エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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エマニュエル・ドット氏と日韓の論客がグローバル資本主義のの行方を語ります。バブルとその崩壊を繰り返し、大企業によるの寡占化、短期利益を求めての目先のパイの奪い合い、株主はクリックひとつでやめられるが従業員はそうはいかない、国家という枠内でのガバナンスの欠如などの問題を洗い出し、それでもネオリベラリズムを支持するのはエリートが内向きな小さなグループに閉じこもって統治を放棄していると糾弾。
一般人もそれで良しとしてしまうのは、子供の頃貧しかった高齢者が今を豊かだと感じていることに加えて、ハンナ・アーレントの「全体主義の起源」を挙げて論じている。
2014年6月発売の本書ですが、ドット氏の「新自由主 -
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歴史人口学者エマニュエル・トッド氏の来日公演の内容等を本にまとめたもの。
グローバリゼーションをけん引してきた張本人である英米が逆方向へ舵を切ろうとしている昨今の国際情勢を、社会科学と歴史的考察で分析しています。
ここ数年、マスメディアといわゆる知識人の思考パターンは、リベラリズム、グローバリゼーション、ポリティカルコレクトネス等を「絶対正」として繰り広げられてきました。
しかし、歴史や文化、教育、芸術、宗教の観点がごっそりぬけおちているのです。
トッドは、Brexitはマスコミが言うような大衆の気まぐれな失敗などではなく、これまでも歴史を切り開いてきた英国の目覚めであるとしている。
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Posted by ブクログ
トッド氏が、最近インタビューで述べた言説をまとめたもの。
内容は、フランス民主主義の崩壊、ドイツの覇権の浮上、ロシアとの紛争の激化などです。
歴史家、人類学者、人口学者の立場で、ヨーロッパ社会の過去、現在、未来を論じており、ところどころで、日本のことにも触れている。
内容ですが、
1 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
ウクライナ問題の原因はロシアではなくドイツ
ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
アメリカとEUの産業上の不均衡
アメリカと「ドイツ帝国」の衝突
2 ロシアを見くびってはいけない
3 ウクライナと戦争の誘惑
4 ユーロを打ち砕くこ -
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新たな歴史的転換をどう見るか?
人口論からの解析、トッド氏の独自の言説をまとめた本でした。
1 なぜ英国はEU離脱を選んだのか?
2 「グローバリゼーション・ファティーグ」と英国の
「目覚め」
3 トッドの歴史の方法――「予言」はいかにして可能
なのか?
歴史家トッドはいかにして誕生したか?
国家を再評価せよ
国家の崩壊としての中東危機
4 人口学から見た2030年の世界
――安定化する米・露と不安定化する欧・中
5 中国の未来を「予言」する――幻想の大国を恐れるな
6 パリ同時多発テロについて――世界の敵はイスラム
恐怖症だ
7 宗教的 -
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エマニュエルと聞いて、映画を思い出すのは、我々の年代以上でしょう、、、さておき。
以前から気になっていた、エマニュエル・トッドの著書でも、簡単そうな部類で、新しいものを読んでみた。
もう残すところ1ヶ月を切った2016年も、世界は波瀾万丈であった。イギリスのブレグジットEUからの脱退の国民投票の決定、アメリカの次期大統領にドナルド・トランプの決定。
いずれも世界に大きな波紋を投げかけた。
日本に住み、一般的な情報を入手しているだけだと、えっ、何故?となるだろうが、もしかしたら、それらは予見されていたことかもしれない。
それは、エコノミストが出版する「2050年の世界」を読んでから益々 -
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家族システムの分布を伝播主義モデルで説明すると、初期の人類は双系性の核家族で暮らしていたと考えられる。核家族の社会では個人主義的な傾向が強く、直系家族の社会では世代間の連帯が重視され、共同体家族の社会では兄弟間の連帯が重視される。
ヨーロッパでは、中世末期から直系家族に変化し、宗教改革によってそれが強化された。フランス革命の半世紀前には、パリを中心とする広い地域でカトリシズムが崩壊し、世俗化していた。絶対核家族のイギリスは貧者救済施設を最も早く創った。個人の自立は社会的な援助制度なしには可能ではない。
イスラム社会の中でも、シーア派では息子がいなければ娘が相続することがあるが、スンニ派では -
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Posted by ブクログ
イスラム諷刺画がISの怒りを招き、テロ事件のターゲットになったフランスの「シャルリ・エブド」。15年1月は「私はシャルリ」とのプラカードを掲げる400万人の大デモが行われた。暴力に対する民主的なアピールとして報道されているが、イスラムを冒涜する自由とは何なのか!?実は排他主義の横行ではないのか。フランスの社会の宗教的な背景から詳細に分析し、デモ参加者はどのような人たちか?を追求する。それは大革命以降の脱キリスト教、反ユダヤとの繋がりの中で、著者が”ゾンビ・カトリシズム”と呼ぶ市民たちが浮かび上がってくる。イスラムとキリスト教の対立ではなく、イスラムと無神論との対立であり、脱キリスト教が最も進む
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『帝国以後』『デモクラシー以後』に続くタイトルかと思い即買いしたら、単なるトッドのインタビュー記事の寄せ集めでガクンと来た。相変わらずトッド節が続いていて、特に前半は新しいインタビュー記事だったので面白かったが、暗黙の前提としてトッドの理論を理解していないと内容を理解できないという点と、質問のクオリティがイマイチという点で、トッド自身のこれまでの著書と比べると見劣りしてしまうのは免れられない。自分はトッドの理論はちょっとだけ知っていたのでかろうじて読めた、という感じだった。
出版元である朝日新聞出版には、もうちょっとインタビュー記事を集めたものであるということを強調して欲しかったのと(著者がエ -
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インタビュー形式の翻訳ものなので、ちょっと意味がとりづらいところもあったが、現在のヨーロッパを理解するうえでは役に立つところが多かった。
どうしても自分が好きな国ばかり勉強してしまうが(私の場合はフランス、イタリア、イギリス)、やはりヨーロッパは1国だけ理解していてもダメで、特に19世紀以降はドイツを抜きにヨーロッパを理解することは、物事の片面しか見ていないことになっていることを痛感した。ドイツおよび中欧、そしてその向こうにいるロシア、これらについてもっと深く学ばなければと思った。来月にはイギリスがEUを離脱するのかどうか住民投票が行われるが、ドイツという存在がこの住民投票に及ぼす影響を注意深