額賀澪のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
天才高校生作家のスランプ。夢見ていた舞台に立てず足掻く競歩選手。
好きなものが怖くなる、楽しめなくなる気持ちはなんとなくわかる気がして、ちょっと苦しくなる。
誰よりも速くゴールへ向かわなければならないのに走ってはいけない。たしかに矛盾した競技だ。ルールに縛られ、その中でもがいてゴールを目指す。
“天才高校生作家”というラベルを貼られ、書くことが苦しくなって、自分の立ち位置も分かっているのになかなか前に進めない忍と、
箱根駅伝を諦めざるを得なくなり競歩に転向して、でも心の奥では納得できなくて、苦しみながらも歩き続ける八千代と、
何かに縛られながらも、時間をかけてもがきながらも、一歩一歩進んでい -
Posted by ブクログ
〝菅原晋也〟という男の子について、友人らが語っていく甘酸っぱい青春ミステリー
──と思ったら。。。
【第一話 ガラス片の向こうで】
高校一年〜青い火の玉の謎
【第二話 炭酸水の舞う中で】
高校二年〜突然プールに突き落とされた理由
【第三話 黄色い花の下で】
高校三年〜彼が描いた花の絵の意図
語り手が次々と代わる連作で、菅原晋也は悪癖もあるけど憎めない、人懐っこい男の子。
迷子の子犬のような顔だって(・ω・`U)
どの話も〝人には話せない秘密〟が描かれている
大きい小さいはあれど、きっと誰もが秘密を持っているのではないだろうか。
もちろん、私も…
特に思春期の頃って、色 -
Posted by ブクログ
今回手にしたのは、読書YouTuberのオンライン読書会で感想を言い合う企画に参加した後に読んでみての振り返り、そして額賀さん御本人のSNSで知りました。
小学校のころの読書感想文、先生からも「自由に書いていい」と言われたことありませんか?
教え方がざっくりしすぎてて、何を書けばいいかわからなくて読書感想文が嫌になり、読書に忌避感を覚えたというルーツを持ってるので激しく共感(笑)
〈フミちゃん〉のような人に幼き頃に出会いたかったなと思いながら、小6の彼らに教えている〈フミちゃん〉は自身も自分を確かめてるのかななんて思ったりもした。
彼女の思いが垣間見れたのは颯祐くんに言い放った
「出題者 -
Posted by ブクログ
労働観というものについてのクライアントの気づきと再生を描くヒューマンドラマ。
また、サポートする CA を描くお仕事小説としての側面もある。
物語は、3話目までは主に主人公の千晴と各話のクライアントの視点で語られるが、第4話は魔王・来栖とクライアントの視点で、最終話は千晴と来栖の視点で、それぞれ語られていく。シリーズ3作目。
◇
早朝。無人のフロアに杖の音が響く。オフィスに一番乗りした来栖嵐は自席でノートPC を立ち上げた。その日の面談予定について、求職者や面談内容をチェックするのが朝のルーティンだ。
予定確認が終わり、新規登録者リストを開きざっと見ていた -
Posted by ブクログ
わたしの祖父母は戦後生まれで、身近な人からリアルな戦争体験を聞いたことがありません
作中にあった「戦争を知る世代から直接バトンを受け取ることができる、最後の世代」ということに、そうだよなと深く頷きました
正直戦争のことはよく分からず、歴史上の話と認識してしまいます 今でも当事者の方は沢山いるのに…
戦争や震災についてどんな風に触れたらいいのかわからない漠然とした感情を作中の登場人物がほどいてくれました
「未来にしか約束をすることができない」けれど、これからは寄り添える人でありたいと思います
戦後80年のタイミングでこの作品を読めてよかったです -
Posted by ブクログ
戦時中のモノクロ写真をカラー化した「時をかける色彩」という写真集を中心に描かれる5つの物語。
私たち20代ぐらいの若者を指して「戦争を知らない世代」と呼ばれることがある。あれが私はすごく苦手だった。
この前、日本では終戦記念日だったけど現在進行形で戦争は世界中で起きていて、そして今この瞬間も沢山の人が死んでいる。それなのに、どうして知らない世代と区切られて、知ろうとすれば偉いと言われ、平和を願えば偽善と批判されるんだろう。今生きている人はみんな戦争の時代を生きる当事者じゃないのかと私は思う。
この本はそんな心のモヤモヤを具現化したような一冊だった。
生まれた環境や経験、立場によって戦争へのイ -
Posted by ブクログ
夏っぽい「読書感想文が終わらない!」ってタイトルと爽やかな表紙のイラストに惹かれて手に取った☆
すごく良かった!
面白かったし、勉強になったし、共感した部分が多くて読んでてとても気持ちよかった☆(*´ω`*)
読んで気持ちがいい本ってなかなか出会わないけど、これは大人が読んでも十分楽しめる中身の濃い内容でした。
登場人物達の悩みも学生にあるあるの内容だったし、想像できる簡単な終わり方じゃないのもすごく良かった。
物語だからって、あからさまにハッピーエンドとかバッドエンドって落差ありすぎな話の持っていき方は冷めちゃうんだよなー。
だからこんなに瑞々しくリアルに感情や表現を文字で伝えられるこ -
Posted by ブクログ
書店で読書感想文課題図書が平積みされているのを見て、その横に同じく平積みされた、青い色が目立つ表紙の本に目が留まった。
さらにその表紙の青いポロシャツが印象的な女の子のイラストが目に入る。私のように「メガネが似合う女の子だな」と思うだけなら平凡だ。だがもし表紙を見ただけで「あれ、この子のメガネってフレームは赤色だ、それに髪型も似合ってるけど、少しだけ髪の毛がちがう色になってない?」というところにまで気づいたあなた!
あなたのその鋭い観察眼ならば、きっといい読書感想文が書けると思う。(私は全然気にも留めませんでした。)
本の帯に「それなら、フミちゃんにおまかせ!」と書いてあるのを見れば、表紙の -
Posted by ブクログ
ネタバレ器が小さくて、臆病で、残酷。他人から憎まれ、疎まれ、嫌われながら、恐らく1番傷ついていた菅原晋也に深く感情移入してしまった。
東日本大震災で行方不明になってしまった彼の記憶が、生き残った彼の周りの人々の人生に織り込まれ、浄化されていくのが切ないが妙に現実的だと思った。彼に対して、もっと複雑な感情を抱いていたはずの人たちも、罪悪感と後悔と苛立ちに疲れ、やがて彼を記憶の底に沈めてしまうのかもしれない。
それでも目を閉じて彼を思い出す、その幕間の一瞬に、愛されたいと願っていた菅原晋也という人間に対する祈りが少しでも含まれていたなら救いだと思う。今年読んだ中では1番好きです。