エマニュエル・トッドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
つい我々は印象だけで判断してしまう癖がある。
物事は一つの視点だけではいけない。他者の異なる意見が大事だ。
これは日本のメディアの課題が大きいと思う。
世界で起きている大事なニュースを、なぜ日本では報道がされないのか。
さらにいうと、それらを深く考察した番組などほとんど無いに等しい。
若年層ほどテレビ・新聞を見ていないのは、現前たる事実だ。
インターネットで自分の興味あるものだけを選択し視聴している状況では、ともするとこれら世界のニュースが置いてけぼりになってしまっている。
それは自分自身も反省の意を込めてだが、やはり世界で何が起きているのかを知ることはとても大切だと思うのだ。
さらに言うと、 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ筆者の専門である「家族構造」を切り口とすると、各国の社会体制や歴史を異なった視点で見れて面白かった。
例えば、資本主義はイギリスで始まり、アメリカではある種一番純粋なかたちで発展しているが、これはイギリス・アメリカで見られる「絶対核家族」(子どもが親元を離れて家族を構築する)による、個人の自由が尊重される価値観が
ベースになっている。一方、ロシアは「共同体家族」(子どもは親と一緒に住み続け、遺産相続は平等になされる)であったため、資本主義を受け入れられず共産主義となった。
確かにそのように考えると、資本主義や共産主義が発生した地域は必然だったと思わされた。
また、ソ連崩壊は、平等を行きすぎた -
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Posted by ブクログ
ネタバレカバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。
何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制 -
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Posted by ブクログ
学者さんが書いたこの種の本を読むのに慣れていないせいか、少し読みづらい気はしたが、思考の流れはよく理解でき、主義思想でなく歴史やデータを重要視する研究姿勢や、ルーティンから脱却して視点を変えてみる必要性は共感できた。
目次とは別に冒頭のページにあった「思考の見取り図」がわかりやすかった。
インプット→着想→検証→分析・洞察→予測
・歴史とデータによる経験主義
・膨大なデータ収集し事実(ファクト)を蓄積
・ルーティンから脱却してのアウトサイダーの視点
自分自身に置き換えると、インプット→着想を数多くやってもその先が不十分だから考えが深まらないことを、痛感した。
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フランス人の歴史家であり、文化人類学者、人口学者であるエマニュエル・トッド氏のインタビュー記事を本にまとめて出版された本。インタビューは、2018-2021にかけておこなわれ、以下の六つのテーマが収録されている。
1.トランプ政権が意味したこと
2.新型コロナ禍の国家と社会
3.新型コロナは「戦争」ではなく「失敗」
4.不自由な自由貿易
5.冷戦終結30年
6.家族制度と移民
インタビュー形式の本だとNHK出版の本が出来が良かった印象があるが、この本は、ただエマニュエル・トッド氏へのインタビューを一冊にまとめただけとも取れる。
フランス人の著作は何冊か読んだが、視点が哲学的で大国や歴史に迎 -
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Posted by ブクログ
エマニエル・ドット氏にインタビューをした内容をまとめて、昨年(2020年)7月に発刊された本。自国であるフランスを中心に欧米と日本の政治と民主主義について述べられている。貧富の格差の拡大と教育に加え、保護貿易化、移民の反対等により、国家が分断されていると主張している。参考になった。
「今や高等教育は学ぶ場というよりも、支配階級が自らの再生産を守るためのものになっており、お金がある家庭は、子どもたちがある分野で成功するための保証として家庭教師を雇います」p26
「データを見る限り、中等、そして初等教育においても学力が低下していることが確認されていました。これはフランスだけではなく、もしかすると -
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Posted by ブクログ
ちょうど社会に出るころ、日本では小泉、アメリカではブッシュが政権を取っていたということもあり、深く考えもせずに自由貿易に対する肯定的な思いを持ってきていた。
しかし、現実にはニュースで日々報道されるような状況となっていて、そのねじれについてイマイチ理解できずにいた。
トッドは一貫して自由貿易には反対の立場をとってきているが、それはあくまで自国での民主主義を守ることを一義に考えていたからだと理解した。
民主主義にしても自由貿易にしても、すべてが同じ条件で、プレイヤーは合理的な判断を行うという、非現実的な前提のうえになりたっている以上、現実に落とし込むにはどこかでカスタマイズが必要ということな -
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人類学者であるエマニュエル・トッド氏が欧州の力関係を明らかにし、ドイツの支配構造を浮き彫りにしたインタビュー集。第一章『ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る』では14年のクリミア危機を背景として、ロシア脅威論の裏に潜むドイツ帝国の覇権や欧州におけるアメリカの凋落、ドイツに隷属する周辺国家の思惑などが指摘されている。冷戦対立に起因する《西側諸国VSロシア》という固定観念を脱却し「各国間の諸システムの間の純然たる力関係を見る」ことで、《アメリカVSドイツ》の新たな対立構造が現れる。諸国の家族制度比較を通じて経済性質の差異を解説するなど、人口学者的な視点からの分析も印象的だ。第二章以降では、自由主義に追従