【感想・ネタバレ】「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年10月12日

こういう見方もあるのかと感心しました。

ドイツについて、EU内の位置、ロシア、そして、アメリカや、日本との対比を語っています。

ドイツは、すでに二度にわたってヨーロッパ大陸を決定的な危機に晒した国であり、人間の非合理性の集積地の一つだ。
ドイツというのは、計り知れないほどに巨大な文化だが、人間存...続きを読む在の複雑さを視野から失いがちで、アンバランスであるがゆえに、恐ろしい文化である。
ヨーロッパは、20世紀の初め以来、ドイツのリーダシップの下で定期的に自殺する大陸なのではないか。
ドイツはグローバリゼーションに対して、特殊なやり方で適応しました。部品製造を部分的にユーロ圏の外の東ヨーロッパへ移転して、非常に安い労働力を利用したのです。
ユーロのせいで、スペイン、フランス、イタリア、その他のEU諸国は、平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はどいつからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。
ヨーロッパのリアルな問題は、ユーロ圏の内部の貿易赤字です。

エマニュアル・ドット氏は、ドイツが再びヨーロッパを自殺に追い込むのではないかと危惧をしているのです。

気になったことは、以下です。

・EUはもともと、ソ連に対抗して生まれた。ロシアというライバルなしでは済まないのだ。
・ごく単純に、紛争が起こっているのは昔からドイツとロシアが衝突してきたゾーンだということに気付く。
・ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そして、ここ五年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った。
・ドイツが持つ組織力と経済的規律の途轍もない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいに、途轍もない政治的非合理のポテンシアルがドイツにはひそんでいることをわれわれは認めなければならない。
・もし、ロシアが崩れたら、あるいは譲歩しただけでも、ウクライナまで広がるドイツシステムとアメリカとの間の人口と産業の上での力の不均衡が拡大して、おそらく西洋世界の重心の大きな変更に、そしてアメリカシステムの崩壊に行き着くだろう。アメリカが最も恐れなければいけないのは、今日ロシアの崩壊なのである。

・果たして、ワシントンの連中は覚えているだろうか。1930年代のドイツが長い間、中国との同盟か、日本との同盟かで迷い、ヒットラーは蒋介石に軍備を与えて彼の軍隊を育成し始めた事があったということを。

・イギリス人は、ある種のフランス人とは違い、ドイツ人に従う習慣を持っていないのだ。「英語圏」つまり、アメリカや、カナダや旧イギリス植民地に属している。
・エネルギー的、軍事的観点から見て、日本にとって、ロシアとの接近はまったく論理的なのであって、安倍首相が選択した政治方針の重要な要素でもある。

・乳児死亡率の再上昇は、社会システムの一般的劣化の証拠なのです。ソビエト体制の崩壊が間近だという結論をひきだしたのです。人口学的データはきわめて捏造しにくいのです。

・ロシアでは、ソ連時代から、継承された高い教育水準が保たれていて、男子よりも女子のほうが多く大学に進学しています。また、人口流出よりも、流入のほうが多いことからも、ロシア社会とその文化が、周辺の国にとって魅力的なのだということが分かります。

・KGBとその現代版である、FSBはロシアのエリート育成機関なのです。

・日本社会とドイツ社会は元来の家族構造も似ており、経済面でも非常に類似しています。産業力が逞しく、貿易収支が黒字だということですね、差異もあります。この二国は、世界でも最も高齢化した人口の国です。人口構成の中央値が44歳なのです。

・ビスマルクに関して言えば、私はここで告白しておかなくちゃなりません。あれは実に見上げた人物だと思っているのです。いったんドイツ統一を成し遂げたとき彼はそこで止まりましたね。限定的な目標を達成して、そこで止まる器量のあった稀有の征服者です。

・EUの喫緊の問題は、ユーロではなく、債務危機です。明晰になろうではありませんか。主権国家の政府債務が返済されることは絶対にないのです。

・今日大陸全体にひろがる怒りのタネである単一通貨は、初めからヨーロッパなるものの否定だったのです。だから私は、はじめから単一通貨に反対でした。ユーロを救う必要が欧州レベルの保護主義を促すだろうと考えたのです。ですから、現段階で、私の選択は、ヨーロッパ保護主義によるユーロの救出ということになります。

・社会構造がすでに個人単位となり、いわば原子化sれているため、集団行動にブレーキがかかるのです。集団的な異議申し立ての持つパワーを私は信じません。

目次は次の通りです。

1.ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る

  自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
  ウクライナ問題の原因はロシアでなくドイツ
  ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
  アメリカとEUの産業上の不均衡
  アメリカと「ドイツ帝国」の衝突

2 ロシアを見くびってはいけない

3 ウクライナと戦争の誘惑

4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス

5 オランドよ、さらば! 銀行に支配されるフランス国家

6 ドイツとは何か

7 富裕層に仕える国家

8 ユーロが陥落する日

編集後記

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Posted by ブクログ 2018年10月24日

フランス人の歴史人類学者による、ユーロ圏の政治・経済学的な現状について述べた本。あまり聞いたことのない内容であったが、これが事実なのかもと感じた。通貨ユーロによってドイツが1強状態となり、巧みな政治・外交と歴史伝統を引き継ぐ民族性とで欧州を席巻することを恐れている。中国はドイツとともに台頭を図る仲間...続きを読むとなりつつあり、対抗勢力として鍵を握るのはロシアとアメリカだと言う。日本としては今後、ロシアとの連携が重要となると思料。
「台頭してきた正真正銘の強国、それはロシアである前にドイツだ。ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そしてここ5年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った」p27
「ドイツが持つ組織力と経済的規律のとてつもない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいとてつもない政治的非合理性のポテンシャルがドイツには潜んでいることを、我々は認めなければならない」p28
「ドイツはロシアに取って代わって東ヨーロッパを支配する国になったのであり、そのことから力を得るのに成功した」p41
「新しいドイツシステムは基本的に労働人口の吸収によって成り立つ。最初の段階で使われたのは、ポーランド、チェコ、ハンガリー等の労働人口だった。ドイツはコストの安い彼らの労働力を用いて自らの産業システムを再編した」p50
「今日、二つの大きな先進的産業世界の存在を確認することになる。一方にアメリカ、他方に新たなドイツ帝国である。ロシアは第二次的な問題でしかない」p63
「今日、政治的不平等はアメリカシステムの中でよりも、ドイツシステムの中での方が明らかに大きい。ギリシア人やその他の国民は、ドイツ連邦議会の選挙では投票できない。一方、アメリカの黒人やラテン系市民は、大統領選挙および連邦議会選挙で投票できる。ヨーロッパ議会は見せかけだ。アメリカ連邦議会はそんなことはない」p67
「ユーロのせいでスペイン、フランス、イタリアその他のEU諸国は平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はドイツからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。こうしてユーロ創設以来、ドイツとそのパートナーの国々との間の貿易不均衡が顕著化してきたのです」p151
「ヨーロッパ各国の政府は、景気浮揚が中国とその他の新興国の経済ばかりを浮揚させるということを遂に理解しました」p188
「自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けをする階級秩序に行き着いてしまいます」p218

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Posted by ブクログ 2016年06月10日

少し過激な口調で難しいこと話すがみんながわからないようにではなく頑張って調べればわかるように話す。
ロシアは戦争する気はない、ロシアの出生率は伸びている、ロシアの大学は女子の比率が高い、フランスもイタリアもスペインも実質的にドイツに支配されている、などなどとても新鮮な情報にあふれてた。オランドの話で...続きを読む、一般市民がこんな数字知ってどうするのみたいな話、よく理解しないで騒いで批判する市民を煽るマスコミはときには批判して良いのだと思った

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年02月03日

第7章の「富裕層に使える国家」が面白かった。その次が第8章の「ユーロが陥落する日」。前半のグルジア/ジョージア問題はあのあたりの地理や背景にもう少し私自身が詳しくなると面白さが増すのではないかと自分の力不足を感じているところ。
トッド先生は、ほんとにドイツの事嫌いなんじゃないかと思いますが、それ以上...続きを読むにフランスに歯がゆさを感じているのだとよく伝わってきます。あと、日本人がドイツと日本を同一視したり同カテゴリに置いたり、過度に親近感を抱く節があるのはちょっと本来のあり様から外れているよ、という指摘は結構重要だと思っています。
日本について論じているところが読みたい人は編集後記を先に呼んで参照ページを読むのが便利だと思います。流石文春、その辺のマーケティング解ってますね。

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Posted by ブクログ 2017年11月07日

フランス人の作者から見ると、やはり問題は天敵ドイツなのでしょう。もちろん、最近のドイツの一人勝ちは日本にいてさえ見えてはいます。でも、周辺諸国がどれくらい虐げられてるのか、それをどう思ってるのか、それとも思ってないのか、その辺までは分からなかった。

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Posted by ブクログ 2017年07月01日

指摘されているドイツと日本の類似性を知らなかった。
Todd の「燃え上がるレトリックに騙されてはいけないわけですね...。」と対談者が言うのが象徴的。

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Posted by ブクログ 2016年12月09日

トッド氏が、最近インタビューで述べた言説をまとめたもの。
内容は、フランス民主主義の崩壊、ドイツの覇権の浮上、ロシアとの紛争の激化などです。
歴史家、人類学者、人口学者の立場で、ヨーロッパ社会の過去、現在、未来を論じており、ところどころで、日本のことにも触れている。
内容ですが、
1 ドイツがヨーロ...続きを読むッパ大陸を牛耳る
 自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
 ウクライナ問題の原因はロシアではなくドイツ
 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
 アメリカとEUの産業上の不均衡
 アメリカと「ドイツ帝国」の衝突
2 ロシアを見くびってはいけない
3 ウクライナと戦争の誘惑
4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス
5 オランドよ、さらば!――銀行に支配される
              フランス国家
6 ドイツとは何か?
7 富裕層に仕える国家
8 ユーロが陥落する日

この本が出てから、イギリスのEU離脱があり、オランドの再選不出馬表明があったり、トッド氏の未来予測はとっても興味深いものであります。

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Posted by ブクログ 2016年12月01日

日本だけではなく、フランスでもドイツでも、アメリカも権力中枢にいるエリートたちの頭がおかしくなっているのだそうだ。人類補完計画の始まりなんだろうな...
気を確かに持ちたいものである。

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Posted by ブクログ 2016年05月21日

インタビュー形式の翻訳ものなので、ちょっと意味がとりづらいところもあったが、現在のヨーロッパを理解するうえでは役に立つところが多かった。
どうしても自分が好きな国ばかり勉強してしまうが(私の場合はフランス、イタリア、イギリス)、やはりヨーロッパは1国だけ理解していてもダメで、特に19世紀以降はドイツ...続きを読むを抜きにヨーロッパを理解することは、物事の片面しか見ていないことになっていることを痛感した。ドイツおよび中欧、そしてその向こうにいるロシア、これらについてもっと深く学ばなければと思った。来月にはイギリスがEUを離脱するのかどうか住民投票が行われるが、ドイツという存在がこの住民投票に及ぼす影響を注意深く見ていきたいと思う。

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Posted by ブクログ 2016年03月06日

フランス人の著者がドイツがヨーロッパ大陸を牛耳りつつあることを、隷属するフランス、ウクライナ問題を皮切りにドイツ圏などドイツが経済的に支配している地域や米国との衝突などを解説、まさに第四帝国化するドイツです。現在のドイツの好調はユーロを巧みに利用した通貨安と工場などを人件費の安い旧東欧に設置して実現...続きを読むしている。なるほど、インダストリー4.0が国家プロジェクトである理由がよく分かります。「IoTでものづくり復権」などとぬるいことを言っているどこかの国と違って、国としての戦略が明確です。まぁ、欧州の他国民がどう思うかは別問題ですが。。。

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Posted by ブクログ 2016年02月08日

大変興味深く面白い内容だった。

丸丸全部言う通りということはないと思うが
確からしいと思えた内容だった。

面白かったなという点を抜粋しようと思ったら
巻末の編集部の編集後記にすごくきれいにまとまっていた。
ここまで綺麗に読んだ内容をまとめられないなと感じ
歴史や現在の社会情勢に対する自分の知識の...続きを読むなさを特に感じた。
それはさておき

文中にあった

直系家族構造は今では先進国にはもはや存在しないがそれでも長年の間に培った権威、不平等、規律といった諸価値つまりあらゆる形におけるヒエラルキーを、現代の産業社会・ポスト産業社会に伝えた。

というところがまさに『ドイツとは』を知るベースの部分であり、日本にも通ずるところかなと思った。

以前別の本でも感じ、最近よく思うことだが、
人の性格は十人十色、個性云々と言われるが、全体でも
個のようにふるまうことがあり、大きな流れの中ではもがいても為すがままということがあるのだなぁと。

大昔から民族がどんな風に暮らしてきたかで既に決まっていて、自分は認めようが認めまいがその一部であるんだなぁと。
そういうシステムなんだろうと。

ただ、それを見極めるためにも
圧倒的な知識が必要だなと思った。

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Posted by ブクログ 2016年02月13日

現代におけるドイツの擡頭(他の欧州諸国に対する経済的・政治的支配による「ドイツ帝国」化。ヨーロッパの危機)を軸に、EU問題(ユーロ問題)、フランス批判、ロシアの「健全さ」(女性の活躍率など)、アメリカ帝国の崩壊…等も描く。

巻頭の「ドイツ帝国」の勢力図を見れば、まさにヨーロッパの現状が一目瞭然であ...続きを読むる。

本書を読み、とりわけ、ドイツ、フランス、ロシアに対するイメージが大きく変わった。
国家の基本的な性格は、歴史に学ぶことでよく知ることができると再認識した。

ただ、「なぜそう言えるのか」というところの根拠、論理の説明が不十分なところが随所に見られる。

また、翻訳が基本的に読みにくいのが大変残念。
もう少し、日本語として分かりやすくなるよう意を用いてほしかった。

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Posted by ブクログ 2023年02月02日

フランスの知識人にドイツ嫌いが多い理由がよくわかった。彼の主張にももっともな部分はある。日本人向けに書いたという点も多少割り引いた方がよいかと。

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Posted by ブクログ 2023年01月15日

平和な日本にいると、ロシアによるウクライナ侵攻は
社会主義専制国家によるヨーロッパ民主主義国家への
暴走行為のように見えてしまう。

著者のエマニュエル・トッドはフランスの人口学者。
経済と人口動態から世界の力関係を見ると、
ロシアの脅威よりもEU、ドイツを利するシステムこそ
ヨーロッパひいては世界...続きを読むの脅威になり得る。

前提としてヨーロッパ主要国の最近の情勢が分かっていないと、なかなか理解できない点も多いが、
人口動態や人類学的な観察にもとづく論説であり、
ものの見方としてためになる。

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Posted by ブクログ 2022年08月17日

「問題は英国ではない、EUなのだ」とよく似た内容ではあったが、EUの主導権を握っているのがドイツであり、EU自体が一枚岩になっていないことが理解できた。
他民族が一緒に暮らすコンビビアリティの難しさを実感し、これから世界はどの方向に向かっていけばいいのかわからなくなった。

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Posted by ブクログ 2019年09月21日

人類学者であるエマニュエル・トッド氏が欧州の力関係を明らかにし、ドイツの支配構造を浮き彫りにしたインタビュー集。第一章『ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る』では14年のクリミア危機を背景として、ロシア脅威論の裏に潜むドイツ帝国の覇権や欧州におけるアメリカの凋落、ドイツに隷属する周辺国家の思惑などが指摘さ...続きを読むれている。冷戦対立に起因する《西側諸国VSロシア》という固定観念を脱却し「各国間の諸システムの間の純然たる力関係を見る」ことで、《アメリカVSドイツ》の新たな対立構造が現れる。諸国の家族制度比較を通じて経済性質の差異を解説するなど、人口学者的な視点からの分析も印象的だ。第二章以降では、自由主義に追従せず国力安定化を図るロシアや、ウクライナ危機の本質、オランド政権下のフランス社会(寡頭支配層と銀行)について語られる。本書に収録されたインタビューから五年が経ち、その間に欧州情勢も大きく変化した。ドイツ主導の難民問題でEUの平和理念は瓦解、経済的にも公的債務や英国脱退などの影響から金融安定リスクが増加している。ドイツ一強時代は早くも危機に瀕している状態だ。フランスではエマニュエル・マクロンが大統領となり、税制改革への反発から起こった《黄色いベスト運動》の余波でENAが閉校されるに至った。様々な憶測が飛び交う中、人類学的な民族性の差異を前提とする視点、政治的価値を考慮せずに各国の力関係のみに注目する視点は国際情勢を読み解く上で有効だと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年03月05日

アメリカシステムとは、ユーラシア大陸の2つの大きな産業国家、すなわちドイツと日本をアメリカがコントルールする事だ。

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Posted by ブクログ 2018年11月04日

・自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国のすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けする階層秩序に行き着いてしまいます
・上層階級...続きを読むが私にとって許しがたいのは、その階級の連中が発狂し、無責任になるときです

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Posted by ブクログ 2018年02月18日

フランスの歴史人口学者のヨーロッパの見方が新鮮で興味深かった。自分は世界史を全然理解していないことがわかった。

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Posted by ブクログ 2017年10月16日

ドイツが現在EUの中心であり、今後も脅威になることを説いた一冊。

視点は面白いのだけど、いかんせん翻訳が難しいのか、内容自体が難しいのか、わかりにくかった。

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Posted by ブクログ 2017年10月07日

ヨーロッパの真の敵はロシアではなく、ドイツだという話。

また、EUというのは、一握りの金持ちとドイツを独り勝ちさせるためのシステムで、すでにその従僕となっているフランスは、一刻も早く立ち上がるべきだという内容。

世の常識からすると、びっくりするような話で、著者がフランス人だと聞けば、ああなるほど...続きを読む、ドイツ・アレルギーが嵩じたあげくの世迷言かと思ってしまうが、書いたのがあのエマニュエル・トッドということならば、話は違う。

ベルリンの壁の崩壊や、アラブの春など、この人類学者の将来予測は、けっこう的中するのである。

インタビューをまとめたものなので、中身はそう濃くはないが、その分読みやすい。
刺激的な本である。

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Posted by ブクログ 2017年09月27日

ほとんどがフランス誌のインタビュー記事なので、ちょっと読みにくいのが難点。

帯には「圧倒的な5つ星(日経新聞)」ってあるけど、3つぐらいか。

で、なんだかんだで、だいたいまあまあ言った通りになるやつっているじゃん? あれの欧州版。

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Posted by ブクログ 2017年01月09日

著者はフランスの歴史学者。EUの創設時の話は、すべての加盟国家がパワーの大きさにかかわらず平等に扱われることが掲げられたはず。実際には強国と弱小国に分けられ、絶対的強国のドイツが牛耳っていることを著者は指摘する。なぜ副題に日本人への警告とあるのか。それは日独両国の間には何となく共通性があると思いこま...続きを読むれているが、昨今の政治情勢を見てドイツと比せられるのはむしろ中国だからである。現代版「帝国」形成という地政学的変化を指摘した書籍。

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Posted by ブクログ 2016年09月19日

もはやEUは、ヨーロッパの自由と平等を体現した共同体ではなく、ドイツの言いなりばかりのドイツ帝国だ。

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Posted by ブクログ 2016年06月11日

自分の、世界情勢、とりわけヨーロッパ情勢への理解がたりないことを棚に上げて言う。
インタビュー集なので、読みやすいと言えば読みやすいけれど、納得できる感覚が得られにくい。
対談やインタビューの宿命かもしれないけれど。

例えば。
ハワイやインドネシアで育ったオバマ大統領が、ヨーロッパ情勢に疎かったと...続きを読むいう指摘は、そうなのかも、と思える。
アジア重視の外交政策をとっていたことも知っている。
ただ、再選後から、ウクライナ危機までのオバマ政権の外交策は、「見せかけだけでない革新的な知性によるものだった」と評価だけ書かれていて、どういう面を評価しているのかが、よくわからない。

この人のヴィジョンは、次のようなものだろうか。
ドイツは、アメリカに代わり、アメリカの自由主義とは違う原理によって、これからの世界の覇権を握る「帝国」になるだろうということ。
ヨーロッパの安定にはロシアがキャスティングボードを握っているけれど、ドイツの対ロ外交の態度が一定しておらず、不安定な状態が続くであろうこと。(そしてイギリスはEUを離脱するであろうこと。)

昨年、ドイツに仕事で行くことがあって、その豊かさに目を見張った。
あんなに寒い冬にも、ホテルのビュッフェはもちろん、スーパーにも生野菜のサラダがふんだんに、安価に並んでいる。
でも、電車で数時間の町では爆弾テロが起きている。
それ以来、一体ここで、何が起きているんだろう、と気になっている。
もう少しベーシックなところから、勉強しなくちゃ。

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Posted by ブクログ 2016年06月11日

「ドイツが普通に努力するだけで周りはついてこれない。」ということは容易に想像できる。価値観の違いは人口動態に反映され、そして著者の考えに至るのだろうと思った。
フランス人による本だけに、前提とする欧州の基礎知識のレベルが違いすぎて、難解ではあった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年05月14日

日本に言及したところもあって、なるほど…とは思うものの、フランスのことがわかっていないから理解しきれず。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年05月03日

ドイツがヨーロッパでどのような役割を果たし、それによってヨーロッパを変質させて行っているかがわかる本。

■学び
ドイツのように、他国(東欧圏)に対して、賃金が安いが質のよい労働力を確保して、そこでの生産および利益が、自国ないし自国経済の登場人物に還流する仕組み(帝国のシステム)を作りだす志向性を持...続きを読むたなければならないということ。

つまりは、自らそれを志向しなければ、他の帝国を志向する隣人に、位置付けられ、利用され、下位序列化されてしまい、そのシステムから抜け出せなくなるということ。フランスがドイツに飲み込まれてしまっているように。

■気づき
金融資本を操る超富裕層が、国家に金を借りさせている状況を作っているという点であり、無能無策な国家が、呑気に支出した結果、金が足りなくなり、借金をしているのではないということ。

超富裕層(ここではゴールドマンサックスの名前が頻繁に挙がった)の余った金の運用先として、国家債務があり得るということだった。

だから、ギリシアはデフォルトさせてもらえない。つまりは、金を返さなくてはならない状況に追い込まれているとのこと。

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Posted by ブクログ 2016年02月15日

エマニュエル・トッドがここ数年の間に、
いろいろなインタビューを受けており、
その内容を翻訳して、とりまとめたもの。

あとがきによれば、本人からの売り込み?による企画らしい。

ウクライナ問題やユーロ危機について、
どのような見方をしているのか、
とりわけロシアに対する見解は氏ならではのものだと思...続きを読むう。

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Posted by ブクログ 2016年01月24日

ちょっとトリッキーに喋り過ぎて、暴論ぶちまけた感がある。寡頭金融支配層が世の中を都合良く動かしている現状を打破するには、輪転機を回すこと。つまり、国家の負債先は金持ちであり、血税が金持ちに回るメカニズムが出来上がっている。それを直すには、政府債務のデフォルトなのだろうか。

金持ちが世の中を支配する...続きを読む構図は、我々誰しもが気付いている。いや、我々が金に支配されていて、その金が自動的に与えられる階級が存在するという事実がある、と言うべきか。お金の暴走を防ぐために、一応の法律が設けられてはいる。そのため、我々は、完全にお金の奴隷になるわけではない。お金があっても、今すぐ人を立ち退かせたり、その人の妻を奪う事は許されない。あくまでも、法律上は。

しかし、この限界を超える方法がある。政治に介入し、法律を変えたり、軍事介入、国家間バランスの操作…。民間の生きやすさの指標は、人口統計しかないのか?ドイツという国を通じ、考えさせられる一冊である。

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