エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
エマニュエル・トッドの読書論という感じで、普段日本人の読書論にしか触れていないために新鮮。著者は、ソ連崩壊を予測したデータサイエンティストの一面も持ちながら、しかし、小説も含めてあらゆる本を読みながら、真理、仮説を導き出していくキュレーションのような作法も用いるという。この点は、読書の仕方が自分に似ていて単純に嬉しかった。尚、ソ連崩壊を予測するに役立ったデータの一つは、乳児死亡率との事。相関係数を分析しながらもデータの読み解きが出来なければ、意味が無い。そのため、論説の肉付けをどうするか、思考地図という表現で解説している。
話は本著から逸れるが、地獄とは、脳が苦しみを感受、持続する状態であり -
Posted by ブクログ
ネタバレ経済統計はうそをつくが、人口統計はうそをつかない(筆者=家族人類学者)
自然人日本人 5時からの民主主義
完璧さが長所でもあり短所
唯一の課題は人口減少
移民受け入れは多文化主義ではなく 同化主義で時間をかけて行う
高いGDPでも国内産業が空洞化した国は脆い:コロナ死者
米国
民主党 高教育水準の白人と連携するヒスパニック 黒人 米国人のリベラル
共和党 低教育水準の白人 米国人の真実
英米
資本主義をダイナミックに動かす「創造的破壊」 ←絶対核家族↔直系家族
ネーション(国民)英国の発明 →保護主義
民主主義=自民族中心主義 ←英国 プロテスタント・米国 白人 -
Posted by ブクログ
ソ連崩壊、トランプ勝利、イギリスのEU離脱など、歴史的変化点を見通してきた著者が、タイトルのテーマで何を訴求するのか関心をもって読み進めたが、半分肩透かしにあった。全4章構成のうち、最初の章のみであり消化不良気味である。
著者本人の問題でなく、出版社の方で、日本の現状に対するインパクトを考えた上でのタイトルであろう。その中でも、日本政府がとってきた政策が、高齢者の健康を守るために、現役世代と若者の生活に犠牲を強いている、という論舌は鋭い。
著者は決して経済や政治の専門家ではなく、人口動態や家族制度を調査する学者であるが、著者自身の専門を通した幅広い調査や深い洞察は、大変示唆に富んでいる。 -
Posted by ブクログ
つい我々は印象だけで判断してしまう癖がある。
物事は一つの視点だけではいけない。他者の異なる意見が大事だ。
これは日本のメディアの課題が大きいと思う。
世界で起きている大事なニュースを、なぜ日本では報道がされないのか。
さらにいうと、それらを深く考察した番組などほとんど無いに等しい。
若年層ほどテレビ・新聞を見ていないのは、現前たる事実だ。
インターネットで自分の興味あるものだけを選択し視聴している状況では、ともするとこれら世界のニュースが置いてけぼりになってしまっている。
それは自分自身も反省の意を込めてだが、やはり世界で何が起きているのかを知ることはとても大切だと思うのだ。
さらに言うと、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ筆者の専門である「家族構造」を切り口とすると、各国の社会体制や歴史を異なった視点で見れて面白かった。
例えば、資本主義はイギリスで始まり、アメリカではある種一番純粋なかたちで発展しているが、これはイギリス・アメリカで見られる「絶対核家族」(子どもが親元を離れて家族を構築する)による、個人の自由が尊重される価値観が
ベースになっている。一方、ロシアは「共同体家族」(子どもは親と一緒に住み続け、遺産相続は平等になされる)であったため、資本主義を受け入れられず共産主義となった。
確かにそのように考えると、資本主義や共産主義が発生した地域は必然だったと思わされた。
また、ソ連崩壊は、平等を行きすぎた -
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Posted by ブクログ
ネタバレカバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。
何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制 -
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Posted by ブクログ
学者さんが書いたこの種の本を読むのに慣れていないせいか、少し読みづらい気はしたが、思考の流れはよく理解でき、主義思想でなく歴史やデータを重要視する研究姿勢や、ルーティンから脱却して視点を変えてみる必要性は共感できた。
目次とは別に冒頭のページにあった「思考の見取り図」がわかりやすかった。
インプット→着想→検証→分析・洞察→予測
・歴史とデータによる経験主義
・膨大なデータ収集し事実(ファクト)を蓄積
・ルーティンから脱却してのアウトサイダーの視点
自分自身に置き換えると、インプット→着想を数多くやってもその先が不十分だから考えが深まらないことを、痛感した。
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Posted by ブクログ
フランス人の歴史家であり、文化人類学者、人口学者であるエマニュエル・トッド氏のインタビュー記事を本にまとめて出版された本。インタビューは、2018-2021にかけておこなわれ、以下の六つのテーマが収録されている。
1.トランプ政権が意味したこと
2.新型コロナ禍の国家と社会
3.新型コロナは「戦争」ではなく「失敗」
4.不自由な自由貿易
5.冷戦終結30年
6.家族制度と移民
インタビュー形式の本だとNHK出版の本が出来が良かった印象があるが、この本は、ただエマニュエル・トッド氏へのインタビューを一冊にまとめただけとも取れる。
フランス人の著作は何冊か読んだが、視点が哲学的で大国や歴史に迎 -
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Posted by ブクログ
エマニエル・ドット氏にインタビューをした内容をまとめて、昨年(2020年)7月に発刊された本。自国であるフランスを中心に欧米と日本の政治と民主主義について述べられている。貧富の格差の拡大と教育に加え、保護貿易化、移民の反対等により、国家が分断されていると主張している。参考になった。
「今や高等教育は学ぶ場というよりも、支配階級が自らの再生産を守るためのものになっており、お金がある家庭は、子どもたちがある分野で成功するための保証として家庭教師を雇います」p26
「データを見る限り、中等、そして初等教育においても学力が低下していることが確認されていました。これはフランスだけではなく、もしかすると -
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