額賀澪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第100回箱根駅伝を機会に描かれた作品。
戦時中の箱根駅伝にかける大学生たちの想いを、現代の回想と交互に描く。
日東大に監督に就任したばかりの成竹は、ボストンマラソンで3位に入賞した神原と一緒にいる時に、戦時中に書かれた古い日記を外国人から受け取る。
そこには戦時中に箱根駅伝開催に向けて、必死に戦った人たちの様子が描かれていた。
昭和15年、戦前最後の箱根駅伝が行われていた。
まだ太平洋戦争は始まっていなかったとは言え、中国と戦火を交えていた日本は、駅伝が終わった学生たちを戦地へと送り出していた。
「箱根を走って、戦争へ行く」
それが当時の学生たちの心に決めたことだったが、翌年以降、箱根駅伝が行われることはなかった。
しかし、諦めきれない学生たちの想いを何とか形にしようとした男たちがいた。
関東学連の世良と宮野、そして及川だった。
その世良が遺したのが、成竹の手に渡った日記だった。
物語は世良たちの奔走した姿をメインに描いているが、走り終わった学生たちが、その後戦争に行って、見知らぬ地で亡くなっていくと思うと、序盤から涙なしでは読めなかった。
そして、「幻の箱根駅伝」
靖国神社、箱根神社を結ぶというもの。
繰り上げ出陣などが始まっていた中、人数が足りず、出場出来ない学校の中にも大会運営に何とか関わろうとしている熱い思いも伝わって来て、無事終えた後の靖国神社のシーンはとても印象的。
そこで、自分たちの「箱根駅伝」は幕を閉じたはずだった。
しかし・・・
正直、現代のシーンいらないかなぁ、と思うくらい重厚な話だった。
今年で第100回を迎えた箱根駅伝にそんな時期があったなんて、そこそこの駅伝ファンでも気にしたことがなかった。
駅伝を走れなくて散った命、駅伝を走って国に捧げるはずだった命。
どちらの存在もあったから、ここまで続く大会になったことに感謝をしようと思った。
奇しくも、少し前に池井戸潤の「俺たちの箱根駅伝」を読んだばかり。
どちらも優越つけがたい秀作。 -
Posted by ブクログ
いやあ凄かった。これは映画化しても良いのではないかと思った。難しいか、、?
ただの駅伝のお話ではない。初読みの作家さん。
昭和十五年、真珠湾攻撃前の日本から物語は始まる。
その後開戦。戦火の色が濃くなり、中止になってしまった箱根駅伝。
学生の意地と根性で、昭和十八年、最後の箱根駅伝という思いで復活させる。
多くの学生が自分たちがこれを最後に、直に戦争に動員されることを覚悟していたからだ。
開催に至るまでの奮闘、最後の箱根駅伝の様子を令和五年の現代の箱根駅伝の物語も混ぜながら描かれる。
なぜ箱根駅伝で走りたいのか、なんで観てしまうのか。
走者、補佐、補欠、運営側、記者、いろんな目線で描かれる。
彼らの走りに途中から夢中になってしまった。
箱根駅伝物語が終わって、物語も終わるんだなと思ったら、、、
最後痺れた。
お正月に大手町から箱根を走る箱根駅伝がある。
それは「なんてことなく続いていること」ではないんだな、ということがまざまざとわかった。
とても胸に迫る本だった。
スポーツを見ていっとき憂い事を忘れるように、本を読むことで、いっとき本の世界に夢中になれた。
「タスキとは何なのか」
本の扉に書いてあるけれど、1ページから読んでいってたどり着いた、その文はとても胸に迫るものがあった。
自分はどんなタスキを子どもに見せれているだろうか。
いろんな人におすすめです。 -
Posted by ブクログ
箱根駅伝の歴史に基づくフィクションということで、あの大学この大学を連想させる架空の大学名やチームカラー、大学駅伝好きとしてマニアックな点にいちいち反応しながら読む。
第二次世界大戦によって中止を余儀なくされた箱根駅伝、その代替となる青梅駅伝、第22回としてカウントされながらも異質の箱根駅伝……。戦争が日本の学生に与えた深い傷を描き、読んでいる私も胸が痛くなる。
スポーツを楽しむことが禁じられ、鍛錬や戦技としてのスポーツのみ許される。そんな窮屈な世界で、それでも箱根駅伝を走りたいという学生の強い想いが生み出した第22回箱根駅伝。「走れてよかった、これで後悔なく死ねる」と思いながら走る。そんな悲しい駅伝があったなんて、知らなかった……。
今ある当たり前が、どれだけありがたいものなのか。噛み締めながら読んだ。
また、一方で今年は第100回箱根駅伝が開催された、記念すべき年でもある。物語は昭和と令和を行き来するのだが、令和のエースがまた新しいタイプのエースで、それがなかなかよかった。
駅伝が嫌いで、駅伝を走らない4年生エース。頑なに箱根駅伝を拒むエースなのだ。「えっ、この人どうしたら箱根走るの?物語的にこの人が走らないと終われないけど、走る未来が全く見えない!」と、先の気になる展開に。
そして一番最後のページの、100回大会の総合結果と区間賞一覧を見て、えっ、この人……!?となったのは私だけではないはず。この気持ちだれかと語り合いたい!
後半はいろんなことが繋がっていく。過去があって、現在があるのだ、というように。先人たちの思いを知って、ますます箱根駅伝への思い入れが深まる作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今のところ今年イチ!
読み終わってすぐには言葉にならないくらい。
これで最後、と箱根を走る選手の気持ち、
駅伝開催にむけて奔走する関東学連の仲間の気持ち、
記録員、監督、記者、合宿所の女将、いろんな目線で丁寧に描写されている。
鍛錬と必勝祈願という建前がないと走れなかった時代から、そして戦争に取られて走れなかった選手たちから、時代をこえてタスキが現在に繋がっている。
べつに箱根駅伝でそんなに興味なかったけど、
戦争なんてくだらないもののために途絶えさせてはだめだ。
最後に宮野くんは及川くんに言ったことば。
『あんな大きな戦争がやっと終わったんだ。もう絶対にない』
安直だけど、そう、この思いを無にしてはいけない。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
先を飛ばして読みたくなるくらい面白かった。
舞台は高校の吹奏楽部。
そこの新入部員でいきなり部長に任命された茶園基と彼を部長に指名したOBの不破瑛太郎の二人が主人公。
読み終えて思ったのは、額賀澪さんは青春ストーリーを描かれるのが本当に上手な方だな~と言うことです。
今回もぐいぐいと物語の中に引っ張られて、惹きつけられて、物語の中で充実した時を過ごしました。
彼らが自身の音楽に向き合い悩むところ、確定出来ていない将来から目を逸らしているところ。痛いほど伝わってきました。
また、演奏シーンもとても良かったです。想像するだけでこちらも気分が高ぶりました。
何か一つのことに夢中になれるって危ういところもあるけれど、素敵なことだと思うし羨ましいとも思いました。
きらきらと輝いて眩しくて目を細めたくなる素晴らしい青春物語でした。 -
Posted by ブクログ
2024/03/17
競歩という競技を題材にした小説なんですが、ただの競歩小説じゃなかったのがこの小説の面白いところだと思います。
高校生天才作家と持て囃されて、ライバル作家の存在によって創作活動に行き詰まっていた大学生作家の榛名忍、また、彼と同じ大学に所属している八千代篤彦は箱根駅伝を諦めて孤独に競歩という競技に挑む選手。彼らを引き合わせる新聞部の福本愛梨と彼らの周りの人達がだんだん競歩という競技にそれぞれの形で絡んでいく話(?)
競歩に対して知識のない人でもとても読みやすくなってるし、読者目線の競歩初心者にも自然と解説が組み込まれていて競歩について知りながらその競技の醍醐味を味わうことができる構成になっていると思います。
最初は榛名も八千代も仲が悪いのですが、競歩という競技が段々と彼らを引き合わせていく過程で、それぞれのライバル事情だったり、諦めようとする挫ける気持ちだったりと言った葛藤が二重、三重にもなって描写されているので読んでて先が気になると同時に、あー自分もこれに似たような経験あるなと心のどこかで感じることができるような追体験をできる小説じゃないかなと思います。 -
Posted by ブクログ
熱い!眩しい!
高校生の青春吹奏楽物語!
部活、オーディション、受験、塾、、
生徒も親も指導者もそれぞれに葛藤がある。
やりたいこととやるべきことの間で揺れ動く高校生の心が手に取るように分かった。
でも、大人になった今だから言えるのは、好きなことにあそこまで時間をかけれるのはあの時代だけ。
えー。また練習かーーってその当時は思っても、
それはほんとうにほんとうに尊い時間だったんだって、大人になってから分かる。
でも、ブラック部活問題もある。生徒の好きなものがやりすぎて嫌いにならないように、好きなものをずっと好きでいられるように指導者には導いてほしい。
学生時代に読みたかったって想いと、大人になった今出会えて良かったって想い。どちらもある
本当に演奏会を聞いたような音が聞こえてくるような読後感。
好きなものを真剣に抱きしめた時間が、人を大きくする。 -
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ウズラの卵 こんなにも美しく、優しい物語ありがとう、こちらこそだよ。あの事件の時に真っ先に考えたのは周作を自分と同じ親のいない子供にはしない事で、何より家族だからこそ行き着いた 。物凄い嫌な解決方法だけど、最後に一緒に水族館行けてこれからも繋がる家族なんだなと思ったら心から嬉しく思ったよ。でもこんな簡単な感想文では申し訳ない位に職場を転々として恋人に打ち明けたら倍返しされて、本当のお母さんにも会っていたんだな~って。出だしから皆瀬を追って行くだけのサスペンスと疑ってたら麻結ちゃんに紫織にグッと近付けたし、ウズタマのタイトルが素敵でした。額賀澪さん直ぐに読まなきゃって事
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2024/01/10
転職の魔王様の続編にあたる小説。相変わらずの来栖と、部下の未谷のキャリアアドバイザー(CA)としての様子を描いた話。
今回も色々なバラエティーに富んだ転職者がシェパードキャリアにやってきて、その相談に乗ったりするのだが、一人ひとりの内容がとてもリアルで転職ってこんな感じなのかなあとか相談とかもこんな感じで展開されるのかなぁなんて容易に想像できてしまう話が盛りだくさんとなっています。
相談に来る人たちだけでなく、来栖自身のこと、未谷自身のことにも少し踏み込んだ話もあって、とても面白く読み進められました。
続編あってほしいなぁって思ってます。