱりそうかぁ」的に思いました。
ちなみに、ここから敷衍して、自由主義を標榜する英米二大巨頭が一方はBrexitとして他方はトランプ元大統領が行った保護主義として自己否定しているという事を述べており、行き過ぎた自由主義にはちょっと反対な私としては、心のなかで激しく同意した次第です。
他方で、いまいちだなと感じたのは、まとまりのなさ。
7つほどのインタビューや論説の寄せ集めであり、余り深さを感じませんでした。人口学や家族論が専門の方ですが、そうした方が移民について語ったり、フランス国内のテロが移民家系の国民が起こした点について語るのはなるほどと思うのです。ただ、そうした学者が米国政治の行方とか、中東情勢について語るのは、あたっていることもあるかもしれませんが、ぱっと見、テレビのコメンテーター的な雰囲気を感じてしまいました。
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上にも書きましたが、ちょっとコメンテーター的ではありましたが、言っている内容は割と同感する部分が多かったです。家族論が専門とのことで、うちのように国際結婚した家からすると筆者がどんなことを考えているのか他の専門書も読んでみたいと思いました。
欧州やEUについて学びたい方、フランスの現代社会の歪みや移民政策に興味のあるかた、政治全般に興味のあるかた、人口学・家族論に興味のある方にはおすすめできる本だと思います。 -
Posted by ブクログ
学者さんが書いたこの種の本を読むのに慣れていないせいか、少し読みづらい気はしたが、思考の流れはよく理解でき、主義思想でなく歴史やデータを重要視する研究姿勢や、ルーティンから脱却して視点を変えてみる必要性は共感できた。
目次とは別に冒頭のページにあった「思考の見取り図」がわかりやすかった。
インプット→着想→検証→分析・洞察→予測
・歴史とデータによる経験主義
・膨大なデータ収集し事実(ファクト)を蓄積
・ルーティンから脱却してのアウトサイダーの視点
自分自身に置き換えると、インプット→着想を数多くやってもその先が不十分だから考えが深まらないことを、痛感した。
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Posted by ブクログ
フランス人の歴史家であり、文化人類学者、人口学者であるエマニュエル・トッド氏のインタビュー記事を本にまとめて出版された本。インタビューは、2018-2021にかけておこなわれ、以下の六つのテーマが収録されている。
1.トランプ政権が意味したこと
2.新型コロナ禍の国家と社会
3.新型コロナは「戦争」ではなく「失敗」
4.不自由な自由貿易
5.冷戦終結30年
6.家族制度と移民
インタビュー形式の本だとNHK出版の本が出来が良かった印象があるが、この本は、ただエマニュエル・トッド氏へのインタビューを一冊にまとめただけとも取れる。
フランス人の著作は何冊か読んだが、視点が哲学的で大国や歴史に迎合せずシニカルな雰囲気があって嫌いじゃないんだけど、この本は全体を通すと、ちと読みにくかった。
トランプについて語っている所では、人口などのデータからの分析は、後になってみればたしかにそうだなとなる部分を差し置いても、リアルに今起きている事象を当てはめて考える力を少しつける事が出来るのかもしれない。
日本に対しては、人口問題について、日本人が古くから認識しているのに、何もできていないまま時間が過ぎていると指摘をしている。他国との比較も交えて、先進国で出生率が増えているアメリカとか、何が起きているのか不明と言っているところなんて、新しい研究テーマなんだろうなと。政府やメディアが何かをする事で、変化が起きてるわけじゃない何かがありそう。
この本の想定読者は、四十代後半以上のおじさんです。それ以外の人は読んでも面白くありません。
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Posted by ブクログ
エマニエル・ドット氏にインタビューをした内容をまとめて、昨年(2020年)7月に発刊された本。自国であるフランスを中心に欧米と日本の政治と民主主義について述べられている。貧富の格差の拡大と教育に加え、保護貿易化、移民の反対等により、国家が分断されていると主張している。参考になった。
「今や高等教育は学ぶ場というよりも、支配階級が自らの再生産を守るためのものになっており、お金がある家庭は、子どもたちがある分野で成功するための保証として家庭教師を雇います」p26
「データを見る限り、中等、そして初等教育においても学力が低下していることが確認されていました。これはフランスだけではなく、もしかすると世界的な話かもしれないと思っています」p51
「(学力低下)私は、どちらかというと子供たちが読書をしなくなっているということに理由があると思っています」p52
「民主主義は3つの種類に分けられると考えています。それは「フランス・アメリカ・イギリス型」「ドイツ・日本型」「ロシア型」であり、家族構造に由来しています」p70
「しばしば非難されるのは「日本人には自分たちが特別だという意識があり、自民族中心主義思想を持っている」という点です。今、日本の文化は文学や料理、サブカルチャーを筆頭に、世界で敬意を払われるものになりました。日本は平和的でエレガントだと言われます。しかし、昔は人種差別的だと言われたこともありました。そうした印象を与える自民族中心主義思想から、日本には移民はいらない、という考え方も生まれます。これが西洋の考え方と違う点で、日本が非難される理由です」p74
「これからの日本に必要なのは「少しばかりの無秩序」であると私は謹言したい。男女間での無秩序、家族内での無秩序、そして移民を受け入れることで発生する無秩序。日本社会のように完璧を求めることは、ある程度発展した社会では逆に障害になってしまうからです」p106
「自由貿易は、先進諸国において残忍な形で不平等を拡大し続けています。自由貿易が優遇するのは資本家と高齢者です」p113
「民主主義の考え方、つまり「人はみな平等で自由」という理想は素晴らしいですが、それがうまくいくためには人々の教育レベルが均一でなければならず、お互いに理解し合えて、そして時には衝突し合うことも可能でなければいけません。今のEUではそれは不可能なのです」p132
「もし私が「ヨーロッパの終わりはどう訪れるか」と尋ねられたならば、おそらく「支配国であるドイツがなにがしか不条理なことをしでかすことで訪れる」と答えるでしょう」p135
「日本は移民の大規模な活用を拒否し、国力の低下を食い止める闘いをあきらめてしまいました。ところが、ドイツでは世界で最も年老いた2つの国のうちの1つでありながら、経済力については全くあきらめていません(移民による労働力若返り政策)」p138
「様々な理由から、サウジアラビアは近々崩壊すると思います」p175 -
Posted by ブクログ
ちょうど社会に出るころ、日本では小泉、アメリカではブッシュが政権を取っていたということもあり、深く考えもせずに自由貿易に対する肯定的な思いを持ってきていた。
しかし、現実にはニュースで日々報道されるような状況となっていて、そのねじれについてイマイチ理解できずにいた。
トッドは一貫して自由貿易には反対の立場をとってきているが、それはあくまで自国での民主主義を守ることを一義に考えていたからだと理解した。
民主主義にしても自由貿易にしても、すべてが同じ条件で、プレイヤーは合理的な判断を行うという、非現実的な前提のうえになりたっている以上、現実に落とし込むにはどこかでカスタマイズが必要ということなのだろう。
自由・平等が絶対善であるところに固執しすぎると、かえって思考停止に陥ってしまい、絶対に到達できなくなるということがよくわかった。