エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ちょうど社会に出るころ、日本では小泉、アメリカではブッシュが政権を取っていたということもあり、深く考えもせずに自由貿易に対する肯定的な思いを持ってきていた。
しかし、現実にはニュースで日々報道されるような状況となっていて、そのねじれについてイマイチ理解できずにいた。
トッドは一貫して自由貿易には反対の立場をとってきているが、それはあくまで自国での民主主義を守ることを一義に考えていたからだと理解した。
民主主義にしても自由貿易にしても、すべてが同じ条件で、プレイヤーは合理的な判断を行うという、非現実的な前提のうえになりたっている以上、現実に落とし込むにはどこかでカスタマイズが必要ということな -
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Posted by ブクログ
人類学者であるエマニュエル・トッド氏が欧州の力関係を明らかにし、ドイツの支配構造を浮き彫りにしたインタビュー集。第一章『ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る』では14年のクリミア危機を背景として、ロシア脅威論の裏に潜むドイツ帝国の覇権や欧州におけるアメリカの凋落、ドイツに隷属する周辺国家の思惑などが指摘されている。冷戦対立に起因する《西側諸国VSロシア》という固定観念を脱却し「各国間の諸システムの間の純然たる力関係を見る」ことで、《アメリカVSドイツ》の新たな対立構造が現れる。諸国の家族制度比較を通じて経済性質の差異を解説するなど、人口学者的な視点からの分析も印象的だ。第二章以降では、自由主義に追従
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Posted by ブクログ
「ヨーロッパとは何か? ヨーロッパとはドイツを怖がる全ての国民の連合。そして、この定義はドイツ人を含む」という冗談がかつてEU本部のあるブリュッセルで流行った、とトッド氏は言います。EU内一強となったドイツを抑制する力が働かず、暴走する危険について氏は警鐘をならしています。
トッド氏は、家族形態の分類から国家や地域の文化的背景を特定し、出生率、高齢化率、識字率などの統計データの動向により国家の発展や衰退を予測する手法で、ソ連の崩壊を予測したことで知られています。
本書では、日本について言及した部分も多く興味深く読みました。日独の直系家族制度の類似性と相違点。日本の家族の重視とその功罪、など -
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者の主な主張は以下の通り。
・今後30年間の地球を予測する際には、中東などの途上国の問題に集中してはならない。先進国にこそ本物の危機が存在する。
・先進国が直面している危機として共通する要素は、信仰システムの崩壊(集団が共有する展望の欠落、経済は何が良い生き方なのかを定義しないため限界がある)、歴史上存在しなかった高齢化、教育革命(高等教育を受けた人の割合増加、自由競争が生活水準を押し下げ、文化的に不平等な世界に)、女性の地位向上(女性が男性よりも高い教育を受ける社会)であり、途上国で起きていることは(かつての先進国でも経験された)移行期に伴う混乱。発展段階が違う社会が共存している。
・移民 -
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