額賀澪のレビュー一覧
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中学生将棋の天才、かつて金メダルをとったアイススケート選手といったひと握りの天才たち。才能があると思っていた分野でケガのため活躍できなくなってしまった男のこ。生まれや家に経済的事情で可能性が伸ばせない子供。天才と言われる才能はないがその業界で生き延びる才能には長けていた作家…
天才とは何か、才能があるとは何か、何に才能があるかをどう見極めるか、果たして天才に生まれることが幸せなのか。天才たちを囲む大人や家族や友人の目を通して、そんなことを考えさせる本だった。天才と持て囃されることが果たして幸せなのか、というのは、特に昨今snsでの誹謗中傷を浴びせられることまで考えれば、疑問に思うことだろう(いや山口百恵の自伝の通り、昔の週刊誌による人権無視の追い回しも相当だったっぽいから、いつの時代も一緒なのかも)。しかし、それだけが自分の軸になってしまった時、才能が尽きた時や怪我で再生できない時に、何を支えに生きて行くのか難しいことを考えれば、平凡に潰しのきく人生でいいのかもと思ってしまう。
好きで得意で始めたその競技や対象が嫌いになってしまうのであれば、その一歩手前で止める決断も必要なのか。もちろんそんな境地は知る由もないが、実在の天才たちにも重ね合わせて、引退した後にみんなに幸せなその後の人生が待っていることを祈るばかりの気持ちで読み終えた。 -
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現実と理想のギャップを実感し悩む人は決して少なくないけれど理想を目指したという事実は自分の人生の財産となるそして音楽の美しさ、文字や表現の細かさ秀麗さを感じた。
追記、音楽は耳でしか感じられないからこそ言語なんてものはなくそこにおいて魂が魂に語りかけると言われているし私もそあって欲しいと思っているが、この本からは音がなり強烈な風が吹き音の圧を感じながら自分の理想を探し続ける高校生の眩しさを感じたそして例えがとても秀逸で美しい演奏を多角的な面から例えて文字なのに実際に演奏が聞こえてくるように感じた。
そして本はつまるところ空想であり想像でしかないがその中の登場人物は確かに私達のように呼吸をし感情を持っているのだ。
だからこそ嫉妬や羨望を当然持ちその気持ちをこの本ではたんすの角に小指ぶつけろやお腹壊しちゃえばいいのにと表現している 私はそこにとても衝撃を受けた。
自分の語彙力全てを総動員させてどれだけ嫉妬しているかを表す手もあるがこの本では感情をありのままぶつけているのでこの本では特に本の中で誰かの人生の一部分を見せてもらったと感じた。 -
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2025/12/23
タスキメシシリーズをようやく五輪まで読むことができました。
当初の主人公は眞家早馬と弟の春馬が中心となっていましたが、五輪のこの本では、タスキメシに今まで登場していた早馬や春馬に近しい人物たちにフォーカスしている内容が多かったと思います。
彼らに焦点を当てながら、競技者としてオリンピックのマラソン競技に参加する選手の気持ちも描写しつつオリンピック競技の大会全般に関わる人たちの関わり方のあり様を描いた話も多く描かれています。
特に日本では東京オリンピックが一年間延期になったことで参加する予定だったアスリート、オリンピックをバックアップする予定だった飲食業者の人たち、オリンピックに照準を合わせて生活していた人たちがどう世の中の変化に対応していくのか、そこにどんな葛藤があるのかと言ったところまでとても丁寧に小説として描写されているなと思いました。何よりあとがきに書かれていた方の文章が「きっと丁寧な取材によってこのタスキメシシリーズが生み出されているんだなぁ」と言うことを強く感じられます。
続編というかスピンオフ的なものがあったらぜひそれも読んでみたいなと思う、とても面白い小説です。 -
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全話面白かった!
周りにこういう女の子居たなぁって
どれも身に馴染みのあるお話で、サクサク読めた!
特に刺さったのは
「こっちを向いて」というお話。
仕事の取引先のお姉さんが転職するからもう会えなくなる。寂しい。できればこれからは友達として付き合っていきたいと思ってる主人公。
でも相手がそれを望んでなかったら?とか、ごちゃごちゃ余計なことを考えて結局何も言い出せなかった。って内容なんやけど、
めちゃくちゃわかる、、、!私も過去に全く同じ経験したし、他にも経験された方は意外と多いのかなと思う!
大人になってからの友達作りって考えてみれば難しいかも(´-`).。oO
最後の「獣の夜」は、臨場感がすごい文章で、めちゃくちゃ惹き込まれました。
早く誕生日の友達をサプライズで会場まで連れて行かないといけない、皆が待ってるのに!と焦りつつ、ジビエフェスで楽しくなっちゃってどうでもよくなってきてる主人公。
責任感vsどうにでもなれ( ´∀`)⭐︎
の感情がずっと主人公の中で戦ってるのに、どんどんお酒と料理追加していくのおもろい!笑
わぁーー確かに!!!ってなった文章抜粋
↓ ↓ ↓
「いない人を否定したら女の友情はひびが入りだす。」
「今、自分が置かれている境遇に似た人と仲良くなる。女がともだちを作るときの条件は、基本的にそこにある。ただいま現在の悩みを共有できることが、女にとってともだちになる大切なポイントになりやすい。」
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2025/11/29
10年前に刊行された本ですが、機会があって今になって読んでみました。
青春系の小説イメージが自分の中で強かった額賀澪さんですが、この「ヒトリコ」という作品は青春のキラキラした世界の裏側の人間模様に焦点を当てたような内容になっています。
主人公の深作日都子は小学校のときに起きたできごとがきっかけで人と関わることをやめ、1人でいることで学校生活を過ごすようになりました。
その件に関わっていた海老澤冬希という男の子は小学校のときに転校。
幼馴染の堀越明仁は日都子に寄り添おうとしますがシャットアウトされる…というのを高校まで繰り返します。
無理に人と関わる必要がない人が主人公なので、小説としてどう展開していくのか不思議だったのですが、そこが上手く描かれているのがこの作品のすごいところだと思います。 -
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棋士、フィギアスケーター、作家など天才とその観測者との物語。天才たちとの交流によって、生き方に思いをはせる連作短編集。
額賀澪氏の作品は初めてだったが、どの話も良かった。特に個人的には『カケルの蹄音』が良かった。この作品だけ、天才の度合いが違う気がした。
この短編集に出てくる天才たちは、全盛期を過ぎていることが多い。競技や分野によって輝ける時間が違うからだ。
特にフィギュアスケートといった低年齢の時期に全盛期が来る競技などでは、人生という目線で見ると『天才』以降のほうが圧倒的に長い。
この「天才」ではなくなってからの変化を扱っているのは、とても興味深かった。
「天才」は、自分よりも才能のある「天才」の存在により苦しめられる。この辺の関係性についてはマット・デイモンの出世作『グッド・ウィル・ハンティング』でも語られていたなと、読みながら思いました。 -
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素敵な本だった。
夏休みに、卒業した小学校の図書室に通う中学生のフミちゃん。そこへ、感想文用の本を借りにくる小6たち。感想文なんて苦手だと言う栄人、自分の気持ちに蓋をして周りに合わせている優衣、感想文を買おうとする虎太郎、感想文なんて読まなくても書けるから、先生達が喜びそうな本を選ぼうとする颯佑、可哀想な子と決めつけられて周りから気を遣われていることに辟易している千尋は、それぞれフミちゃんに本選びや感想文の書き方を教えてもらう。
5人が書き上げた感想文は、本音に満ちていて、自分と向き合って書き上げたことがわかる感想文だった。小学生に助言するフミちゃん自身も、実は悩みを抱えていて、図書室で毎日感想文を書いている。フミちゃんもまた自分と向き合い、気持ちを整理して、考えるために、図書室へと通っていたのだ。読書感想文の書き方にも触れながら、子ども達の悩みも解き明かしていく物語。小中学生にも、読書感想文を指導する先生達にも、子どもを取り巻くおとなにもぜひ読んでほしい一冊。 -
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本作が手元に来たのは、本みくじで引き当てたから…
表紙を見た瞬間に嫌な予感がした。
つい最近まで転職しようかどうか、私自身が迷っていたからだ。
意を決して読み始めたがやはり予感が的中した。
グサグサと色んな言葉が自分に刺さる。
魔王様の言葉はもちろん、求職者達の心情も全てが私の心に攻撃してる。
でもふと思ったのは、ここまでグサグサ刺さる言葉を紡ぐ著者は、もしかして著者自身も自ら心をグサグサ刺しながら執筆していたのではないか?
そうでなければ、どこの馬の骨だか分からない読者の心をここまで攻撃できるなんてありえないと。
「迷える羊を導けるのは、迷える羊だった人間だけ」このフレーズに衝撃を受けた。
やはり著者も迷える羊だったのだと。
本みくじで引いた本は、読み切るまで次の本みくじを引かない。とマイルールを決めているので、意を決して読み始めたはずなのに読む手が止まらず、一気に読み終えてしまった。
了読後、迷える羊の読者である私は、転職しなくて良かったと導かれた気がした。
一度転職をして今の会社で働いている。直属の上司が嫌で転職を考えていたが、なんだかんた今の会社が好きだ。
もう12年働いている。
運が良いのか悪いのか、転職しようか考えてた矢先、嫌な上司の上に社内だけではなく社外の人達からも信頼を得ていると人事から聞いた人が異動してきたからだ。
飲み会の席で話す機会があったので、話してみたら噂通りの人だった。
状況が一気に変わった訳では無いが、希望が見えた気がしたので転職せずに働いている。
こんな気持ちになれる本に出会えるだから、やはり読書は最高だ!
本作を産み出してくれた著者に感謝と、もし本当に著者が自らの手で心を攻撃しながら執筆していたのであれば、もう著者の心は癒えているのだろうか?癒えていて欲しい。 -
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天才高校生作家のスランプ。夢見ていた舞台に立てず足掻く競歩選手。
好きなものが怖くなる、楽しめなくなる気持ちはなんとなくわかる気がして、ちょっと苦しくなる。
誰よりも速くゴールへ向かわなければならないのに走ってはいけない。たしかに矛盾した競技だ。ルールに縛られ、その中でもがいてゴールを目指す。
“天才高校生作家”というラベルを貼られ、書くことが苦しくなって、自分の立ち位置も分かっているのになかなか前に進めない忍と、
箱根駅伝を諦めざるを得なくなり競歩に転向して、でも心の奥では納得できなくて、苦しみながらも歩き続ける八千代と、
何かに縛られながらも、時間をかけてもがきながらも、一歩一歩進んでいく2人の物語が、競歩という競技とリンクしているように思えた。
忍を見守ってくれている、百地さんの存在も良かった。寄り添い方が優しく、さりげなく導いてくれる。
蔵前さんの「意外と苦しいと楽しいって両立するものなんですよ」という言葉も良かった。 -
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〝菅原晋也〟という男の子について、友人らが語っていく甘酸っぱい青春ミステリー
──と思ったら。。。
【第一話 ガラス片の向こうで】
高校一年〜青い火の玉の謎
【第二話 炭酸水の舞う中で】
高校二年〜突然プールに突き落とされた理由
【第三話 黄色い花の下で】
高校三年〜彼が描いた花の絵の意図
語り手が次々と代わる連作で、菅原晋也は悪癖もあるけど憎めない、人懐っこい男の子。
迷子の子犬のような顔だって(・ω・`U)
どの話も〝人には話せない秘密〟が描かれている
大きい小さいはあれど、きっと誰もが秘密を持っているのではないだろうか。
もちろん、私も…
特に思春期の頃って、色々あるよね…
──しかし、甘酸っぱいのはここまで。。。
【第四話 空っぽのロッカーで】
ここで気付かされる…
2011年3月、あの日の話だと…
【第五話 願わくば海の底で】
【最終話 禱(いのり)】
〝彼はもうこの世にいないのに、彼について詳しくなっていく。
これもまた、弔いなのかもしれない〟
菅原晋也は確かに、ここに、生きていた。
私たち一人ひとりには必ず物語があり、生きていた証がある。
その日々は、みんなの心に生きているから…
切なくて優しい物語だった。