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冷戦終結と欧州統合が生み出した「ドイツ帝国」。EUとユーロは欧州諸国民を閉じ込め、ドイツが一人勝ちするシステムと化している。ウクライナ問題で緊張を高めているのもロシアではなくドイツだ。かつての悪夢が再び甦るのか?
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Posted by ブクログ
こういう見方もあるのかと感心しました。 ドイツについて、EU内の位置、ロシア、そして、アメリカや、日本との対比を語っています。 ドイツは、すでに二度にわたってヨーロッパ大陸を決定的な危機に晒した国であり、人間の非合理性の集積地の一つだ。 ドイツというのは、計り知れないほどに巨大な文化だが、人間存...続きを読む在の複雑さを視野から失いがちで、アンバランスであるがゆえに、恐ろしい文化である。 ヨーロッパは、20世紀の初め以来、ドイツのリーダシップの下で定期的に自殺する大陸なのではないか。 ドイツはグローバリゼーションに対して、特殊なやり方で適応しました。部品製造を部分的にユーロ圏の外の東ヨーロッパへ移転して、非常に安い労働力を利用したのです。 ユーロのせいで、スペイン、フランス、イタリア、その他のEU諸国は、平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はどいつからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。 ヨーロッパのリアルな問題は、ユーロ圏の内部の貿易赤字です。 エマニュアル・ドット氏は、ドイツが再びヨーロッパを自殺に追い込むのではないかと危惧をしているのです。 気になったことは、以下です。 ・EUはもともと、ソ連に対抗して生まれた。ロシアというライバルなしでは済まないのだ。 ・ごく単純に、紛争が起こっているのは昔からドイツとロシアが衝突してきたゾーンだということに気付く。 ・ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そして、ここ五年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った。 ・ドイツが持つ組織力と経済的規律の途轍もない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいに、途轍もない政治的非合理のポテンシアルがドイツにはひそんでいることをわれわれは認めなければならない。 ・もし、ロシアが崩れたら、あるいは譲歩しただけでも、ウクライナまで広がるドイツシステムとアメリカとの間の人口と産業の上での力の不均衡が拡大して、おそらく西洋世界の重心の大きな変更に、そしてアメリカシステムの崩壊に行き着くだろう。アメリカが最も恐れなければいけないのは、今日ロシアの崩壊なのである。 ・果たして、ワシントンの連中は覚えているだろうか。1930年代のドイツが長い間、中国との同盟か、日本との同盟かで迷い、ヒットラーは蒋介石に軍備を与えて彼の軍隊を育成し始めた事があったということを。 ・イギリス人は、ある種のフランス人とは違い、ドイツ人に従う習慣を持っていないのだ。「英語圏」つまり、アメリカや、カナダや旧イギリス植民地に属している。 ・エネルギー的、軍事的観点から見て、日本にとって、ロシアとの接近はまったく論理的なのであって、安倍首相が選択した政治方針の重要な要素でもある。 ・乳児死亡率の再上昇は、社会システムの一般的劣化の証拠なのです。ソビエト体制の崩壊が間近だという結論をひきだしたのです。人口学的データはきわめて捏造しにくいのです。 ・ロシアでは、ソ連時代から、継承された高い教育水準が保たれていて、男子よりも女子のほうが多く大学に進学しています。また、人口流出よりも、流入のほうが多いことからも、ロシア社会とその文化が、周辺の国にとって魅力的なのだということが分かります。 ・KGBとその現代版である、FSBはロシアのエリート育成機関なのです。 ・日本社会とドイツ社会は元来の家族構造も似ており、経済面でも非常に類似しています。産業力が逞しく、貿易収支が黒字だということですね、差異もあります。この二国は、世界でも最も高齢化した人口の国です。人口構成の中央値が44歳なのです。 ・ビスマルクに関して言えば、私はここで告白しておかなくちゃなりません。あれは実に見上げた人物だと思っているのです。いったんドイツ統一を成し遂げたとき彼はそこで止まりましたね。限定的な目標を達成して、そこで止まる器量のあった稀有の征服者です。 ・EUの喫緊の問題は、ユーロではなく、債務危機です。明晰になろうではありませんか。主権国家の政府債務が返済されることは絶対にないのです。 ・今日大陸全体にひろがる怒りのタネである単一通貨は、初めからヨーロッパなるものの否定だったのです。だから私は、はじめから単一通貨に反対でした。ユーロを救う必要が欧州レベルの保護主義を促すだろうと考えたのです。ですから、現段階で、私の選択は、ヨーロッパ保護主義によるユーロの救出ということになります。 ・社会構造がすでに個人単位となり、いわば原子化sれているため、集団行動にブレーキがかかるのです。集団的な異議申し立ての持つパワーを私は信じません。 目次は次の通りです。 1.ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る 自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス ウクライナ問題の原因はロシアでなくドイツ ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る アメリカとEUの産業上の不均衡 アメリカと「ドイツ帝国」の衝突 2 ロシアを見くびってはいけない 3 ウクライナと戦争の誘惑 4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス 5 オランドよ、さらば! 銀行に支配されるフランス国家 6 ドイツとは何か 7 富裕層に仕える国家 8 ユーロが陥落する日 編集後記
フランス人の歴史人類学者による、ユーロ圏の政治・経済学的な現状について述べた本。あまり聞いたことのない内容であったが、これが事実なのかもと感じた。通貨ユーロによってドイツが1強状態となり、巧みな政治・外交と歴史伝統を引き継ぐ民族性とで欧州を席巻することを恐れている。中国はドイツとともに台頭を図る仲間...続きを読むとなりつつあり、対抗勢力として鍵を握るのはロシアとアメリカだと言う。日本としては今後、ロシアとの連携が重要となると思料。 「台頭してきた正真正銘の強国、それはロシアである前にドイツだ。ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そしてここ5年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った」p27 「ドイツが持つ組織力と経済的規律のとてつもない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいとてつもない政治的非合理性のポテンシャルがドイツには潜んでいることを、我々は認めなければならない」p28 「ドイツはロシアに取って代わって東ヨーロッパを支配する国になったのであり、そのことから力を得るのに成功した」p41 「新しいドイツシステムは基本的に労働人口の吸収によって成り立つ。最初の段階で使われたのは、ポーランド、チェコ、ハンガリー等の労働人口だった。ドイツはコストの安い彼らの労働力を用いて自らの産業システムを再編した」p50 「今日、二つの大きな先進的産業世界の存在を確認することになる。一方にアメリカ、他方に新たなドイツ帝国である。ロシアは第二次的な問題でしかない」p63 「今日、政治的不平等はアメリカシステムの中でよりも、ドイツシステムの中での方が明らかに大きい。ギリシア人やその他の国民は、ドイツ連邦議会の選挙では投票できない。一方、アメリカの黒人やラテン系市民は、大統領選挙および連邦議会選挙で投票できる。ヨーロッパ議会は見せかけだ。アメリカ連邦議会はそんなことはない」p67 「ユーロのせいでスペイン、フランス、イタリアその他のEU諸国は平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はドイツからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。こうしてユーロ創設以来、ドイツとそのパートナーの国々との間の貿易不均衡が顕著化してきたのです」p151 「ヨーロッパ各国の政府は、景気浮揚が中国とその他の新興国の経済ばかりを浮揚させるということを遂に理解しました」p188 「自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けをする階級秩序に行き着いてしまいます」p218
少し過激な口調で難しいこと話すがみんながわからないようにではなく頑張って調べればわかるように話す。 ロシアは戦争する気はない、ロシアの出生率は伸びている、ロシアの大学は女子の比率が高い、フランスもイタリアもスペインも実質的にドイツに支配されている、などなどとても新鮮な情報にあふれてた。オランドの話で...続きを読む、一般市民がこんな数字知ってどうするのみたいな話、よく理解しないで騒いで批判する市民を煽るマスコミはときには批判して良いのだと思った
フランス人の作者から見ると、やはり問題は天敵ドイツなのでしょう。もちろん、最近のドイツの一人勝ちは日本にいてさえ見えてはいます。でも、周辺諸国がどれくらい虐げられてるのか、それをどう思ってるのか、それとも思ってないのか、その辺までは分からなかった。
指摘されているドイツと日本の類似性を知らなかった。 Todd の「燃え上がるレトリックに騙されてはいけないわけですね...。」と対談者が言うのが象徴的。
トッド氏が、最近インタビューで述べた言説をまとめたもの。 内容は、フランス民主主義の崩壊、ドイツの覇権の浮上、ロシアとの紛争の激化などです。 歴史家、人類学者、人口学者の立場で、ヨーロッパ社会の過去、現在、未来を論じており、ところどころで、日本のことにも触れている。 内容ですが、 1 ドイツがヨーロ...続きを読むッパ大陸を牛耳る 自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス ウクライナ問題の原因はロシアではなくドイツ ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る アメリカとEUの産業上の不均衡 アメリカと「ドイツ帝国」の衝突 2 ロシアを見くびってはいけない 3 ウクライナと戦争の誘惑 4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス 5 オランドよ、さらば!――銀行に支配される フランス国家 6 ドイツとは何か? 7 富裕層に仕える国家 8 ユーロが陥落する日 この本が出てから、イギリスのEU離脱があり、オランドの再選不出馬表明があったり、トッド氏の未来予測はとっても興味深いものであります。
日本だけではなく、フランスでもドイツでも、アメリカも権力中枢にいるエリートたちの頭がおかしくなっているのだそうだ。人類補完計画の始まりなんだろうな... 気を確かに持ちたいものである。
インタビュー形式の翻訳ものなので、ちょっと意味がとりづらいところもあったが、現在のヨーロッパを理解するうえでは役に立つところが多かった。 どうしても自分が好きな国ばかり勉強してしまうが(私の場合はフランス、イタリア、イギリス)、やはりヨーロッパは1国だけ理解していてもダメで、特に19世紀以降はドイツ...続きを読むを抜きにヨーロッパを理解することは、物事の片面しか見ていないことになっていることを痛感した。ドイツおよび中欧、そしてその向こうにいるロシア、これらについてもっと深く学ばなければと思った。来月にはイギリスがEUを離脱するのかどうか住民投票が行われるが、ドイツという存在がこの住民投票に及ぼす影響を注意深く見ていきたいと思う。
フランス人の著者がドイツがヨーロッパ大陸を牛耳りつつあることを、隷属するフランス、ウクライナ問題を皮切りにドイツ圏などドイツが経済的に支配している地域や米国との衝突などを解説、まさに第四帝国化するドイツです。現在のドイツの好調はユーロを巧みに利用した通貨安と工場などを人件費の安い旧東欧に設置して実現...続きを読むしている。なるほど、インダストリー4.0が国家プロジェクトである理由がよく分かります。「IoTでものづくり復権」などとぬるいことを言っているどこかの国と違って、国としての戦略が明確です。まぁ、欧州の他国民がどう思うかは別問題ですが。。。
大変興味深く面白い内容だった。 丸丸全部言う通りということはないと思うが 確からしいと思えた内容だった。 面白かったなという点を抜粋しようと思ったら 巻末の編集部の編集後記にすごくきれいにまとまっていた。 ここまで綺麗に読んだ内容をまとめられないなと感じ 歴史や現在の社会情勢に対する自分の知識の...続きを読むなさを特に感じた。 それはさておき 文中にあった 直系家族構造は今では先進国にはもはや存在しないがそれでも長年の間に培った権威、不平等、規律といった諸価値つまりあらゆる形におけるヒエラルキーを、現代の産業社会・ポスト産業社会に伝えた。 というところがまさに『ドイツとは』を知るベースの部分であり、日本にも通ずるところかなと思った。 以前別の本でも感じ、最近よく思うことだが、 人の性格は十人十色、個性云々と言われるが、全体でも 個のようにふるまうことがあり、大きな流れの中ではもがいても為すがままということがあるのだなぁと。 大昔から民族がどんな風に暮らしてきたかで既に決まっていて、自分は認めようが認めまいがその一部であるんだなぁと。 そういうシステムなんだろうと。 ただ、それを見極めるためにも 圧倒的な知識が必要だなと思った。
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