エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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社会を把握するための数字の見方が参考になる。
著者のエマニュエル・トッドは、歴史人口学者であるが、ソ連崩壊やトランプ当選などの予言で知られる。
多くの社会学が、人の主義や価値観について仮説・推論を展開するのに対し、著者のアプローチは各国の人口動態、家族構成などの統計から、人々の感情を思い浮かべる、経験主義的なものなのが特徴的である。
特に興味深かったのは、統計データの信頼性について、死亡率は嘘がつけないというものだ。著者に言わせれば、物価、GDPなどはサービス経済になってからは何を表すのか分からない。訴訟が増え弁護士の手数料が膨大になることが生産なのだろうか?と言われると確かにその通りと思 -
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人類学者の著者による、ウクライナ問題について。
全然世界情勢など知らないマンなので「ロシアによる一方的な侵略戦争」と思っていた節がありますが、その背景に「ウクライナのNATO加盟」、「NATOのロシアの意に反する東方勢力拡大」、「旧ソ連崩壊後の国境問題」などいろいろ複雑な問題があることを認識しました。
面白いと思った点は、人類学的視点からの見解でした。ロシアは「共同体家族」、ウクライナは「核家族」。この違いにより「共産主義的思想」、「民主主義的思想」の違いに繋がるのは興味深かったです。
日本のメディアを通して得られる情報とは別の視点でいろいろ語られていたので、新鮮でした。
こんな情報化社会で -
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2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵略戦争について、ロシア側の論理を説明した本。
著者はフランス人だが、反米・反EU。同意できない点もあるが、多面的な視点を提供してくれるという点で、読む価値はある。
著者が「第三次世界大戦」という言葉を使うのは、この戦争は、実際には米国とロシアの戦争―米国によるウクライナでの「代理戦争」―だからだ。
ウクライナの裏で米国(とNATO)が糸を引いている、ということはみんな知っている。著者曰く、米国や西欧の主張はまったくグローバルではなく(この点は完全に同意する)、むしろ世界の嫌われ者である。よって、今回の戦争でロシアを支持する国は多いだろう、という。
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歴史人口学、家族人類学者のトッドらしい着眼点で、さまざまな国・地域の家族構成から、宗教や人々の経済基盤、ヒエラルキー、識字率などの統計を引きつつ、歴史をひもといていく。
上巻前半はかなり学術的で、人類学素人の私にとっては、多少”体力”の要る読書になったが、後半は宗教改革から、プロテスタンティズムや印刷技術の普及による変化、都市文明と核家族化の関係、18世紀までさかのぼっても北欧の女性の識字率が高かったことなど、従来の身近な知識で読み進められる話になってくる。
全体として、父系社会は、農耕が始まり定住して財産を蓄えるようになり、相続という行為が必要になって生まれてきたもので、実は核家族よりも -
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エマニュエル・トッドの読書論という感じで、普段日本人の読書論にしか触れていないために新鮮。著者は、ソ連崩壊を予測したデータサイエンティストの一面も持ちながら、しかし、小説も含めてあらゆる本を読みながら、真理、仮説を導き出していくキュレーションのような作法も用いるという。この点は、読書の仕方が自分に似ていて単純に嬉しかった。尚、ソ連崩壊を予測するに役立ったデータの一つは、乳児死亡率との事。相関係数を分析しながらもデータの読み解きが出来なければ、意味が無い。そのため、論説の肉付けをどうするか、思考地図という表現で解説している。
話は本著から逸れるが、地獄とは、脳が苦しみを感受、持続する状態であり -
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ネタバレ経済統計はうそをつくが、人口統計はうそをつかない(筆者=家族人類学者)
自然人日本人 5時からの民主主義
完璧さが長所でもあり短所
唯一の課題は人口減少
移民受け入れは多文化主義ではなく 同化主義で時間をかけて行う
高いGDPでも国内産業が空洞化した国は脆い:コロナ死者
米国
民主党 高教育水準の白人と連携するヒスパニック 黒人 米国人のリベラル
共和党 低教育水準の白人 米国人の真実
英米
資本主義をダイナミックに動かす「創造的破壊」 ←絶対核家族↔直系家族
ネーション(国民)英国の発明 →保護主義
民主主義=自民族中心主義 ←英国 プロテスタント・米国 白人 -
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ソ連崩壊、トランプ勝利、イギリスのEU離脱など、歴史的変化点を見通してきた著者が、タイトルのテーマで何を訴求するのか関心をもって読み進めたが、半分肩透かしにあった。全4章構成のうち、最初の章のみであり消化不良気味である。
著者本人の問題でなく、出版社の方で、日本の現状に対するインパクトを考えた上でのタイトルであろう。その中でも、日本政府がとってきた政策が、高齢者の健康を守るために、現役世代と若者の生活に犠牲を強いている、という論舌は鋭い。
著者は決して経済や政治の専門家ではなく、人口動態や家族制度を調査する学者であるが、著者自身の専門を通した幅広い調査や深い洞察は、大変示唆に富んでいる。 -
Posted by ブクログ
つい我々は印象だけで判断してしまう癖がある。
物事は一つの視点だけではいけない。他者の異なる意見が大事だ。
これは日本のメディアの課題が大きいと思う。
世界で起きている大事なニュースを、なぜ日本では報道がされないのか。
さらにいうと、それらを深く考察した番組などほとんど無いに等しい。
若年層ほどテレビ・新聞を見ていないのは、現前たる事実だ。
インターネットで自分の興味あるものだけを選択し視聴している状況では、ともするとこれら世界のニュースが置いてけぼりになってしまっている。
それは自分自身も反省の意を込めてだが、やはり世界で何が起きているのかを知ることはとても大切だと思うのだ。
さらに言うと、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ筆者の専門である「家族構造」を切り口とすると、各国の社会体制や歴史を異なった視点で見れて面白かった。
例えば、資本主義はイギリスで始まり、アメリカではある種一番純粋なかたちで発展しているが、これはイギリス・アメリカで見られる「絶対核家族」(子どもが親元を離れて家族を構築する)による、個人の自由が尊重される価値観が
ベースになっている。一方、ロシアは「共同体家族」(子どもは親と一緒に住み続け、遺産相続は平等になされる)であったため、資本主義を受け入れられず共産主義となった。
確かにそのように考えると、資本主義や共産主義が発生した地域は必然だったと思わされた。
また、ソ連崩壊は、平等を行きすぎた -
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Posted by ブクログ
ネタバレカバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。
何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制